◆SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語2 光の騎士◆
ジークジオン編完結



発売日:1991年10月12日   発売元:バンダイ   ジャンル:RPG
値段:8200円   おすすめ度:4.5(今度はガンダム風FF)


今と違う時代、どこかにあるというスダドアカワールド。 この世界にあるラクロア王国は、人間とMS族が暮らす平和な国だったが、その平和を2度の災難が襲った。

1つは、魔王サタンガンダム率いるジオン族の襲来、もう1つは伝説の巨人と呼ばれるサイコゴーレムの襲撃。 それらの災難は、ラクロア一の英雄と目された騎士ガンダムと、その仲間達によって切り抜けることができた。

だが、サイコゴーレムを倒した後に現れたジオン族の真の支配者、ジークジオンの仮の姿を見た騎士ガンダム達は、圧倒的な存在感の前に、自分達の無力を感じた。 その後、ラクロアにひと時の平和が戻った時、騎士ガンダムとその仲間達は、それぞれ別行動を起こした。 その中の1人騎士アムロは、ラクロア王国より遠く離れた、ノア地方を統治するアルガス王国へ向かった。

アルガス王国の軍事力は、剣士ゼータ指揮する技の騎馬隊、闘士ダブルゼータ指揮する力の戦士隊、 法術士ニュー指揮する魔法の法術隊3つの部隊で成り立っており、それらをまとめあげるのが騎士団長アレックスであり、3つの部隊は『アルガス騎士団』と称した。

しかし彼は、アルガスのカミーユ王子を人質にする魔術師キュベレイの罠にかかり、囚われの身となった。 カミーユ王子は、アルガスと敵対しているムンゾ帝国の王コンスコンの娘ユイリィ姫と恋仲になっており、 ジオン三魔団の1人である魔術師キュベレイは、それを利用してアレックスを罠にはめたのである。

アレックスを失ったアルガス騎士団は、各部隊ごとの連携を失い、逆に部隊との間に対立が生まれることになった。 ブレックス王は、各部隊にアレックス救出を命じるものの、騎馬隊は西へ戦士隊は南、法術隊は東へと、それぞれ勝手な行動をとっていた。

その状況の中、アルガスにたどり着いた騎士アムロは、ブレックス王の命令でアレックスの代理と言う形で、騎士団長に任命される。 もちろん騎士団は、アムロを団長と認めるわけにはいかなかったが、次第にアムロと部隊長達との間にあったわだかまりが解けていき、 アレックス救出のため力を合わせて戦っていくことを誓い合う。

それから彼らは、ムンゾの切り札であるジオン三魔団を討ち倒し、遂にムンゾ城に突入した。 その最上階で見たものは、コンスコン王とその玉座が融合した怪物ジオダンテであった。 ジオダンテは、ジークジオンの片腕であり、コンスコン王はただの傀儡に過ぎなかったのだ…。


ナイトガンダムシリーズの第2弾で、今作はジークジオン編の3章と4章をテーマにしている。 ゲーム開発時には、既にジークジオン編は終了しており、別に最終章まで進めてもなんら問題はなかった。

しかし4章は、冒険する間がなく戦いだけで、一気にジークジオンとの決戦に進むため、カードダス版そのままを移植しても物足りないという感があっただろうし、 3章についても騎士アムロが、アルガス王国の騎士団長に任命されたことから物語が始まるので、これも完全移植してもまだ物足りない感があったのかもしれない。

そこで、騎士アレックスの幽閉から騎士アムロの騎士団長任命までの間や、3章と4章の間などにオリジナルの物語を導入し、 カードダス版を知ったプレイヤーを飽きないようにさせている。 オリジナルストーリーを組み入れた分、物語の幅はカードダス版よりも広くなった。

ただし、物語を6つ(全6章仕立て)に区切っているため、1つ1つの分割した物語の幅はそれ程長くなく、短い時間で終えるようになっている。 もちろん、物語のメインとなる4章以降は、かなりの長丁場となるので、ここからがゲームの本番といっていい。

そのためなのか、前作の序盤に登場したカードダスは、4章から出ないと登場せず、イベントにも組み込まれなかった。 そのカードダスは、1種類につき1枚しか持てず、2枚以降はカードの種類によって取引の値段が変動する。

その幅は、1ゴールドから最大1000ゴールドまでとなっており、味方でしかもレア度が高いものほど下取りの値段が高くなっていく。 レア度が高いものは、現実のカードダスと同じプリズムに光っているものが大部分で、ゲーム中でもプリズムカードは実際に光らせてある。

