◆第2次スーパーロボット大戦◆
スパロボ軍団VSD・C軍第1ラウンド



発売日:1991年12月29日   発売元:バンプレスト   ジャンル:SLG
値段:8200円   おすすめ度:3.5(東映まんがまつり再び!)


超人的な頭脳と、並外れた決断力を持った、一人の科学者がいた。名は、ビアン=ゾルダーク。 ビアンは、その比類なき頭脳によって、人類の危機が迫っていることを感じ取った。 それは、外宇宙からの強大な力であり、今の人類に太刀打ちできるものではないと、彼には思われた。

ビアンは、その持てる力を全て振り絞り、地球防衛用として1体のロボットを造り上げた。 その名はヴァルシオン。絶大なパワーを誇る、究極のロボットである。

そう、ここまでは比較的よくある話であった。だが、ビアンは不安を感じていた。まず、人類を統一し総力を結集しなければ、外宇宙からの侵略は防げないと考えていたからだ。 そこで彼は、その考えを実行に移すために、秘密結社『ディバイン=クルセイダーズ』通称D・Cを結成し、力による世界統一、すなわち世界征服の準備を、着々と進めていた。

D・Cの行動は迅速で、不意を突かれたスーパーロボットとそのパイロット達は、次々とD・Cの手に捕らえられていった。 さらに、全てのスーパーロボットを超えるべくして作られたヴァルシオンは、驚異的な力を持ち、全世界がD・Cの手によって征服されるのは、もはや時間の問題であった。

だが、全世界の8割がD・Cの手によって支配されるようになっても、その支配に抵抗を続ける人々も存在した。 事実、奇跡的にD・Cの手から逃れてきた3体のスーパーロボット、白い悪魔ことRX−78ガンダム、鉄の城ことマジンガーZ、 3つの力を1つにしたゲッターロボ、これらに加えてそのパイロット達を中心に、D・Cに対して立ち上がったのである。

そして今、全世界を震撼させる、第2次スーパーロボット大戦が始まろうとしていた…。


バンプレストにおける、著名シリーズの1つ『スーパーロボット大戦』シリーズの第2弾。 『第2次』とあるとはいえ、パイロットが存在しそれに関するストーリーもあることから、実質的には真のスパロボ第1弾と考えたほうがいいのかもしれない。 前作のスパロボは、ロボットを擬人化した上でパイロットを登場させないものだったので、パイロット搭乗が基本のスパロボから考えれば、異端児的な存在だった。

もちろん、第2次も現在のスパロボシリーズから見れば、異端的な存在となっているがそれもそのはず、このスパロボと現在のスパロボののシステムの違いが大きいからだ。 それに関しては後述するとして、それでも第2次からパイロットがロボットに搭乗して敵と戦うあたりは、一応スパロボの原型はできている。

同時に、バンプレストオリジナルのキャラやロボットが登場したのもこの作品で、元々は他の版権作品を出演させる予定だったのだが、 とある事情によりそれができなくなったがために、代理という形でオリジナルが登場したのだが、バンプレの予想以上にオリジナルの人気は大きく、 以降の続編やオリジナルを主役としたゲームにも登場を果たし、バンプレキャラのメジャーとなった。

なお、この作品に登場したバンプレオリジナルキャラは『魔装機神サイバスター』で、主役のマサキ=アンドー(安藤正樹)を始めとして、 敵役のビアン=ゾルダークも登場し、彼が設立したD・Cなる勢力も第4次まで登場することになり、第2次から第4事までを『D・C戦争』と呼ぶ。

サイバスター関連のキャラも、しばらくの間レギュラーに近い形で登場し、1996年にはスパロボのシステムを導入しつつ、 リアル等身といった様々な要素を追加した『魔装機神 THE LORD OF ELEMENTALE』が登場した。

同時に、バンプレオリジナルの中でも、版権を基にしたオリジナルのキャラも登場した。 前作のラスボスで、『グレートマジンガー対ゲッターロボ』に登場した宇宙怪獣ギルギルガンをパワーアップした、メカギルギルガンがそうである。 原作では、仲が悪かったグレートマジンガーとゲッターロボを、ギルギルガンという強敵を出すことで、共に力を合わせることで強敵を撃退した。

