大爆笑人生劇場 ドキドキ青春編
人生劇場シリーズ外伝第1弾



1993年7月30日発売   発売元:タイトー   ジャンル:ボードゲーム
価格:8800円   おすすめ度:4.5(マンネリを打破)


1989年から2年間、FCで人生劇場シリーズ3作品が作られ、どれもなかなかに高い評価を得ることができた。 この手のシリーズを一言で言うのならば、タカラの『人生ゲーム』をFC化したものと思えばいい。

最終目標は、所持金を多く集めることで、様々な職業に就いたり結婚したり資産を増やしたりと、多種多様の人生を作ることが出来る。

 そして、人生ゲームよりも特徴的な要素が2つあり、1つは顔の作成もう1つはパラメータの存在である。 これこそが、このシリーズの存在価値を表してるともいえるもので、他のメーカーもこの手のボードゲームを作る際、この2つの要素を参考にしながら制作している。

また、シリーズレギュラーキャラの登場も、シリーズの人気を支えているといえるもので、その代表キャラが神様と酔っ払い親父の2人である。 このうち神様は、シリーズにおける進行役としてプレイヤーの行動を解説などをしたりした。

 そんなタイトーの人気シリーズであるが、時代が下るごとにその評価は厳しいものになった。 確かに、FC版3作品は高い評価を受けた一方、マンネリ化が進んでしまっていた。 顔のモンタージュやイベント数が増えたのはいいのだが、それ以外の特徴が全く入ってきていなかったのである。

1992年に、SFCで『大爆笑人生劇場』というタイトルで登場し、初の5人同時プレイが可能となったものの、 ゲーム本質についてはFC版と全く変わっていなかった。

そして、1990年にココナッツジャパンから『爆笑!愛の劇場』が、翌年にはバンプレストから『マイライフマイラブ』が発売され、 人生劇場シリーズに近い内容ながらもそれら独自の味が染み出て、なかなかに評価を得たこともシリーズ人気の低下の一因ともなった。

ここにおいて、ようやくFC版から携わった開発スタッフは、FC版第1作から続いた内容の限界を悟ることになった。 ここで考えたことは、従来のシリーズと違った世界観とインパクトのある要素を編み出さなければならなかったことだ。

特に世界観については、従来の『ゆりかごから墓場まで』というスタンスを根本的に変えなければならないという意見が、 スタッフ内部はもちろんシリーズをプレイしてきたユーザーにも要望が出されていたのかもしれない。


『大爆笑人生劇場』発売の翌年、スタッフの苦心のアイデアは続編の『大爆笑人生劇場ドキドキ青春編』という形で、結実することとなる。 タイトルにもあるようだが、従来のシリーズと違って舞台が中高生のみとなっている。

それと同時に、勝利条件が持ち金が多い(資産が多い)というものから、人生経験なるものを多く集めたことに変更されている。

人生経験とは、このゲーム独自の要素となっており、イベントなどで手に入る重要なポイントなのだが、これにより金が多いだけで勝利といった要素は、削除されることになった。 現実的に見れば、大金を持ち歩く中高生はいないので、こういう形での勝利条件変更は必然であったのだろう。


もう1つは、マップシステムの大幅な変更。 中高生を舞台とするために、従来のシリーズでは当然マップは非常に短い。

そこで、ゴール制から1周制を採用することにより、同じマップをゲーム終了まで堪能することが出来る上に、 大きい目が出ようが小さい目が出ようが勝敗に影響はない(むしろ小さい目を出した方がやや有利かもしれない)。

もちろん、気分転換用に3つのミニマップも用意されている。 これらは、通常マップと違って従来のシリーズ同様1本道なのだが、距離がとても短い上に別にゴールしたからといって賞金をもらえるわけではない。 必要なときのみに行くマップなため、本質は1周マップを回り続けることが主になっている。

さらに1つは、パラメータの細分化。 これは、前作までステータスは3つに分類されていたのだが、青春編ではそれをさらに細分化し上げることのできるステータスの種類を大幅に増やした。

ただし、あるステータスの上昇に特化する一方、別のステータスを上げないと何かしらの弊害が起こるシステムを搭載している。 また、ストレスシステムも搭載されているが、これはイベントなどで出たストレスを解消せず蓄積していくと、いずれ病気を起こし 1回休み+全パラメータ低下という災難に見舞われてしまうので、プレイヤーはいかにストレスを減らしていくか悩んだに違いない。

最後の1つは、このゲームの舞台ともなっている時事ネタが多数登場していること。 青春編の舞台は、主に80年代をベースにしている(一部79年物もあるが)。

故に、当時中高生だったプレイヤーにとっては、懐かしい時事ネタが登場しそれを垣間見たとき、どこかしらほっとしたようなものが出たに違いない。 当然、いいイベントもあれば理不尽なイベントも出てくるので、普通ならばストレスがたまってくるのだろうが、それをあえて笑いや 懐かしさに切り替えたところは、さすが長い間シリーズを作っているタイトーなら ではのものであろう。

 また、マップのバリエーションがあまりにも少なすぎることも無関係とはいえないだろう。 だからこそ、その分イベントを多く盛り上げると同時に、同じマスでも季節や学年などによって全然違う内容にしていると考えられる。

