◆ホーガンズアレイ◆
缶飛ばしは一体…?



発売日:1984年6月12日   発売元:任天堂   ジャンル:光線銃系STG
値段:4500円   おすすめ度:2(缶飛ばしがだめだ…)


光線銃シリーズの第3弾にして、最終作。この時期の任天堂は、やや息切れがかかっていた。

任天堂は、約一ヶ月に一本という割合でソフトを開発してきたのだが、それで満足するようなFCユーザーではなかった。 「ユーザーに飽きられないように、周辺機器も開発しなくては。」という意気込みから生まれてきた光線銃も、苦しい展開を繰り広げていた。 何しろ、2ヶ月で一本というあまりのスローペースで作られたため、ユーザーの不満は高まり、人気も下降気味であった。

こういった事情の影で『ホーガンズアレイ』は登場したが、テーマが一応『警察の射撃訓練』となってはいたものの、1つのモードによりテーマがあやふやになってしまった。 それに関しては後で詳しく述べるとして、ほかにも光線銃ゲームが振るわなかった一番の理由として、普通のファミコンソフトが任天堂が思った以上の人気を見せたからだ。 特に『ゴルフ』は、年配のユーザーを中心に幅広い購入層が広がり、爆発的なヒットではなかったがロングランにより、約246万本の売り上げを記録することになった。

この事実を知ってか知らずしてか、任天堂は光線銃の苦戦とそれ以外のソフトの好調により、光線銃シリーズを断念せざるをえず、 同じ月の21日に発売される『ファミリーベーシック』に期待することにしたのだが…。


『ホーガンズアレイ』もご多分にもれず、ほかの2作品と同じくモードが3種類ある。

Aモードは、警察の射撃訓練という形で、3つの標的板が出てくるのだが、そのうちの一枚はギャングであり、キャラのパターンは3種類ある。 それを撃つことで、次のステップに進むことができる。

ついでにギャング以外のキャラとして、警察官、女性、教授の3種類があるが、それらを撃ってしまうとミスとなってしまう。 また制限時間内にギャングを撃たないと、これもミスとなる。場合によっては、ギャングの板が2枚出てくることがあるので、注意を要する。

Bモードは、市街地に見立てての射撃訓練である(当然訓練しているところは警察署)。 このモードは、場所を少しずつ移動し、時間差的に次々と現れるギャングの板をすべて撃ち倒せばクリアとなる。

当然いつものごとく、それ以外の板も出てくる。なお次のステージに進んでも、市街地自体が変わるわけではない。


Cモードは、一変して缶飛ばしのゲームになる。 やり方は、空き缶を銃で撃って缶を上昇させ、画面左にある3つの得点のゲージ(?)のうちのどちらか1つに入れること。 5つ空き缶が飛んでくるが、空き缶を落としてしまうと1ミスとなり、一定数ミスをしてしまうとゲームオーバーとなる。 ちなみに空き缶を画面上部に消しても、別にミスとはならない(当然得点は手に入らない)。

得点ゲージは上から順に、300点、800点、5000点となっている。 それと、得点ゲージの左にある板の上に空き缶を乗っけると、100点が手に入る。

コツとしては、空き缶を撃つときに真ん中を狙うのではなく、空き缶の少し下を狙って撃つと、飛ばすことができる。 それと、高得点である5000点を狙わずに、300点や800点を狙うようにすれば、ミスを犯す確率は低くなる。


このゲームにおけるテーマの『警察の射撃訓練』において、なぜ1つだけテーマとはまったく関係の無いモードが入ってしまった理由として、単純にネタに困ったのではないだろうか。 前2作の『ワイルドガンマン』と『ダックハント』は、3つあるモードにすべて同じテーマが含まれていたのだが、『ホーガンズアレイ』のみ、1つだけテーマが全然違うことからそれが伺える。

前2作の場合は、実際的に2つのゲームだったが、Aモードを難しくしたのがBモードであることを考えると、 ホーガンズアレイのAモードは、前2作のように難しいモードを作れるようなモードではなかったのではないだろうか。 それが証拠に、このゲームにおけるBモードは、外見はAモードに似ているようで、内容はまったく違うものになってしまっている。

そのため、このゲームにおけるテーマの枯渇感が、光線銃シリーズにおけるテーマの枯渇感となって現れ、結果的にホーガンズアレイで光線銃シリーズを終わらせてしまった。 その後光線銃シリーズは、意外な形で復活することになる。それが、スーパーファミコンの『スーパースコープ』である。

形や持ち方が違えど、基本的なシステムは、間違いなく光線銃シリーズを踏襲している。 しかし、スーパースコープが誕生するには、光線銃シリーズの終了後、あと9年待たなければならなかった。

結果的に光線銃シリーズは、売り上げ的には失敗するものの、ファミコンの幅を広げた役割に関しては、大成功だったのではないだろうか。 実際、9日後に登場する『ファミリーベーシック』はもちろんのこと、翌年に登場する『ファミコンロボット』やバンダイの『ファミリートレーナー』は、 「ソフトだけ出していては、必ずユーザーに飽きられる。」という危機感から誕生した光線銃の意志をついでいるかのようなものであった。

そして、コナミの『ビートマニア』やナムコの『太鼓の達人』などといった次世代コンシューマーの周辺機器がが、見事13年以上の年月をかけて、 ようやく光線銃が成しえなかった、周辺機器専用ソフトの大ヒットを達成することができたのだ。


私は光線銃シリーズの中で、一番マイナーだと思っていたホーガンズアレイ…。 現に、初めてプレイしたのが、光線銃シリーズをレビューするために購入したときなのだから。

しかし、いざプレイしてみると、意外と面白かった。 もちろん、Cモードの缶飛ばしはあまり面白くなかったのだが、AとBのモードはなかなかに面白かった。

特にギャングの中に、なぜかルパン三世の銭形警部がいるのを見て、思わず吹いてしまった。 当然ながらそっくりさんなのだが、似てるとはいえ警部がギャングになってしまった様を見て、同時に妙に哀れさが出てしまった。

ともあれ、プレイ前に低評価を出していた私は、即座に評価を少し上げることにした。 もっとも、ダックハントよりはあまり面白くなかったのだが。

その結果、一位はダックハントで二位はホーガンズアレイ、三位はワイルドガンマンとなった。 やっぱり、光線銃は奥が(やや)深かったことを、今更ながらに思い知らされた。

今度、光線銃のパワーアップバージョンのスーパースコープ関連のゲームをレビューしてみたいと思う。 そのためにかかる出費は、ある程度覚悟しておかないと…。



本日のまとめ



ぜ、銭形のとっつあん…!?(違います)

(06/5/31レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年4月20日
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