◆SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語◆
SDガンダム+ドラクエ



発売日:1990年8月11日   発売元:バンダイ   ジャンル:RPG
値段:6800円   おすすめ度:3.5(ドラクエ風ガンダム)


人間とMS族が平和に暮らしている、スダドアカ・ワールド。この、平和な世界を打ち破る闇の者が現れた。 その名は、魔王サタンガンダム。彼は、この世界を彼の属するMS族、すなわちジオン族が支配する野望を秘めていた。

これを知った、ユニオン族の国家の1つである、ラクロア王国のレビル国王は、ラクロア王国一の勇士と目された騎士ガンダムに、魔王サタンガンダム討伐を命じる。 騎士ガンダムは、ガンダム族の1人であり、伝説の勇者と同じ名前であった。

騎士ガンダムは、騎士アムロ、戦士ガンキャノン、僧侶ガンタンクと共に、サタンガンダムを倒す旅に出た。 騎士ガンダム一行は、道中で邪魔するジオン族を蹴散らし、遂にサタンガンダムが変身したブラックドラゴンを、死闘の末倒すことができた。

しかし、意気揚々と帰還した、騎士ガンダム一行を待ち受けていたのは、何者かによって壊滅的な被害を受けたラクロアであった。 レビル王の娘のフラウ姫は、彼らにこの惨状を伝説の巨人であると説明し、父レビル王もまた、それによるショックで精神崩壊寸前にまでなってしまったとも述べた。

ラクロアの復興を、フラウ姫に任せた騎士ガンダム一行は、新たに加わった武闘家ネモと共に、伝説の巨人の行方を追うことになった。 だがその矢先、戦士ガンキャノンが、ブラックドラゴンの魂に憑りつかれ失踪。 伝説の巨人を追う、騎士ガンダム一行もまた、ジオン族に出くわす場面が相次いだ。

ブラックドラゴンが倒された後も、各地で勢力を維持しているジオン族に騎士ガンダム一行は、真の支配者がブラックドラゴンではなく、別の人物ではないかと考えるようになる。 そして、巨人追跡の旅を終えた時、一行はジオン族における真の支配者の仮の姿を見ることとなった…。


1985年に始まったSDガンダムは、当初は元のガンダム作品をパロディ化し、同時にMSを2頭身にして可愛らしさを出したのだが、 それに加えて豊富なキャラクターも相まって、当時の少年層を中心に大ヒットとなった。 後に、様々な外伝作品も登場するようになり、剣と魔法のファンタジーであるSDガンダム外伝も、この時期に誕生することになった。

SDガンダム外伝の展開は、これも当時大ヒットとなっていたカードダスを媒体として進められ、同時期にコミックボンボン内の漫画でも、カードダス版に準じたストーリー展開を行った。 主に、ギャグ路線で進んだSDガンダムだったが、外伝作品のほとんどはあまりギャグ物が少なく、SDガンダム外伝も勧善懲悪主義とはいえ、主にシリアスな内容となった。

もっとも、大人気であったことはいうまでもなく、ストーリー構成も一般のRPGをベースにしているため、その手のユーザー層にも好評があり、 シリーズがスタートした翌年の1990年8月11日、FCにおいて再現されることになった。


ストーリーは、SDガンダム外伝のジークジオン編を基にしている。 ただし、1つの物語を4章に区切っているため、このゲームでは1章と2章までしか収録されていない(ジークジオン編は、同年の終わり頃に完結)。

それでも、章ごとの終わりに完結を思わせるものが存在しているので、エンディングを見ても悶々とすることはあまりない。 とはいえ、カードダス版を知ってるプレイヤーにとっては別だったが(ゲーム発売当時は、まだジークジオン編が続いていた)。

フィールドやコマンドウィンドウ、戦闘や装備などといったゲームシステムは、ありとあらゆるところでドラゴンクエストシリーズとそっくりにできているが、 ドラクエ版ガンダムというわけではなく、それに加えてこのゲーム独自の要素も付け合せた。

