◆バトルシティー◆
オリジナルから5年後…



発売日:1985年9月9日   発売元:ナムコ   ジャンル:STG
値段:4900円   おすすめ度:3.5(対戦とエディトがアツい!)


これは、第2次世界大戦の欧州のある地方においての出来事である。 軍の兵士、すなわちプレイヤーである君は、自軍の司令部防衛の任務を任されることになった。 そして、戦車に乗り込み敵軍から司令部を死守するために戦うことになるのだが、自分の持ち戦車のストックがなくなったり司令部が破壊されれば、自軍の敗北は決定的となる。

君は、司令部を守りつつ出来るだけ敵にやられないようにしながら、司令部に襲い来る敵軍と戦っていかなければならないのだ。

1980年、インベーダー恐慌の翌年は、様々なゲーム会社がその数に応じたジャンルのゲームを世に送り出すことになった。 当時、その中での有力なゲーム会社は、ナムコ、日本物産(以下ニチブツ)、セガ、タイトーの4社で、特にナムコとニチブツが急激な成長を遂げてきた一方、 インベーダー恐慌の元となったタイトーは、『ルパン三世』や『クレイジーバルーン』などの良作を作り出すが、恐慌で受けたダメージは思ったよりひどく、勢力はナムコやニチブツより低かった。

そのナムコは、この年『パックマン』を筆頭に『キューティーQ』・『キング&バルーン』・『ラリーX』といったヒット作を登場させるものの、 リリースした数は少ないが『ムーンクレスタ』や『クレイジークライマー』といったニチブツの作品には及ばなかった。 事実、この時期のゲーム業界で一番勢力が大きかったのは、ナムコではなくニチブツだったのだ。


2番手に甘んじたナムコではあったが、先に挙げたゲームタイトルのほかに『タンクバタリアン』というゲームも登場させた。

このゲームは、黄色い戦車を操りながら画面端にわらわらと出る青い戦車を倒していかなければならないが、 同時に画面中央下にある壁に3方向囲まれた鷲のマークをしている司令部を守らなければならない。 ここを破壊されると、たとえ残機がいくらあってもその場でゲームオーバーになってしまう。

当時のゲームは、こちらから攻め立ててなおかつプレイヤーストックがなくなればゲームオーバーになるというパターンがあったが、 このゲームは攻めるよりも守ることを重視したゲームで、そのときのゲーマーはこの手のルールに新鮮さと衝撃を同時に受けた。

ちなみに、画面のいたるところにレンガの壁が不規則に張り巡らさせているが、敵から身を守るための防護壁として利用したり、 敵を倒すための近道を作るために破壊することといった多様な存在として登場している。

司令部を守る壁も、同じ材質であるため近道を作って破壊していたら、勢い余って司令部の壁も壊してしまった上に、 司令部もろとも破壊してゲームオーバーになってしまったプレイヤーもいた。


この他にも、敵の弾を相殺できたり至近距離でかつ正面から倒すと、いつもよりも得点が上昇するといったシステムは、 大ヒットにはならなかったものの一部のゲーマーの受けがよく、これもナムコット史上記憶に残るゲームとなった。

それから3年後に、MSXで移植版が発売されるが、3年後ということもあってMSXの性能は昔のACの性能以上の実力を持っていた。 完全移植はもちろんのこと、それに加えてAC版にはなかった要素が追加された。それは、BGMの追加と自機のパワーアップである。

前者はともかくとして(ゲームスタートとゲームオーバーしかないが)後者だが、 AC版で高得点を狙うやり方で一般の戦車とは変わった色の戦車を倒すとパワーアップするもので、最大2回パワーアップすることができる。

この、自分の戦車がパワーアップした戦車を『スーパータンク』と呼び、AC版をプレイした人はもちろん、MSXユーザーも満足できる内容に仕上がった。

さらに2年後の1985年、『バトルシティー』というタイトルでFCに移植された。 FC版は、MSX版をさらにグレードアップしたものであり、もちろん様々な要素が追加された。

AC版やMSX版では、1種類のみだった敵戦車がスピードが速かったり4発弾をぶつけないと倒せなかったりと、4種類ものが追加された。 パワーアップについては、MSX版とさほど変わりはない。

これに加えて、FC版に追加されたオリジナル要素は2つあり、1つはMAPの地形でもう1つはアイテムの追加である。 前者は、レンガに加えて戦車が見えにくくなる森林や滑りやすくなる氷河、戦車の行く手をさえぎる河川や弾をはじく防弾壁のことで、 地形がレンガしかないAC版やMSX版と違っていろんな地形が出るFC版は、今までのシリーズで腕を鳴らしてきたプレイヤーを悩ませる一方、また違った戦略を楽しめるといった意見も出た。


さらに、これを利用して様々な地形で描かれたナムコキャラのステージも登場している。

後者は、MSX版に登場した戦車のパワーアップシステムをさらに推し進めたもの。 FC版でのパワーアップは、内容こそ変わっていないがその方法が変わった。

FC版では、4機、11機、18機目に出てくる赤色に点滅する戦車を撃墜することでパネル型のアイテムが登場するが、 何が出るかはランダムだしどこに出るのかというのも全くのランダムである。

