◆マリオUSA(夢工場ドキドキパニック)のチラシ◆

◆目次に戻る◆

先日マリオUSAの説明書を初めて見てキャサリンの英語名についてのページやら ワールドの2のボス「ガブチョ」のページを書いたりしたものですが、 同時にもう一つ話したいと思っていたものがありました。

夢工場ドキドキパニックが先に作られ、主人公をマリオに差し替え、色々調整が加えられたうえで 海外で発売されたのがディスクシステムのマリオ2、それが日本でファミコンで発売されたのがマリオUSA。

夢工場ドキドキパニックとマリオUSAは細かな違いはあれど基本システムは全く同じです。 ジャンプ、移動、何かを持ち上げ、ぶつける。夢工場ドキドキパニックが初出のヘイホーや キャサリンは今や他のゲームにもバリバリ登場する人気キャラクターで、名前もそのまんまで現在に至っています。

他にも、サンボは後にスーパーマリオワールドに登場して今や敵としては常連キャラだし、 自分が印象深いのはハックンがマリオストーリーに出てきたことです。とにかく、かわいい。可愛いんデシ。

さてその夢工場ドキドキパニックの販促チラシを複数のサイト様や海外サイト様で拝見。 こういうゲームが発売される前のチラシというのは宝の山です。 ソロモンの鍵しかり。 実は自分はゲーム屋さんに連れて行ってもらった際に置いてあるチラシは結構もらってきていて 机の中には綺麗な全く知らないゲームのチラシがわんさか入っていたりします。

そういえばあのゲームって評判良かったのかな、チラシの画面は綺麗だったな、と思って 検索をかけてみたら散々な言われようで切なくなったりしたものです。脱線しとるぞ帰ってきなさい。 というわけでコレが夢工場ドキドキパニックのチラシの一部分です。


イマジンがマリオ、リーナがピーチ姫、 イマジンパパがキノピオ、イマジンママがルイージのような性能となっていて、 つまりは今はピーチ姫が空中浮遊の能力をごく普通に操っているが 元はその力はリーナのものだったというこの事実、忘れ去られてほしくないけど忘れられていってる。仕方ないね。

さて勝手に自分が注目したのはイマジンファミリーの皆々様ではなく、 現在もマリオファミリーとして活躍中の右ページに描かれている敵キャラクターたち。

ヘイホー、ムーチョ、キャサリン、ドドリゲス、マムーが紹介されています。 キャサリンは現在はどピンクですが初期は体の色が黄色かったようで、 マリオUSAのパッケージでもまだ黄色で描かれています。 そもそもいろんな色がいるキャサリンだけど元はピンクのキャラというイメージではなかったのかもしれません。

さてこのチラシを見て、アレ?と思った点が二つ。 マムーからもらった絨毯で空を飛び回る、飛べないカラスちゃんの名前は「ドドリゲス」です。 もう一度おさらいしましょう。ドドリゲスです。

チラシに掲載されているドドリゲス。 名前がトドリゲスになっとる。 画像の解像度やらのせいか、と大量のチラシの画像を見て回ったんだけど どれもこれも「トドリゲス」になっていました。

この広告を制作する際、企業様がキャラクターの名前を間違えて掲載したというコトになってはいけないので、 きっとドドリゲスの名前は元は「トドリゲス」だったのでしょう。これは誤字などではなく きっと「開発中の名前」が記載されてしまったというよくあるそういうアレです。ミスではないアレです。

さてドドリゲスの名前は実は本題ではなく。紹介したかったのはもう一つの方です。 裏画面にワープすると野菜の代わりにコインが出現し、ステージの最後に集めた枚数だけスロットマシーンで 遊ぶことができます。マリオUSAでは「コイン」、夢工場ドキドキパニックでは画像は同じだけど「メダル」という 名称です。

