◆開発中止になった未発売ゲーム「エコーデルタ」◆

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先日「ミラーハウス コーンフレーク」という妙にイチオシとなってしまった 未発売ゲームの話をした勢いでずっとずっと何年もイチオシたいと思いつつ話せていなかった NINTENDO64の未発売ゲームの話をしよう。話すなら今!

そのゲームのタイトルとは…「エコーデルタ」というもの。 「任天堂スペースワールド2000」で発表されたタイトルで、もちろんリアルタイムでは知ることなどなかったんだけど ゲーム内容が非常に面白そうだ、これはやりたかったぞ、と特に思ったソフトです。

こちらがその「エコーデルタ」のタイトル画面。深海っぽいところで、非常にスタイリッシュです。 スペースワールドの時点では「仮称」がついていましたが、 こんだけロゴもできちゃってるしタイトル画面にピッタリだし 「エコーデルタ(ECHO-DELTA)」というタイトルはほぼ決定だったと思います。

さて、このゲームの内容やルール、目的とは…スペースワールド2000のソフト説明ページによると、 ジャンルは「リアルタイムストラテジーゲーム」らしい。 英語でそんなこと言われても何も分からん。タイとトラがなんだって?

「ストラテジー」で検索してみると、ウィキペ先生が「勝利のために熟考し計画を練ることに焦点を置いたもの」と教えてくださった。 つまりアクションでもRPGでもパズルでもなく、なにやら戦略のようなものを練り練りして立ち回り、 ゲームクリアを目指そうぜ、というような内容っぽい。うーん、なんかカッコイイ。

…で、ずっと「どういうゲームなんだろう」と思い続けてはいたんだけど任天堂の公式サイトにあった短い動画 (しかも時代が時代なのでカクカクしておられる)しか見たことがなかったのです。 「エコーデルタ」で検索をかけてもその動画がHITするか、「ジュラシックパーク」が引っかかるのみ。 (見たことないのでよく知らんがそういう名の恐竜がいるらしい。)

と思っていたんだけど、改めて検索を掛けてみたらなんとプレイ動画様を発見。え!?な、なんで…!?


こちらがその動画様。他にもあと3本、投稿者様が上げておられるようで全部拝見しました。な、滑らかに動いているエコーデルタを見るの初めてだ…! 2006年に試作品状態のソフトがインターネットオークションに出たらしいが、その落札者様だろうか…なんにしても素晴らしき資料。 ずっと思い焦がれていたソフトのプレイ動画に感動です。

…で、とりあえずプレイ風景を見て、すげえしゃべってるなあという感想をまず抱きました。 NINTENDO64って、こんなに音声データを入れられるのか!めちゃめちゃしゃべっとる!

「では始めます。エネルギーを集めてターゲットを救出するのが目的です」、「プラントに接触してください」、 「自分で取らず、プラントの動きを見ていてください」、「それが敵です」、「レベルアップ3のオプションを取ってください」、 「ガンナーが起動しました」、「攻撃を受けるような行動は慎んでください」、 「ガンナーの攻撃力が少し上がりました。これからダミーの敵を配置します。見ていてください」、 「スタートというオプションを取ってください」、「演習終了です、お疲れ様!」…というように、 ウルトラしゃべる。お姉さんの声がひっきりなしに聞こえてきます。NINTENDO64の容量、すごすぎないか…!

今書いたのもごく一部。文字で済ませたくなるような説明を、全てお姉さんがフルボイスでやってくれるのです。 なんと贅沢な。そして、しゃべってくれる人をお迎えするのはゲーム製作のプロセスでもかなり最後の方だろう。 台本を完璧にしてからでなくてはいけないし、台本はゲーム内容が完璧に固まってから作られるものだろうし…。

任天堂公式サイトのエコーデルタのページ(現在は大元のページは閲覧不可状態)では 「制限時間は18分間。プレイヤーは海底に沈む船を救出する。戦略の数は無限にある。 登場するマップも無限にある。すぐに熱中する。何度でも遊びたくなる。今までこんなゲームは無かった。 触って気持ちいいシミュレーションゲームの登場。」という非常に興味をひかれる説明がまず書かれていました。

