◆ダウンタウン熱血物語◆
FCオリジナルのくにおくんシリーズ



発売日:1989年4月25日   発売元:テクノスジャパン   ジャンル:ACT
値段:5900円   おすすめ度:4.5(手軽に楽しめる喧嘩アクション)


くにおが、暴力団から仲間のヒロシを助け出してから、早数ヶ月が過ぎた頃、有名進学校の冷峰学園に、双子の服部竜一・竜二兄弟が服部学園から転校した。 2人は、瞬く間に近隣の高校を力で支配下におさめ、これにより彼らを『ダブルドラゴン兄弟』と呼び恐れられた。 同時に冷峰学園を、エリート進学校からワルがのさばる、最強最悪の不良校へと変貌させていった。

そんな危機的状況の中でも、花園高校の番長りきは、能天気な性格によりのほほんとしていた。 だが、冷峰学園から一通の挑戦状が届いたことにより、りきは大きな衝撃を受ける。 その内容は、りきの彼女である島田真美(以下まみ)が、冷峰の竜一と竜二にさらわれたというものであったからだ。

怒りに燃えるりきは、単身まみを救うべく花園高校を飛び出した直後、彼は永遠のライバルと目されているくにおと遭遇する。 くにおは、冷峰が不良校になった背景には、ダブルドラゴン兄弟が元凶ではなく、ある人物が関わっているのではないかと踏んだ。

その人物の名は、冷峰の生徒会長である山田大樹(以下やまだ)であり、かつてくにおの親友の1人だったが、 中学時代のくにおの同級生のことでくにおとトラブルになってしまい、2人の仲は解消してしまったのである。 そこでやまだは、りきの彼女を誘拐することで、ライバルであるくにおを呼び出し、りき共々叩き潰す計画を立てていたのだ。

またくにおは、りきの彼女が冷峰に連れ去られたことも知っており、ともに冷峰の野望を潰すために一緒に戦おうと持ちかけた。 これに対してりきは、しぶしぶながらこれを認める。くにおとりきの仲は、数ヶ月前から続いている戦いのなかで、いつしか友情が芽生えていたのだ。

こうして2人は、さらわれた彼女を救うため昔の親友に会うためという、それぞれの目的は違えど、共通の目的である冷峰に向けて出発した。 いまここに、2人の熱血硬派対冷峰学園と支配下高校の連合軍という、最大規模の熱い戦いの幕が切って落とされた!!


くにおくんシリーズ第3作目と同時に、ダウンタウンシリーズの最初の作品でもある。 ダウンタウンシリーズというのは、FCから始まった家庭版作品の総称のことで、FCオリジナル作品であるダウンタウン熱血物語は、まさにその第1弾と言うべき作品である。

とはいえ、熱血硬派くにおくんと世界観はつながっており、ストーリー的にも熱血硬派の数ヶ月後となっている。 また、熱血高校ドッジボール部もストーリーに絡んでるようで、くにおとりきの友情もこれらの戦いの末に生まれている。

ストーリーは、冷峰学園にさらわれたりきの彼女を救いにいくもので、熱血硬派と比べるとオーソドックスになっている。 ボスが出てくる場所も、ほぼルート通りに存在するので、完全に見逃すことは少ない。

ただ、花園第3公園にいる木下忠は、西村成孝(以下にしむら)を倒したときに居場所を聞けるのだが、 上条恒男と山本憲之は、新宝川・花園大橋の左側の奥に行かなければ会えず、ノーヒントな上に花園大橋の奥の入口が背景に見間違えることが多いので、うっかり見落とすことが多い。 しかし、2人を倒さなくてもストーリーは進めるし、逆に倒すと別のところで再戦することになる(それでもあまり強くないが)ので、ある意味忘れられやすいキャラでもある。

その一方で、くにおとりきでは違う会話が発生したり、悪の源である冷峰学園の生徒全員がワルではないなど、ジャンルがアクションながらも割と複雑なものに仕上がっている。 RPGでは、既にこの手のシナリオは作れるレベルにあったが、アクションではそういった試みは少なかった。

ステージはないが、ボスを倒さなければ次に進めない(冷峰の校門前まで進めるが、1人でも見落とすと開かない)手法も、 RPGの関所ポイントと非常によく似ており、アクションとRPGの2大ジャンルをバランスよく混ぜ合わせている。

