発売日:1990年12月16日 発売元:エニックス ジャンル:ACT+SLG
値段:8000円 おすすめ度:4.5(ACTモードとSLGモードの使い分けがいい!) 1990年12月16日、新世代機スーパーファミコンが誕生してまだ1ヶ月が経とうとしている頃、スーパーファミコンの優位さをさらに決定付ける出来事が起こった。 『アクトレイザー』の誕生である。発売元はエニックス。 エニックスといえば既にご存知の通り、ドラゴンクエストシリーズで有名なゲーム会社だ(それとポートピア連続殺人事件も)。 一応『ドアドア』というアクションゲームがあるが、それはパズル的要素も合わせてのことで、純粋なアクションゲームを作るのは初めてであった。 だからこそ、ユーザーは期待と同時に不安もあったに違いない。 しかしふたを開けてみれば、純粋なアクションゲームと同時に、RPG要素が入ったSLGも加わった、今までとは全く新しいゲームであった。 しかもその出来具合は、ユーザーを満足以上にさせてくれたゲームであった。 ストーリーは大魔王サタンによって地上は荒廃し、それを治める神(プレイヤー)もまた力を失ってしまう。 そこで神は荒廃した地上を元の姿に戻すべく、サタンに戦いを挑むというもの。 一応最初のエリアは、フィルモア(スタート時点にいるところ)から始まるのだが、 実はどのステージでも始められるようになっている(もちろんフィルモアの方が簡単だが…)。 例えば、フィルモアからではなくブラッドプールから始めてもいいし、いきなりノースウォールから始めてもいい。 もっとも腕に自信があるプレイヤー向けのやり方だが…。 このゲームの仕組みは、1エリアの序盤と終盤はアクションモードことアクトモード、その間はシミュレーションモードことクリエイションモードとなっている。 まずアクションモードだが、キャラの描き込みや動き、それに大きなボスが所狭しと動き回るその内容は、SFCの黎明期にふさわしい見事な出来である。 そしてアクトモードが終わってクリエイションモードに入るのだが、プレイヤーは神の僕である天使を操ることになる。 これもアクトモードに劣らずなかなかの出来である。 内容は『シムシティー』とほぼ同じだが、プレイヤーの導きで町を発展させるところは、このゲームのオリジナル。 また神の奇跡で、導きに邪魔な樹木や岩などを取り除かなければならない。 例え少しサボっても、シムシティーのように住民は出て行かないことがないので、のんびりと町の発展をすることができると思えば、そう簡単にことは運ばせてくれない。 町の発展の最中に、悪魔の巣から出てくる悪魔達のことである。 その悪魔達は、人をさらったり、家を壊したり等をするため、なかなかにやっかいである。 それを防ぐために天使は、弓矢で悪魔達を退治をしなければならない。 しかし強い悪魔ほど、倒すのに必要な矢が多くなってくる。 そこでアイテムが登場するわけである。 アイテムの種類は、大きく分けて3種類。 1つは悪魔退治用、もう1つはプレイヤーのパワーアップ用、さらにもう1つは他の町との架け橋になるもの。 1種類目の悪魔退治用のアイテムは、神の彫像(早い話がメガクラッシュ)と強化弓矢。 2種類目は、魔法や巻物といった、文字どうりプレイヤーのパワーアップ。 3種類目は、いわば特産品で、各町の発展が進んでから自動的に手に入るもの。主に稲や音楽、薬草や羅針盤がそれ。 そして全ての悪魔の巣を封印すると、再びアクトモードに突入し、クリアすればそのエリアは完全にクリアとなる。 しかしクリアの結末は、(一本道だが)ハッピーエンドだったりアンハッピーエンドだったりする。 特に後者は、天使や指導者のセリフからしてうかがい知ることができる。 おりしもドラクエ4でのエンディングがアンハッピーエンドの衝撃がまだ残っていたので、クリア後のプチエンディングとはいえ、これも心に重くのしかったに違いない。 さてステージを進むごとに、敵の強さがあがっていくのはご存知かと思うが、プロのゲーマーはともかく並のプレイヤーではかなりつらくなるかと思う。 ではどうすればいいかというと、クリエイションモードで人口増やすことが第一。 このゲームにおいて、町の人口はRPGでいう経験値に相当する。 つまり人口が増えると、当然経験値が上がっていく。 