◆NINTENDO64DD版ポケモンスナップ◆


さあ、場は整った。放置しすぎて熟成肉のようになってしまった、ポケモンスナップの話を、今。 ポケモンスナップ実況プレイのYouTubeへのお引越しも終わった。 NINTENDO64DDの時代のポケモンスナップの1枚の画面写真だけを題材とした 語りページの体裁を変える(改行を消す・文字サイズを大きくする)作業も終わった。

ポケモンスナップの没になったホラーステージの没BGMの動画も改めて作り、 それを紹介するページも作った。…が!実は、何年も前から話そうと思っていた、 ポケモンスナップのベータ版についての貴重な資料があったのである!これ以上放置するわけにはさすがにいかないぞ!!

…えー、結論から言うと、64DDで開発されていた時代のポケモンスナップの動画を YouTubeでどれだけ前か分からないけど見たことがあったのです。 まさか消えてないよね、と思いながら探し直してみたらまだありました。心底よかった。 その素晴らしい資料というのが、この動画様です。


音はなく、画質も昔な感じですが、この上ない貴重な資料。あのピカチュウだけが映った1枚の 画面写真と同じ時代の映像だというのが背景の色合いなどからも良く分かります。

動画様をなんとか撮影させてもらったので、ワンシーンずつ見ていきましょう。 (失礼ながら、動画様をキャプチャしてから いくつか加工をさせてもらって掲載しています)


まず、左右が草むらで木が2本生えている道を進んでいくシーン。 なんだかゴルフ場のようですが、奥に見えている背景が山だとしたらかなり大自然の真ん中という感じです。

64DD時代のソフト説明に「フィールドを歩きながらポケモンを探し」という表現があったので てっきり歩いているんだと思ったけど、なめらかに前進しているようなのでこの動画の時代ではすでに 致命的メカのような何かに乗せられているのかもしれません。もしくは姿の見えない主人公が すり足の達人かのどちらかです。


坂のような橋を渡ると、さっきとは違う色の地面+左右に深そうなラフ+木という、 またゴルフ場のような光景が広がっています。

フィルムの表示が64版と違って左にあるし左から徐々にフィルムが出てくる、というカウントだったようです。 そうやってフィルムを出しちゃうと写真がダメになりそうだが…だから変えられたんだろうか。


次のシーンは右半分がOBで左に道があるエリア。分かりにくいですが丸で囲んだ位置に よく見るとマンキーがいます。草むらの中にいるわけでもなく、ただ立っているマンキー。

64版ポケモンスナップでは「けいこく」にいて、ステージのギミックのためにまあまあ 意味のあるポジションを与えられているマンキーですが、ベータ版の頃からちゃんといたようです。


次のシーンで登場するのはなんと…アーボ。 あ、アーボがいるだと…!?

普通のヘビっぽく尻尾や頭を揺らし、舌を出してうにょうにょしています。 ベータ版の時点では登場する予定だったアーボ…なぜ、64版では没になってしまったのか?!

出すところがなかった?いや、「リバー」でいいだろう。ニョロモが川に飛び込んだ後、よく見るといるとか コダックが泳いでいるところで後ろにいるとか、水にポケモンフードを投げたら ウナギのように飛び出してくるとか、いくらでも自然な設置場所があったと思うが…!?

さらに、これを見てまず思ったこと。それは…。

アーボが出ていれば登場ポケモンの種類が64になるのにということ。 なんとももどかしく思ってしまった…!!

