◆ロックマン◆
RPGブームへの挑戦状



発売日:1987年12月17日   発売元:カプコン   ジャンル:ACT
値段:5300円   おすすめ度3(はっきりいってムズい!)


現在ロックマンシリーズは色々な方向に伸びて、本家シリーズはもちろん『ワールド』、『エグゼ』、『X』、『DASH』等と、シリーズの幅や登場する家庭機が広がってきている。 そして今では、『X』と『エグゼ』が本家(8まで出ているのだが…)よりも、人気が上になっている。 しかしその大元は、現在レビューしているこのゲームであるということを知ってもらいたい。

このゲームが発売されたのは、今から20年近くほど前の1987年12月17日。RPGブームの真っ只中に、ロックマンは誕生した。

当時のアクションゲームは、普通につまらないものやそれなりに遊べるものがほとんどで、マリオのようなミリオンセラーのアクションはなく、どれもRPGブームを覆すほどには程遠いものだった。 事実ロックマンも(当時は)それなりに面白い分、RPGブームを覆すとができなかったが、続編が発売されるごとにその人気は徐々に上がっていくことになる。


ロックマンシリーズのストーリーといえば、悪の科学者Dr.ワイリーを懲らしめるために、ワイリーのライバルであるDr.ライトの作ったロボット『ロックマン』が戦うというものだが、1の場合はもう1つ目的があった。 それは、ライト博士の製作した6体のロボットの人工心臓を回収して欲しいというものであった。

しかしこの設定は1のみで、続編以降は人工心臓を回収する命令は受けていない。 それを考えると、ライト博士は意外と自分のロボット以外は冷たい性格なのではないだろうか。 とはいえロボット博物館で、続編以降のロボットがちゃんと展示されてる事実や、他のロックマンゲームでも活躍している事実を考えると、あながちそうは思えないのだが…。

さてゲームのシステムは、ここからできているといっても過言ではない。 主に、ステージ選択制やレトロ風味なステージ、ボスを倒したときに入手できる武器や特定の武器に弱いボス、即死床や消える床などの障害物等々…。

しかし、全て続編以降の基本となったわけではない。 例えば武器エネルギーやライフエネルギーのデザインが違ってたり、即死床がダメージを食らった後に発動する無敵時間あるなしにかかわらず必ず死亡したり、 サポートメカがいなかったり(サポートアイテムはある)、ステージ選択においてのボスグラフィックが顔(身体全体だったというべきか)でなかったり、ワイリー要塞がなかったり…。

そして何より、パスワード制やセレクトボタンによるポーズ、エネルギー缶がないというのが大きなポイントだろう。 特に最後の方は、続編以降のシリーズに慣れた人が1をプレイすると、それがないということに気づくはずだと思う。 もっともエネルギー缶自体は2で登場するが、この存在自体が難易度の大きさを物語ってるのではないだろうか。


また、得点制の導入も1だけであった。この時期アクションゲームにおいての得点は、有名無実化しつつあった。 前年の『がんばれゴエモン からくり道中』では、ボーナス得点の存在であった隠しキャラが衰退し、さらに前年の『スーパーマリオブラザーズ』では、 100コインで1UPできたことから得点制に対する存在意義が(わずかにではあるが)出てきた。

ロックマンは、アクションゲームにおいての得点制の存在意義を、完全に打ち消したゲームではないだろうか。 もちろん1では得点制は健在しているが、ボスを倒したときにもらえる得点が無駄に多かったり、 たとえとどんなに得点を上げてもロックマンの人数が増えないことから(ACTやSTGにおいて一定の得点に達すると、自キャラが1人増えた。 AC版の移植のゲームは、このシステムが顕著に現れていた。FCオリジナルのACTやSTGの得点制においても、このシステムが取り入れられた)、既に得点制の存在意義が疑われた。


そして続編以降は、得点制を廃止した。 人気シリーズが得点制を廃止したということは、得点制を入れなくても(アクション系の)ゲームは成立しているという認識を植えつけることとなる。 これこそがロックマンシリーズの功罪であろう。

功はともかくとして罪のほうだが、このことは高得点を目指すユーザーにとっても大きな衝撃になったに違いない。 事実高得点が楽しめるジャンルが、実質的にSTGのみになってしまったのだから…。

