◆魂斗羅◆
RPGブームに反旗を翻した作品



発売日:1988年2月9日   発売元:コナミ   ジャンル:ACT
値段:5300円   おすすめ度:3(ロックマンに並ぶ硬派物)


”魂斗羅”とは、熱い斗魂とゲリラ戦術の素質を先天的に合わせ持つ、最強の闘士の呼称である。


はるか先の未来の地球、ここでは科学技術の進歩により、自然と科学がうまく調和した世界へと姿を変えていった。 しかしその裏では、誰も予期せぬ異変が起こりつつあったのだ。

西暦2631年9月12日深夜、最新鋭の自動防衛システムを装備した、地球海兵隊司令部のレーダーが、地球に異常接近しつつある謎の小隕石をキャッチした。 まもなくその隕石は、ニュージーランド沖合北東20km地点のガルガ諸島に墜落。 司令部はその後、隕石の追跡調査を敢行、それ以後は特に何事もなく平穏無事に保たれていた。

それから2年後の2633年12月、隕石調査を行った司令部は、以後も極秘に調査を続けた。 その結果、その隕石が人類滅亡をたくらむエイリアン『レッドファルコン』と名乗る組織のものであり、 隕石が落下したときからガルガ諸島は彼らに占拠され、それから2年の間に人類滅亡計画を実行する前線基地が建設されたことが判明した。

海兵隊に所属する、ビル=ライザー、ランス=ビーン両上等兵の2人は、その恐るべき事実を知らされると同時に、 直ちに内部に侵入し全ての前線基地、及びその中枢を破壊せよと命令を司令部から受ける。

『魂斗羅』と呼ばれた2人は、既に要塞島と化しているガルガ諸島の内部へと突入していった。 だがそこは、同じ同士であるはずの人類の他に、異形の姿を持つエイリアン達が、ビルとランスを待ち構えていたのだ…。


コナミにおける著名シリーズの1つであり、『がんばれゴエモン』シリーズや『悪魔城ドラキュラ』シリーズと並ぶ、同社アクションシリーズの1つでもある。 AC版が登場したのは、1987年2月20日。この頃のACゲームは、実に様々なジャンルが登場していたが、 コナミの『魂斗羅』が登場したときは、一部のゲーマーからは驚きに似た衝撃を隠さずにはいられなかった。

実は、魂斗羅登場から数ヶ月前の1986年11月、『イラン・コントラ事件』なる出来事があった。 これは、別名『イランゲート事件』と呼ばれる大規模なものであり、アメリカはもちろん冷戦真っ只中にある全世界も、 衝撃を受けたという一大スキャンダルで、特にアメリカはいまだ続いていたイラン・イラク戦争において、非公式にイランに武器を輸出し、 それで手に入れた金を今度は、左翼化しつつあった中米ニカラグアで、反共ゲリラ『コントラ』に援助したことにより、当時のレーガン政権に大きな打撃を与えることになった。

世界的規模の事件に加えて、アメリカによるコントラ支援は実に5年間も続き(事件の尾は、さらに6年間も続いた)、 『魂斗羅』というゲームタイトルの由来は、この事件と何か関わりがあるのではないかと勘くぐるゲーマーもいた(実際そうなのだが)。


ただしゲームの内容は、ゲリラが活躍するものではなく、上半身裸にタンクトップの筋肉質のいかつい男達が、 銃を片手に戦場で大暴れするもので、敵も人間や機械、それに異形の化け物共が大挙して襲い掛かってくる。

この2人の男達は、『ランボー』や『コマンドー』のオマージュであり、これについては多くのプレイヤーからの指摘がある。 どちらも魂斗羅登場の数ヶ月から2年近く前に公開され、どちらも高い人気を誇った(ランボーは、続編の『怒りの脱出』が公開され、 ゴールデンラズベリー賞を受賞しているが、つまらないという理由での受賞ではない)。

だが、2つとも人間対人間という現実の戦争とそれにある反戦を題材にしたのに対して、魂斗羅は戦争の中で群がる敵を容赦なく撃ち殺すという娯楽主体(?)になっている。 魂斗羅の敵である化け物は、デザインから見て間違いなく『エイリアン』である。

エイリアンも、続編が魂斗羅登場前年に公開されている。 つまりこのゲームは、『ランボー+コマンドー+エイリアン+コナミのオリジナルテイスト=魂斗羅』という図式になっており、 ランボーとコマンドーがエイリアンの大群に立ち向かうといった、痛快アクションとなっている。


魂斗羅のアクションも、伏せや回転ジャンプ、八方向に撃ててある程度連射が効く、弾数が無制限なショットなど、爽快感さを出している。 さらに、わらわらと群がる敵も爽快感を合わせて、一層の緊張感を生み出した。

しかも敵は、打ち止めはなく無限に襲ってくる上に、主人公側同様に弾をばら撒くので、 プレイヤーは常に銃を乱射しながら進まなければならず、敵に触れたり弾に当たれば一発でミスとなる。

