◆発売されなかった刺繍専用ソフト「カービィファミリー」◆

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(ここは生贄となったページです。2022年9月29日の日記がブログに移動したらここにリンクを作ります)

素晴らしき家庭用ミシンの会社様「ジャガーミシン」と、 ゲームボーイがコラボ…というか、ミシンがゲームボーイを吸収合体して ゲームボーイの画面でミシンを操作して刺繍をする…という斬新で便利なソフトがありました。

それが「マリオファミリー」。 32種類の絵柄をゲームボーイを操作して選択し、ミシンで縫っていくというものです。 この「マリオファミリー」はなかなかのプレミアソフトとなっているらしいです。

そしてそれに続いて発売されるはずだったのが「カービィファミリー」。 まずマリオ、次にカービィ。…と来れば、「カービィファミリー」が発売されていたら 次は「ポケモンファミリー」と「ゼルダファミリー」が作られていたに違いありません。

それも好調であれば「スターフォックスファミリー」、「MOTHERファミリー」、「ファイアーエムブレムファミリー」だけでなく 「メトロイドファミリー」「F-ZEROファミリー」も続々と開発・発売されたであろうことは想像に難くありません。

お母さまたちはこぞってキャプテン・ファルコンの顔や溶けて骨になったクロコマイアー などの刺繍をお子様の手提げやお弁当袋に施し、通学がさらに充実したものになったことでしょう。

友達に「いいな〜」と言われて「お母さんがミシンで縫ってくれたんだ!」となり、 「お母さん、ぼくのカバンにも刺繍入れてよ!」とねだり、お母さんは「仕方ないわねえ」と 願いを聞き届け、気づけばクラス中に溶けて骨になったクロコマイアーが刺繍されたカバンを 持った子でいっぱい…そんな未来も「カービィファミリー」が発売されていたら訪れたに違いないのです。

…しかし肝心のミシンが基本的に通信販売でしか入手できない、そのミシンもチビッコが買うには高価、 ってかチビッコが操作するものではない、「ゲームソフト」ではないのでゲームとしてのメリットは何もない… う、う〜ん……。

もちろん自分は大企業様のことやマーケティングの世界のことなど何も分からないが、 もし当時このソフトのことをよく知っていたとして、ゲームとして遊べないと分かっていたとしたならば きっとこのソフトを欲しがらずにマリオのワッペンを欲しがるぐらいだっただろう…ワッペンでいい…。

まあとにもかくにも「マリオファミリー」の評判や売り上げに関係があるのかは不明にしても、 「カービィファミリー」は発売日も決まっていたのに発売はされずにお蔵入りソフトとなってしまったのでした。

さて、これがその「カービィファミリー」のタイトル画面です。 中心に背景に擬態しているカービィ、左にカービィより小さいデデデ大王、 右にはリボンちゃん。

「星のカービィ64」が発売されたのが2000年、そしてこの「カービィファミリー」は2001年のソフトなので、 タイトル画面に64仕様のデデデやヒロインのリボンちゃんがいるのは納得です。

タイトル画面では「星のカービィ64」の1面の曲がゲームボーイ調で流れます。 「PUSH START」が点滅しているだけでこのタイトル画面は何も変化がないのですが、 BGMはフルで収録されています。1-1の曲って結構長いですが、ショートバージョン なんてことはなくちゃんとフル演奏してくれるのです。

STARTボタンを押すと1UPを取ったときの音がして、それ以降は無音となります(カーソルの効果音が鳴るだけ)。

絵柄を選ぶ画面はこんな感じ。1〜8あるページのうち一つを選び、 1ページに4つある絵柄のうちからまた選ぶ、という形式になっています。

カーソルが合っている時の数字のアニメーションが妙に凝っています。 (動きや音はこのページのラストに動画を置いているのでそちらでどうぞ)

絵を選ぶと工程数と左右キーで縫われる色だけに 切り替わって表示されます。カービィならまず体のピンク、次に足と口の赤、次に目と口の 暗い部分の黒、目の青の部分、目のハイライトの白、体の輪郭の濃いピンク、という順になっています。

きっとその順に縫うのが一番綺麗に仕上がるのでしょう。

すっぴんカービィ単体の絵は5種類あり、 大、それより小さい、とても小さい、の3種類が用意されています。 カービィだらけです。「カービィファミリー」というか「カービィ+α」です。

すっぴん5種×サイズ3種+コピー2種がカービィの絵柄で、 コピーで選ばれたのはボムカービィとニードル×ストーン。ボムカービィとはまた、 やたら物騒なのが選ばれたものだ…。パラソルカービィとかビームカービィとか、 もっと可愛いのがあったんじゃないか…!?

…と言いそうになりましたが、この「カービィファミリー」は64縛りがあるようなので パラソルもビームも64にはない。 刺繍として実現できたのがこの二つだった、もしくはスタッフ様の超絶お気に入りのコピーだった、の どちらかなのでしょう。

工程の番号を選ぶと、次に縫う位置を移動していると思しき画面になります。 (恐らく「マリオファミリー」のものと共通)

上下左右で枠を移動できて、「リセット」すればリセット。

位置を決めたら「すぐぬいますか?」、「レイアウトをみますか?」という 選択肢の画面に切り替わります。この辺りもやはり 「マリオファミリー」の縫い方の工程と 色が違うだけでプロセスは全く同じようです。

ミシンに接続していないと、どちらを選択してもエラー画面になるだけ。 この画面はボタン操作で飛ばすことができず、一定時間(結構長い)操作不能状態で表示され続けます。 (あまりに長いので動画だとカットしてます)

ワドルディが1種でカービィのように3つのサイズがあり、 リボン2種、デデデ1種、アドレーヌ2種でカービィの仲間枠も終了。

残りの7つが敵キャラですが、カパー、ビバコ、ブロントバート、ハヤマ、ウィスピ―ウッズ、ビラ、チリーという選出。 うーん…うーん……謎チョイス…。64縛りがあったにしても、2にもいるプロペラ―とか、 他のシリーズにもよくいるスカーフィやポピーブロスJr.とか、もうちょいいたんじゃないか…?!

