◆レッドアリーマーU◆
赤き魔物再び…



発売日:1992年7月17日   発売元:カプコン   ジャンル:ACT
値段:5800円   おすすめ度:3.5(やっぱり難しい!)


遥かな昔…、まだ人間界のできる以前の話である。魔界の町エトルリアに、レッドアリーマーという魔物が住んでいた。 レッドアリーマーは、一人前の戦士となるべく、戦士の訓練所へと毎日通っていた。

そんなある日、レッドアリーマーがいつものように、訓練所で訓練を行っていた最中、突如黒き光が魔界全体を襲った。 その光は、エトルリアの住民のほとんどを死滅させるのに十分であり、魔界の王の1人でありエトルリアの町の主であるモーロックもまた、黒き光により死亡してしまう。 レッドアリーマーはモーロックの遺言を元に、黒き光やそれに関連する謎の軍団を調べると共に、それらによって壊滅状態となった魔界を救うべく戦いを挑むのであった…。

魔界村シリーズで、主役のアーサーのライバルであり、一部のファンの間では人気が高いレッドアリーマーが主役となっているゲームである。 ゲームタイトルに『U』と表記されているが、これはゲームボーイの『レッドアリーマー 魔界村外伝』の続編であることを意味している。

前作における、魔界村シリーズとは違った特徴といえば、ホバリングができたり空を飛んだり、何よりもレッドアリーマーが主人公であり、彼が活躍する舞台も魔界であるということだ。 そして何よりも、RPG的な要素を取り入れたことにより、魔界村シリーズとの差別化を決定的にした。 RPG的な要素といっても、ドラゴンクエストといった一般のRPGのようではなく、移動や会話のみを取入れだけで、戦闘に関してはすべてアクションゲームになっている。

魔界村シリーズをプレイした人にとって、『レッドアリーマー 魔界村外伝』はとっつきにくい感じはあったが、一部のファンを生むきっかけとなり、 アクションは違えどその本質は魔界村シリーズに通じるものがあり、レッドアリーマーの人気と共にそのゲームの人気も伸びてきた。


ゲームシステムは、GBの前作とほとんど変わりはないが、GBの前作を知らない人のために説明すれば、このゲームにはRPGパートとACTパートの2つが存在する。 前者は、普通のRPGとさして変わりはないが、唯一違うといえば、買い物という概念がないこと。

ただし、フィールドやACTパートに落ちている魂(つぼの形をしているあれ)を集めて、 特定の人物に闇の力(プレイヤー数)を一定数の魂(10〜20個)と交換することから、ここだけ買い物の概念は残されていると思う。 それと経験値の概念はないが、ゲームが進むごとに、ジャンプの能力やライフの増加といったパワーアップをすることから、RPGのような成長システムが設けられていた。

一方後者は、フィールドにいる魔物に話しかけたり、洞窟や宮殿などに入ると発生する(一部発生しないところもある)。 操作方法は、ジャンプした後Aボタンを押すことによるホバリングと空中移動(ホバリングゲージが残っている間は使用可能)、 壁への貼り付け、特殊武器の選択など、今までのアクションゲームとは一癖も二癖もある。 特にホバリングの場合、ホバリングゲージを有効に使わなければ、とげの床に落ちてしまったり、高いところに届かないこともある。


ところで特殊武器の選択の方だが、このシステムは同じカプコン制作のロックマンシリーズに似てはいる。 しかしロックマンシリーズと違う点は、特殊武器の大半が、これがなければ先に進めないという性質を持っているため、イベントアイテムの意味合いも強い。

FCの続編は、特殊武器の数が増えて、バラエティ豊かになった。 前作は、通常武器のファイヤーの他に、岩を砕くバスター、とげの壁に張り付く壁を作れるクロー、最強の武器ダークファイヤーがあった。

続編ではそれらに加えて、足場を作れるトルネイドが追加された。これにより、アクションのバラエティにさらに幅をきかせることができたのだ。

あとは最初にも書いたように、それ以外では前作と変わりはない。 なので、前作をプレイした人にとっては、プレイに苦労することなく楽しめる、…かと思う。


魔界村の外伝的作品の第2弾であり、なおかつアーサーのライバルであるレッドアリーマーが引き続き主役となったこのゲームだから、かなりの人気は出るのではないかと思われていた。 だが、魔界村シリーズの人気に比例せず、このゲームはあまり人気がなかった。

