◆特救指令ソルブレイン◆
らしくないキャラゲー(褒め言葉です)



発売日:1991年10月26日   発売元:エンジェル   ジャンル:ACT
値段:6000円   おすすめ度:4(元のゲームが素晴らしすぎ)


これは、特装救急警察ソルブレインが正式に発足する前の物語…。平和なある日、突如謎のロボット軍団により、街は占拠される事態となった。 すぐさま警察隊による鎮圧を開始するものの、敵の圧倒的な軍事力により、逆に返り討ちに遭ってしまう。

この事態を重く見た、警視監の正木俊介本部長は、アメリカ留学中にFBIで訓練を受け、後に特装救急警察ソルブレイン行動部隊の隊長となる西尾大樹に出動を命じた。 だが、ヘビータイプのソリッドスーツ・ソルブレイバーはまだ最終調整の段階にあり、ケルベロスを初めとする一切の武器や、ソリッドステイツTといった大型メカはまだ配備されていなかった。 大樹はソルブレイバーにプラスアップし、苦戦が予想されながらも、ロボット軍団に果敢に挑んでいった。

一進一退の攻防が繰り広げられるさなか、謎のロボット軍団の黒幕が明らかになった。 その黒幕の正体は、人工知能により意志を得た攻撃型ロボットであった。 彼の目的は、サイボーグ兵士を操って核ミサイルを発射させ、人間はもちろんのこと、あらゆる生物を死滅させて、地球をロボットだけの惑星にすることであった。

彼らの野望を打ち砕くべく、ソルブレイバーはこの任務のために作られた特殊兵器と共に、未知なる強敵に単身立ち向かっていくのだった。 戦え、ソルブレイン!今だ、プラスアップ!!


バンダイの子会社であるエンジェルのゲーム第一弾。 このゲーム発売前のバンダイは、色んなゲームを世に送り込むため(一年に発売できるゲームの数は限られていた)、次々と子会社を設立した。 それが、エンジェル、バンプレスト、ベックである。

そしてエンジェルも、三社の子会社と同じ経緯で誕生した。現在は、エンジェルのみバンダイに吸収されていった。

ちなみに、バンダイの子会社的存在であるユタカは、元々は新正工業という名前であったが、その後バンダイの資本提携により4年後に社名を変更。 2001年には、ポピーという名に変更し、ここに新生ポピーが誕生することになる。

エンジェルの出したゲームは、キャラゲーがほとんどだが、その大半はSFCで発売されている。一方FCの場合は、たった5本とかなり少ない。 もっともエンジェルが誕生したのは、ファミコンが終焉した1994年の3年前だから、これは致し方ないといえる。

しかもソルブレインは、FC初参入第一弾でもあるが、かなりマイナーなゲームなのである。 その理由については、後ほど説明するとして…。


ゲームは全7エリアで、ステージ選択制となっている。 ただし、エリアAとエリアGは固定となっているので、ステージ選択できるのはその間の5ステージ(B〜F)のみ。

ソルブレインの最初の攻撃方法はパンチのみなのだが、敵の放つ弾丸を切り払うことができる。 その後、ステージ途中にパーツボックスを壊すと、たまにオプションパーツというものが出てきて、パンチを当てることによって『α』と『β』の2種類を選ぶことができる。

これらを適当に3つ集めてなおかつ組み合わせることによって、その組み合わせに応じたオプションが手に入る。 これが、ソルブレインのもう1つの攻撃方法であり、オプションの種類は全8種類。 貫通レーザーやグレネード弾など、なかなかにバラエティ豊かなのだが、それ以上に面白いのがオプションを使った特殊な操作である。

オプションを装備中にしゃがんでAボタンを押すと、オプションが変形し、ソルブレイバーはオプションにぶら下がって上昇をする。 その上昇中にBボタンを押すと、オプションを投げつけることができ、地形を貫通して敵にぶつけてダメージを与えることができる。

ただしその場合は、しばらくの間はオプションは戻ってこないし、敵にぶつけた場合オプションは戻ってくるが、オプションにダメージを与えることになる。 そのオプションは、他にも敵に触れたり弾に当たってもダメージを受けてしまい、最終的にはオプションが消滅することになる(オプションが点滅しだしたら、消える危険信号)。


