◆スプラッターハウス わんぱくグラフティ◆
スプラッターハウス0!?



発売日:1989年7月31日   発売元:ナムコ   ジャンル:ACT
値段:4900円   おすすめ度2(移植の出来に目をつぶれば…)


皆さんは『スプラッターハウス』というアーケードゲームをご存知だろうか? スプラッターハウスは、1988年に稼動したホラーアクションである。 当時このゲームは、ナムコはもちろん他のゲームメーカーから見ても、異色中の異色なゲームである。

それは、ホラー映画『13日の金曜日』のジェイソンそっくりな主人公リックを操って、恋人のジェニファーを助け出すという、ホラーファンにとっては衝撃的なゲームである。

しかもそれ以上に衝撃的なことは、リックの残虐的な敵の倒し方だ。 いくら相手が怪物とはいえ、角材で身体ごと「ベチャッ!」、散弾銃で「ドパァッ!(上半身木っ端微塵!)」、 そしてナタで首を「カコーン!(「ブシュッ!」ではなく「カコーン!」という辺り、かなり心地いい…のか?)」…。 これはプレイヤーにとっても衝撃的だったに違いない。

さらにステージ内に転がっている生きとし生けるものの成れの果ての数…。 この事実を知ったPTAは、早速ナムコに抗議したというほど、衝撃的だった。

今のゲームの箱に貼り付けられてる警告シールを、貼ってもまだ足りないほどすさまじい残虐さは、もはやバイオハザードのレベルではない。

しかしスプラッターハウスがいまだに名作と謳われている理由は、エンディングがハッピーエンドではないことと、その理由が恋人ジェニファーの変わり果てた姿、そして別れ…。 プレイヤーは、もちろんトラウマになったのはいうまでもない(しかし4年後にMDで続編が出ているが…)。

スプラッターハウスは、ただの怖がりのゲームで終われない、心に残るゲームとなったのである。


そのカルト的な人気さに目をつけたナムコは、AC版稼動の翌年の1989年、スプラッターハウスのFCへの移植を決定する。 しかしFCは、当時のユーザーの大部分が子供であった。そのため、ゲームの残虐さをそのまま移植するわけにはいかない。 しかもFCのスペックでは、AC版の再現をするのが難しい。

そういった理由もあって移植されたFC版は、ACとは程遠い内容となってしまった。 事実FCへの移植を楽しみにしていたファンから、落胆の声が上がった。 言ってしまえばFC版は、おちゃらけたホラーギャグアクションという内容となった。

しかしこのゲームが駄作といえば、あながちそうではない。 確かにファンから見れば駄作でしかないのだが、一度倒したゾンビ犬が首だけになっても襲ってきたり、 首吊り死体が分離して身体が襲ってきたりと、ホラー的な部分はちゃんと押さえてある。

そして何よりも映画のパロディが、このゲームに散りばめられているということだ。 『ジョーズ』、『ザ・フライ』、『犬神家の一族』、『サタデーナイトフィーバー』等々…、数え上げたらきりがない。

もちろん(?)ナムコキャラも出演する。といっても、『カイの冒険』のカイと『妖怪道中記』のたろすけだけだが…(しかし何故たろすけ…?)。











『ドラキュラ』+『サタデーナイトフィーバー』+『マイケル=ジャクソン』=上の構図。

おまけに歌ってるのは『スリラー』。ポオゥッ!!


さてストーリーだが、カボチャ大王に連れ去られたジェニファーを、リックが助けに行くもの。難易度は低めで、パスワード付き。 また落とし穴に落ちても死なない(その代わり下のエリアに落とされる上に、今まで倒してきた敵の数が半分に減らされる)。

左上にある数字は、いわば経験値みたいなもので、ある程度敵を倒せば体力ゲージがアップできるというもの。 リックの標準武器はACと違って斧。また、道中には散弾銃が落ちている。わずかだが、AC版の雰囲気は残してるようだ。

先にも述べたように、このゲームはホラーギャグアクション。所々に、リックのお茶目な姿を見ることが出来る。 落っこちてきたバケツをかぶってしまったり、ラスボス前の場所に置かれている自販機の前で、ジュースを一気飲みしたり等…。 しかも場合によっては、日本ステージやエジプトステージにワープしたりと、かなりハチャメチャな展開を迎えることもある。


しかしこの珍道中が、最後の最後に大いなる大どんでん返しを迎えることになるとは、誰が予想したのか…。

そしてやっとジェニファーを助け出し感動の対面…かと思っていたら、サンプラザ中野風の監督が登場し、「なかなかの演技だったよ〜。」とのこと。 そう、この物語は実は映画だったというオチである。当然、ゾンビやハエ男などは作り物。 このエンディングを見たプレイヤーは、さぞ大きな口が塞がらなかったに違いない。











日本ステージ













エジプトステージ


しかし日本ルートやエジプトルート両方行ってきた場合、かなり様変わりする。 もちろんエンディングの前半はいつものおちゃらけた雰囲気だが、問題は後半、誰もいない撮影場で小道具であるはずのヘルマスクが意思を持ち、ポルターガイストを引き起こす。 そして最後のシーン、どこかで見たことのあるような…。

勘がいい方は既にご存知かと思うが、このストーリーはAC版スプラッターハウスの前の物語、いわば『スプラッターハウス0』と呼ぶべきか。 おちゃらけた作品にニヤリと思わせる引き(?)を作ったナムコには、(少しだが)感服するところである。























私がこのゲームを知ったのは、このゲーム発売当時のファミマガ(ファミリーコンピューターマガジン)を読んでから。 攻略記事で日本ステージやエジプトステージの画像を見たとき、「あっ、おもしろそうだな。」という気持ちがあった。

それから十数年後の現在、このゲームレビューのためにプレイした。 確かにAC版よりバカさ加減が全面的に押し出してて、ファンが落胆したこともうなずける。

しかしあるサイトで、ゲームに出てきた映画のネタを見つけるコーナーを発見してから、このゲームの価値観が変わってきた。 何か映画のネタを見つけては、思わずニヤリ。そしてナムコットキャラを見つけたときは、少し驚いた。 さらに隠れステージを見つけたときは、心の中でガッツポーズをあげたりした。

とはいえ、このゲームは面白いかといえばそうではない。 最後のステージの崩れかけた橋と屋敷内にある落とし穴の突破がとても難しく、一時投げかけたことがある。 他にも所々に中途半端な難しさがあり、それもこのゲームのマイナス感を与えてしまっている。

よってこのゲームに対する私の評価としては、どっちつかずというべきか。 どうでもいいが、ゲーマーの間では怪作として認識されてるのに、黒歴史扱いにならないのは意外というかなんというか…。



本日のまとめ



クリア時間、30分58秒。

(06/1/23レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年4月10日
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