プレイヤーは「特殊潜水艦・スカウト」に乗り込み、ターゲット(遭難した大型船)を 時間内に救出するのが目的。救出に必要なエネルギーをたくさん集めなければいけないらしい。

遭難した船が大きいのに、たった一人で救助に向かうというなんとも勇ましいストーリー。 どう考えても応援を呼んだ方が…。それとも「スカウト」は1機しかないのだろうか。それでも旧式でもいいから応援を呼んだ方が…。

公式サイトによると「集めた資源を使って海底にある生産基地(コア)を起動させる。 コアに資源を投資するとその性能はさらにパワーアップする。周囲のガンナーで敵への攻撃準備を整える。」とのこと。

ゲーム画面内では生産基地は「コア」ではなく「プラント」と呼ばれているので恐らく開発中に名称が変わったのでしょう。 プラントに「シード」を入れるため、 「エレメント」という海底に埋まっているエネルギーを採集していくのが最初の目的のようです。

◆2021年7月8日追記◆
Nintendoスペースワールドのパンフレットのエコーデルタのページの画像を見せてもらいました… 情報どうもありがとうございます!これまた貴重な資料…ツイートそのまま掲載させてもらってしまいます。


見た感じ…かつて見られた任天堂の公式サイト様に掲載されていたテキストとソックリな感じです。 右に「コア」とか「スカウト」という文字と共にそれぞれの3Dモデルらしきものが掲載されています。

恐らく「コア」が古い方の名前で、発売できそうなほど開発が進んだバージョンでは 「プラント」という名前の変わったのでしょう。 ―追記部分終了。


Zボタンを押すと周囲をウィーンとレーダーの線が回転して海底に埋まっている「エレメント」が入った 「エッグ」の位置が分かります。反応のあった部分の近くでAボタンを押すと特殊潜水艦・スカウトが ヒップドロップ(仮称)を行い、周囲に「ウェーブ」を発生させて敵を攻撃したりエッグを掘り出したりできるらしい。

さすがは特殊潜水艦、海底にドゴンドゴン激突してもキズ一つつかないようです。 このレーダーで周囲探索⇒エッグ(エレメント)の発掘っていう作業が楽しそう。

「ガンナー」という設備を強化するのも大事らしく、ガンナーに近づいてシードを補充してあげると 周囲の敵を自動で倒してくれるようになるらしい。遠距離タイプと近距離タイプがいるらしい。

プラント、ガンナーに近づくとそれぞれをCボタンで強化、ターゲット(遭難した大型船)に近づいた場合は自機を強化できるようです。 ガンナーの遠距離砲はあんまりに敵の位置が近いと攻撃できないようです。FE聖戦のシューターのような感じだろうか。

敵の名前は「ハウンド」というらしくヘビみたいなのが確認できるけど、 ときおり「ハウンドロード」というガンダムのような大型の敵が出現するようだ。 この敵はプラントを狙ってくるため、プラントの周囲のガンナーを強化しておかないと危ない。

しかしハウンドロードさんはプラントを壊して何がしたいんだろうか。プラントの中のエネルギーを欲しているの? こんな見た目だけど海洋生物だとしたら、産卵のための栄養補給?それとも稚魚のエサを探しにきたの? ガンダムなのに?なぜ海底にガンダムがいるの??

その辺のことは分からないのが残念ですが、きっと深い理由があるのでしょう。

ヘビやガンダムの攻撃をかいくぐりながらエネルギーを貯めて、ターゲットの救出を進めていく。 救出には第一段階、第二段階と段階があるようでターゲット周囲の瓦礫が消えたりしているように見えます。

残念ながら動画ではクリアの様子は見られませんでしたが、公式サイト様のわずかなテキストと小さなゲーム画面と カクカクッとした短い動画しかなかったのがこんなに素晴らしい動画を存在させてくださったのは非常にありがたいことです。

こちらは4つめの動画様で、救出ミッションのプラクティスという感じ。


プラントにはどうやら色分けがなされているようで、「グリーンドーム」や「イエロードーム」という名称になるようで、 そこにエネルギーを差し上げることによってエレメントをさらに生産してくれるようになるらしい。

