◆リンクの冒険◆
シリーズ唯一の横スクロールアクション



発売日:1987年1月14日   発売元:任天堂   ジャンル:アクションRPG
ディスク:両面   値段:2600円
おすすめ度:4(ゲーム版も漫画版も名作です)


かつてハイラルの地に、この地を支配しようと目論む魔王ガノン、本名ガノンドロフがいた。 彼は、ハイラルの小王国にある2つのトライフォースのうち『力』を奪い、さらにゼルダ姫をも連れ去った。

それを知ったリンクという名の少年は、ゼルダ姫がもう1つのトライフォース『知恵』のほうを分割して、各地に隠したかけら全てを集めた。 そして、悪の元凶ガノンを倒し、力のトライフォースとゼルダ姫を取り戻し、ハイラルに平和が戻った。

しかし、トライフォースを奪還しゼルダ姫を救出しても、ハイラルは荒廃の一途を辿った。 ガノンが死んだ今も、邪悪な影響力がまだ残っており、神々の地を徐々に蝕んでいたためであった。

数年後、16歳になったリンクの左手の甲に、突如トライフォースの紋章が現れる。 ゼルダ姫の乳母であるインパはその紋章を見ると、リンクを初代ゼルダ姫の元へと案内し、古の王家に起きたという悲劇を語り始めた。 その昔、ハイラル王家には『力のトライフォース』と『知恵のトライフォース』とは違う、『勇気のトライフォース』が封印されていた。

初代ゼルダ姫は、それを狙って兄王子に近づいた魔法使いに、最後まで抵抗したために呪いをかけられ、決して覚めぬ眠りに落ちた。 己の過ちに気付いた兄王子は、後世に遺す戒めとして、代々の王女を『ゼルダ』と名乗らせるよう定めたのだ。

インパはリンクに対し、勇気のトライフォースがあれば初代ゼルダを目覚めさせることができ、リンクの左手の紋章はトライフォースを継承できる証であると教えたのである。 かくしてリンクは、初代ゼルダ姫を目覚めるべく、勇気のトライフォースを手に入れるため、再び旅に出るのだった。

一方その頃、ハイラルの各地において、主を失った魔物の残党が再び活動を活発化させていた。 彼らは、魔王ガノンを復活させるには復活の儀式を行わなければならないが、そのためには『ガノンを倒した者の血』が必要だった。

それはすなわち、ガノンを倒したリンクの事を指し、リンクを殺すことでガノン復活ができると信じていた魔物の残党は、リンク抹殺に躍起になる。 そうとは知らないリンクは、ガノンの残党やガノン配下以外の魔物達とも戦わねばならないのだが…。


ゼルダシリーズ第2弾にして、唯一の横スクロールアクションRPG。 ゼルダシリーズ全て名作なのは間違いないが、他のシリーズと比べて異色の扱いを受けているのは、 他のシリーズのように見下ろし型ではなく、一般の横スクロールのアクションゲームに仕立て上げたことだろう。

これにより、前作よりもアクションが大幅に変化したわけだが、なんといってもジャンプができることが大きい。 同時に、ジャンプを使っての技(下突きと上突き)と魔法、それにしゃがみが加わり、前作以上にリンクのアクションのバリエーションが増えた。

上突きと下突き、それにシールドを除いた魔法は、各街の魔術師や剣士に教わって習うもので、そのほとんどはクリアのために必須。 例えば上突きは、上に上る際その頭上に壊れるブロックがあるときに発揮し、サンダーの魔法はラスボス手前のボスを攻撃する前段階で必須となる。


前作のように、ハートの器の入手もレベルアップの要素の1つなのだが、今作ではマジックの器と一般のRPG同様のレベル制も加わった。 そのうちのマジックの器は、ステータスにマジックポイントが加わり、魔法を使えば使用した魔法に応じて減っていき、他のRPG同様肝心なときに使えないこともある。

このためステータスは、体力とマジックポイントの他、新たに加わった攻撃力、魔力、防御力の5つで、 敵を倒して一定数の経験値に達すれば、体力とマジックポイント以外のどちらか1つだけレベルをアップできる。 攻撃力と防御力はともかく、魔力が上昇すれば使用する魔法のポイントが減少される(数字上は変わらないが、ゲージの減り具合が小さくなる)

ただし、攻撃力と魔力が4に対して防御力が3というように、どちらか一方のレベルが低い場合、ゲームオーバーかセーブしてリセット後の再プレイでは、レベルが低い数値を基準にされる。 このため、常に平均してレベルアップすることが求められているのだ。魔法も、使用したエリア内のみで発揮できるため、たとえ魔力が上昇したとしても、無理な使用は厳禁となる。


ストーリー手順は、初代ゼルダ姫を目覚めさせるため、ハイラル地方各地に点在している6つ神殿に、 それぞれ置いてある聖なる石(人面石)にクリスタルをはめ、全てクリスタルをはめれば最終目標である大神殿に向かうことができる。 6つの神殿をクリアしなければ、大神殿の内部には入れないため、この手順は前作と一緒となる。