ちなみに、カードダスバトルで勝った場合は、負けた相手の使用したカードを奪うことができる(負けた場合はその逆)。 そして、勝ってもカードを消滅させることがないため、これらの特徴をあわせることにより、前作よりもカードダスシステムが大幅に変わったのである。

なお、カードダスバトル自体は、物語をプレイせずとも楽しめる。 勝負は3本で、2つ勝ったものが勝ちとなり、こちらは対人戦とも可能である。


その他のシステムも、前作よりだいぶ違ったものになった。買い物については、『かいかえる』という選択肢が新たに導入された。 これは、現在装備している武具を売ると同時に、その値段から引いた同じ種類の武具を購入するもので、購入した武具は既に装備している状態となる。
このシステムは、一般RPGにおいて防具を買うときに、わざわざ防具を勝って装備して、前に使っていた装備を売るという面倒なことがなくなったので、非常に親切なものといえる。

フィールド場面のシステムは、なんといっても歩くスピードが大幅に速くなったことが大きい。 後に、FFやドラクエといった他のRPGでも、歩く速度が早くなる仕組みを導入させているが、 このゲームではいち早く導入されており、しかも街中やダンジョンはもちろんのこと、フィールドでも歩くスピードが早くなっている。

フィールドのキャラの大きさも、他のRPGよりかなり大きく、移動の早さも相まってより快適なプレイができるようになった。 アイテム欄は、前作と違ってパーティ共有となり、装備しているアイテムは装備欄に収まった(アイテム欄に入らない)。

他の要素では、『キャンプ』というコマンドが新たに加わった。 これは、街や味方の城以外のどこでも使用できるもので、使用するとHPのみ全回復できる。

ただし、敵の奇襲を受けることもあり、その場合はメンバーの大部分(フィールドで表示されているキャラ以外。 セレクトボタンで変更できる)が睡眠状態で戦闘に入ることがあるものの、回復アイテムや魔法を使うためのMPが尽きたときにおいて、非常に重宝された。 特に、魔法が使えない戦士隊のみの2章では、ソロモンの鉱山での薬草地帯と合わせて、重要な生命線となった。


戦闘では、『まわりこむ』という作戦がなくなった代わりに、『おうえん』と『しらべる』が追加された。 前者は、前作と同じように助っ人が登場するが、誰が呼ばれるのかランダムな上に、前作と違って経験値が入ることがない。

さらに使用できるのは4章と5章だけで、4章は騎士団の団員(部隊長除く)で、5章は部隊長の誰かが呼ばれる。 こういうシステムになっているのは、物語に参加できる期間が限られているためである。

後者は、敵の特徴を調べるために使われるが、このゲームに登場する敵は、力、魔法、技の3つの種別に分かれており、それぞれ赤、黄色、青という色分けになっている。 この3種類は、力の属性のキャラは魔法の属性のキャラに強く、技の属性のキャラに弱いという3すくみ(ジャンケン方式)になっており、 戦う相手次第では、法術士ニューのように力が弱いキャラでも直接攻撃で大ダメージを与えることができ、場合によっては倒すこともできる。

たまに、複数の属性を持っていたりいて、その場合は特徴の色が混ざった状態で表示される(例えば、赤と青の属性を持ってる敵は紫で表示される)。 中には、全ての属性を持つものもいるが、そのほとんどはボスクラスの敵であり、その敵は白で表示される。 属性をよく表しているのが、スライムの洞窟におけるアッザムスライム達で、それぞれ属性の色をしており、しらべるコマンドを知る格好の練習相手となっている。

キャラごとに用意されている必殺技も、このゲームにおける戦闘の大きなポイントでもある。 一部のキャラ以外は、イベントなどを通していなければ習得できないが、その分威力はかなり高く、技によっては強敵をも一撃で倒す力を持っている。 もっとも、使用する際には、HPを大幅に消費しなければならないので、多用するのが難しいが(バーサルナイトの必殺技は、敵を全滅できる代わりにHPを70%消費する)。


これ以外の戦闘におけるシステムは2つあり、1つは敵の攻撃を受けたときに、武器片手のどちらかが弾かれることがあるというもの。 逃げなければ、戦闘終了後に弾き飛ばされたものは回収できる(逃げてしまった場合は、もちろん回収できずもう一度買いなおすしかない)。

もう1つは、戦闘に突入する際、後ろから攻撃を受けてしまうこと。 これは、FFシリーズにおけるバックアタックと似ているが、パーティの一番後ろのキャラが一番前に来るもので、敵に先制攻撃を受けることはない。 それでも、一番最後にいるキャラは防御力が低いので、バックアタックに少し似てはいる。