なんか「ピクミン」の「オニヨン」にちょっと似ているような気がしました。 スカウトによるウェーブ攻撃の効果は微々たるもので、基本的に攻撃はガンナーに任せるべきっぽい。 キャプテン・オリマーのパンチよりもピクミンたちの数の暴力アタックの方が効率がいい、というところも、 栄養を差し上げてさらに効率がよく育っていくというところも、ピクミンチックです。

しかしこの「プラント」もやたらとしゃべるようで、しかもめっちゃフランク。 気のいい兄ちゃんの声がプラントに近づいたりガンナーに接触するたびに途切れることなく聞こえてきます。

「イエロードーム、既に稼働中!」、「この状況なら、なんとかなるっしょ!」、「イエロー、まだ平気だね。なんとかなってるよ!」、 「こちらイエロードーム!こっちは任しといて!」、 「ガンナーの防御力が上がったよ!」、「シード、ありがとねえ!」、「修理費が下がったよ!」、 「イエロー、レベルアップ!生産効率も上がったよ!!」、「イエロードーム、今のトコOK!」…って、 すげーしゃべるなキミ。プラントに意思があるの? プラントの内部で働いている人がしゃべっているの?プラントが壊されたときなんと言うんだろう。 断末魔か。それとも「あちゃー、イエロードーム壊れちゃったよ!ドンマイドンマイ!!」だろうか。

ってか他にも色があるわけだから、その色の数の分だけセリフもあるわけだ。どうもゲーム内容が面白そうということよりも 音声の豊富さが気になってしまう。BGMが一切ない海底だが、こんだけポケモンスタジアムの実況ばりに しゃべり続けてくれていたら寂しくありません。それどころか暗い海底に潜水艦に一人でも全く孤独ではありません。

とりあえずゲームの流れとしては、レーダーで周囲を探索し、ウェーブでエッグ発掘し、エレメントを回収し、 プラントを育ててエレメントをさらに効率よく集められるようにしたりガンナーを育てて プラントを攻撃しに来る敵に備えたりしておき、エネルギーが十分になるとターゲットを救出できるようになる…という感じだろうか。

ただ、敵への攻撃はガンナーが行うのが主なのであればスカウトができることはせっせとエッグをウェーブで ドゴンドゴンと掘り出してエレメントを集めてはプラントにせっせと運ぶということぐらいがせいぜいになりそう…?

…い、いや、いやいや、何度でも遊べる夢中になってしまう18分間がぼくらを待っていたはずなんだ。 きっと敵の種類、ガンナーの種類、救出ミッションの種類、スカウトの取れるアクションなどは 今分かっているのはほんの一部であり、常に忙しく楽しく立ち回れるゲームに違いない。

スカウトにのっている主人公の姿が全く見えないが、きっとステージクリアの際に シティコネクションのクラリスよろしくVサインをプレイヤーに向けてくれて、喜びを共にできるのでしょう。 プラントで働く気のいい兄ちゃんたちともきっと交友があるんだろう。ガンダムの目的如何によっては和解できるかもしれない。

遭難した大型船を救いに行くというのは非常に重要なミッションでありやるべきことであるが、 きっと他にもミッションやターゲットはストーリーが進むに連れて変わり、 大型船を遭難させた黒幕との頭脳戦がラストでは待っているに違いない。きっときっと感動のストーリーがあるのでしょう。

…でも自分はゲームのストーリーを重視するタイプの人間だからどうしてもストーリーが気になってしまうんだが、 主人公のバックボーンも大型船が遭難した経緯も別に気にせずに、エレメントを集めてプラントを育て、 ハウンドとの戦いに勝利する、難易度が上がっていく、いいスコアを目指す、それが楽しいという人も きっといらっしゃるに違いないから、そういったところを重視したゲームなのかもしれません。

ゲーム動画様の存在のおかげで何年間もゲーム内容がほとんど分からなかったのが かなりゲームの雰囲気が判明したのは非常にありがたいことです。そしてほぼ完成しているように見えるので、 いつか何かしらの形で販売されたら…とも願っておこう。

何度でも夢中になれる18分間を約束するゲーム「エコーデルタ」。いつか正式に陽の目を見られるといいな…! こちらイエロードーム!こっちは任しといて!!

2020年6月13日


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