したがって、どの神殿に向かおうが自由なのだが、前作よりも自由度が制限されている。 洞窟全て、ろうそくがなければ暗くて進みづらいのだが、それ以上に序盤に立ち寄るサリアの街は、 あるアイテムを持っていなければどうあがいても進むことができないので、ほぼオーソドックスに攻略しなければならないなど、序盤からいきなり自由が制限されている。

フィールドは、前作同様見下ろし型となっているが、時々現れる魂のようなものに触れると、横スクロールの戦闘が発生し、 青いものは強い敵が出る一方で(肌色のは通常の敵)、赤いものは体力を回復させる妖精が出てくる。 これらも、しばらく経ってから消えてしまい、草原以外の場所では敵が発生する確率が上がり、それぞれの場所において様々な敵が登場する。

フィールドや洞窟に出る敵のほとんどは、魔王ガノンの配下の残党であり、神殿に出る敵のほとんどはガノンとの関わりのないもので、 神殿のボスも『守護者』という形となっており、リンクの旅はあくまでガノンの残党を潰すためではなく、初代ゼルダ姫を救うためだけのものである。

まさに、ストーリーに沿った設定ではあるが、リンクが死んでゲームオーバーになると、ガノンの雄たけびが聞こえることから、 やむなくリンクはガノン復活を阻止するためには、ガノン配下の残党と戦わざるを得ないということだろうか。

ちなみに、道路上では敵は出現せず、仮に草原などで敵が出現した場合に道路上で敵に遭遇しても、その戦闘シーンは1画面の上に敵は出てこない。 敵に出会わず、安全に次の街や洞窟などに向かいたい場合に有効なやり方だ。

もっとも、道路がない地域には通用しないし、何とか敵から逃げ回っても他の敵も出てくるので、ただ単に時間の無駄になるだけなのだが、 もし戦闘に入った場合でも右端か左端に逃げてれば確実に逃げられるし、経験値稼ぎの場合は左右にスクロールすれば敵が復活している。 わざわざ敵を全滅させなくても、潮時と考えれば左右どちらか移動して戦闘を終えることができるので、これも自由といえば自由なのだろうが。


ただゼルダファンにしてみれば、リンクの冒険は屈指の高難易度で知られている。 その大きな要因が、横スクロールのアクションの存在であり、見下ろし型を飽きるほどまでプレイしたあとに横スクロール型をプレイすれば、混乱するのは当然かもしれない。

横スクロール型にも慣れている人でも、このゲームが難しいといわれるのは、リンクや敵の行動パターンが特殊すぎるからだ。 シリーズにおいて、かなり役立てた剣のビームは、射程範囲が短い上にそれ自体全く効かない敵が、前作より大幅に増えた。

効かない敵の大半は、シールドを持っているタイプで、中には上下に盾を移動して防御しているタイプもあるが、 リンクのようにしゃがんで盾を移動させるのではなく、しゃがまなくても盾を上下に移動するので、レベル1の神殿に出る橙色のアイアンナックですら、リンクにとってかなりの強敵だ。 このタイプは、主に神殿で登場する一方で、リザードマンのゲール3種類は、森と砦と墓場に出現するのだが、どちらも後半以降でしか出ないのが救いである。

もう1つ、このゲームの難易度を上げている要因は、経験値の稼ぎが悪いこと。 敵を倒すとき、経験値を表す数値が入ってくるのだが、たまに体力やマジックポイントを回復できるアイテム、『P』が書かれている経験値の入った袋が出てくる。

これらが出てくると、経験値はもらえないので、体力やマジックポイントが満タンの状態にこれらが出てくると、正直舌打ちしたプレイヤーが多かったという。 経験値の袋は、それを落とした敵の持っている経験値よりも多いので、偶然見つけたプレイヤーは、さぞかし心の中でガッツポーズをしたことだろう。


さらにもう1つは、落とし穴の数の多さで、神殿や洞窟に多い。 他のシリーズでは、落とし穴に落ちても体力が減るだけだが、このゲームだけは落ちると他のアクションゲームよろしくミスになる。

アクションRPGなのに、残機設定をした理由がそこにあり、このゲームのゲームオーバーは残機が0であることだ。 だからこそ、前作のように単にハートや妖精を取ればいいだけとは違って、敵の攻撃に加えて落とし穴にも注意しなければならない。

しかし、神殿にある落とし穴の中には、落ちることで別の場所にたどり着くものもあるが、2つのバージョンを見分けるところとしては、穴の下が赤く染まっていないかということ。 つまり、何も染まってない穴に落ちれば別の場所に移動し、赤く染まった穴に落ちればミスとなるのだが、あまりにも落とし穴が多すぎて、どの穴に落ちればいいのか混乱したかもしれない。