普通に遊んでいた時代、オーキド・チェックの後に ポケモンの種類が表示され、新しいポケモンを撮影したら増えるのが楽しかったものです。 そしてベトベトンを撮影でき(自分の最後の1種はベトベトンだった)、 ミュウも撮影し、ポケモンの種類が63になり、エンディングが流れ…そこで、ん?と思いました。

いや、まさか、これで終わりなわけがない。ミュウよりもレアなのが何なのかは想像がつかないが、 まさか63種類という64のゲームだということを考慮に入れなくてもそんな中途半端な総数なわけがない。 あと1多いか、あと3少ないか、というのがキリのいい数字だろう。初代ポケモンだって150匹だったし、 ポケモンスタジアムに出られたのは40種類だった。あと1匹がどこかにいるんだろう。当時の自分はそう考えました。

だが、どのステージをクリアしてオーキド博士に写真を見せても 「まあ、レポートは完成しとるがな、〇〇。」と言われるだけ。 本当にこれで終わりなのか…やはり、あと1種はどこを探してもいないのか…と、諦めた過去があります。

他にも64DD時代にいたけど没になったポケモンがいたのかは定かではありませんが、 もしもアーボがいたとしたら丁度64種類…!キミがいてくれたら、とってもスッキリしたというのに…!!

…だが、逆に考えると「64種類と最初から決めていた」のではなく、 「納期までに入れられるだけ入れた」というスタッフ様たちの最大限の努力の結果とも考えられます。 我々にできることは…ポリゴンよりも自然の風景に存在するに相応しい、 人知れず没となっていたアーボの冥福を祈るのみです。


さて次は、橋の手前のような場所(さっきの深そうなラフ+木の場所の前かもしれない)の左に、 フシギダネがいるのでポケモンフード(この時代は普通に「リンゴ」かもしれない)を投げ、 それにフシギダネがピョンコピョンコと近づいてくるシーン。

主人公のことはバッチリ見えていそうなアングルですが、全く警戒していなさそうです。 道は広そうですが主人公は左に寄っているので、「向いている方に勝手に寄る」という仕様は この時代からあったのかも。


次に登場するのはカビゴン。64版と同じく眠っています。 64版と違って全身が丸見えですが、やはりカビゴンはポケモン赤緑と同じく 眠って登場したようです。


寝ているカビゴンに主人公が「ポケモンのふえ」を使ったらしく、 カビゴンがすくっと起き上がって謎のダンスをし始めます。 音がないのでどんな曲かは分かりませんが、「ポケモンのふえ」の音色に合わせて踊り始めるので そこを撮影できるようです。

カビゴンは ねぼけて おそいかかってきた! とならなくて心底よかったです。


さて、次のシーンはカメカメはっぱが落ちていそうな草むらの奥にいるポッポを 撮影しているところです。パっと見は何をしているのか分かりにくいですが、 よく見ると主人公は巨大な石を投げつけているようです。

これは「イヤイヤボール」ではない。「どろ」でもない。どう見ても、石だ…!!

まだ初代ポケモンしかなかった時代なのでサファリゾーンと同じく 「エサ」と「いし」を投げることになっていたというのは、今見ると衝撃映像ですが 納得ではあります。それが当たったら、ポッポは飛び出す前に死なないか…? 相当なサイズだし、「いわおとし」みたいなもんだろう…。


そして「いわおとし」の命中率の低さにより命からがら飛び出したポッポ。 映像の速さが実際のゲームと同じなのかは分かりませんが、64版よりもゆっくりと飛んでいるように見えます。

また、下に見えている川は「ビーチ」などのところどころにあるコイキングが出てくる水場にも似ています。


次に登場するのはゼニガメ。草むらから歩いてきて、リンゴを与えると飛び上がって喜ぶ…という、 「けいこく」でまあまあ見たようなアクションをしてくれます。 ポケモンは本来草むらから飛び出すものだし、エサを投げておびき寄せて撮影するというのは まさに初代ポケモンのシステムを「カメラアクション」というニュージャンルに作り替えた感じです。


次に、ピカチュウが登場。「ビーチ」の後半のように2匹セットで登場するようです。 64版とピカチュウの耳や尻尾、体のバランスが違うように見えます。 (考察した1枚の画面写真と同じだろうから、64版に作り直されるに当たってピカチュウの3Dモデルも作り直されたのかも)

ピカチュウはリンゴに喜んでふんわりと飛び跳ねています。 その喜んでいる時のポーズ、挙動も64版と違います。

ところで今まではフェアウエイやラフ、そして樹木が多く立ち並ぶ緑豊かなコースばかりでしたが、 このピカチュウがいるコースは砂漠かサバンナという感じに見えます。茶色が多め。

