ファミリートレーナー アスレチックワールド
ファミリートレーナーシリーズ第1弾



発売日:1986年11月12日   発売元:バンダイ
ジャンル:ファミリートレーナー   値段:8500円
オススメ度:2(時代を先取りしすぎた周辺機器)


1985年を最後に、任天堂が発売した周辺機器とその専用ソフト2種、いわゆるファミコンロボットシリーズ終了から2年後に 別の会社が新たなる周辺機器とその専用ソフトを世に送り出した。

その名は『ファミリートレーナー』で、FC参入から版権作品を作り続けているバンダイがオリジナルの、 それも新たな周辺機器と専用ソフトを作ったことに業界は並々ならぬものを感じていたのかもしれない。

何しろバンダイは、今まで『キン肉マン マッスルタッグマッチ』や『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境』など売り上げが 100万本を突破するゲームこそあるものの、それらがすべて面白いとはいえずむしろキャラクターの人気にあやかって売れたことが大きいが、 『僕たちの好きなTVゲーム 80年代懐かしゲーム編』においてファミトレ発売年となる1986年における100万本以上の売り上げがあったソフトの中で、 ベスト10のうちバンダイが2本に収まっているところを見るに、バンダイもファミコン発展に欠かせない存在になっていた。

加えて、版権作品一筋でやってきたバンダイがここにきていきなり初めてオリジナル作品を作ることに、バンダイも この周辺機器に対する意気込みというものもあったといえ、Wiiにおいてこのゲームのリメイクともいえるものが登場している。


 さらに、周辺機器専用ソフトは前年のファミコンロボットを最後に途絶えていたが、ファミコンロボットをさかのぼれば 周辺機器専用ソフトの歴史はファミリーベーシックから光線銃シリーズとなっていて、これらすべて任天堂が送り込んだものであり どれもこれもファミコンのジャンルを多岐にわたらせることで、長い人気を保ちつつ色んな人にも触れてもらいたいという思惑があった。

残念ながら、これらの周辺機器専用ソフトは誕生の同年に終了を迎えてしまったが、かつてそれらに触れた人にとっては 覚えている人も多くいるだろうし、それらがあったからこそFCは大きく発展していったといえる。

それゆえに、周辺機器専用ソフトが任天堂以外のゲーム会社が作ることは意外だっただろうし、この時期以降において周辺機器といえば ジョイカードmk−Uやジョイボールといったコントローラーの見栄えをよくするものだったり連射機能などで プレイヤーを有利にさせるものなどがメインであり、専用ソフトとしての周辺機器はファミコンロボット以来なかったからこそ、 周辺機器と専用ソフトがリンクして遊べるゲームは実に久々で、今までの周辺機器とまた違ったことも含めて斬新であると同時に、 時代にあったものをユーザーに提供してくれたといえるのかもしれない。

ちなみに、販売こそバンダイだがシリーズの開発は『ファイヤープロレスリングシリーズ』でおなじみの今はなきヒューマンが担当していて、 ヒューマンは後にガチャポン戦士シリーズの開発も手がけていることから、ヒューマンは自社開発・販売ソフトがない時期においても 積極的に他社作品の開発を担当し、それにより多くのパイプをつなげていったことが伺える。


 このファミリートレーナーは、周辺機器が一枚のマットとコントローラーを思わせる6つのボタンらしき絵柄と、 スタートボタンという設定である中央の2つの赤いボタンが描かれていて、それをプレイヤーが足で操作するという一種の体感ゲームとなっている。

早い話、画面の状況によってプレイヤーがマットの上を移動、すなわち行動したいところに合わせてマットに描かれている ボタンの絵柄を踏みつけるもので、これを繰り返していけばあたかもゲーム画面の主人公になって動いている気分になれる。

さらに、長時間動くことはそれだけ運動になるわけで、いい汗をかくことができるわけだが八千円以上というのはスポーツクラブに通うものよりも 少々割高な感じがあるものの、このゲームを買っておけばただでずっと使えるのだからスポーツクラブよりは長い目で見ればお得感がある。

 この年、流行語大賞のひとつに『ファミコン』が選ばれるなど、誕生から3年半以上経ってその人気はますます加速していき、国民的ゲームとしての存在も高まっていた。 一方で、テレビゲームのやりすぎは勉強時間の減少につながり、ひいては運動時間も減少することによって運動不足が発生したのも事実で、 当然親やそれらを中心としたPTAの反発を食らったことはいうまでもなく、各メーカーもその対応に苦慮したことも事実。

前者については、任天堂の『ドンキーコングjr.の算数遊び』や『ポパイの英語遊び』、東京書籍(現トンキンハウス)の 『計算ゲーム』シリーズでゲームをやりながら勉強もできる一石二鳥的なやり方を狙ったが、すべてプレイヤー(特にその親)の満足を 満たすことができず、最終的にDSの脳トレシリーズまで待たなければならなかった(教育ソフトは別の会社でも作られたが)。

