◆けいさんゲーム1年生◆
教育メーカーによる教育用ゲーム



1986年4月25日発売   発売元:東京書籍   ジャンル:その他
価格:4900円   おすすめ度1.5(単調な分飽きやすい…)


1983年に誕生したファミリーコンピューターは、子供達やゲーマーの人気を集め、誕生からわずか4年足らずで、実に100本以上のゲームを作り出すことができた。 特に1986年は、ファミコンの第1期黄金時代であり、その年の流行語に『ファミコン』が選ばれるなど、まさにファミコン一色の日本列島であった。

だが、子供を持つ大人たちは、「ファミコンするよりも勉強をしなさい。」と言い放つ。 『ファミコンは、ただの遊び道具の1つ』というのがその理由であった。

任天堂も、こうなることを予想していたので、『ポパイの英語遊び』や『ドンキーコングJr.の算数遊び』といった、 いわゆる教育ソフトを売り出したのだが、親子ともども人気はいまひとつだった。 次々とゲームソフトが誕生し、子供達がファミコン漬けになるのを見かねて、ある会社がファミコン業界に参入した。

その会社は、大手教科書メーカーの東京書籍。

まったく、ゲーム制作に縁がない東京書籍のファミコン業界参入は、親達にとって複雑な目で見られることになった。 「きっと、子供達の勉強離れを阻止できる。」の意見もあれば、「東京書籍も、結局はファミコン業界に居座り続けるのではないか。」という意見もあり、 親達には東京書籍の成り行きを見守るしかないのが現状であった。


教科書メーカーである東京書籍は、色々な科目の教科書を制作しているが、特に算数に重点を置いている。 このため東京書籍は、算数のゲームを作ることにしたのだが、算数以外の科目では親が望むゲームが作れないということもわかっていたのかもしれない。

現在では、算数以外の教育ソフトがかなり作られており、特にニンテンドーDSの『脳を鍛える大人のDSトレーニング』シリーズは、 2006年8月現在で約273万本ものの記録を打ち立てている。

算数のみのゲームを作ることに決めた東京書籍は、ファミコン層の割合が小学生に多いことを背景に、1学年ごとに1本の割合で制作し、 発売時期については5本(5、6年生は『計算ゲーム5・6年生』となっている)とも同年発売としながらも、1〜3年生は4月25日、4〜6年生は10月30日の2つに分けて発売することにした。

これについては、残念ながらよくわかっていないのだが、ファミコンにのめりやすい低学年バージョンから発売することにより、親からの評価を見定めていたものと思われる。


さて、肝心のゲーム内容だが、足し算と引き算の2種類をゲームにしたものである。 ただし、どちらも1と2に分かれており、2のほうが計算が難しい(2桁の計算をするため)。 いわば1本のソフトで、4種類のゲームが楽しめるわけであり、他の計算ゲームソフトも4種類のゲームが遊べるようになっている。

1年生の場合、たしざん1がカーチェイス風となっており、数字をつけた車の中で正解と思われる数字をつけた車に、後ろから取り付いていくもの。 たしざん2は、8つの歯に数字が書かれており、虫歯菌をよけながら正解と思われる歯をドリルで突っつくもの(上ドリルは上+Bで、下ドリルは下+B)。

ひきざん1は、柵内にいるウサギが毛虫をよけながら、数字が書かれている11個のパネルの内、正解のパネルをまたぎながら恋人のウサギまでたどり着くもの。 ひきざん2は、政界の数字が書かれている気球に乗り、十字キーで下以外を操作し、左右端から現れる鳥を避けながら、左上端にいるかごを加えた鳥が右上端にたどり着くまでに、そのかごに接触するというもの。

どちらも、難易度設定があり、かつゲームが進むごとにお邪魔キャラのスピードが上がっていく。


ところで、このゲームの人気はどうだったのかというと、評価の基準が難しい。 元々このゲームは教育用であって、純粋にゲームを楽しむためのものではない。 もっとも、ミニゲームをつけることにより、楽しく算数ができるという意図があったのだが。

まずゲームとしての基準だが、小さい子供が楽しめるように、あえて操作は単純なものにした分、奥が浅く飽きやすい部分がある。

では教育用という基準で考えた場合、楽しく算数ができるというところはあるのだが、結局のところ正解するには、答えのほかにプレイヤーの腕が必要になってくる。 つまり、正解がわかっていても、お邪魔キャラにぶつかってしまった場合意気消沈するのは確実で、ゲームスピードが上がってくるともはや計算どころではなくなってしまう。 その計算だが、式が出た後にボタンを押さなければ、じっくり考えることができるので、早い話がゲーム重視の格好となってしまう。

これらを組み合わせて考えると、教育用ソフトとする一方、ゲームソフトとしての売り上げをあまり度外視しなかったばかりに、 どの方向にも特化しなかったことが、内容的にも売り上げ的にも苦しい立場に追いやられる格好となったといっていい。

そもそも東京書籍は、あくまで教科書メーカーであって、決してゲームメーカーではなかった。 ただ、ゲームを作る以上、できるだけ高い売り上げを見込みたいという気持ちが、開発スタッフの頭の中にかすかにこびりついていたのかもしれない。 しかし、小学一年生がプレイすることを考えると、このゲーム内容は妥当かと思われるし、親から見ればなかなかよくできたゲームといい評価をするようになった。

だが、そこまでならよかったものの、すでに2年生と3年生で同じような評価をもらった東京書籍は、4年生と5・6年生の開発に着手する。 そして、どちらも出来が悪いという評価をもらった上に、子供達も東京書籍のゲームで勉強するよりは、自分で勉強したほうがいいという考えに変わってきていた。 遊びながら勉強ということは、子供達にとっていわば拷問に近いものである上に、親にとってもわざわざ算数のためにこのゲームを買う必要はないという考えに変わりつつあった。

とはいえ、任天堂が発売した2本の教育ソフトのようにゲームに特化したものではなく、あまりゲームに特化せずに対象年齢向けに難易度や操作性を調整したことは、評価に値すると思う。


私は、小さい頃このゲームを親に買ってもらった記憶がある。 買ってもらったというより、買わされたといったほうがいいのかもしれないのだが…。

ファミコンをプレイして、まだ数ヶ月程度だったので、無邪気になってプレイしていた。 親は、別に教育用として購入したわけでhななかったと思う(私はそんなこと考えてなかったし)。

それから去年の10月、レビューを書くためにプレイしたのだが、あまりの単調さにほんの数十分程度でプレイするのをやめた。 レビューの中で、『忘年会に向いてる』と半ばふざけ気味に書いたのだが、冷静に考えてみるとあまりそうとは思えず、逆に虚しさだけが残るのではないかと考えてみた。

レビュー書いた時期も、まだまだHP出来たばっかりで、私自身もはしゃぎすぎていた感じがあったのだが、冷静になって読み直してみると、あまりの変な文章のためにこちらが恥をかく羽目になってしまった。 そのため、今までのお茶らけたレビューの書き方を改めて、一般的なレビューの書き方に修正した。

レビューを修正するために、また一度このゲームをプレイしたのだが、記憶に残っているということで十数分程度でやめてしまった。 やっぱり、子供達にとっては苦痛に近いかなと思っているが、買った親の当時の心境としてはいかがなものだったのだろうか…。



本日のまとめ


10−7=6×

(06/10/6修正)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年4月1日
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