◆金銀’97のポケモンの「わざ」について・その2◆



前のページに引き続き、金銀'97の「わざ」について。金銀から登場した技の領域、初代だとバグった技になってしまったところの数値から検証です。

まずは「トリプルキック」。金銀では威力10という悲しき技でしたが、金銀'97ではなんと威力が60もあります。 説明文は金銀と同じく「敵を3回連続で攻撃。当てるたびにダメージが上がる」ですが10と60ではエラい違いです。1回当てるだけでも60の威力・・・!

・・・が、強すぎたと判断されたのか、金銀では大幅に威力が下げられてしまったのでした。 10しかないキックって一体・・・カポエラーなら動作的に「まわしげり」のようなものなんじゃ・・・。

A6の「スケッチ」はペインター(後のドーブル)が覚えるし、金銀と同じくPPが1の技です。 敵が使った技をちゃんと自分のものにできますが、「スケッチした!」ではなく「ダビングした!」というメッセージになっています。

ま、まあ間違ってはいない気はするが、スケッチした!じゃないのはどうしてなんだ・・・? まさか元は「スケッチ」ではなく「ダビング」という技だった・・・!?

ところでこの「スケッチ」は未完成の技のようで、色々と挙動がおかしかったです。 金銀の「スケッチ」は、スケッチができないとスケッチのPPが0になってしまいますが、スケッチできた場合は覚えた技に応じたPPになり、その技のPPは全回復状態です。 しかし金銀'97のスケッチはスケッチできても覚えた技のPPは0なので「わるあがき」を出すことになってしまいます。不便。

さらに、相手が技をまだ出していないときにスケッチするとヌをダビングしてしまいます。ヌを取得。

金銀では不可能な「スケッチ」をさらにスケッチすることは可能。それどころか「オウムがえし」や「わるあがき」もスケッチできました。 でも「へんしん」はダメだった。なぜに・・・。ちゃんと「へんしん」はスケッチできない、と設定されているようです。

だが戦闘中にスケッチが失敗するのではなく、「ペインターは変身をダビングした!」と出るけど技はスケッチのまま、という感じです。やはり作っている途中感があります。

ちなみにヌを取得するとこんなことになります。 ないものを覚えてしまうとこうなる、ということのようです。レベルを上げてスケッチを改めて覚えると、このヌは消滅して一番上にスケッチが来ました。


ABの「あくむ」は金銀だと「敵が寝てる間体力を毎ターン4分の1減らしていく」ですが、金銀'97では「8分の1」になっていました。金銀で強化されたようです。 それはともかく、この「あくむ」のエフェクトを見てくれ。

ガチなヤツが登場しています。 金銀のあのカワイイアクマくんではありません。シャドウゲイトに出てくる人みたいです。ガチの死神です。

こりゃあ、うなされてHPも減っていくわけだ・・・。あまりに怖いからから、金銀ではマイルドな絵に変更されたようです。おお、怖い・・・。

ちなみに「うらみ」でも「あくまのキッス」でも同じ死神が登場し、ハートを出して去っていきました。仕事を選ばない人だ・・・。 ACの「かえんぐるま」はちゃんと「こおり」状態のときに使うと自分の氷を溶かしました。

金銀のAEは「のろい」ですが、金銀'97だと「クギをうつ」という技になっています。ひえー!! 金銀における「のろい」は「鈍い」と「呪い」をかけた面白い技で、「呪い」だと自分の体力を半分に削って相手に呪いをかけ、相手のHPを4分の1ずつ減らしていくという技です。

しかし「クギをうつ」は「呪い」一択で、呪われた相手は4分の1ずつHPが減っていくのは同じですがクギを打った自分のHPが減るのも4分の1です。お得になっています。

そして当然ながら、呪われた相手にはガチなヤツがとりついてHPを削るというエフェクトになっています。 最初からお腹にぐっさりな、ノロワラちゃんのためにあるような技です。 金銀'97ではタイプも「???」ではなくゴーストになっていて、威力はなぜか40と設定されていました。 説明文が書かれたときは固定ダメージじゃなかったってことなのか?だとしたら自分のHPが減るのに40は弱すぎないか・・・。

AFの「じたばた」は金銀'97だと「体力が少ないほど敵に大きなダメージを与える」で、金銀では「自分の体力が少ないほど」という適切な説明になっていました。 そして、HPがマジでギリギリのときに威力が200になるみたいなことはありませんでした。あんま強くないです。残念。 エフェクトも金銀より大分長かったので、短縮されたようです。

お次はB0の「テクスチャー2」。「敵にテクスチャーを貼り付けて属性をランダムで変えてしまう」ってなにーッ!? ランダムで?!金銀のテクスチャー2と全然違う・・・!!

