◆スターフォース◆
連射ブームの先駆的作品



発売日:1985年6月25日   発売元:ハドソン   ジャンル:STG
値段:4900円   おすすめ度4.5(ファイナルスターからパーサーへ…)


『スペースインベーダー』から始まった日本のSTG界は、様々な方向に進化してきた。 『ギャラクシアン』(1979年)は敵の動き(変則的な動き)、『ムーンクレスタ』(1980年)は自機のパワーアップ(ドッキング)、 『スクランブル』(1981年)ではSTG史上初の横STG、『ゼビウス』(1983年)では世界観と戦略性を初めて導入した。

そして1984年にACに登場した『スターフォース』は、爽快感を初めて導入したゲームである。

ゲーム画面を見るに、最初はゼビウスの似たようなものだと思うのだが、ゼビウスの場合は、地上物を破壊するときはブラスター(ボム)を、 空中の敵を破壊するときはザッパー(ショット)をと、交互に使い分けなければならなかった。

しかしスターフォースはそういった戦略性をなくし、ショットで全ての物を破壊できるように設定したのだ。 これにより、爽快感が生まれることになった1つの理由である。

次に、パワーアップによる連射性能の強化と前後移動の早さも、爽快感の1つでもあった。 特に連射については、このゲームにおける華であり存在でもあったため、ゼビウスとは違った印象をゲーマーに与えることとなった。

さらに高得点につながる隠し要素がつまっていることも、大きな特徴でもあった。 そういった意味合いからも、ゼビウスにとって代わる主役のSTGだとの声が上がったのだが、 奇しくもこの年はスーパーゼビウス(FC版『スーパーゼビウス』とは全く違う)とFC版ゼビウスの登場により、いまだゼビウス熱が冷めていなかった。

このため、日の目を見られるはずのこのゲームは、日陰のほうへ追いやられてしまうことになった。 この不遇なゲームが、再び脚光を浴びるには、翌年のFC版移植まで待たなければならなかった…。


翌年の1985年、ハドソンよりFC版が発売された。 元々AC版はテクモ(当時はテーカンこと『帝国管財』という名前であった)なのだが、何故かFC版の発売元はハドソンだった。

ハドソンはそれ以前にも、アイレムの『ロードランナー』を移植している。 AC版を作ったメーカーが、FC版の発売権を別の会社に指定していることを考えると、FC業界に参入するのはまだ時期早々だという考えがあったのかもしれない。

ともあれFC版の登場は、再びこのゲームに日が差したばかりか、小学生を中心に大ヒットとなった。 主な理由としては、小学館の児童漫画雑誌『コロコロコミック』による大宣伝が、功を奏したことによる。

当時小学館は、講談社と一進一退の攻防を繰り広げていた(コロコロVSボンボン、てれびくんVSテレマガなど…)。 その打開策であると同時に新しいネタとして、1983年に登場したファミリーコンピューターに白羽の矢を当てた。

その同時期として、当時ファミコン業界に参入したばかりのハドソン(昔はパソコンソフトメーカーだった)と組んで、大規模な誌上展開を繰り広げた。 また小学館は、てれびくんでもファミコンを誌上展開した。

その結果、小学館はファミコンブームの担い手の1つにまでのし上がることに成功。 1987年発売のPCエンジンも、同じようなやり方で大成功をおさめた(てれびくんではPCエンジンの宣伝をしなかった)。


ハドソンとタッグを組んだことで、小学館はある人物を世に広めることになった。名は高橋名人(本名は高橋利幸)。

1985年3月の『チャンピオンシップロードランナー』で、名人の片鱗を見せ始め、同じ年の6月には『スターフォース』で、 一秒間に16発という神業を見せ、一躍有名になり、同時に名人の称号が与えられた。

このことを知った小学館は、毎回ファミコン特集と同時に高橋名人の特集を組むようになり、高橋名人を主役とした漫画もヒットするようになった。 当然スターフォースも子供達に大人気となり(残念ながらミリオンには届かなかったが)、第1回キャラバン認定ソフトに指定されたのだ。