こういったやり方は、当時の子供達から大変な人気を呼び、スパロボの原型の1つに強敵に対抗するための共闘を作り出し、ファンの人気を集めている。 ギルギルガンは、スーパーロボットの共闘のきっかけを生んだ最初のキャラであり、それだけ昔映画を見たスタッフの思いは強かったといえる。 その証拠に、ギルギルガン、メカギルギルガン共々、以降のシリーズに登場している。


ストーリーは、全26話と短く分岐ルートも存在しないが、ハードの性能を考えれば致し方ないだろうし、 同じシュミレーションRPGで第2次スパロボより前の年発売された『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』も全25話となっているので、 今は短そうに思えても当時としてはかなり長めのゲームだったのではないだろうか。

現に、あっさり終わることができるシナリオもあれば、数時間もかかるシナリオもある。 当然、ただ戦うだけのシナリオもあれば、規定ターン数以内に全ての敵を倒すといった緊迫感あふれるシナリオもある。

そんな多彩なシナリオの中で、全ての敵を倒しつつ、敵ユニットを『説得』してこちら側に引き込むシナリオが用意されている。 前作でも、敵ユニットを説得してこちら側に引き込んでいたが、元味方ユニット(参戦作品の3シリーズのうち、1つを選んだもの以外)はもちろん 何とガラダK7やTHE・Oといった、常識的に味方にならない敵ユニットまで味方にできた。


このシリーズから、ユニットのほかにパイロットも、説得でこちら側に引き込むことができる。 もっとも、説得が作用できるキャラは大幅に限られている分、原作で心半ばで死んだキャラを救うのに、そのキャラのファンにとって大きな助けとなったことはいうまでもないだろう。

ただし、説得で仲間になったキャラのほとんどは、短い期間で離脱してしまうので、そのキャラのファンの心を全て満たせるというわけではなかったが。 おまけに、自動的に仲間になるキャラの中にも、すぐ離脱してしまうキャラもおり、主力級の実力を持てたと思いきや、すぐ離脱してしまう事態もあった。

ところで、説得できるキャラを撃墜したり、撃墜された際最期の台詞を吐くキャラもいるが、結局は何事もなかったかのように、続編以降にもたびたび登場している。

もちろん、ラスボスのビアンや機械獣ラインX1の電子頭脳になったローレライは、この戦いのさなかに正式に死亡しているものの、 搭乗したロボットは以降のシリーズにも登場しているし、ビアンについては『OG』シリーズや『α』シリーズにもたびたび登場している (つまり、シリーズによってD・C戦争自体なかったことになったうえに、そのD・Cも主人公達の味方になることもあった)。


さて、第2次が他のスパロボとシステムが違うというのは前に書いたのだが、その代表がユニット能力やカスタマイズだろう。 前者は、ユニットの耐久力が(初期において)全て1000未満で、ENや実弾の弾数もなければ(つまり気兼ねなく撃てる)、気力と言う概念もないので、その制限を受けることはない。

その一方、武装は2つしかなく、命中率関連で威力が変化する武器を持つユニットもいれば、直接間接両方の武器を持つユニットもいる。 後のシリーズで、武装がいくつもあることを考えれば、それはあまりにも少なすぎる。 ただ、ビーム兵器は海では使えなかったり、陸専用の武器が空の敵には弱いといった、武器の能力が変動するシステムの搭載は、後のシリーズにおけるユニットや武器の適応地形の導入に一役買ったといえよう。

後者は、改造と言う概念はなく、強化するにはレベルアップでユニットの能力を底上げするか、強化パーツで補う必要がある。 だが強化パーツは、ショップで買うことになっているとはいえ、そのショップ自体マップのどこにあるのかわからず、それに関するヒントもない。

さらに、強化パーツを使用してもすぐ効果も切れるので(全て消費するものばかり)、本当に役に立っているとは言い難い。 そもそも、敵を倒すと資金も手に入るが、それを遣うために必要なショップがわからなければ、まさに宝の持ち腐れといわざるを得ないもので、 無常に貯まっていく資金にプレイヤーは、ただただ虚しさと怒りがこめ上げられたことだろう。