金銀では「受けた技のタイプを自分の抵抗力に変える」という技だったが、敵にテクスチャーを貼ったらタイプまで変わるの・・・!?どういうことなの・・・。

「敵の○○のタイプを○○に変えた!」と、本当に勝手に変えてしまいます。 「くさ」は「くさ に かえた!」と1文字開きましたが、「みずに かえた!」と「エスパーに かえた!」とタイプによっては空白が入らないものもありました。

そして、相手は本当にそのタイプになっており、例えば相手をゴーストにしたらノーマルタイプの技は当たらなくなりました。と、何度かテクスチャー2を出していたら・・・。

変わってはいけないモノに変わってしまった。 なんと、没タイプ「とり」に変えてしまうこともあるのです・・・!タイプとして存在はしていて、ランダムで選ばれることがあるということか・・・!ビックリしました。

◆追記部分◆
タイプ優劣の検証をしているときに気づいたんだが、「テクスチャー2」では「あく」と「メタル」にはならないということが分かりました。数百回試して一度も変わらなかったから間違いないだろう。その間に「とり」には数十回なったから間違いないだろう。

テクスチャー2で選ばれるタイプの表の中に「あく」と「メタル」がまだなく、逆に「とり」はかなり実装されそうだったということなんだろうか・・・。―追記部分終了。


B1は金銀だと「エアロブラスト」ですが、金銀'97だと「こばんなげ」という威力40の技です。 説明文は「お金を使って敵を攻撃。飼い主がリッチなほど強いワザ」というものになっていました。ツッコミどころ満載です。

エフェクトは、小判を1枚シューっと投げるという感じ。一直線です。 投げるときの音は、スロットを回したときの「ピロン」という音。

しかし肝心の「飼い主がリッチだと強い」というのはよく分かりませんでした。所持金がいくらだろうと同じだし、技をいくら使っても金も減りません。

何より気になる表現、それは「飼い主」という単語です。飼い主なの!?ペットなの!? 説明文の字数がギリギリみっちりなので、どこかを変えないと「トレーナー」という言葉が入らなかったんだろう・・・。

さてB2は「わたほうし」。金銀にもあった技で「胞子をまとわりつかせ、敵の素早さをガクッと下げさせる」という説明文でした。

金銀'97だと「胞子をまとわりつかせ、敵にの 防御をガクッと下げさせる」と、ダブルで何かが起きています。 まず、「敵にの」っていう誤字が生じており、元は素早さではなく防御を下げる技だったとは・・・!

しかし、フワフワしたモノがまとわりついたら単純に防御より素早さが下がりそうなイメージではあります。

←このポポネコは色違いです そして実際に「わたほうし」を使ってみたら素早さが1段階下がりました。なんなんだよおおおぉ!!しかもガクッとじゃないんか!

というわけで、まだまだ色々と作っている途中だったようです。

B3の「きしかいせい」は説明文もタイプも同じですが、金銀'97では「体力が少ないほど」、金銀では「自分の体力が少ないほど」と微妙に補足されていました。 B4の「うらみ」は金銀の説明文は「相手が出した技をうらんで、その技ポイントを減らしてしまう」ですが、金銀'97では「最後に受けた技を」になっています。

実際に使ってみると、相手がまだ技を出していないときに使うとヌを3削るというようなことは起こらず技は失敗。 「受けた」とありますが、相手が出して外した場合でもその技のPPは減らせました。

B6は「まもる」。金銀では「そのターンの攻撃を受けない。連続で出すと失敗しやすい」という説明でした。 金銀'97では「次のターンの攻撃を受けない」のみ。何か、何か足りなくないか!? しかも「まもる」を出したターンの次のターンの攻撃を受けないということなのか?連続で出しても成功率は下がらないのか?実際に使ってみました。

エフェクトは金銀だとピロリピロリというちょっと聖なる音っぽいですが、金銀'97だとビビビビビビビです。 「こなゆき」の音と同じっぽい。金銀の方がエフェクトも短くなっており、 金銀'97では「しかし○○はまもっている!」というメッセージは出ずにただ相手の攻撃が外れたり上手く決まらないのみでした。

そして何よりビックリなのが連続で出しても成功率は下がらないということです。強すぎる・・・。

2022年6月5日追記
雫音ユキちゃんとツキくんのゲームの小ネタ解説動画で このあまりにも強い「まもる」をピックアップしましたが、 動画のコメントで「2016年くらいの公式の世界大会のゲストだった森本さんが 「連続でまもる決めてたら面白くないから連続成功率を下げた」とコメントされていました。 当時(XY,ORAS)での調整だったのか金銀での調整だったのかはわかりませんが…」 という貴重な情報を頂きました。

森本茂樹さんは初代ポケモンのプログラマさんが、もしかしたらこの97年ベータ版の頃の 「まもる」について言及なさっていたとは…!やはり「面白くないから」というからには 少し成功率が下がる、というよりかは連続100%というのをやめた、という感じではないだろうか…! 情報どうもありがとうございます!!


B8は「こわいかお」。金銀では「怖い顔で敵を怯えさせて、素早さをガクッと下げさせる」という技です。 金銀'97では「防御をガクッと下げさせる」という説明文でした。確かに怯えたら防御が下がってもおかしくはない気がします。

BAは「てんしのキッス」。ピチューやトゲピーが使うイメージですがピチューやトゲピーは自力習得しなくてビックリです。個々のポケモンについてはベータ版ポケモン大全でどうぞ。

使ってみたらまたガチなヤツが来ました。すごく天使です。 命中率も、まだちゃんと設定されていないかもしれませんが100%なんじゃないかと思うほど外れませんでした。「あやしいひかり」レベルの便利さです。

・・・と、大分長くなってきてしまったので一旦ここで終了。次のページに続きます。まだまだ続きます。
2018年9月20日


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