◆メトロイド◆
生命体メトロイドの恐怖



発売日:1986年8月6日   発売元:任天堂   ジャンル:ACT
ディスク:両面   値段:2600円
おすすめ度:4(話題となったサムスの正体とパズル的な感覚)


コスモ歴2000年代、既に人類が地球いや太陽系を飛び出した銀河系では、数多くの惑星の代表者からなる議会を元に銀河連邦を設立し、繁栄の時代を迎えていた。 異星間の文明や文化の交流が盛んに行われ、多くの星間連絡船も行き来していた一方で、その船を襲う宇宙海賊も現われた。 連邦局は、彼らに対抗するため銀河連邦警察を組織したが、海賊の攻撃はあまりにも強力な上、広大な宇宙の中で捕えることは困難であった。

そこで連邦局では、連邦警察とは別に勇猛果敢な戦士たちを集め、宇宙海賊達と戦わせることにした。 彼らは宇宙戦士、通称スペースハンターと呼ばれ、宇宙海賊を捕え賞金を受け取る、いわば宇宙の賞金稼ぎであった。

年は流れコスモ歴20×5年、銀河系を揺るがす重大な事件が起きた。 外宇宙調査船が、宇宙海賊に襲われ惑星SR388で発見された、未知の生命体のカプセルを奪われてしまったのである。 外宇宙調査船が持ち帰ろうとした生命体は、一種の浮遊生命体でβ線を24時間照射すれば、活動を開始し増殖する。

しかもSR388星の文明は、何者かによって破壊された疑いがあり、発見された生命体に原因がある可能性が強かった。 その生命体は、他の生命体の成分を猛烈に吸収し、不用意に増殖させれば非常に危険でなのだ。 この生命体を『メトロイド』と名付け、研究材料として地球へ持ち帰ろうとしたところを、宇宙海賊に奪われてしまったのである。


メトロイドがゼーベスの手によって増殖され、武器として使われるようになれば、銀河文明が破滅してしまう。 連邦警察は必死の捜索の末、宇宙海賊の本拠地である『要塞惑星ゼーベス』を発見し総攻撃を行ったが、ゼーベスの抵抗は予想以上に強く、攻め落とすことはできなかった。 そうしている間にも、要塞の中心部ではメトロイドを増殖させる準備が、着々と進められているらしい。

連邦警察は、最後の手段として宇宙戦士をゼーベスの内部に侵入させ、要塞の中心であるマザーブレインを破壊する作戦を決定。 選ばれた宇宙戦士が『サムス=アラン』で、その人物は最も優秀な宇宙戦士であり、絶対不可能といわれた数多くの事件を解決してきた。 全身に、サイボーグ強化手術を受け超能力をも身につけた人物で、敵のパワーを吸収するスペース・スーツは宇宙海賊にも恐れられていたが、真の正体は全くの謎に包まれていた。

惑星ゼーベスは自然の要塞で、外側は特殊な岩に覆われ、内部が複雑な迷路になっている。 しかも、海賊の手によって様々な仕掛けや罠がはりめぐらされており、いたるところに不気味な海賊の手下が待ちうけている。 サムスはゼーベスの侵入に成功するも、残された時間は少ない。 果たしてサムスは、メトロイドと宇宙海賊ゼーベスを倒し、銀河文明を救えるだろうか?

登場から20年以上経った今でも、様々なハードに続編が登場している、任天堂の著名シリーズの1つである。 もっとも、著名シリーズとなったのはつい最近になってからで、初代から7年後に発売された(5年半後にはGBの『メトロイドU』が登場) SFCの『スーパーメトロイド』から、実に8年の歳月が流れており、知名度に関してはやや低いといった感がある。

そもそも、初代がディスクゲームの登場に加えて、少し前に発売された同じディスクゲームの『スーパーマリオブラザーズ2』の人気に押されて影が薄かった。 それでも、100万本を突破する快挙を見せ、最低限の存在感はアピールできた。

またアメリカでは、日本よりも大ヒットを記録し、日本でも熱狂的なファンが出るなど、このゲームにおけるインパクトに惹かれたことは間違いないだろう。 では、このゲームのインパクトとは一体どんなものなのだろうか。


プレイヤーは主人公サムス=アランを操り、惑星ゼーベスの5つのエリアを探索し、惑星にいる2体の小ボスと1体の大ボスを倒すことが目的。 この、『小ボス』と『大ボス』という単語は、メトロイドから初めて登場したもので、ボス自体ただ単に弾を撃ち込むだけでなく、弱点となる武器を使わなければ倒せないなど戦略性も大きい。 小ボス2体のクレイドとリドリー、大ボスのマザーブレインはスーパーメトロイドにも登場し、特にリドリーはサムスの因縁の宿敵ということで、シリーズの数多くに登場している。