しかしオプションが存在していて、かつオプションパーツを、所持しているオプションと同じ組み合わせにすると、最強兵器トルネードバーストを装備することができる。 トルネードバーストの威力や能力は、他のオプションのそれよりもはるかに凌駕し、場合によってはボスをもあっさりと瞬殺することも可能である。おまけに、装備中は完全無敵となる。

もちろん欠点も存在し、射程範囲が短いことや、使用可能時間が一分間、しかもダメージを受けると使用時間が減ってしまう。 それを差し引いても、トルネードバーストの威力はすさまじいといわざるを得ない。

さて、パーツボックスに入っているのはオプションパーツだけではなく、パワーパーツという物も存在する。 パワーパーツというのは、一言で言えば金みたいなもの。大小あって、小さいのが50ポイント、大きいものが200ポイントとなる。


手に入れる手段は、パーツボックスだけではなく、敵を倒すと出てくることや(オプションで倒した場合は手に入らない)、 パーツボックスを壊すとたまに出てくるパワーパーツタンク(仮名)を殴ることで手に入る(こちらは大小まんべんなく大量に手に入る)。

先ほどパワーパーツについて、金みたいなものと書いたのだが、いったい何に使うのかというと、ポイントブロックに対し使うのである。 ポイントブロックは3種類存在し、リペアーブロック、パワーアップブロック、エクスデンドブロックがそれであり、エクスデンド以外は各ステージに存在する。

これらは、ブロックの上でしゃがむことでその恩恵を受けられるのだが、そのブロックで得られる恩恵の内容は、リペアーは体力回復、 パワーアップは一定時間のパンチ力の増加、エクスデンドはソルブレイバーの数が1人増えるというもの。

これらの恩恵を受けるのに必要なパワーパーツの使用ポイントは、リペアーが300ポイント、パワーアップが100ポイント、エクスデンドが2000ポイントとなっている。 なお余ったパワーパーツポイントは、ステージクリア後に得点として換算される(1ポイントにつき得点1)ので、持越しはできない(する必要がない、ポイントブロック自体少ないから)。


このゲームにおける得点は、はっきり言って意味がない。 たとえどんなに高得点をたたき出しても、結局はソルブレイバーの人数が増えないのだ(そう無礼バーの人数が増えるのは、エクステンドボックスのみ)。

ちなみに、パーツボックスに入っているのは4種類存在し、先ほど紹介した3種類のほかに、手榴弾がある。 これはマイナスアイテムで、出してしまうと数秒も経たないうちに爆発してしまうので、逃げるかさもなくばパンチで破壊すること。

話は変わってこのゲームの難易度だが、一言で言えば難しすぎず易しすぎずといったところか。その代表的なものとして、落とし穴やとげ床といった即死床が一切ないということだ。 当然ダメージ床は結構存在するが、即死のトラップと比べるとかなりプレッシャーが小さくなる。

これで簡単にゲームがクリアできるかと思えば、そうはいかないのがこのゲームの面白さ。 即死トラップがない代わりに、ダメージ床がかなり存在するということは先ほど書いたが、それ以外にも敵の攻撃が激しいことや、 リペアーブロックがほんのわずかしかないこと、エリアのボスが異様に強いことがある。

そしてオプションの有無が、このゲームの難易度を左右するといっても過言ではない。オプションがないと、ボス戦はもちろんのこと、通常エリア突破も厳しくなる。 逆に、オプションがあればさくさくと進むことができ、トルネードバーストを装備していれば、ボスをも簡単に倒すことができる。


そのため、プレイヤーはオプションを生かすべく、慎重に行動することが必要とされる。もちろんアクションの腕に自信があれば、オプションなどお構いなしに突撃するのもいい。 どっちにしろゲームを楽しむのは、プレイヤー次第なのだから。

そのプレイヤーを楽しませるバラエティな物は他にも色々あって、それが各ステージにおける多彩な仕掛けである。 主に、特殊な操作が必要とされる水中エリアや強制縦スクロールのエレベーターエリア、重力が反転するエリアなど、実にさまざまである。 当然これらは、ダメージ床のようにプレイヤーを悩ますこと仕掛けに違いないが、逆にどのようにして切り抜けるかといった楽しみもあるともいえる。