ファミマガのゲーム通信簿では、18点台と一応面白さでの合格点はクリアできた。 合格点をクリアしたとはいえ、あくまでぎりぎりであって、本当の面白さを評価される20点台には届かなかった。

こうなってしまった理由として、このゲームシステムになじめなかったプレイヤーが結構いたことと、このゲームがファミコン末期に誕生したことが挙げられる。 特に後者のほうは、人気ゲームがSFCに移行してしまったり、このゲーム発売の前年である1991年には、魔界村シリーズの第3弾『超魔界村』が発売された。

さらに悪いことにこの時機は、『ドラゴンクエストX』や『ストリートファイターU』といった、大人気ゲームの特集や攻略が毎回のように組まれていて、とても『レッドアリーマーU』を特集する余裕などほとんどなかった。

その上、この時機のFCソフトは、名作と呼ばれるソフトがあまり存在していなかった(ただし人気のあるFCソフトは、意外と存在していた)ので、 よほどのFCソフト名作がない限り、SFCのゲームの大特集の添え物程度で済まされる自体が多かった。ただし『攻略のQ&A(違うかな)』では、このゲームのプチ攻略が連載されていた。


前者にしても、前作がGBだったため、知名度もあまりよくなかった。 そもそもこのゲーム自体、異端児的な扱いを受けていたらしく、一般的なプレイヤーはあまりにも濃すぎる設定やシステムに悪戦苦闘をしたに違いない。

そして、このゲーム自体の難易度がかなり高かったことも、人気拡大につながらなかった。その昔、ゲームにおける「難易度の高さ」は、ひとつの美学であった。 もちろん、操作が悪かったり普通に難しいだけのゲームが大勢を占めていたがカプコン系のゲームの場合、やりこめばクリアできる難しさがあった。

『レッドアリーマーU』にしても、やりこみによってクリアできる難しさ(要するにパターン化された難しさ)があったため、根気さえあれば誰でもクリアはできた。

だが悲しいことに、当時のゲーム業界は、誰でも簡単にクリアできるゲームが増えてきた。 特に、無限コンテニューやコンテニューにおける救済措置、さらにはゲーム自体の難易度の低下も、ゲームの難易度低下に拍車をかけた。 昔ならかなり売れていたであろうこのゲームは、時代を取り違えたという不運によって、ヒット作品にはならなかった。

しかし、高難易度のゲームを好むプロのゲーマーはもちろん、独特の世界観によって一部の熱狂的なファンに支持されてきたことも事実であって、 翌年GBにおいて『魔界村外伝 THE DEMON DARKNESS』というタイトルでリメイクされている。

ちなみに、高難易度のゲームが好まれている海外では好評だったらしく、『GARGOYLE’S QUEST』というタイトルで発売されている (『レッドアリーマーU』では『GARGOYLE’S QUEST2』として。GB版のリメイクも同じ)。


私はFCの続編より、GBの前作のほうが思い出が深かった。 ホバリングや壁の貼り付け、RPG的な要素など、何の知識も入れないでプレイすると必ず戸惑ってしまうのだが、 前作をやりこんだこともあって、意外とすんなりとこのゲームを受け入れることができた。

現に私がこのゲームをプレイしたのは、レビューを書く少し前。 当然、最近になってゲームショップで買ったのだが(箱説明書無しで780円)。

早速プレイした感想は、独特な世界云々より「ムズい」の一言。 前作で散々プレイしたことを考慮しても、やはり難しかった。でも、面白かったことも事実。 何せ残り人数を増やすために、必死になって魂を集めていたから、わざわざ難しいところに行ってしまうという悲しい性がモロに出た。

しかしその甲斐あって、難しいステージもさくさくと進むことができ、最終的にはエンディングを見ることができた。 エンディングにたどり着いたときの残り人数は6で、集めた魂は99個。 実は残り人数が9人になったときに、魂と残り人数を交換してくれる人に残り人数を増やしてくれと頼んだら、「貴重な闇の力を、独り占めにするんじゃない」と怒られた。

どうやら、9人が残り人数の最大値らしく、かなり難しいこのゲームにたった9人はきついなと思った。 一応、難ゲーの代表格であるロックマンシリーズも最大人数が9人までなのだが…。

続編として、SFCの『デモンズブレイゾン 魔界村紋章編』があるのだが、これも結構思い入れがあるゲームなので、近いうちにレビューしたい。



本日のまとめ



カーーーーーッ

(06/5/21レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年4月19日
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