ちなみに、ストーリーこそは少々シリアスながらも、全体的にギャグ度が大幅に多い。 キャラがSD化されていることも1つの要因だろうし、ザコにも苗字や所属している高校の名前があるのもその1つだろうが、 敵がやられたときの台詞などといった動作も、ギャグ度を高めている要因の1つでもある。 特に、ボスの1人であるにしむらは口調が独特的で、ラスボスのやまだは冷峰学園の真の支配者ながらも、その野望はあまりにも小さいなど、ファンの間では語り草となっている。


まずアクションだが、ストーリー的に熱血硬派の続編とはいえ、操作が大幅に違っている。ジャンプこそはAB同時押しだが、BがキックでAがパンチに変わった。 つまり、向きを変えて攻撃しなければならなかったものの、その手のゲームは豊富なので特に不満はなく、むしろ熱血硬派のような個性的すぎる操作より評判がよかった。

また、道端に落ちている武器を拾って攻撃できるようになった。 その内容は、小石やチェーン、鉄パイプといった一般的なものから、ゴミ箱や古タイヤといった武器に使えるかどうか不明なものまでもある。

当然、Aで振り回して攻撃することもできるが、Bで投げつけて当たった相手がひるんだ隙に、パンチやキックで倒すといったこともでき、この手のバリエーションも豊富である。 敵の攻撃を、タイミングよくボタンを押すことで防御できるといった手段もあり、攻撃方法をあわせれば実に複雑な動きを可能にしており、2Mという容量ながらも

さらに、このゲームでは必殺技が登場する。 『まっはぱんち』や『まっはきっく』などがそれで、どれも有効性が高くかなり重宝するが、そういった技を習得するには、 商店街(敵が出るエリアの間にある)にある本屋で購入してそれを使わなければ(読む)ならない。

つまり、道中にいる雑魚やボスを倒して金を稼ぎながら、店に入って敵から巻き上げた金を使ってアイテムを購入することなどが、RPGの要素になるわけだ。 先に述べた、本屋で必殺技の本を購入して必殺技を習得することがそれに該当するが、喫茶店で食べ物を食べたり、 寿司屋で寿司を食べたりなどにおけるステータス上昇も、RPGの要素にのっとっていることになる。

くにおとりきが立ち寄る店も、先に挙げた店の他にも色々あり、米屋や銭湯、アイテムでは『ろんどんぶーつ』や『ふぁみかせくにお』といった、これも風変わりなものまで色々ある。 その中でも一番有名なのが、丸か運送廃ビルの中にある謎の店で、金額は高いが能力は一般のアイテムよりも大幅に超えており、 謎の店の場所もあわせて、アイテムの名前は変でも使ったときの効果に驚くプレイヤーもいただろう。


しかし、ステータスを上限まで上げるには、それなりの資金と時間がかかるものの、パスワードに記録しておけば心配はない。 ただし、ステータスや資金は記録されるものの、ゲームの進み具合や所持アイテムまでは記録されないのだが、ステージ構成が短いためそれ程気にすることはなかった。

アスキー発売のターボファイルを使うことで、ストーリーの途中を保存できるのだが、ターボファイル自体アスキーのゲームにしか使えないことが多く、それ以外のソフトでも対応できるものが少ない。 もっともそれ以前に、ターボファイルを所持する人も少ないだろうが。主な使い道は、先ほどのデータセーブの他に、友達が所持しているソフトでデータを引き継いだりすることだった。

それよりも、パスワードで資金を最大にしたりステータスを最大にするプレイヤーが多く、それこそ必殺技の本のまとめ買いや、 ステータス最大を盾にしての短時間でクリアなどめちゃくちゃなプレイもあったが、資金については敵の種類により序盤はあまり稼げないので、あえて多めにするためにパスワードを使うこともあった。 パスワード自体、それ程長ったらしいものではなかったので、自分に有利なパスワードを見つければ、すぐさま使ってしまおうという光景も見られるようになった。


総合的にみてこのゲームは、発売年に当たる89年に大作があまり出なかったこともあって、かなりの人気と知名度を得ることができた。 前述したが、様々な進め方があって短い時間でクリアできること、2人同時プレイや味方同士の攻撃などもあり、短いながらも飽きずにプレイできるよう設定されている。

難易度も、2作目のドッジボール部同様3つに分かれており、歯ごたえがないなと思ったらゲーム途中で難易度を上げればいい。 当然、敵の強さは大幅に違っており、『やさしい』と『ふつう』でもその差は歴然としている。