講談社や徳間書店も、小学館に追従する形でファミコンの特集記事を組んだのだが、先に実行した小学館のほうが一枚上手だった。

さてゲームの内容は、特にAC版とさして変わりはない。 もっとも謎解きの手がかりでもあった地上絵は削除されたものの(容量の都合によるものらしい)、それ以外はそのままFCに移植された。 当然隠れキャラやその場所もそのまま再現されている。


その有名どころであるゴーデスは、謎解きの手がかりである地上絵が削除されてはいるものの、隠し場所はそのままだったため(ステージの進み具合によっては、少しずれることもある)、 AC版をやりこんだ人には、探すにはそれほど難しくはなかった。

またマジッカと呼ばれるパネルにショットをを打ち込むと、たまに1UPを表す笑顔(ケラと呼ぶ)も、当然再現されている。

再現されているといえば、中ボスのラリオスや大ボスのエリアターゲット(Ω以降はインフニティになる)の全パターンもそうだ。 STGにおいて強い存在であるボスは、このゲームではただの建造物に過ぎない。

もちろんゼビウスに出てくるアンドアジェネシスよりは硬いが(ブラスター一発で倒せるし)、それでも他のSTGのボスと比べれば、かなりもろい。 当然、高得点を目指すプレイヤーの格好の餌食になったのは、いうまでもない。

特に中ボスであるラリオスは、5分割している状態で、その中心部分が赤く光ってから、各パーツが合体する前に8発打ち込むと、5万点ボーナスが獲得できた。


こう考えれば、ゼビウスでの得点稼ぎとはまた違った趣を感じるのではないか。 ゼビウスで1000万点を取るには、かなりの時間が必要だが、スターフォースで1000万点を狙っても、ゼビウスのようにそれほど時間はかからない。

そこでキャラバン大会では、制限時間内にどれだけ多くの得点を稼げるかという方法を採用することにした。 予選では2分間、決勝戦では5分間となっている。後のキャラバン大会でも、この方法を取り入れることとなった(STGのみ)。

短い時間により多くの敵を倒すコツとしては、出てきた敵をすばやく倒すこと。 そうすることで、敵が出るまでの間隔が短くなり、より多くの敵を倒すことが出来る(イコール高得点が稼げる)。 もちろん、ゲームの腕がうまければの話だが。

小学館とハドソンによるスターフォースの大体的な宣伝は、子供達の心を熱くさせることに成功した…、とここまではよかったのだが、 それの一人歩きしすぎることにより、色々なテクニックや都市伝説が生まれることになった。

テクニックはともかくとして、問題は都市伝説のほうである。 当時コロコロコミックでは、ファミコン漫画『ファミコンロッキー』が大ブレイクしていた。

そこで出たあまりにも現実離れなテクニックは、子供達を魅了したと同時に、大混乱を引き起こすことになった。 特に『暗黒地帯の黄金』と『ジムダ秘孔撃ち』(どちらも検索で参照のこと)は多くの子供達が騙されたようで、ファミコン都市伝説の有名どころとして挙げられることとなった。

ともあれ、ファミコンロッキーの人気は、そのままスターフォースといったいろんなゲームの人気や知名度を上げたと思うのだが、どうだろうか。


これも私が小さい頃よくプレイしたゲームで、いとこから借りたことがある。 キャラバン認定ソフトの第一弾なのだが、私は第二弾の『スターソルジャー』にはまってていたので、それほど印象には残らなかった。

だが、それから約20年後の現在、ゲーム雑誌でスターフォースの面白さを知って、久々にプレイした。 そこでようやくこのゲームの面白さに気づいたと同時に、ゼビウスとはまた違ったSTGだということを、今更ながらに痛感した。 特にパワーアップしたときの音楽が、なかなかにかっこよかった。

どうでもいいのだが、ゴーデスってゲームの終盤に出るとネットで書いてあったのに、プレイしてみたらゲームの中盤だった。 これは一体…?


本日のまとめ



これがゴーデスだ!!

(06/3/19レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年4月15日
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