◆SUPER魂斗羅◆
オリジナルステージにオリジナルボス



1990年2月2日   発売元:コナミ   ジャンル:ACT
値段:5800円   おすすめ度4(AC版を超えるボリューム)


西暦2634年12月、謎のエイリアン軍団との戦いから一年余り、地球はその魔の手から逃れたかに思われた。 そんなある日のこと、南米の砂漠地帯にあった基地跡の近くにおいて、GX軍第7方面の軍事演習に参加していた、連邦軍のハル将軍から突如不可解な無線が入った。

「我が友軍であるGX軍が、突如我々に攻撃を……。彼らの目は、人間の目ではない……。ひょっとして奴らが……。」

将軍の言葉に、ただならぬものを感じとった連邦軍上層部は、史上最強の『魂斗羅』ことビルとランスの2人に、再び出撃を命じた。 2人を乗せて、極秘のうちに飛び立ったヘリコプターは、基地跡近くの錬習地点にほど近い所で2人を降ろすや、すぐさま飛び立っていった。

そこには、何者かによって無残にも破壊された、連邦軍の施設があった。 あまりの惨劇に、衝撃を隠せないビルとランスだったがその時、物陰から軍の兵士が襲いかかってきた。

「狂気に満ちた目、青く変色した皮膚、姿形こそ人間だが、その魂はもはや人間ではあるまい……。」

躊躇なく、ビルは兵士に向けて発砲したその瞬間、2人は体内で爆裂したおぞましき生物の影を見た。 同時に、彼らの脳裏には、一年前の悪夢が蘇った。「あの狂気に満ちた、異形の生命体はまだ死滅していなかったのか!?」

2人は、顔を見合わせるなり、あの化け物が根城とされている場所に向けて走り始めていた。 「我がレッドファルコンは、永遠に不滅なるぞ……。」かつて、エイリアンの報復宣言を見た2人は、 最初エイリアンの悪あがきだとたかをくくっていたが、それが現実のものになるとは…。

2人の活躍によって、全滅したかに思われていたエイリアンは、その後変態を繰り返し、今まさに最後の変貌をとげようとしていた。 極限にまで成長したエイリアンと、魂斗羅たちの壮烈な戦いの火蓋が切って落とされたのである!!


ヘビーゲーマーに、圧倒的な人気を集めた『魂斗羅』。 FC版魂斗羅と同時期に登場しており、サブタイトルが『エイリアンの逆襲』とあるように、 FC版のエンディング後におけるエイリアンの報復宣言と合わさって、魂斗羅の続編と言う意味合いが強い。

そのサブタイトルにあるように、ゲーム後半からエイリアンが大挙登場し、人間や機械は全く出てこなくなる(機械は中ボスとして出てくるが)。 前作では、最終ステージしか出てこなかったのだから、これは魂斗羅ファンにとって大サービスとなった(特にその中のエイリアンファンは)。

ステージ数は5つと、前作の10と比べて半分に減ったが、その分1ステージの長さは前作よりも大幅に上である。 『SUPER』とあるように、グラフィックBGM共に前作を凌駕し、ゲーム前半のミリタリーさと後半のエイリアンの不気味さといった、まるで違うゲームのようだとプレイヤーを驚かせた。 ステージ構成は、前作の3Dがなくなった代わりに、『戦場の狼』や『怒』同様の見下ろし型の縦スクロールが追加された。

アイテムも、前作のファイヤーボールに代わり、壁や敵に当たると爆風が4方向に拡散され、周りの敵も一網打尽にできるボムが、 縦スクロール専用としてストック型のメガクラッシュ『ハイパーシェル』が新たに加わった。

同時に、同じアイテムを2つ取ると、所持している武器がパワーアップする方式も採用された。 その中で、2段階目のマシンガンは連射速度が大幅に増し、弾が途切れることなく連射ができる。 スプレッドも、前作同様に使い勝手がよく、2つともこのゲームにおいてなくてはならないものとなった一方で、レーザーは前作より急激に弱体化した。