戦闘については、『さくせん』というコマンドが新たに導入され、オートの『ぶんさん』や一体の敵をパーティ全員で集中攻撃する『しゅうちゅう』、 敵の防御力を下げ気合の一撃(会心の一撃と同じ)を出しやすくする一方、回り込ませる仲間が敵の攻撃を受けやすい『まわりこむ』という戦術が取り入れられた(『たいきゃく』は逃げると同じ)。 このため、戦闘のバラエティの豊富さに加えて、敵が1体しか出ない場合における『しゅうちゅう』の効果(スピーディ)も大きかった。


また、4人目の仲間が登場した序盤では、早くもラクロア城地下1階でパーティ入れ替えができる(ガンダム除く)。 パーティのメンバーによっては、戦闘を回避できるイベントもあるので、個人で楽しむ編成のほかにも、イベントにおける編成も重要視されることになり評判を呼んだ。

メンバーから外れた仲間も、必ず戦闘に加勢してくれるが、1人しか出ない上に出る仲間もランダムでしかない。 それでも、5人で戦闘に臨めることはとても大きく、翌年発売の『ファイナルファンタジーW』より先駆けて実行したことも、その意義は大きいのではないだろうか。 しかも、助っ人に来たキャラも経験値をもらえるので、パーティ助っ人共々大きな助けにななったに違いないだろう。


しかしそれ以上に、このゲームになくてはならない要素がある。 それは、カードダスのことであり、このゲームの世界でも20G(現実世界では、1枚20円)で買うことができる。 再現度もなかなかのもので、カードの背景や裏側に書いてあるストーリーがないこと以外は、現実の世界のものと一緒である。

カード下にある説明文もないが、それはFCでのアレンジ解説でカバーしている。 さらに、集めたカードダスを使ってのバトルも存在し、この手の遊びは番外になるところをストーリーに組み込むことで、 あえてこのゲームの原作がカードダスであるという配慮も忘れていない。


実際に、カードダスを利用するのは序盤とはいえ、本格的に楽しむのは終盤以降となる。 そのメインとなるカードダス島に行けるのは、物語の終盤になってからであり、カードダスを集めるにもそれ応の資金がかかる。

一応、1種類のカードごとに3枚まで所持できるが、それ以上手に入るとノーマル、プレミア問わず10Gで引き取ってもらえる。 また使ったカードは、勝敗に関係なくなくなってしまう。 だが、カードダスバトルをしても金と経験値が手に入るので、相手が出すカードの種類によっては、予想以上の見返りがくる。 このカードダスバトルは、非常に好評があり、続編以降にも採用された。

それ以外の要素は、レベルアップ時におけるHPとMPの全回復と、まだ重要イベントを消化せずに先に進もうとするときにでる、 妖精ジムスナイパーカスタムの助言ととうせんぼ、全滅したときに所持金が減らない保険の導入など、常に初心者に配慮したものとなっている。

特に、毎回のレベルアップにおけるHPとMP全回復は、ボス戦直前においてかなり効果を発揮したといっていい。 個人が持てるアイテムの数に限りがあったため、ボス戦前にレベルアップすると、思わずにんまりとするプレイヤーが多かったはずだ。 もっとも、ジムスナイパーカスタムの助言の場合、先の街に進んで新しい武具を買いたいと思うプレイヤーにとっては、少々余計な配慮だっただろうが。


さて、このゲームにおける最大の欠点といえば、魔法の名称とその効果だろう。 ドラクエシリーズやFFシリーズなどのRPGでは、わかりやすい魔法のネーミングがあったのに対して、 ナイトガンダムシリーズはプレイヤーに「?」を思わせるものが多い。