このため、難易度を上げたくない人は、商店街に入ってもわざわざ店に入らずステータスを上げなければいい(体力は回復する必要がある)。 このような、わざと自分を不利にするプレイも可能であった。

くにおくんシリーズはもちろん、ダウンタウンシリーズでも最高の人気と知名度を誇り、数年後にはX68000版が、 2004年には元くにおくんシリーズ開発スタッフによって、アトラスからアレンジ版の『ex』が発売され、どちらも好評を呼んだ。


ただ、小林産業工業跡の最初のあたりは、下に降りてしまったら最後、やられない限り前のところに戻ることができない。 大抵のプレイヤーは、下の穴に落ちて戻るだろうが、そうなればせっかく稼いだ金は半分ほどに減ってしまう。

パスワードで、資金を最大にすれば別にたいしたことはないが、マジメにプレイしている人にとってはかなりつらいことこの上ない。 特に、謎の店にも2度と行けないため、金を取るか個性的な店を取るか、プレイヤーの苦しい判断を迫れれることとなった。

わざとやられずに、そのまま戻ることができればどんなに気が楽になったかと、思った人もさぞかしいただろう。 それを除けば、アクションゲームとして名作以上の出来になれたはずなのに、これはなんとも惜しい欠点であった。 これこそが、このゲームの唯一にして最大の欠点だったのではないだろうか。


私も、くにおくんシリーズといえばやはりこのゲームが思いつく。 それも、発売当時に別の友達と結構やりこんでいたので、楽しみながら喧嘩アクションを堪能していた。 残念ながら、どの難易度でプレイしていたのか忘れてしまったが、ゲームの腕があまりよくない私でもすんなりいけたと思っている。

久々にプレイしたのは、意外にもレビューを書いている数ヶ月前で、なぜ大学生活中にプレイしなかったんだろうかと疑問に思った。 なお、今回は1人プレイでキャラもくにおだったが、りきでも1人プレイで選ぶことができる。

『マリオブラザーズ』然り『魂斗羅』然り、そしてこの熱血物語も同様、2人プレイする人がいなかったため、結局1人でプレイすることになった。 2人同時プレイの画像を見たい人にとって、本当に申し訳ない思いである(これからも2人同時プレイのゲームでも、1人でプレイせざるを得ない状況に変わりはないが)。

このゲームを、久々にプレイしたときから、昔の懐かしい思い出が一気に蘇ったばかりか、再び大いにはまった。 チェーンで、相手を何度もひっぱたいたり、倒れている相手を何度も投げ飛ばしたりなど、結構楽しんだ。

また、資金最大のパスワードを使って、大トロを何個も食べたり必殺技の本を買い占めたり、 さらには謎の店で高額なアイテムを買ったりなど、ストーリーは短いもののそれでも十二分に楽しめた。

登場人物も、笑える者達が勢ぞろいで、ラスボスの台詞にしてもまるで緊張感がなく、くにおとりきを選ぶことによって違う会話が存在するなど、 何度プレイしても飽きることがないゲームで、実は前のゲームをレビューしているときにもプレイしており、 これほど大いにはまったゲームは本当に久しぶりで、危うくゲームレビューに支障が出かねないところだった。


前にも書いたが、このゲーム最大の欠点は、小林産業工場跡での戻る手段がないことで、何度も涙を呑みながら自分を犠牲にしていった。 それ以外にも、妙に大穴がやたら多いことも、場所によっては派手にプレイできないこともあった。

欠点を挙げればそれぐらいだろうが、小林産業工場跡の問題がなければ、多分5点満点はいけたと思う。 いずれにせよ、面白いことには変わりないので、暇さえあればまたプレイしてみたい(今度はりきで)。

ところで、2004年に出たリメイク版だが、当時ファミ通でその特集記事を見たとき、思わず昔のことが一瞬で思い出されたことがある。 いつかプレイしたいと思っていたが、月日が経つごとにすっかり忘れてしまい、レビューするときに資料を調べた際、 ある攻略サイトにリメイク版のことが載っていたのを見て、今度こそプレイしてみたいと思った。

幸いにも、就職していて金もある程度あるので、暇があればゲームショップで買いにいきたいと思っている。 ただ、その日がいつになるのかが不明で、下手すればまた忘れてしまうのではないかという不安がある。



本日のまとめ



つ・つよすぎる… しく しく しく。

(07/5/13レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年5月11日
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