しかし初期の町の建設で建てられる家は、人口が一番少ない家である。 魔物の巣を封印すれば、町のレベルは上がりいつもより人が多く住める家が建つが、 そのままにしておくと町の人口が最大になる前に、家が建てられるスペースがなくなって人口を最大にできない。 その場合、神の奇跡(落雷や地震)でレベルが低い家を取り壊す。 当然人口が減るが、その分レベルが高い家が次々と建つので、それほど苦にはならない。 とはいえこれがゲームだからいいが、現実だった場合人々にとって、迷惑以外何者でもないかと思うのだが、建築の歴史を考えれば、これはこれで仕方がないのだろう。 縄文時代の竪穴式住居と現代のマンションと比べれば、明らかにマンションのほうが住みごこちも密集率も高いのだから。 なお、神が天変地異で町を壊すあたり、『ポピュラス』を思い浮かべる人がいるだろうが、これはパズルの要素を併せ持っていたことと、 悪魔を崇拝する人間を滅ぼすために使われることが多いため、アクトレイザーのような使い方はあまりない。 アクトレイザーの場合は、現代における再開発を具象したものといえ、畑が屋敷に変わる姿はそれに当てはまるものである。 さてゲームの内容からはなれてBGMのほうだが、当時としてはかなりの音質の高さが評価され、今もそのBGMは色あせることはないばかりか、現在のゲームのBGMよりも高い。 それもそのはず、このゲームのBGMを担当したのは、『イース』シリーズファンではおなじみの古代祐三氏。 古代氏は、何かと話のネタにされる(主にどこかで出てきたようなキャラの総登場)ゲーム『ザ・スーパー忍』でも、そのBGMは高く評価されている。 なんといってもアクトレイザーのBGMは、著名オーケストラをそのままカセットの中に収めたのではないかというほど素晴らしいものであった。 キャラデザインの方は4人で、そのうちの1人は古代氏の妹である彩乃氏。 彩乃氏等の描いたキャラクターは、洋ゲーに出てくるようなキャラと見間違うほど独創的であり、彩乃氏もまたイースシリーズで、モンスターデザインを担当していた。 事実アクトレイザーは、海外にも移植され大好評を得た。 私がアクトレイザーをプレイしたのは、このゲームが発売された直後。 そのときは友達の家でプレイしたのだが、BGMはもちろん全ての出来の素晴らしさに、思わず身震いした記憶が残っている。 それほどまでにこのゲームは、私にとっても衝撃的だった。 そしてお金が少し自由に使える歳になった頃、ゲームショップでのワゴンセールを半分興味で見てみたら、なんとあのアクトレイザーが890円で投売りされていた。 その安さに思わず私は、即買うことにした(しかし翌週にはさらに値が下がってた)。 久々にプレイしたが、なかなかに面白かった。 世界観はもちろん、BGMも今のゲームと勝るとも劣らない出来だった。 しかしながら、何故こんなに値が下がったのか。発売されて10年以上経ったことを考えても、1590円がいいところではないかと思う。 ネットでアクトレイザーの事を調べてみたら、当時の大人気の影で不評と好評が分かれていた。 好評はともかく不評の方だが、不評と答える人の理由はアクトモードの操作性の悪さに加えて、もともと高い難易度だということ。 特に操作性の悪さは、私も納得がいく。もちろんリアルタイムでプレイしたときはそれほど感じなかったが…。 また高い難易度はそれほど気にはならなかった。 確かに難易度は高かったが、ロックマンのような覚えゲーの要素が強かったので、やりこむうちに簡単になってきた。 ただし、ラストエリアのデスヘイムでのボス7連戦(ラスボス含む)はあまりにもきつすぎた。 1体のボスを倒しても、体力やMPが回復できないのがその理由。 例え行動パターンが分かっても、ノーダメージでラスボスへたどり着ける確率は0に近いのではないだろうか…? ちなみに私は、クリエイションモードが気に入ってた。 人口を増やしてレベルアップしたときのうれしさは、言葉にも表せないほどであった。 故に純粋なアクションゲームになった続編は、あまり好きではない。 しかしこのゲームも近いうちにレビューするだろうから、いつまでもゲームの好き嫌いをいってはいけないのだが…。 本日のまとめ
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