敵もまた然り、エイリアン系の敵が前作より大幅に増えた。 中には、映画の版権に抵触しているものと思われるエイリアンも登場しているが、裏を返せば当時のゲームは版権に対して、比較的おおらかだったのだろう。 その中で、ラスボスの『天王鬼ギャバ』はシリーズを代表する1つとして、家庭版の続編以降にもたびたび登場している。

続編も、前作以上にヘビーゲーマーの好評を受け、コナミを代表するシリーズの1つになった。 ゲームの面白さやグラフィックとBGM以外に、コイン投入前のデモもゲームの人気を呼んだ。

ビルのアップと共に、「何だここは?」、「油断するな!」というビルとランスの英語でのやり取りは、エイリアン相手に殺るか殺られるかという戦いの前触れを髣髴させている。 シリーズにも、それに近いデモが用意されており、いかにこのデモがゲーマーに衝撃を与えたかうかがい知ることができる。

しかしながら、ACでの魂斗羅は何故かSUPERで終了してしまう。 これについては、詳しいことはよくわからないのだが、ナムコやカプコンなどの大手ゲームメーカーの輩出するゲームの人気が著しかったことと、 コナミも『グラディウス』シリーズの人気が衰えていなかったことが原因かと思われる。

レバーを操作してのジャンプ調節といったアクの強い操作も、関係あるだろう。 現に、1991年のゲーメスト増刊での『読者が選んだベスト30』にランクインされておらず、60位まですらもランクインされていない。 おまけに、前作も60位すらランクインされておらず、結果的に魂斗羅シリーズがACで終焉を迎えたことは、こういったことも関係があるのかもしれない。


FCへの移植版が発売されたのは、それから2年後の1990年2月2日。 この時期は、『ドラゴンクエストW』の発売と同じ時期であり、その2ヵ月後には『ファイナルファンタジーV』が発売された。 この他にもこの年は、様々な名作・良作ゲームが星のごとく登場し、移植版が入り込む隙がなく、結果的に売り上げが10万本程度しかならなかった。

かといって、移植版は悪い出来ではなく、むしろAC版と勝負できるほどであった。とはいえ、前作同様の容量でAC版と1対1で勝負できるはずがない。 そこで編み出されたのが、AC版にはない様々なアレンジだった。

まずステージ数が、AC版より4つ増え8ステージとなった(AC版のステージ4は差し替え)。 それ以外のステージも、FC版オリジナルテイストにあふれていている一方、ステージ1の最終部分などが削除されたところもある。

ステージの距離が長くなったがために、新たなトラップも多数仕掛けられたが、その主たるものが地震によって陥没する地面だろう。 時には、落とし穴も発生するので、前作同様群がる敵以上にプレイヤーを恐怖に突き落としたが、最終ステージでの天井落下とあわせて、まさに悪夢の要所となった。

敵も、AC版より多くの敵が登場した反面、やはり削除された敵もいた。その代わり、FC版オリジナルの敵は、AC版に勝るとも劣らずな外見や名前がある。 その中で『陰獣キムコウ』は、AC版だったラスボス天王鬼ギャバに代わって、FC版のラスボスに成り上がった。

もちろんギャバも登場するが、ギャバを倒してもAC版と違ってエンディングにはならず、なんとギャバの内部に突入するという凄まじい展開を見せる。 AC版をプレイしたユーザーは、この展開に度肝を抜かれ、キムコウも続編以降に登場した。


アイテムについては、前作とさして変わらず、AC版にあったボンバーは削除され(取ると全滅できるスペシャルが登場)、ボムもファイヤーガンと名称が変わり、同時に溜め撃ちも加わった。 これは、4方向から8方向に拡散され、威力も全ての武器の中で最強を誇るが、AC版同様連射が効かないので、切り札とはなりえなかった。

アイテムが、前作とほぼ同じと言うことは、操作パターンも前作と同様で、同じアイテムを2つ取っての連射やレバーを使ってのジャンプ力調整もカットされた。 つまり、前作をプレイしている人にとって、実にプレイしやすい環境に配慮したといえる。

しかし、AC版のコイン投入前のデモが入っていなかったり、前作にあった中間デモや背景の滑らかな動きといった、ゲームを盛り上げる演出が削除された。 これにより、AC版同様ストーリーを考えず、ただひたすら敵を撃ち殺す単純明快なアクションに変更された。