「トキワのもり」にいるピカチュウが砂漠にいるのはまあいいとして、 思えばこんな荒野みたいなステージは64版にはありません。 「ビーチ」の序盤が砂浜だけど、この画像のステージは海の近くではなさそう。

エサや石を投げてポケモンにアクションしてもらって撮影するのであれば、 草むらや森の少なめなこういう地形ではあまり隠れる場所もなさそうなので 「ホラー系ステージ」のほかにこの「サバンナ風ステージ」も「ビーチ」や「けいこく」に 吸収されつつもある意味没になったのかもしれません。


さて次はニャース。なんと、64版と同じアクションでこちらを驚かせてくれます。 無音なのに声が聞こえてくるようです。「ビーチ」の高台でやってくれるあの「にゃーお」は、 ベータ版の頃から存在していたのだった…!!


さらに、にゃーおの後は64版でもやってくれた顔芸。これもベータ版の頃からあったようです。 顔芸の後ろには特徴のある歩き方をしているもう1匹のニャース。 この歩き方は64版とは違うようですが、「待機」、「にゃーお」、「顔芸」、「歩き」と たくさんモーションが作られていてそれぞれの動作がちゃんと64版でも登場しているのはなんともめでたい。

アーボも喜んでいることでしょう…。


次に表示されるのは「アルバム」のモードっぽい画面。右のページに「ニャース」と書かれていて、 青いボタンには「もどる」という文字があります。4枚表示されている写真のうちどれを選択しているという カーソルがないようですが、ゼニガメが1枚で表示されている画面もあるので1枚を大きく表示する機能もあったようです。

動画では確認できませんでしたが、この4枚の写真のうち右上のニャースは2匹が並んで踊っているようにも見えます。 ニャースのダンスは64版にもありましたが、これもβ版の頃からしっかり作り込まれていて、 それが64版でもしっかり使われていたということなのかもしれません。素晴らしいことです。

アーボも喜んで………。


さて改めてこちらのポッポの写真、そして改めてフィルムの表示の話です。

フィルムには数字がついていますが、どのシーンでも1〜6の数字にしかなりません。 写真を撮るたびに右にフィルムが出てきていますが、このポッポが飛んでいるシーンをよく見ると 写真を撮ってフィルムの数字が6になった瞬間にフィルムが巻き戻っているのが分かります。

まさか1ステージで6枚しか撮れず、6枚撮ったら1に数字が戻ってまた撮影したら1枚目に撮ったのが上書きされる なんていうシステムではないだろうし…6枚撮ったら次の6枚、64版と同じだとしたら それが10セット=60枚撮れる、というカウントだったりするんだろうか…。

確かにカメラのフィルムは60枚も撮れるというのはあんまりないだろうし、 1枚撮影したらフィルムが進むものだから1枚撮影するごとに動くようになっているというのも分かるんだが、 やはりあと何枚撮れるのかが直感的に分かりづらい気がしてしまう…!

…という意見が製作者様たちの中でも上がったのかは分かりませんが、 現在撮影した写真の枚数はアニメーションすることなく数字が切り替わることによって 表示される、という簡潔なものに変更されたのでした。こだわりポイントだったのかもしれないが、 ゲーム画面は分かりやすいのが大事ということか…。

それともう一つ画面の表示がコレ、アイテムらしきものたちです。 左が「ポケモンのふえ」、真ん中が「石」、右が「リンゴ」のようです。

動画でもピカチュウにリンゴをあげているときはリンゴが青いボタンになり、 カビゴンを起こしているときは「ポケモンのふえ」が青いボタンになり、 ポッポにオラッとやっているときは真ん中が青いボタンになっています。

64の青いボタンといえば、Aボタンです。64版のAボタンではポケモンフードを投げ、 Zボタンを押しながらカメラを構えてAボタンを押せばシャッターが切れる、という操作方法になっています。