しかしどちらも魔法のランプ(マリオUSAでは「魔法の薬」)で裏画面へ行き、 そこで野菜の代わりに出現する、という入手方法は変わりません。

さて、ムーチョの説明を見てみましょう。 「お面の口から悪夢の弾をうってくる。 他にグレーとピンクの2種類。カギやメタルを持っている。」 …と、書かれています。

えー、ちょっと情報が渋滞しているので交通整理をしましょう。

ムーチョは「カギやメタルを持っている」と書かれていますが 「メタル」は「メダル」のことであり、「ドドリゲス」が「トドリゲス」と 書かれていたのと同様、濁点が抜けているだけの可能性が高いと思います。

ということはつまり、スロットゲームをプレイするのに必要なメダルは 元はムーチョから入手するものだった…?ムーチョに限らないかもしれないが、敵から手に入れるものだったのか? ヘイホーは「ウロウロとってもじゃまなやつ。イマジン君たちを追っかけてくる。 他にグレー、ピンクの2種類がいる。」となっていて、ごく普通の敵キャラとしての説明です。

キャサリンについても「口からタマゴをはいて攻撃してくる」という ゲーム内容と全く矛盾のない説明がされているうえに 「キャシーと呼ぶときげんがいい。」という 現在と変わらないうえに非常に細かな設定まで書かれています。

ドドリゲスも名前は違うけど説明文は事実と矛盾しません。 それらを踏まえるとムーチョの説明の「カギやメダルを持っている」というのは 「ムーチョの特徴」であり、しかし現在の設定とは異なるのでそれはムーチョの没設定ということになります。

改めて考えてみると、ムーチョを倒してメダルが手に入る、というのはまあまあシステムとしては問題なさそうです。 画面を切り替えると倒したムーチョが復活するとしたらメダルが無限に手に入ってしまうので ゲーム側がムーチョ狩りを許すか、もしくはランダムで・低確率で出現するとか1回登場したらその ムーチョはもう出現しないとかそういったムーチョ専用プログラムを作らないといけません。

低確率でメダルを落とす、という設定だったとしてもやはりムーチョを狩れば無数にメダルが手に入ることになります。 そもそもメダルで何ができるのかはチラシには書いていないしスロットマシーンの構想があったのかは不明です。 もしかしたらこの時点では裏画面という構想がなかったのか、もしくはメダルではない何者かが地面から出てきたのでしょう。

さらにもう一つ「カギを持っている」というのも驚き。「カギ」はカギ穴が付いた扉の前で使うと 扉の中に入れるという攻略上必須アイテムですが、置かれているカギを取ると「カメーン」が 追いかけてくる、というのがマリオUSA、そして夢工場ドキドキパニックの仕様です。

しかしわざわざ「カギを持っている」とムーチョの説明に書かれているということは、 置かれているカギがあったかは不明なもののムーチョを倒すことによってカギを手に入れることがあった ということであり、もしかしたらこの時点ではカメーンはいなかったのかもしれません。

ムーチョはかなり重要なポジションの敵キャラだったのか…?

「ムーチョ赤」の説明で「他にグレーとピンクの2種類」とあるので 赤・グレー・ピンクの3種がいると読める説明だけど実際には緑も出てくるので、 ムーチョの色が緑になるステージに元はムーチョが出てくる予定はなかったのかもしれません。



…という、ドドリゲスの名前は元は「トドリゲス」だった、 そしてムーチョは「カギ」や「メダル」を持っているという重要な敵キャラだったという事が チラシに書かれている、というお話でした。

「メタル」が「メダル」の誤字であるとしたら「トドリゲス」も「ドドリゲス」の誤字になってしまうので、 元は「メダル」ではなく「メタル」を手に入れ、それを精製してメダルにするなどという 壮大なシステムが考えられていたのでしょう。マムーに通用する最終武器も、 ムーチョから手に入れたメタルから作り出したに違いありません。「やさいたいほう」とか。ダサい。

ドドリゲスの名前が「トドリゲス」だったら、 「スーパーマリオRPG」に登場する「ドド」は「トド」になっていた、そんな未来もあったのかもしれません。 別の生き物になっているのは気のせいです。

2022年11月22日


◆目次に戻る◆






inserted by FC2 system