まさに、地獄の戦場を突っ走るランボーを髣髴とさせており、奇しくもランボーの続編は反戦よりも、群がる敵を撃ち殺す爽快感を優先させていた。 なお、敵のネーミングだが『陰獣魔神像グロマイデス』や『兜鬼巨神兵ゴルデア』というような、 一般ゲーマーから見ればあまりにも奇抜すぎるものであったが、意外にも魂斗羅シリーズの代名詞の1つとなっている。


ちなみに、魂斗羅より前に登場した『怒』や『戦場の狼』も、戦争を題材にしつつ弾を撃ちまくる爽快感をベースとしているが、 魂斗羅と違って見下ろし方の縦スクロールであるのに対して、魂斗羅は横スクロール方式にしているため、 銃を乱射し敵の攻撃をかわしながら敵を撃ち殺すという、今までになかったきびきびとしたアクションが評判を呼んだ。

それに加えて、見下ろし型ではない縦スクロールや3Dステージ(戦闘のときは、左右に移動しつつ奥にいる敵を撃ち倒すもの)も追加され、 各々のステージに仕掛けられている罠も合わせて、プレイヤーを決して退屈させなかった。

空飛ぶカプセルやセンサー、赤い色の敵を撃ち落すと登場するウェポンも、連射はできないがボスを数発で撃破できるレーザーや5WEYに拡散するスプレッドガンなど、独創かつ個性的だった。 その一方、ファイターボールはグラフィックは一番個性的な反面、威力や範囲が小さく使いどころがあまりなかったため、マイナーな扱いを受けた。

いずれにせよ、怒や戦場の狼と違った、爽快かつ仕掛けられた罠の数々、最終ステージとそれ以外のステージの内容の違いの大きさ、 有無も言わさず襲ってくる敵、その敵も機械、人間、エイリアン、サイズも等身大や巨大というように、ネーミングもあわせてバラエティ豊かになっている。 ゲーマーの人気も上々で、コナミのアクションゲームの一角を担うことになり、翌年登場の『SUPER魂斗羅 エイリアンの逆襲』に向けて、大きな弾みとなった。


魂斗羅の人気は、続編制作の足がかりばかりではなく、様々なハードへの移植の足ががりにも繋がった。 その1番手は、当時のハードで最大級の人気や知名度を誇っていたFCだった。

もちろん、FCとACのスペックとの差は大きく、AC版そのままの移植は不可能なので、AC版にはなかったオリジナル要素を組み込むしかなかったのだが。 それでも、アイテムや基本操作、2人同時プレイはもちろんのこと、敵などもほとんどがAC版そのままになっている(敵のみ1部のキャラと差し替え)し、 敵がわらわらと出たりその攻撃の激しさも、AC版と勝るとも劣らぬものだ。

さて、FC版のみのオリジナル要素は、まず第1に1ステージ間に中間デモが導入されたことだ。 AC版では、ステージが終わるとすぐ次のステージが始まるのだが、FC版ではその間に短いデモを挿入することで、 ちょっと一息入れると同時に、ゲーム内におけるストーリーを明確にプレイヤーに示してくれている。

第2に、ステージの背景が動くということ。 例えば、ステージ1のジャングルを始めとして、ステージ5の吹雪や森林、そして最終ステージの壁なども、ポーズしても滑らかに動いているのだ。

これは、『グラディウスU』や『ラグランジュポイント』といった、コナミによる特殊チップを導入した結果であり、2年前の『がんばれゴエモン!からくり道中』における2Mや、 『悪魔城ドラキュラ』を始めとしたディスクゲームの完成度など、当時のゲーム技術はグラフィック、BGM面白さ等を含め、トップクラスに入るほど高かった。


第3は、ステージ構成の大幅な改編。 AC版は10ステージで、FC版は8ステージと2ステージ削られているが、削られた2ステージはボス戦に組み込まれているので、順序については全く同じ。 ただし、AC版にはなかった様々なトラップを仕掛けており、それらを加えることで1ステージの長さはかなり長くなっている。

そのトラップの中で、一番有名なのが落とし穴で、AC版にはなかったトラップの1つである。 従来の一撃死に加えて、このトラップはAC版になれたプレイヤーを大いに恐れさせたが、ヘビーゲーマーから見ればやや好評だったのか、以後のシリーズにもレギュラーなトラップとなっている。

また、1ステージ開始直後に起こる橋の爆破は、難易度を下げる役割を果たしている。 これは、AC版では爆風に触れると一撃死だったのに対し(AC版において、大抵のプレイヤーは橋の下を通った)、FC版はそういったことはなく、演出という形となっている。

カプセルの増加も、このゲームの親切設計に一役買っているものの、決して難易度が下がったわけではなく、 トラップの増加やステージの長さも合わさって、AC版に負けぬほど難易度のバランスが取れている。

この他にBGMやSEも、AC版ほどのリアルな音声はないものの、その代わりプレイヤーを快感に引き込む工夫がなされている。 それを表しているのが、数発で倒せる硬い敵で、数発弾を撃ち込むごとに「チュインチュイン」というSEを発し、撃破すると「ズガガーン」というSEも発する。 このSEの工夫は、プレイヤーの間でなかなかの心地よさとなったらしく、続編以降のハードにもそのSEは使われている。