種類は、画面上の敵戦車を全滅できる手榴弾や自機を増やせるタンク、一定時間司令部のレンガが防弾壁に変わるスコップ(司令部のレンガが破壊されている状態でこれを取ると、 完全修復+防弾壁に変化)や一定時間敵の動きが止まる時計、これまた一定時間自機の周りにバリアが張られる(無敵)ヘルメットがあり、 戦車のパワーアップはスター型のパネルを取ることで成立し、最大3段階にパワーアップする(3段階目は防弾壁も壊せる)。

これ以外にも、2人同時プレイが可能となったことが挙げられる。 といっても、『マリオブラザーズ』のように対戦と協力の2通りが出来るわけではなく協力のみで、味方の弾を食らうと一定時間操作不能になる。

なお、2Pの戦車の色は緑で敵戦車のヘビータンクと同じ色をしており、形も1Pと同等とはいえやや似ているので、1Pに撃たれることもたまにあったという。

そして、FC版の要素の中の1つで、このゲームの象徴の1つであるマップコンストラクションモードが追加された。 これは一言で言うと、『エキサイトバイク』や『ロードランナー』のように自分でオリジナルのステージを作ることが出来るもので、 先の2本同様自分で作ったステージは保存できないが、ファミリーベーシックとデータレコードを接続することによって、カセットテープでの保存は可能となっている。


また、『ドルアーガの塔』で評判があった裏面を(表面と同じ35ステージ用意され、合計で70ステージある)導入し、 今までナムコがFC業界で培ってきたアイデアなどをめいいっぱい詰め込み、当時としてはロードランナーやドルアーガに並ぶほどのボリュームあふれるものとなった。

それでも、ROM容量はたったの128k+64kと(1Mの5分の1)かなり少なく、それもプレイヤーを驚かせることとなった。 もっとも、AC版の容量が極めて少なかったことも一因かもしれないが。

当時、AC版をリメイクして豪華にしたゲームはバトルシティーの他に、同じナムコの『ワープマン(ワープ&ワープ)』、 サン電子の『ルート16ターボ(ルート16)』と『スーパーアラビアン(アラビアン)』の3つがあり、全てAC版登場から2年以上も経っているが、 その分FCのスペックは昔のACと同等いやそれ以上の実力を身につけたといっていい。

事実、アイテムを取ってパワーアップするシステムや2人同時プレイといった内容を導入したゲームが、 AC・FC問わず流行しつつあったので、タンクバタリアンからバトルシティーへのグレードアップは、ユーザーのニーズに見事に応えたものといえる。

しかし、それから4日後に発売された任天堂の『スーパーマリオブラザーズ』に押されてしまったのだが、 それでもFCにおけるナムコの歴史を語る上で外せないものであることはいうまでもない。

現に、ACに逆移植されたりGBに2回ほど移植されていることから、バトルシティーのように世代を超えて支持されているゲームはあまり少ないのではないだろうか。 そういった意味でも、このゲームはナムコらしさとふさわしいアレンジが施してあり、かつバランスよく難易度が設定しているあたりは、ナムコの余裕さが前面に押し出しているといっていい。

それだけに、スーパーマリオが発売されたことは、発売時期の設定が唯一にして大きな欠点だったのかもしれない。


私のバトルシティーでの思い出は、やはり2人同時プレイだったかと思う。 私がまだ小学生だったころ、友達の家で『バトルシティー』をプレイした際、面白半分で司令部をつぶしたことがあり、友達に睨まれた記憶がある。 他にもエディットモードで文字を作ったり、パワーアップした戦車で、壊せない壁を次々と壊しまくったり、戦車をつぶすのに躍起になって司令部をつぶされたりと、色々思い出があった。

しかしながら、このゲームがACのタンクバタリアンであるということに気づいたのが、このゲームをレビューしたころになってから。 AC版の画像を見たとき、FC版から5年前の作品だからか、質感がなくやたら平面だったことに驚いた。 しかも、この時期のゲームのお約束としてBGMすらないことを知って、BGMというのはプレイする上で非常に重要なんだなと再認識した。

一応、まじめにゲームレビューをすると決意したときに最初に書いたのがこのゲームレビューだったが、 それでもまだところどころ文章力に欠けているところが結構あって、思わず苦笑いするしかなかった。


現在、旧サイト名時代の名残を更新履歴以外全て消去(修正ともいう)している最中だが、 このレビューも例外ではなく「あの頃は若かった」という気持ちがいっぱいだったとはいえ、なぜ素直に最初からゲームレビューサイトにしなかったのか、考えるだけで恥ずかしくなってしまった。

ちなみに、このゲームはレビュー修正の際にもう一度プレイしたが、私の腕があまり鈍ってなかったことに加えて、 攻略サイトや私より詳しいレビューなどを色々見て回ったおかげで、前回よりはかなりステージをクリアすることが出来た。 とはいえ、裏面まではさすがにいけなかったのだが。

最後に、ステージマップには様々なナムコキャラが描かれているが、懐かしさがあふれたと同時にゲームをクリアするとはいえ、 ナムコキャラを潰していくのはあまりにも寂しいといった複雑な気持ちになった。

どうも、せっかくスタッフが描いたキャラなのにそれを潰すことは、スタッフに対する(絵を描いた)苦労を無視しているようで、どうも申し訳なく思った。



本日のまとめ




(07/1/25修正)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年4月8日
◆目次に戻る◆


inserted by FC2 system