それと仕掛けではないが、各ステージには背景にまぎれて金網がある。 実はこの金網、色んなアクションが楽しめ、金網の前で十字キーの上を押すことでへばりつくことができたり、 金網にへばりついてる途中でAボタンを押すことにより、金網を足がかりに高くジャンプすることができたりする。

もちろん金網にへばりつきながら攻撃もできるが、それゆえに金網にへばりついても、決して敵の攻撃がやむというわけではないので、その間も臨機応変な行動が要求されるといっていい。


見た目的にはもちろん、内容も非常に優れたゲームなのだが、ソルブレインのキャラゲーとして考えると、どうも失格に近いのではないだろうか。 原作TV版のテーマは、人命救助と犯罪者の心を救うというものだが、FC版ではそういったことがまったくない。

それと、本来救助用であるトルネードバーストは、なんと殺戮兵器に様変わりしている。 またソルブレイバーも、パンチで敵をタコ殴りにしたり、敵の放つ銃弾を切り払ったりと、原作とは完全に無視している。 このゲームをプレイした子供達の大半は、トラウマになったであろう。

実はこのゲーム自体オリジナルではなく、オリジナルのゲームをソルブレインのキャラや設定に無理やり置き換えただけのものであった。 その元となったゲームは、海外のゲーム『シャッターハンド』である。

海外版での発売元はジャレコなのだが、開発元は海外版や国内版と同じナツメである (ゲームではナツメの名前はないが、制作スタッフがナツメの社員なので、ナツメが制作に携わっていたことは間違いない)。


ナツメといえば、ファンにとっては硬派なアクションゲームを作ることで有名だが、 一部のファンにとっては稀代の怪作『東方見文録(東方見聞録ではない)』を作った会社としても知られている。

このゲームの主人公は、ハーマンといういかつい男であり、素手でロボットを倒す理由は、両腕に特殊合金で作られた義手を装備しているからである。 それと、主人公が手に入る最終武器がトルネードバーストではなく、プロテクトスーツを着ることになっている。

これがラスボスの真意の1つであり、ラスボスを倒したあとのエンディングでも、キャラを入れ替えたことが一目でわかるため、完全に国内版は違和感がある。 他にも色々あるが、あまりにも内容が細かすぎるので、ここでは割愛させていただくが、一言言えば海外版は、国内版より難しいゲームであるということ。

ちなみにエリアCは、国内版では遊園地になっているが、海外版では潜水艦になっている。 これは、あくまで子供がプレイするためにエンジェルが差し替えたのだろうが、元々ソルブレイバー自体が違和感ありすぎるので、あまり意味がないと思う。


私は当時、このゲームの存在を知ってはいたが、何かしらプレイする気は起きなかった。 箱絵を見て、「つまらなそうだな」と勝手に思い込んだことも1つの理由ではあったが、当時のバンダイ系列の会社が出すゲーム(特にキャラゲー)は つまらないものが多く(もちろん面白いゲームもあった)、私も何回か散々な目にあっている。

その後、偶然このゲームを調べてみたら意外と面白そうで、しかもなかなかに硬派なアクションゲームだと知って驚いた。 そして、このゲームをレビューする際にさらに調べてみたら、元々このゲームが海外のものと知ってさらに驚いた。

私を含め大概の日本人は、海外のゲームは難しいという考えを持っていた。しかしこのゲームは、難易度的に日本人にとっつきにくさがないものであった。 もっとも、国内版の場合は海外版より難易度が下がっているから、よりプレイしやすさがあるのだが。

それにしても、このゲームが非常にマイナーなのはキャラゲー云々よりも、ソルブレイン自体が非常にマイナーだということだろうか。 TV原作版は、全53話というメタルヒーローシリーズでは『重甲ビーファイター』と並んで一番多く放映されたメタルヒーローなのだが、 設定等が地味だったのだろうか、かなりマイナーな地位に落ちぶれてしまっている。

ただゲーム自体はとっても面白いので、硬派なアクションゲーマーは、ぜひこのゲームをプレイしてほしい。 最初は違和感があるだろうが、プレイしていくうちに素手で銃弾を切り払うソルブレイバーなどどうでもよくなっていくだろうから(苦笑)。



本日のまとめ



プラス・アップ!!

(06/5/24レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年4月19日
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