新しい敵やステージといった、新たな要素をふんだんに詰め込んだ結果であり、前作のFC版で演出を楽しんだプレイヤーにとって、少々寂しいものとなった。 前述したように、容量は前作同様2Mで、前作の要素全てを続編に持っていくことは不可能で、前作の要素のうちのどれかを削除せざるを得なかったという、苦しい台所事情があったのだろう。 せめて、あと1Mぐらい容量が増えていれば、前作の演出をある程度登場させることができたのかもしれない、じつに惜しい斬り捨てであった。


だが、前にも書いたのだが、ゲームそのものとしての面白さは、AC版に負けぬほどの実力を持ち、90年に発売されたFCの中において、良作の一角にラインナップされた。 名作・良作合わせて、数十本が90年のFC業界をにぎわせていたのだが、FC版SUPER魂斗羅は様々な状況でも、余裕と言う形でラインナップに入ることができた。

知名度もAC版より上で、難易度も一部を除いてそれ程高くなく、前作登場した裏技も(コマンドが違えど)そのまま使えたりなど、 前作をプレイした人はもちろんAC版や初めて魂斗羅シリーズをプレイした人に、好感をもたらすことができた。

とはいえ、FCのスペックといい2Mといい、AC版の迫力をFCに再現することができなかったため、AC版同様FC版もSUPERで打ち止めとなった。 AC版そのままに、家庭版オリジナル要素を追加するにはFCでは役不足で、ふんだんな魂斗羅が出るには、 2年後にSFCで登場となる『魂斗羅スピリッツ』まで待たなければならなかった(その前年にGBで『コントラ』が登場するが)。


残念ながら、私はAC版をプレイしたことがなく、プレイしたのはFC版のみである。 したがって、AC版に関する情報は、ネットや本で色々調べたものの、ネットについては詳しく紹介しているサイトはほんのわずかしかなかった。

しかし、私が見つけたサイトの中の1つに、このゲームのAC版を実に熱く語っているHPを見つけ、以前にも別のゲームをレビューする際の参考資料としてお世話になったことがあるサイトだった。 だからこそ、その昔AC版をプレイできなかった自分が悔しい(FCに、ものすごくはまってたことを考えても…)。 しかも、AC版しか出てこない要素や敵も色々とあるので、AC版の魂斗羅シリーズをカップリングしたゲームを、ぜひコナミに作ってほしいと思うのだが(DSかGBAで)。

既に数ヶ月前に、FC版は前作同様何度かプレイしたことがあるのだが、やはり数ヶ月前故に大部分のことは忘れてしまった。 前作レビューする際にも、そういったことがあったのだが、続編の場合は前作をプレイしているおかげで、思いのほか早く慣れることができた(システムが前作と似ているため)。 とはいえ、新たな要素が登場しているので、前作に慣れたから簡単ということにはならず中間デモもないために、これが魂斗羅シリーズにおけるただ単に敵を撃ち殺すアクションなのかというのを改めて感じた。


このゲームも、要所要所でとてつもなく難しいところがあり、それを象徴しているのがステージ3の後半における地震による地面陥没と、 最終ステージにおける天井落下・群がる敵・落とし穴の3拍子である。 特に最終ステージは、FCオリジナルとはいえAC版の雰囲気が色濃く出ているなと思った。

ところで、ステージ6のボス天王鬼ギャバだが、通常ボスに格下げされたとはいえ、真の姿を現すときの手法が、かなりド派手でFC版ながらも迫力は十分にあった。 ラスボスの陰獣キムコウも、登場シーンが派手ではあったが、キャバに比べるといささか迫力不足かなと思った。

現に魂斗羅スピリッツでは、中ボスに格下げされてるため、インパクトもキャバに劣るのも無理はないとは思うが、 それでもゲーム内容の半数近くをFC版オリジナルにした、昔のコナミの手腕にはさすがというしかない。 近いうちに、スピリッツもプレイしたいが、これも前2作同様30機増殖の裏技をつかって…(FC版もこの裏技を使用)。



本日のまとめ



闘い終わらず

(07/5/2レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年5月8日
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