ってか全32種中カービィが17種(半分以上)という割合ではなく もうちょいほかのキャラに割くのは…ナシですか…「星のカービィ2」系列縛りにして、 リック、カイン、クー、チュチュ、ナゴ、ピッチを入れたら「カービィファミリー」らしさが増すというか… (64でもストーンの変身で一応出演してるし…)。

…まあ自分のような素人が「ゲームにおけるキャラ選出」に物申すのは非常におこがましい。 商品というものを作るうえで、当時の傾向と需要を見極めたうえで何度も何度も話し合いを 重ねた結果の絵柄のチョイスなのだから、これこそが最高であり最善。

それぞれの会社の人たちの間で、何度も何度もミーティングがなされたに違いありません。 当時の「星のカービィ64」の人気から、これ以上のキャラの選出はなかったのです!そうでした!大変失礼いたしました。

◆2021年8月15日追記⇒リップブルー姫さまから、このような情報を頂きました!
ドット絵のクオリティの高さよ…!そして接続エラー画面のことをすっかり失念していた…!

ゲームボーイやスーパーゲームボーイで起動したとき、 このような画面が表示されるようです。タイトル画面と同じ「カービィファミリー」のロゴと、 「このカートリッジはゲームボーイカラー専用です ゲームボーイカラーで使用して下さい」 というメッセージが出るだけで、完全にフリーズ。BGMも効果音も一切ありません。

一応Aボタンを24回、Bボタンを24回 押してみましたが何も起こらず。方向キーをぐちゃぐちゃ押してみましたがモノクロモードで 起動する、みたいなことはないようです。

ソフトではなく「カートリッジ」という表記、そして「遊んでください」や「プレイしてください」ではなく 「使用して下さい」という表現…これは、この「カービィファミリー」が「ゲームソフト」ではなく 「刺繍ソフト」だからこそだろうか…!と思ったんだが、この文言は警告画面のセオリーのようで 他のゲームボーイカラー専用ソフトも結構こういう文章が多かったです。ちゃんちゃん。 ―追記部分終了。


画像データを見てみると、ひらがな、カタカナ、英数(大文字と小文字)、 記号など色んな文字の画像がありましたが別のミシンのためのソフトのデータを流用して作られた 名残として残っているだけなのかもしれません。

どちらにしても、「カービィファミリー」では使われていないデータだと思います。

画像データによると絵柄にはちゃんと「カービィ正面」、「カービィ」、「おすわりカービィ」、 「カービィとび」、「カービィ挙手」という名前がついているようです。 実際の画面では「大」「小」「小」と表示されていましたが、それぞれちゃんと「大」「中」「小」という 文字がくっついていました。

その次が「カービィとボム」、「ストーンニードルカービィ」。 「カービィとボム」って「ボムカービィ」じゃないのか…。

1種(×サイズ3種)しかないワドルディは「ワドルディ正面」なので、 もしかしたら別のパターンも作られる予定があったのかもしれない?

その次が「リボン」、「リボンとクリスタル」、「デデデ大王」、 「アドレーヌ」、「てくてくアドレーヌ」という名前になってました。 「てくてくアドレーヌ」が可愛いです。「デデデ大王(正面)」ではないので、デデデは最初から1種の予定だったのかもしれません。

敵キャラは「カパー」、「ビバコ」、「ブロントバード」、 「ハヤマ」、「ウィスピーウッズ」、「ビラ」、「チリー」となって全32種で終了。 「ブロントバート」が「ブロントバー」になっているのが微笑ましいです。

以上、「カービィファミリー」という未発売ソフトの紹介でした。 サテラビュー(通信販売が主体・BS放送が必要)、モバイルアダプタ(当時高価だった携帯電話が必要)、 64DD(高価な契約・購入方法が限られている)のように、ちょっとハードルが高かったのが 流通しにくかった原因だろうか…ソフトが出来上がっていたのに、発売されなかったのはとても残念です。


ソフトの説明+実際の画面の動きや音、そして全部の絵柄のアップが見られる動画を作ってみました。 カパーやハヤマを刺繍したグッズを持っていたとして、カービィキャラだと気づかれるか…? それとも「分かる人にだけわかる、知らない人にはただのカッパやペンギンにしか見えない」という理由でチョイスされた…?!

なんにせよ刺繍のクオリティはマリオの刺繍の完成品を見るととても高いし、 一流ミシンメーカーの技術で任天堂のキャラが刺繍できるというのは非常に魅力的。 今のご時世はスマホで割と何でもできるから、スマホアプリで復活…!する日が、来るかもしれない。

そして、溶けて骨になったクロコマイアーの刺繍が流行るかもしれない……。



←刺繍の完成図の参考画像

2021年7月23日


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