◆キングコング2 怒りのメガトンパンチ◆
面白さ………映画<ゲーム



発売日:1986年12月18日   発売元:コナミ   ジャンル:ACT
値段:5300円   おすすめ度:3(映画より面白いゲームって…)


まず初めに断っておかなくてはならないのだが、このゲームは続編ではない。 「『2』と明記してあるのに、何で続編ではないのか。」という声が出るだろうが、こうなった理由として、映画の続編をゲームにしたことが挙げられる。 その続編は、このゲーム発売の同じ年である1986年に公開された(前作は10年前の1976年)。

しかしながら、映画のできは悪かったがために、この年の最低映画に選ばれた数本の映画に贈られる『ゴールデンラズベリー賞』の賞の1つを受賞する羽目になってしまった。 残念ながら私は、この映画を見たことが無いのだが(私が見たキングコング関連の映画といえば『キングコング対ゴジラ』と『キングコングの逆襲』ぐらいか)、 ゲームのストーリーと映画のストーリーはまったく違っているのではないかと思う。

コナミが映画を題材にしたゲームは、題材にされた映画は面白くなかったがゲームは面白いという奇妙な結果になっている。 これは、コナミが版権のゲームに強いと同時に、映画の製作に何かしらふがいのなさというものが感じられる。

もちろん、映画製作スタッフはまじめに映画を作ったのかもしれないが、その精神が変な方向に行ってしまったのだろう。 ちなみに、FC以外にもMSX2からこの映画を題材にしたゲームが出ているのだが、ゲーム内容はFC版とまったく違っている。


ストーリーは、何者かに連れ去られた恋人であるレディコングを、主人公であるキングコングが助けに行くというもの。 画面左上に体力の数値が出ていて、これが0になると1ミス(穴に落ちても同じ)。

このゲームには、最大体力を100引き上げ、ついでに体力が全回復する人工心臓(ハート型)が各ステージに1つ存在する。 体力を回復するには、先の人工心臓以外にも、敵を倒すことによって出る人口心臓とは違ったハート型のアイテムは、体力を5回復する(岩のストックも同じ)。 また、あるステージではコナミマンが登場し、取ると体力が全回復する(コナミのロゴマークを取ることにより、画面下部からコナミマンが登場する)。

攻撃はパンチと岩で、それらはセレクトで選ぶことができる(スタートボタンで別の画面に切り替わっても、その画面下部にある選択で選べる)。 岩は、数に制限があるので、そう簡単に使うことができない上に、放物線を描くようにして投げるので、威力は高いが命中率はあまりよくない。 これもストック数を増やすには、奇妙な円盤の形をしたアイテム(ロックケースと呼ぶ)をとることによって、最大ストック数が10上がる。

ほかにも、ドリンク型のアイテムはスピードアップ、光り輝いているロックケースはパワーロックといって、コングが投げる岩の攻撃力をアップさせる。 さらに体力全快するアイテムや、一定時間無敵、1UPも存在する。


ステージは9つ存在し、各ステージのボスを倒し、かつボスを倒したときに落ちている鍵を8つ集めることで、ラストステージの9に進むことができる。 厳密には、鍵8つすべて集めなくてもステージ9に進むことができるのだが、ステージ9の中間地点にある扉は、鍵8つすべて集めないと開くことができない。 もし8つ鍵を集めないでステージ9に進んでしまうと、ステージ1から戻らなければならない(最初からやり直すというわけではない)。

しかもステージ進行は、1から2、2から3と順番に進むのではなく、1から3、3から5と飛び飛びに進むことが可能となっている。 いうなれば、『スーパーマリオブラザーズ』のワープ土管風なのだが(このゲームでのワープは扉で表している)。 しかも、特定のステージにいたっては、ある工程を踏まないと入ることができない。いい意味で斬新、悪い意味で理不尽ではある。

理不尽といえば、ステージ9の進み方。一見行き止まりのような部屋がいくつかあるが、実はどこかに通り抜けできる壁が存在する。 しかも、基本的にノーヒントであるため、初めてプレイした人は、必ず行き詰った違いない。 さらに、ロックケースを集めすぎると、ストックできる岩の数が激減する。

これは、ストックできる岩の数が90個のときにロックケースを取ると100個になるのだが、このゲームでは最大ストック数が90個なので、 そのときにロックケースを取ってしまうと、ストック数が0になってしまう。

せめて最大ストック数が99に、もし最大ストック数が99のときにロックケースをとっても、 特に最大ストック数が変わらないようにプログラミングをかけるべきではなかったか。


話を変えてこのゲームの面白さだが、なんといっても各ステージにある建造物を次々に破壊することだろう。 それもパンチや岩で壊すよりも、ジャンプで踏み潰した方がより快感度が増す。 すべて建造物を壊しても、スクロールすればすべて元通りとなる。