さて、日本や海外でマニア的な人気を得られた要因は、パズル要素を含んだアクションにある。 ディスクシステムと同時発売された『ゼルダの伝説』も、メトロイド同様パズル要素を含んだアクションゲームなのだが、メトロイドとゼルダは似て非なるものだった。 作風が違うのは言うに及ばず、ゼルダが見下ろし型に対して、メトロイドは横スクロールだからだ。

また、ゼルダは謎解きに欠かせないアイテムはあるが、メトロイドはそれに加えて武器も謎解きに必要な道具として使われる。 これについては後述するとして、アイテムの配置やエリアの構成も、使うべきアイテムのヒントにつながっている。 例えばスタート直後、左側に『丸まり(モーフボールとも)』があるが、これはサムスの体を球体にして小さくする効果がある。

だが、それを取った先は行き止まりで、戻ろうにもサムスのジャンプでは超えられない高い岩に阻まれ、完全に身動きが取れないが、その岩の下には細い通路がある。 つまり、『丸まりを取ったけど、高い岩に阻まれ戻れない。だけど、その壁には細い通路がある。どうしよう。』ということになるが、 そこで今入手した丸まりを使って小さくすれば、細い通路に進入でき無事に脱出できる。


このように、動物園の猿における、吊るされたバナナと短い棒、それにいすを使った実験を、このゲームに当てはめたといる。 何しろ、最初にどうするかという説明すら、このゲームには何もないのだから。

武器もまた然り、アイスビームで敵を凍らせ、凍った敵を足場代わりにして高い場所にたどり着いたり、ボムを使って(爆風で)ジャンプし、 丸まりでしか行けない場所に行けたりなど、武器の入手も手ごわい敵に使うだけでなく、道を開くための重要アイテムと認識されているのだ。

これは、正当な攻略ルートにたどり着けることを意味しており、プレイヤーの力でエリアの対処法を編み出すことができた。 すなわち、RPGにおけるレベルアップでもあり、ゼルダのシステムを踏襲しているともいえる。

先に進めるアイテムのほかに、サムス自身を強化するアイテムもある。 バリアスーツやエネルギータンク、ミサイルタンクがそれで、バリアスーツでサムスの防御力をアップさせ、 エネルギータンクでサムスの体力を大幅に増加し、ミサイルタンクで強力なミサイルを長く使えたりでき、バリアスーツ以外、 様々なところに配置されているが、隠し通路がある行き止まりの壁といった仕掛けがあり、そう簡単に入手させてはくれない。 だからこそ、難関を突破したときに手に入った喜びは、何よりも例えがたいものだった。

それにおける、プレイヤーを悩ます仕掛けは、先の行き止まりの壁の他に、撃つと消えて一定時間後に復元するブロック、 一定して雑魚が無限に出てくる穴、体力が消耗するマグマの海など。 それらの仕掛けも、プレイヤーの大きな助けにもなるので、やはり仕掛け1つ1つの対処法も重要になったのはいうまでもないだろう。


それでも、アイテムの力ではどうすることもできない難所にぶち当たることもある。そのときは、プレイヤーのテクニックで補うしかない。 代表的なのが、回転ジャンプ中に壁に接触して、十字キーの反対方向に入れて同時にジャンプする三角飛びで、 主に序盤で入手できない高いところにあるアイテムを入手したいときに役立つが、いずれ先に進めるアイテムを入手できるので、 わざわざそういったテクニックを使うプレイヤーはあまりいなかっただろうし、初心者ならなおさらである。

ゼーベス内部が広いといっても、道を切り開くアイテムを揃えば全て踏破できるので、このゲームになれていないプレイヤーは地道に攻略するのが基本だった。 そのゼーベス内部だが、ディスクの容量を最大限に生かした広さで、2月にコナミで発売された『グーニーズ』もマップが広かったが、メトロイドはそれをはるかにしのぐ広さだった。

しかも、攻略する順序は自由なので、地道に攻略するのもよし、いきなり難しいエリアに入るのもよし、プレイヤーの判断にゆだねられていた。 有名なのが、スタート直後にある壊せる岩の下にある通路で、ボムを使えばそこに行けるのだが、そのエリアはよほどの腕がなければ進むことすら難しい。

様々なエリアに配置されている敵も、倒せない敵もいればサムスを追いかける敵もいるが、プレイヤーの間で強烈に印象に残った敵といえば、やはりメトロイドだろう。 最終エリアのツーリアンしか出ないが、普通の武器では効かない上に執拗にサムスを追い回す。 さらに、一度くっついてしまうとボムを連打しない限り解けず、その間猛烈にエネルギーを吸い取られてしまうという恐るべき強敵だ。