システムとは関係ないが、魔法の分類もわかりやすいという意味では、これも大きなポイントの1つとなっている。 例えばミディ系の場合、ミディの真下にミディアと表記されるように、わかりやすく並べられている。


前作よりも膨大なボリュームの量、それをバランスよく区切分けられ手軽にプレイできるようになった物語、 さらに快適にプレイできる移動速度や武具の買い替えシステムなど、そしてレベルアップにおける全回復や様々な作戦における戦闘の多様化、 自分が倒そうとした敵が倒されても別の敵を攻撃して、決して行動がムダにならないことなど、前作より容量が増えた分、 ストーリーやシステムが大幅に増量し、プレイヤーにとってわかりやすいものとなった。

それゆえに、ガンダム風ドラクエと比喩された前作より様変わりし、FFの内容(主にシステム)に近いものとなった。 物語に絡んでいたカードダスバトルは、イベントに組み込まれなかったが、その分ストーリーの幅を大きくさせたといえる。

その一方、最大の欠点があったことも事実。それは、ダンジョン内にある宝箱のほとんどが、空箱になっていることである。 町の人の台詞にもあるのだが、本当に少ないのである。


しかも、物語後半に入っても空箱の数は多く、中には重要なものも入っているので、空箱かアイテムが入っているのかわからないのである。 なぜ、そういう仕組みをしたのかはよくわからないが(キャンプコマンドが追加されたのが有力かもしれない)、その割合をかなり減らして他のアイテム、 例えば薬草とかぶどう酒といった回復アイテムを入れておいたほうがよかったのではないだろうか。

それと、敵を攻撃するときに、なぜかHPが一番減っている敵から先に攻撃をせず、1体1体ずつ攻撃していることも、欠点の1つとなっている。 特に、敵が3体出現したときは、その現象が顕著に現れてくる。

それでも、ゲーム進行に致命的な欠点はなく、さくさく進める点は他のプレイヤーに高評価を受け、2の要素の大部分は第3作目に受け継がれることになる。 現に、小難しい謎解きや仕掛けがあまりなく、適当にレベルを上げて金を稼ぎ、程よい強さになったら先に進むことも、プレイヤーの高評価の1つとなっている。

そして、2作目は1作目とあわせて、SFCの『SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語 大いなる遺産』にカップリング+リメイクされた上に、 システムを変更し第1作目に近い作風となった。


私が、ナイトガンダムシリーズを始めたのがこの作品で、しかもリアルタイムでのプレイだったので、当時はカードダス集めに夢中になっていた。 もちろん、ジークジオン編も数千円を使うほど夢中になっていたので、おかげでレアなカードが集まった一方、ありふれたカードがそれ以上に集まってしまったことも事実。

いずれにせよ、ゲームをプレイすることには特に支障がなく、むしろ気軽にプレイすることができた。 最初は、移動速度や敵の属性など、このゲームの斬新な特徴がわからなかったが、プレイした後に他のRPGをプレイしてみると、このゲームのシステムのすごさが少し判ったような気がした。 もっとも、その時は小学生だったので、このゲームに対する理解度があまりなかったのかもしれないが。

その後、約15年半の現在、レビューも兼ねて久々にプレイすることになった。 前作をプレイしたおかげで、魔法の内容はわかったし、世界観もかなり理解できた。

今まで、他のRPGをプレイしたためか思いのほか快適で、個人的にシステムや世界観が、ドラクエとFFを融合した感じかと思った。 ゆえに、結構楽しむことができ、前作よりも今作のほうが慣れている感じがあるとはいえ、昔にプレイしたときと同じ感覚でプレイできた。


しかしながら、先ほどにも書いたように、ダンジョンに配置されている宝箱の中身が、空になってるケースがあまりにも多すぎるというのが大きなマイナス点だった。 敵を攻撃する順序も、変な形で行うことが多すぎるので、これがなければドラクエやFFといった大作に引けをとらないものだったのだが、 それでもこの時期に発売されたゲームとしては、かなり高いレベルになっていると思う。

ところで、4章に登場する侍女ハマーンだが、ユイリィ姫に嫉妬しているだけで別に殺す必要はないと思うのだが…。 SFC版はプレイしていないので、詳しくはわからないのだが、情報によるとFC版で主人公一行に殺されたキャラの何人かは、 登場しないまたは生存しているということなので、余裕があればSFC版もプレイしてレビュー内にFC版の違いも書いておきたいと考えている。



本日のまとめ



もんどー むよーー しょーぶーー

(07/4/7レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年5月1日
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