これら以外にも、前作より歯ごたえがある謎解きも数多くあり、町の住民から聞いたヒントをあわせても謎が解けないこともあり、住人の会話の中にはただの与太話もある。 場合によっては、魔法を使って謎を解かなければならない場合もある。

主な例が、カストの街の右端でスペルの魔法を唱えることで(普通は、敵を青いスライムのボトに変化させる)、 マジックキーが出てくるもので、この手の謎解きはゼルダよりも、むしろ『メトロイド』のような宙吊りになったバナナと、いすと木の棒に似ている。

アイテムの使用も、前作と比べて2つしかないのだが、住民のヒントを得ても使用場所がわからないこともある。 終盤に訪れる、新しいカストの街を見つけるのがその代表で、発見するには森を刈らなければならないのだが、 その手段がハンマーを使ってなので、ハンマーの別の使い道に唖然とした人もいただろうし、現実にハンマーは森を刈れない。


確かにこのゲームは難しいが、各街に体力とマジックポイントを全回復してくれる施設があるし、レベルアップも平均的にやれば、例えゲームオーバーになっても損害を最小限に防げる。 それに2周目は、敵の強さは変わらない上に、レベルはクリアしたときとそのままになっており、1周目で覚えた魔法や剣技も覚えたままになっている。

もちろん、体力とマジックポイントのゲージは初期に戻され、アイテム全てなくなっているが、1周目と比べればかなり簡単なので、サリアの街までは自由に行動できる。 さらに、全てのレベルが最高レベルの8の状態で、次のレベルまでの経験値を貯めると、リンクの残り人数が増えるので、最高レベルに到達しても決してムダではない。

とはいえ、このゲームは他のシリーズと比べて、プレイヤーを選ぶものになってしまい、一般層よりマニア層に受けやすく、評価も賛否両論に分かれている。 ただ、売り上げ本数が約167万本と、前作に迫る勢いの売り上げを見せたことから、やはりこのゲームも人気があったことを物語っている。 2004年には、GBAのディスクシステムコレクションにも移植されているので、20年経った今でもリンクの冒険はマニア層のみならず、一般層にも愛されているといえよう。


私は、ゲーム版よりむしろ漫画版のほうが思い出が深い。 リンクの冒険発売当時は、コロコロコミックの読者であると同時に、わんぱっくコミックの読者でもあった。 わんぱっくの中で、私が好きな漫画は色々あるが、特にお気に入りだったのが、乱丸先生のコミカライズ版だった。

当時、ゲーム版は全くプレイしていなかった私だったが、コミカライズ版だけは途中ながらもおおいにはまった。 特に衝撃的だったのが、戦いの途中で2代目ゼルダ姫が戦死し、その亡骸は最終決戦の舞台となる大神殿に向かう途中で、何らかの手違いにより溶岩の海に落ちてしまうというものであった。

残念ながら、当時のわんぱっくは全て紛失してしまい、コミックスも1、2巻とも持ってたが、これも全て紛失してしまった。 幸い、オークションで見かけることがあるのだが、悲しいかな絶版状態になっているので、法外な値がかけられている。


コミカライズ版は、1988年8月号に最終回を迎えたが、他の漫画の大部分も最終回を迎えていれば、 区切りのいいところで終わっているところを考えれば、翌年に休刊になることを予測していたのだろうか。 内容もかなり覚えている私は、意外にもこのコミックスの大ファンだったということか。

さてゲーム版だが、初めてプレイしたのがGBA版で、『悪魔城ドラキュラ』と同時購入した。 内容は、ある程度ネットで知ったとはいえ、見下ろし型のゼルダを長くプレイしたこともあってか、いつもゲームオーバーの連続だった。 しかも途中でやめてしまったので、結局エンディングは見れずじまいだった。

ディスク版をプレイしたのは、レビューを書いてる直前で初代同様、途中までは難なく進めた。 もちろん、GBA版で進めたところ以降は苦労したが、それはネットでの攻略サイトで何とかクリアできた。 その後、ほとんどのステータスが引き継がれる2周目に挑戦したが、2周目こそが多少制限の要素はあれど、1周目よりは断然自由度が高い。

何しろ、ハートやマジックの器をあまり取らなくとも、高いレベルのおかげで前半は楽に進むことができるからだ。 もっとも、後半では強敵が続々と出てくるので、結果的にハートとマジックの器を取るしかないが。

ところで、ゲームの終盤で3箇所の砦を踏破しなければならないのだが、攻略途中ふとコミカライズ版を思い出した。 3つの砦を踏破したのはいいが、そのために2代目ゼルダ姫が死んでしまい、ゼルダ姫の血で不完全ながらもガノンが復活する様は、先にも書いたようにコミカライズ版屈指の名シーンだ。

また、新しいカストの街を見つけたときも、コミカライズ版での描写を思い出した。 やはり、このゲームのコミカライズ版は名作であると同時に、ぜひとも未だ出ていない最終巻(3巻)を出してほしいと思う。



本日のまとめ



グーグー・・・

(07/6/25レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年5月20日
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