倒すには、アイスビームで凍らせてからミサイル5発で攻撃するしかない。 集団で、かつ猛スピードで追いかけるメトロイドは、不気味な姿とあわせてプレイヤーに強烈なトラウマを残したに違いない。


強烈な印象といえば、サムスの正体もそうだ。 最初は、パワードスーツに着込んだままで、正体はエンディングでなければわからないのだが、プレイヤーの腕次第では結局正体が不明のままなこともある。 サムスの正体を見る鍵は、このゲームのクリアタイムで、短ければ短いほどサムスの正体判明に大きく近づくことになる。 早い話、サムスは女性でスーツを脱げば、ナイスバディを見せてくれる。

実は、クリアタイムの短縮こそが、再度プレイに大きく役立った。 一時間未満でクリアすれば、ビキニ姿のサムスを見ることができるが、そのためには何度もプレイして全エリアの概要をつかまなければならない。 もちろん、アイテム取得に向かう時間も考えなければならず、場合によってはそれらを放棄せざるを得ない。

こういったスタイルを始めとして、このゲームには実に様々なプレイスタイルがあり、アイテム取得率100%を目指したり、 エネルギータンクやミサイルタンクを取らないといったやり方は、人気と何度プレイしても飽きない要因の1つとなっている。

サムスが丸まってボムを放つ芸も、当時としてはなかなかに細かく、ディスク容量の限界に挑戦した細かいグラフィックやマップの広さも、人気の1つになった。 ただ、当時の任天堂には珍しく、陰湿でシリアスなゲームだったため、100万本達成したのはよかったが、GBのU発売まで5年半待たなければならなかったことは、 明るいゲームが大部分な任天堂のゲームの中に浮いた格好となり、日本ではしばらくの間人気ながらもマイナーなゲームに甘んじなければならなかった。


メトロイドシリーズ自体、初めてプレイしたのがスーパーメトロイドの方であって、FCの初代は初めてだった。 初代は、発売から5年ほどで知ることができたが、なにぶん情報が少なすぎたので、どういうゲームなのかわからなかった。 スーパーの情報を、ゲーム雑誌で知ったときには、既に初代の内容は忘れてしまった。

数年後に、GBのUをプレイしても初代の記憶は失ったままで、完全にスーパーのシステムを記憶してのプレイとなった。 それも、レビューする直前のことなので、初代のシステムなど雑誌でまばらに読む程度しか備わっていなかった。

プレイして、いきなりカルチャーショックが私を襲ったが、それはショットの射程範囲が短すぎることだった。 スーパーでは、そういうことがなかったのに対して、初代はロングビームがなければスーパーと同じ射程範囲にならないため、序盤で大いに苦しむことになった。

それに、しゃがんでのショットやジャンプして下向きのショットもなかったし、 何よりもスタート時のサムスの体力がほぼ死亡に近い数値の体力しかないことに驚き、回復カプセルがなかなかでないことに苛立ちを感じた。

それでも、攻略サイトを見て何とか先に進むことができ、重要アイテムはもちろんエネルギータンクやミサイルタンクも、根こそぎ入手した。 グラフィック的に、Uに似ているのでそれは驚かなかったが、ボスがやたらと小さかったのは、思わず苦笑いしたが。 いずれにせよ、1時間未満の攻略はできなかったが、3時間以内の攻略はできたので、レオタード姿のサムスを見ることができた。


ところで、全てのアイテムを入手するために、アイスビームを入手した後にウェーブビームも入手したが、これが結果的に仇となった。 というのも、スーパーと違ってアイスとウェーブの両方を併せ持てず、どちらか片方が消えてしまうので、ウェーブビームを入手すると先に持っていたアイスビームの効果が消えてしまう。

それを知らずに、最終エリアのツーリアンでメトロイドと戦ったとき、ウェーブビームで凍らなかったことを知って、 完全にあわててしまったが後の祭り、メトロイドの大群にエネルギーを全て吸われてゲームオーバーになった。 このため、再びアイスビームを取りなおさなければならなかった(スーパーと違って何度も取れる)。

スーパーでは、様々なメトロイド対策が存在していたが、初代は凍らせてミサイルで攻撃するしかなかったので、スーパー以上にメトロイドに対するトラウマが植えつけられた感じだった。 何しろ、扉が開いたままのことが多く、場面が切り替わらずにメトロイドが扉に大挙進入してくるので、それがますます初代におけるメトロイドのトラウマを増幅させている。 アイテム取得100%は、このゲームでは自慢にならないことを身にしみた出来事であった。



本日のまとめ



ジゲンバクダン サドウ タダチニ ダッシュツ セヨ

(07/6/15レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年5月18日
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