だが、ベータ版の画面を見る限り、Bで投げたイヤイヤボールに相当する石もAボタン、 Cボタンで吹いた「ポケモンのふえ」もAボタンということになり、Aボタンがなんとも忙しいことになっている。 それと同時に、アイテムを「切り替える」ボタンも必要です。

幸い、3つならばどれを選んでいても左右どちらを押しても1回のボタン操作で目当てのアイテムを選べます。 アイテムの種類が開発中に増えてしまったらこの限りではなくなるが、結果的には3つしかアイテムがないので 問題はナシです。

…しかし、そうなるとBボタンを何に使おう、ということになりそう。リンゴ投げてすぐ石を投げてまたリンゴを投げたい、 というときにアイテム切り替えボタンを織り交ぜるのはスピード勝負なときには向かなさそう。 アイテムはエサ、石、笛の3つで決まりなら、Aでエサ、Bで石、Cで笛…という役割分担になるのも自然なような気がします。

それと真ん中フェチの暇人を喜ばせるためにはポケモンが中心に入るように撮影する必要がありますが 動画だとポケモンを中心に持ってきて撮影できた場合に出る何のポケモンの写真を撮影したかの「しゅやく」の名前が表示されていません。

この時代のゲームシステム(ゲームの目的)は分かりませんが、大きく撮影できたら高得点みたいなのはありそう。 高得点を取った、だからといってなんなのだということになってしまうので ゲームクリアという概念のあるゲームにするには暇人をストーリーに組み込むしかなかったのだろう…!


ところで、タイトルロゴも違っています。色が紫色から製品版で赤色になり、 「POCKET MONSTERS SNAP」という文字もなくなっています。 文字の形はほとんど同じように見えますが、よーく見るとちょこちょこ変わっていて 最も顕著なのは「ポ」と「プ」の半濁点の形だろうか…旧ロゴの方は円形、 製品版は斜めに傾いた楕円形になっています。こっまか。

…と、思ったらパッケージのロゴを改めて見てみると 形が旧ロゴに近いんじゃないかと思いました。色は赤になっているけど 「POCKET MONSTERS SNAP」というもう使えなくなってそうなフィルムに 書かれている文字も一緒にくっついているし半濁点の形もゲームのタイトルロゴより 紫の旧ロゴの方に似ています。こっまか。

以上、NINTENDO64DD時代のポケモンスナップの動画を見て思ったあれこれの紹介でした。 ある意味このポケモンスナップは開発中止になったわけで、未発売ゲームです。 64で開発され直して無事に発売されましたが、64DDの動画とこんなに違うのだから 本当に大変だったんだろうな…としみじみです。

64版との主な違いを改めて列挙してみましょう。



・撮影できる写真の枚数の表示が違う

・サバンナのようなステージがあった

・ポケモンを飛び出させるアイテムは、「イヤイヤボール」ではなく「石」だった

・ピカチュウやカビゴンなど、3Dモデルを作り直されたポケモンがいる

・アイテムを使うボタン操作が違った

・シャッターを切ったときのエフェクトがちょっと目が疲れるかも(激しい点滅に感じる)

・タイトルロゴが違う

・アーボがいた



ほかにも色々ありますが、大事なのはこれです。アーボです。なぜお前は出られなかったんだ… 曲線だらけだから動かすのが面倒?動いてる3Dモデルができてるからただ置いておけばいいと思う。 進化するギミックを組み込む時間がなかった?登場する進化前ポケモンの中にも進化しないの普通にいる。 ヘビが苦手な人がいるから?そんな人はポケモンでもう遊べない。

3Dモデルができていたアーボを最終的に没にせざるを得なかった理由を知る術はない。 非常に残念なことだが…ゲーム開発者様たちが考えに考えに考え抜いて登場ポケモンの種類を63にし、 アーボは出さないことに決めたのであれば自分のような一般未満プレイヤーには 何も言う権利などない………。

アーボ、がんばれよ!アーボ、負けるなよ!アーボ、俺たちは64DD版には確かに存在していたお前のことを忘れないぞ!! こんなアーボアーボ連呼する日もう来ないだろうな!!

2022年01月04日


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