なお精神コマンドは、前作に引き続き登場したが、今のものと比べると名前や消費される精神量、効果もかなり違うものがほとんど(加速だけ、消費精神量を除いて今も同じ)。 特に閃きは、今では15程度しか消費しないのに対して、このシリーズはなんと50も消費される。


現在のスパロボに慣れているプレイヤーが、第2次をプレイすればまず間違いなく混乱するだろう、現在と昔のシステムの隔たりの大きさに。 それでも、1994年にはGBから、その5年後にはPSからリメイクされたり、2004年には『GC』購入者の抽選としてファミコンミニ版として登場するなど(2千名限定)、 当時のファン特に前作をプレイしたプレイヤーにとって、良作と呼べるものであった。

FCで登場したことにより、GB時と比べてカラーになった上に、キャラも細かく描かれている。 変形や合体も、なかなかにその過程が描かれているが、ゲッターロボの合体シーンはFCのスペックにしては、驚くほどにスピーディーにかつ原作に近いシーンとなっており、 かつてのゲッターロボの視聴者世代は、その合体の様を見て驚いたという。 また、ガンダム、マジンガー、ゲッターといった、いわゆる御三家の参戦が定番化したのもこの作品からだった(現在はその価値観が崩れてしまっているが)。

しかしながら、初代から続編までの間はわずか8ヶ月しかなかったためか、先ほどにも挙げた欠点が次々と露呈されることになった。 それに加えて、SFCやGB、MDやPCエンジンといったライバルハードが活気付いている一方で、FCは大作はもちろん隠れた名作も、 第2次発売時には既に出尽くしつつある感がある上に、昔の栄光ももはやなくなりつつあった。

その影響からか、第2次は完全に埋もれた形となってしまった。 もちろん、元来のFCユーザーからは人気があったのだが、本当の人気を得るには続編の第3次まで待たなければならなかった。


私は、初代発売当時からスパロボシリーズをプレイしているが、第2次ももちろんプレイしていた。 といってもFC版のことではなく、数年後に発売されたリメイク版(コンプリートボックス)だったが。

現在、好きな作品が参戦しない限りは、スパロボの新作を買わない私であったが、リメイク版を買ったのはまだ御三家しか参戦していないことと、 『EX』まではむしろゲームの内容で購入を決めていたことの2つ。

リメイク版を散々やりこんだ私だったが、オリジナルのFC版をプレイしたときは、リメイク版のシステムが印象に残っていたためか、あまりの違いの大きさに思わず絶句した。 なんといっても、改造ができないことが大きいし、精神コマンドも消費量や名称などの違いも大きく、現在のスパロボに慣れていれば間違いなく投げ出すようなものだった。


もちろん、システムがまだ確立されていない状態だったため、色々と不十分な点が出るのも致し方ないのだが、 問題のショップを見つけるのに結構かかった上に、無常に貯まっていく資金にストレスが溜まった(改造ができないから)。

個人的によい点があるとすれば、ゲッターロボの合体シーンだろう。FCのスペックとはいえ、原作をほぼ再現しているのには思わず目を見張った。 また、遠距離と直接と両極端だったために、遠距離で弾数やENの設定がないことをいいことに、遠距離攻撃の術がない敵を蜂の巣にしたり…。 個人的に、Zは遠距離がない敵に対する切り札として、思う存分大活躍したのだが、この後の第3次とEXで扱い方が違いすぎるのは一体…。

なお、FC版の内容の厳しさを目の当たりにした私は、ラスボスを倒してエンディングを見たとはいえ、もうプレイする気にはなれない。 もっとも、リメイク版は別なのだが(まだそれのシステムには慣れているし)、最近はリメイク版もプレイする気にはなれない。

やはり、自分の好きな作品が出ていなければプレイしないということかもしれないが、ゲーム性のみに興味を示した昔の頃には、もう戻れないということなのだろうか。



本日のまとめ



なにを ちんたらやってやがる! みちゃいられねえな まったく!

(07/4/24レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年5月5日
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