逆に高得点ならず低得点でのクリアを目指すプレイヤーも現れてきたことは、なかなかにして面白い。 これも、得点制の存在意義の疑念から生まれた賜物だろうか…。 もちろん続編以降は得点制が廃止になったので、こういったお遊び(?)が楽しめるのは1のみなのだが。


ところでこのゲームの難易度だが、ロックマンシリーズ中最高と評されている。 理由は前述したとおり、エネルギー缶がないのと即死床である。

それと、通常ステージとボス部屋の間の通路が敵だらけということも、難易度を高くしている要因ともいえる(続編以降は、敵が全くでない)。 普通のアクションゲーマーなら、そういったハンデをもろともしないでクリアできるかと思うかもしれないが、このゲームが発売された当時はRPGブームである。 RPGに慣れたプレイヤーがこのゲームをやると、あまりの難しさに1、2ステージクリアするのが精一杯ではなかったのではないだろうか。

そんな難しいゲームではあったが、このゲーム自体パターン化されていたので(主に消える床)、パターンさえ覚えることができれば、自然と難易度が下がっていくようになっていた。 これこそが、『魔界村』や『戦場の狼』等といった硬派なゲームで培ってきたカプコンの面目躍如だろう。

当時は難易度的にロックマン並みかそれより少し低い程度のゲームが多かったが、その大部分はただ単に操作性が悪いだけのゲームだった。 しかしカプコンのゲームは、全てがパターン化されていたので、例え難易度が高くてもプレイヤーのやる気を失わせない微妙な難易度の設定が、ゲーマーから評価を受けていた。

とはいえロックマンの場合、ワイリーステージにおいてサポートアイテムであるマグネットビームがなければクリアできないという理不尽な難易度があった事実は、一応ご愛嬌か…。


余談ではあるが、ロックマン1は確かに難しい。しかしボス戦だけは非常に簡単だった。 というのも、攻撃を当てた瞬間にセレクトを連打すれば、ボスが勝手にダメージを食らって、それを繰り返せば簡単に倒すことができる裏技があったからだ。

もちろんロックバスターは、当てた瞬間に消えてしまうので、貫通力がある武器(早い話がボスから手に入れた武器)を使うこと。 この裏技しだいでは、ロックマン1の中で最大の難敵であるイエローデビルでさえも、簡単に葬ることもできる。

私は最初にプレイしたロックマンシリーズは2だったので、1をプレイする気はあまり起きなかった。 そして続編が発売されるたびに、1をプレイする意欲が次第に失っていって、 ゲーム雑誌とかでロックマン1がシリーズ中一番難しいという記事を読むや、1をプレイする意欲は完全に失ってしまった。

それから現在、このゲームをレビューするにあたって、初めてプレイすることにした。 確かに他のシリーズよりも難しかった。しかし何とかクリアできた。


パターンさえ覚えればそれほど難しくはないゲームとはいえ、それにたどり着くまでに幾人のロックマンが死んだのか、正直あまり考えたくはない…。 続編以降、ロックマンシリーズの難易度は徐々に下がってきてはいるが、それでも全体的に見れば、他のゲームよりは難しい。 しかしこのようなゲームでも、タイムアタックをやっているのがすばらしい。しかもクリアまで20分を切った人もいるそうな。

その理由は、サポートアイテムのマグネットビーム使用によるもの。 普通マグネットビームといえば、足場代わりのようなものだが、これを最大限に活用すれば、クリア時間短縮につながるというもの。 私はこういうハイテクニックを使うのは無理なので、これを使ってタイムアタックをした人を素直に褒めたい。

よく考えれば、昔はこういう難しすぎるゲームもありだったのだろう。 そしてその難しさは、RPGブームに染まったプレイヤーはもちろん、アクションゲーマーでさえも寄せつかない。 その上に、RPGブームの真っ只中であることを考えると、まさしくカプコンからRPGブームへの挑戦状かもしれない。

最後になるが、ワイリーステージ(の4ステージ目)にある弥七をご存知だろうか。これを取ると、全ての武器エネルギーが全回復する。 武器エネルギーの回復がままらないプレイヤーにとって、地獄に仏ともいえるだろう。

しかしながら、これがロックマン7に出てくる武器エネルギー缶の元となった(かどうかはからないが)ことは、誰が予想しただろうか。



本日のまとめ



Dr.WILY 
CLEAR POINTS
200000

(06/2/20レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年4月14日
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