しかも、着地地点(敵の真上)やタイミングが合えば、敵も踏み潰すことも可能(時々ダメージを受ける場合もあるが)。 当然ながら、それができるのは雑魚に対してのみ(一発で倒せるから)。 ボスでやると、コングにダメージを食らうのみ(ボスにはダメージを与えることができない)。

しかし、面白さはこれのみというのも悲しい(私なりにプレイしたが、建造物破壊しか思いつかなかった)。 このゲームの面白さを阻害してるといえば、まず第一に難易度だろう。 特にステージ1では、まだ序盤なのに、ボスエリアの扉の少し前にいる戦車部隊がやっかい。何しろ、弾を雨あられとばかり撃つのである。 ステージを進むごとに、それが顕著に表われている。


第二は、それに加えて落とし穴の数が非常に多いことが挙げられる。 といっても、落とし穴が存在するステージ数は3つのみなのだが、その数はもちろんのこと、落とし穴の配置が非常にいやらしい。

例えば、ステージ1の序盤にあるパワーロックのあるところの上下に、巨大な穴が2つ待ち構えていて、その上に戦車2台が待ち構えているのである。 ステージ7では、ステージの内容ゆえに落とし穴が非常に多い。なんといっても、足場が非常に少ないのだ。

また、スピードアップを取ればコングの足が速くなり、ジャンプ力もアップするのだが、スピードアップを取るたびに段々と速くなり、 比例してジャンプ力も上がってくるため、自分のジャンプ力やスピードを把握しとかないと、必ず穴に落ちる羽目になってしまう。

プレイヤーがこの3つのステージで1ミスすることが多いのは、この落とし穴ではないだろうか。


では、このゲームはクソゲーかといわれれば、あながちそうではない。 アクションのつぼはちゃんと押さえてあるし、先ほどにも述べたように、建造物を壊す快感がとても心地いい。

そして音楽が、当時としてはかなりすばらしかった。 当時のコナミのカートリッジには、まだ音源チップは搭載されてなかったが、それでもなかなかにBGMの質が高かった。 個人的にステージのBGMのサビの部分と、ボス戦のBGMがお気に入りである。

グラフィックにしても、これも当時としては、かなり細かく描かれている。 BGMやグラフィックがなかなかにすばらしかった理由は、このゲームの容量が2Mだったということである。

この年には、すでに発売されている『がんばれゴエモン! からくり道中』で、FCソフト初の2Mソフトが発売された。 しかしゴエモンは、2Mという性能をボリュームとして押し出してしまったばかりに、ただ単にステージ数がだらだらと長すぎるだけのゲームに成り下がってしまった。

キングコングは、こういった反省から誕生したゲームで、ゴエモンと同じ2Mでも、容量をステージ増加に使うよりも、BGMやグラフィックの質の高さに使うことにしたのである。 こういったやり方は、後に『沙羅曼蛇』や『グラディウスU』などにも使われることになる。


このゲーム発売まもなくのころに、私はいとこの家でかなりプレイしたことがある。 建造物を、パンチではなくジャンプで潰す快感が、子供ながらに病み付きになってしまった。

ただ結局のところ、当時はまだエンディングまで到達していなかった。鍵を8つすべて集める云々よりも、ステージ自体難しかったからだ。 またボス戦にしても、攻略法がわからなかったためにかなり苦労し、せいぜいステージ7まで進めたのが、当時の私としての最高記録だったかと記憶している。

このレビューから数年前に、ニューファミコンを中古で買ったと同時に、このゲームも中古で購入した私は、 ネットの攻略ページを見ながら、十数年間にわたるキングコング2の攻略を成し遂げることができた。 もちろんこのゲームは、一周エンドではなくちゃんと2周目もあるのだが。

先ほど書いたとおり、落とし穴や敵の攻撃の激しさもあって、やっぱり個人的にはこのゲームは難しかった。 でも、BGMは少ないながらも、結構かっこよかったし、特にボス戦のBGMが好きだった。

ところで、このゲーム発売の1年2ヵ月後に、『コナミワイワイワールド』なるゲームが発売される。 このゲームは、今まで発売されたコナミのゲームから、人気のキャラを登場したものである。

その中に、キングコング2の主役のキングコングが登場していた。 おそらく人気ゲームの1つに選ばれてのことだろうが、そもそもキングコング2は同名の映画を基にして作られたゲームである。 早い話が、版権のキャラを使っていると同じことである。

にもかかわらずワイワイワールドに登場したのは、いったいなぜなのかよくわからない。 このゲームが好評だったのか、映画の製作元に許可を取り付けたのか、はたまた映画とゲームの内容の接点がまったく無かったのか…、 真相は闇のままである…(このことを知っていたら、掲示板に連絡ください)。



本日のまとめ



I LOVE
LADY KONG

(06/6/6レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年4月21日
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