それと、アイテムの追加もFC版アレンジの1つとなった。 ラピッド・ビレッツの出現がかなり多くなり(AC版は1つのみ)、新たに『スペシャル』と言う名のメガクラッシュが登場した。

その一方で、バリアの時間が大幅に減ったり(出現頻度は大幅に増加)、レーザーの威力が減退するなど、弱体化したアイテムもあった。 このため、レーザーと最強の座を争っていたスプレッドが最強の座を確立し、以後のシリーズも威力・使いやすさ共に武器におけるトップクラスの座を維持している。

裏技もまた、魂斗羅シリーズにおいて重要な役割を果たしている。 タイトル画面で、コナミコマンドを入力することでの30人増加、ステージセレクトやサウンドテストは、シリーズの裏技の定番となった。

そしてなんといっても、裏技を使用することで見れるエンディング後のメッセージは、FC版はもちろんAC版をプレイしていた人に、大きな衝撃を与えた。 これは、エイリアンの報復メッセージとして、続編につながる重要なものとなった。


難易度バランスの調節、トラップやアイテムカプセルの追加、ポーズしてもリアルに動く背景や、 縦画面から横画面に修正し快適なプレイ環境を整えたコナミの姿勢など、AC版に劣らぬFC版のアレンジは、FC版から始めたユーザーはもちろん、 AC版をプレイしたユーザーも好評となり、RPGブームが続いていたFC業界に殴り込みをかけることができた。 前年12月に、魂斗羅同様硬派なアクション『ロックマン』が発売され、こちらもヘビーユーザーに大いに好評があった。

だが、魂斗羅発売当時は『ドラゴンクエストV』が社会的人気を得たため、前年から始まったRPGブームは一層の充実を見せた。 したがって、魂斗羅といった硬派向けアクションゲームは、一般ユーザーの人気を取り込めないまま、カルト的人気にとどまった。

とはいえ、この人気こそが魂斗羅シリーズを築いていく金の卵であり、2年後に『SUPER魂斗羅』のFCへの移植や、さらに翌年におけるGB初の魂斗羅が登場するなど、 まさにFC版魂斗羅こそが魂斗羅シリーズの礎を築いたといってよく、まもなくRPGブームが終了するや、魂斗羅のような硬派アクションに人気が集まるようになり、再び魂斗羅を好む時代がやってくるのである。


魂斗羅シリーズ自体、私は既に知っているものとはいえ、初めてプレイしたのがSFCの『魂斗羅スピリッツ』だった。 そのときは、RPGやSLGといったあまり指を動かさないジャンルに慣れていたため、魂斗羅特有の一撃死を何度も食らい、ゲームオーバーどころかコンテニューの回数全て使い切ってしまった。

それ以降、魂斗羅シリーズに触れることはなかったが、大学生活中に私が住んでいたアパートの近くにあるゲームショップにおいて、FC版魂斗羅のデモ画面がテレビで映っていた。 それを見た私は、これが最初の魂斗羅かと思わず目を見張ったが、大学生活中にプレイしたFCの中で魂斗羅は含まれていなかった。

それから現在、私は様々なゲームを買ったが、魂斗羅シリーズもそこに含まれており、当然FC版も購入した。 私は、FC版をレビューする前に、魂斗羅シリーズを紹介してあるサイトや『オレたちゲーセン族』版の魂斗羅(AC版魂斗羅)をプレイして、私の書くレビューの参考にしようと考えた。

実は既に、FC版やその続編をプレイしたことがあるのだが、AC版をプレイした感想としては、落とし穴がないことや縦画面だったために、操作感覚が違っていることにおどろいた。 あるサイトで、ゲーセン族版魂斗羅の評価はあまりよくないのだが、それはゲーム環境とは関係ない細かいシステムのことだったので、普通に遊ぶにはさほど問題はなかった。

その後、再びFC版魂斗羅をプレイしたのだが、なにぶん数ヶ月前以来なので、多少FC版をプレイした感覚は少し鈍っていたが、そこはAC版をプレイすることですぐ勘を取り戻した。 久々にプレイしたのに、そのときの記憶が鮮明になっているのは、魂斗羅というゲームが私の脳裏に焼きついていることなのだろう。 それでも、落とし穴のことをすっかり忘れてしまったがために、裏技の30人増加をやっても、ノーコンテニューで攻略するのは難しかった。

現在、続編のSUPER魂斗羅をプレイ中で、こちらも名作と言うことなので、何度かのプレイの後にレビューを書きたいところだ。 ちなみに、私が使用したウェポンはスプレッドで、レーザーやマシンガンはもちろんファイヤーボールはよほどのことがない限り使うことはなかった。 それと、ポーズ中でも動いている背景に思わず目を見張ったのは、FCとはいえ結構感動したと思っている(最終ステージ以外)。



本日のまとめ



オロカナチキュウジンヨ コレデ
“レッド ファルコン”ガ
ゼンメツシタトデモ オモッテイルノカ
チキュウゼンセンキチハ ウシナッタガ
スデニ ツギノテハ ウッテアル

ワガ “レッド ファルコン”ハ
エイエンニ フメツナルゾ.....

(07/4/30レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年5月6日
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