◆ジャンボウ◆
ブロック崩し+麻雀=失敗作!?



発売日:1987年7月18日   発売元:ケイ・アミューズメントリース   ジャンル:PZG
値段:4900円   おすすめ度:1(完全に融合してない!)


ACからの移植であり、漢字で『雀棒』と書く。この時期AC界では、リメイクブームが静かに沸き起こっていた。タイトーの『アルカノイド』がそれにあたる。

アルカノイドは、言ってみればブロック崩しゲームなのだが、普通のブロック崩しとは違って、 アイテムをとるとパドル(アルカノイドでは『バウス』と呼ぶ)が伸びたり、ボールが3つに増えるなど、一線を画している。 また、雑魚敵やラストステージに出てくるボスキャラを入れることで、STGの要素も取り入れた。

アルカノイドの成功により、ゲーム業界では、一風変わったブロック崩しを次々と世に出すことになる。 『ジャンボウ』も、そういった形の1つであった。


ゲームのルールは、すべてのブロックを崩すことなのだが、画面下より少し上の未完成な牌役がこのゲームの大きなポイントで、 ブロックを崩しなおかつ同時に現れる牌を(有効的に)取りながら役を完成させていく。

一応役を完成させることがこのゲームの大きなポイントなのだが、別に役を完成できなくても、流局扱いとなり次のステージに進むことになる。 もちろん役を完成させれば、すべてのブロックを崩さずそのままクリア扱いとなり、できた役に応じてクリアボーナスポイントが加算される。

またアルカノイドよろしくパワーアップアイテムもちゃんと登場するのだが、あくまでブロック崩しをクリアするのに有効なアイテムだけが登場するのであって、 役を完成させるのに有利なアイテムは出てこない(でも結局は、『すべてのブロックを崩す=役を完成させる』だから、結果的に早く役を完成させる手助けということになると思う)。


このゲームの特徴は、懐かしのブロック崩しに大人が好きな麻雀の要素を加えた、いわば年配向け的なゲームなのだろうが、完全にその融合は失敗したといえる。 この理由を下記に記せば、こういうことになる。

・ボールを打つと同時に、牌やアイテムを手に入れるタイミングが悪すぎる。

・パドルやボールのスピードが不安定。

・チーやポン、カンができない。

・そもそもブロック崩しと麻雀の融合のメリットがない。

1つ目は、このゲームを批判するにあたり、必ず挙げられる理由である。アイテムやお目当ての牌を手に入れようとして、ボールを外してしまうことがよくある。 アイテムならまだいいのだが、先にも書いたようにこのゲームは、麻雀の要素を併せ持っている。うっかりお目当ての牌を落としてしまえば、流局になる可能性が高い。

またこれとは少し違うのだが、お目当ての牌が2つ同時に落ちることも結構あった。 2つ同時に取ろうとして2つとも取れない上に、ボールが下に落ちて1ミスになった人もいたのではないだろうか。

2つ目は、ブロック崩しの面白さを完全に削ぐ形となった。ボールのスピードがだんだんと速くなるのはともかくとして、早くなる時間帯が不安定なのだ。 またパドルの移動スピードにしても、Bボタンを押すと早くなるのはいいのだが、あまりにも早すぎる上に、Bを押していないときとのパドルのスピードの差があまりにも大きすぎる。 そのため、ボールの落下予測地点を思いっきり外す事態もあった。

3つ目は、おそらくジャンルゆえの理由だろう。2人同時プレイではないから、そういう動作はカットされている。 ただ個人的に、どうもそろった牌がかさばりやすい…。

それら3つの理由(3つ目はどうでもいいような気がする)をあわせると、4つ目の理由となる。 なぜブロック崩しと麻雀をかけあわせるようなことをしたのか、そもそもこんな無駄な発想を誰が考えたのか、完全に不明である。 ジャンボウに限らず、まったくそりが合わない2つのゲームを合わせるスタイルのゲームが、この時期に次々と登場することになる。


私がこのゲームの存在を知ったのは、当時のファミリーコンピューターマガジンを見たことによる。このゲームの記事を見て、「あっ、おもしろそうだな。」と感じた。 しかし、まだ私は当時子供だったので、お金は親に管理されていた。なので、ジャンボウに限らず私が面白そうだと感じたほかのゲームも、やれずじまいだった。

それから20年近くたった現在、子供のときの夢を実現すべく、250円ほどで購入。 早速プレイしたが、昔から持ち続けた期待は、ゲーム開始から1分ちょっとで、ものの見事に打ち砕かれた。

このゲームがつまらない理由は、前にも書いた4つの理由のほかに、なぜか読み込み時間があるということだ。 その読み込み時間は、ゲーム開始やステージをクリアするごとに必ず発生し、その時間は『元祖西遊記スーパーモンキー大冒険』の比ではない。

こんなつまらないゲームが面白いと思った子供の頃を考えると、あの頃は若かったなと後悔ともとれる気持ちがにじみ出てくる。 そしてまた1つ賢くなったなという気持ちも取りたいのだが…、あまりそういう気持ちにはなれない…。 なにしろ死にやすいので、もうプレイやめようかと考えたほどなのだから…(画像をよく見ればわかりますが、残機99の改造コードを使ってます。そうでもなければクリア不能なので…)。

ところでこのゲームを発売したケイ・アミューズメントリースは、『怒』シリーズや『竜虎の拳』といったSNK作品を移植している会社である。 おそらくSNK系列の会社かと思われる。現在この会社の近況がわかっていないが、多分SNKに吸収されたか、それとも倒産ということになったのだろうか…(詳しい人は、掲示板にでもご連絡ください)。

当然ながらこのゲームは、AC版はSNKが開発している。 しかも人気があると思ったのかわからないが、FC版発売の同時期に、AC版では続編が作られている。もちろん人気はいまひとつだったが。

最後にタイトル画面に出ているパンダは、ラスボスではない(多分もしやと思った人っているでしょうけど…)。



本日のまとめ



これ、失敗作でしたわ。

(06/4/25レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年4月17日
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