アイテムにしても、CDではなくレコードといったいかにもとあれば、ブリブリブラウスや八つ墓ハチマキといった 今では奇妙なネーミングも当時としてはごく普通なものなど、まさに80年代を全面的に押し出している。


これらにおける、従来のシリーズからの大幅な変更は、シリーズに慣れ親しんだプレイヤーに衝撃をもたらした。 何しろ、シリーズ本来のお笑い的要素や神様などのレギュラーキャラを残しつつも、内容は今までと全く違っており、 当時同じ内容に食傷気味だったプレイヤーの好感を得るようになった。

 もっとも発売当時は、いまだ格闘ゲームブームの真っ只中にあり、ユーザー内で高評価を得たとはいえ、それはゲーム雑誌のアンケートの中で このゲームに対する評価をした人が少なかったためであって、当時としては本当に人気があったとは言い難かった。

しかし、格闘ブームが終焉し他のジャンルの勢力が伸ばしてきたこともあって、ドキドキ青春編の再評価が行われるようになった。 その結果、以前よりも大多数のプレイヤーの評価により、後の『大江戸日記』以降のシリーズにおいてSFC版シリーズの人気の礎を築くことになる。

 現在、インターネット上における隠れたゲームを語ることにおいて、大部分の人がこのゲームを挙げているほど、 発売当時と比べて爆発的にとは行かなかったものの、徐々にこのゲームの人気が上昇していることがよくわかる。

しかも、それに似たゲームは今のところ存在しておらず(フリーゲームにはある)、このゲームのリメイクを出す運動を ネット上で起こしている人もいるほど、このゲームの人気はプレイヤーにかなり浸透していたといえよう。

幸いにして、舞台となった80年代とこのゲーム発売の間の差はあまり開いていないことも、 アンケートの参加者が少なかったとはいえ、隠れた人気の原動力ともなることが出来た。


その一方、人生劇場シリーズの派生版という形で大成功を収めたのはいいのだが、元のシリーズの1つである 『爆笑!!人生回道NOVAうさぎが見てるぞ』まで、本シリーズは続々と新型ゲーム機が発売されていたのにもかかわらず1度も作られていなかった。

そのNOVAうさぎにしても、発売年が2002年で本シリーズの1つである『大爆笑人生劇場』から丸10年の歳月が流れていった。 これは、派生版の人気に味をしみたタイトーのミスであり、本シリーズのシステムや人気をタカラの『人生ゲーム』シリーズに持っていかれるという失態を犯すことになってしまった。

私は、発売から2、3年後に購入したが、当時私の中では『桃太郎電鉄』シリーズといったボードゲーム系がブームになっていた。

ドラクエシリーズといったRPG系と違って、別の形で自分の分身を演じることが出来るので、さながらゲームの世界に溶け込んだような感じにしてくれるのが好きだった。 その中でも、『ドキドキ青春編』が最も好きなボードゲームであり、購入から現在までかなりの時間をプレイしている。

 最初プレイした頃は、どういう形で勝利すればいいのかわからず、最下位+卒業後の職業が泥棒という惨憺たる結果に終わってしまった。 それ以後、本気で1位になるために色々と非常手段(主にリセット)を使用することになり、しばらくして私が1位となって以降、 あまり非常手段をとることが少なくなったのだが、それでも1位になる確立はほぼ100%だった。

 SFCのソフトの中で、これほどはまったゲームというのはそうそうなく、インターネットが普及し始めたときに このゲームの攻略本がないか調べたのだが、以外にも人気ゲームであるにもかかわらず、このゲームの攻略本は1つもなかった。

攻略サイトがないかどうか調べたのは、去年ごろからと意外と最近になってのことなのだが、今まで攻略サイトといえば 最新ゲームが占めているものと思い込んでいたため、レトロゲーム関連の攻略サイトを見つけようとは全くしなかった。

このため、このゲームをレビューする際の去年に攻略サイトを調べたのだが、1冊も出なかった攻略本と比べて確かに存在してはいたものの、 たった1つしかない上に内容もあまりに不完全すぎるものだった。


 そこで私は、レビューを書き終えた時点で『サイトアクセス15000HIT特別企画』という名目で、 自ら攻略ページを作り上げたのだが、このゲームが思ってた以上に奥が深く攻略ページ完成は困難を極めた。 それでも、企画立ち上げから約1ヵ月後に不完全ながらも完成に到ることが出来た。

その努力が認められてかどうかわからないが、1年近く後に攻略サイトにリンクされたり某巨大掲示板に紹介されたりと、自分の努力が結実されてとてもうれしかった。 さらに、私のサイトの掲示板に攻略ページの感想が書かれているのを見ると、やっぱりこの企画をやってよかったなとほっとしている。

 ただ、このゲームに対して一言文句を入れるとすれば、セーブができないということ。 このゲームに限らず、人生劇場シリーズの大部分にいえることなのだが、特に面白いものだとその不満がかなり高くなってくる。

対戦相手や恋人が、有名タレントをモデルにしているのに(江口洋介や牧瀬理穂など)、これは結構残念。



本日のまとめ


いろいろあったけど、
いつも心に思い出すことは、
あの頃、あの時の私達…。
(05/11/3レビュー)(06/12/12修正)
伝説のスターブロブ2への掲載:2024年03月16日

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