そのほとんどは、ガンダムシリーズの武器や装備などをもじっているが(スダドアカワールドにある施設も、ガンダムシリーズの地名などをもじっている)、 そのためにあまりにももじりすぎたことが一番の要因だろう。 それ故に、この魔法はどういう効果なのか使ってみなければわからないことが多かった。

もちろん、わからない魔法を全て使えばこの世界の魔法の内容は理解できるが、それにかかる時間や少尉されたMPの量、 MPを回復するために何度も宿屋に泊まらなければならないのは、少々手間がかかりすぎる。 宿屋でセーブできることを差し引いても、レベルがポコポコ上がる序盤ではあまり意味がないのかもしれない(ステータスが全回復するため)。

ガン系やサーベ系は単体で、ファン系は全体攻撃がその代表だが、一方でミディ系はHP回復でミノフス系は魔法封じというように、多少内容がわかる魔法も存在した。 このゲームに登場した魔法は、続編以降も登場しプレイヤーの助けとなっていくが、いずれにせよ説明書がなければわからないことには変わりなかった。 とはいえ、ガンダムの世界をファンタジーに置き換える以上、ガンダム用語をもじったり当てはめるのは致し方なかったのかもしれない。

魔法のネーミングや効果の説明以外にも、先に挙げたジムスナイパーカスタムのとうせんぼにある自由度の低さも(RPGに慣れたプレイヤーにとって)問題になったが、 ゲームをドラクエをベースにしていることに加えて、カードダス版の世界観を無理なくゲームに収めてあるため、SDガンダム世代の子供達を中心に大人気となった。

この時期は、ドラクエWやFFVをはじめとして、様々な人気ゲームが登場したのだが、先ほどの理由のほかにもコミックボンボンによる大規模な宣伝も功を奏したといえるだろう。 このおかげで、続編を作る土台ができたばかりか、カードダスや漫画で続いているシリーズにも影響を与えた。 かくて、翌年発売の続編で、このゲームでのジークジオン編は完結を見るのである。


私にとってナイトガンダムシリーズは、第1作目よりも続編のほうが思い出が深い。 もちろん、第1作目もリアルタイム時にプレイしたことがあるのだが、RPGといえばドラクエやFFのほうが個人的な考えが強く、ガンダムゲームといえばガチャポン戦士シリーズしか思い入れがなかった。 とはいえ、当時のカードダスは結構集めていたことに加えて、ボンボンで連載されてた漫画版も結構面白く、あのときのボンボンは輝いていたと思った(当時は、まだコロコロの読者だった)。

結局、私が本格的にプレイしたのは、大学時代にプレイした第3作目よりもさらに後になった現在である。 プレイして間もない頃は、ドラクエのパクリとたかをくくっていたが、『しゅうちゅう』や『まわりこむ』といった作戦の導入における戦闘の奥深さや、 毎回の戦闘時にパーティに加わってないキャラの参戦を知ったときの衝撃は、一瞬でドラクエのパクリを改めることになった。

また、レベルアップ時におけるHPとMP全回復も、序盤やボス戦前には結構お世話になったし、主人公のガンダムも他の大部分のRPGと違って、 寡黙になることがなくいつもしゃべるので、なかなかに面白みがあると感じた。

しかし、やはり魔法の名称がもじりすぎたこともあって、使ってみなければわからないものが多かった。 もっとも、購入したときは箱と説明書なしだったので、説明書なしでゲームを始めた自分にも、多少の責任はあるかもしれない。

それと昔、続編をめいいっぱいプレイしたのだが、そのときの魔法に関する記憶が完全になくなっていたことも、今になってはプレイ前にもっとネットで調べておくべきだったと後悔している。 近日中に、続編をプレイすることがあるが、魔法関連も大部分は覚えたし、第1作目よりも面白いという記憶はあるので、数日間の間結構のめりこむ可能性が大きい。


本日のまとめ



このものがたりの しゅじんこう ラクロアのへいわのために いのちをかけて たたかうぞ!

(07/4/3レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年5月1日
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