後者についてはさらに顕著で、動かすのは体全体ではなく指なので指こそいい運動にはなっただろうが運動不足解消とは言えず、 『つるピカハゲ丸くん』の第3巻にあるミニマンガでもスポーツしてやせければといっておきながらぜんぜんやせておらず、 スポーツをするといってもゲームでのスポーツを長時間やっていたというオチもでるなど問題化していた。

一応、ハドソンの高橋名人がファミトレに先駆けてファミコン体操が『忍者ハットリ君』の攻略ビデオ内で披露されたが、 運動といっても指の運動で体全体を動かすわけではないのであまり意味がなく、その手の指の体操はやってみると非常に難しいものだが、 ファミコンのやり方を(一部思い付きだが)定義していていることからファミコンしている人の健康面も気遣っていることが伺える。

 それをバンダイが感じ取ったのだろうか、ゲームをしながら運動できるという『ファミコンでスポーツ!?』という キャッチフレーズを引っさげて登場したのがファミリートレーナーである。


ファミコンしながら勉強もできるという教育ソフトの二番煎じに見えるが、ファミコンによって運動と勉強の子供にとって 大事な時間が失われた以上、メーカーとしては何とかそれを両立して楽しむというやり方でファミコン人気を下げたくない思いもあったし、 それで売り上げが見込めるという考えもあっただろうから、いずれ誰かがやるであろうという考えはどのメーカーもあったはずだ。 バンダイとヒューマンがそれを具象化したことにより、ファミトレ専用ソフトはすべて2社によって請け負うことになるのだが、その大部分が走ることを目的としたものである。

 今回紹介する『アスレチックワールド』は、ファミトレシリーズ第1弾であり内容も走ることを目的としていることから、 最初から『ファミトレ=走る』ことが目に見えているが、裏面のBマットは16まで番号がふってある16個のマスが並べられ、 こちらは後にエアロビクスなどを行うという走らないものにも幅を広げていることから、数は少ないものの運動の幅を広げていたことが判る。

ただ、シリーズ化が進むごとに運動目的よりもゲームの面白さを優先させたものがメインになってしまい、結果運動とゲームのバランスが取れないものも出てしまったのは残念。 第1弾は要はジョギングをするもので、主にジョギングといえば外でやるもので雨が降ってジョギングができなければこのゲームが役に立つめどは立っているはず。

そもそもこのゲーム、みんなでわいわい遊ぶものにも目的化されていて、このゲームのCMにおいて子供たちが我先にと 遊ぼうとする展開もある(オチは最初にプレイの見本を見せた子供が、心無い友達に遊びを奪われたことでカセットを引っこ抜いて遊ばせないものだったが)。

 そのゲームの内容こそジョギングだが、アスレチックと銘打ってあるわけだからいたるところに仕掛けがあり、それを突破しなければゴールできないものになっている。 コースは6つで、それぞれハードル競争風や森の中を走ったりと最初こそいかにもアスレチック風味になっているが、最後のコースは いかだに乗りながら医師をよけたりハードルをくぐったりしなければならず、そもそも走ってないという突込みが出てくるが最終コースゆえに致し方ない。


たいていはジャンプしてかわすものだが、ゲーム画面とマットでジャンプするタイミングがつかみにくくつかめずにすっ転ぶことも多く、 体を動かすことがテーマなのに何でタイミングをつかむことをやらなければならないのかという声も聞こえてくるはず。 それでも、慣れてくればいい運動にはなるのだろうがそこまで慣れるのには大変で、いい汗よりもタイミングの成否での冷や汗が出てくるはずだ。

 また、ひとつの動作をするときに2つのボタンの絵柄を同時に踏まなければならずそれを連続してやらなければならないので、運動するという点ではあながち間違ってはいない。 無駄な動きが多いために、運動しているという感じになるとでもいえるわけで、これでいい運動ができるのかとかいい汗がかけるのかといえば 言葉に詰まるが運動していないよりは十分いいし、後に続々と作品が登場することを考えれば一応運動不足のために何とかしているはず。

特に、トンネル砦の緩やかな坂と急な坂の2つを突破するには、足踏みするがごとく何度も足を動かさなければならず一度立ち止まると 急な坂では滑り落ちてしまい、緩やかな坂だとばててしまってどちらも大幅なタイムロスを食らう羽目になる。

エキスパートでは、そういった仕掛けに加えてモグラやこうもりといったお邪魔キャラが登場し、やり過ごさなければこれもすっころんで 大幅なタイムロスになり2回ミスすればゲームオーバーになるので、まさにエキスパートと呼ばれるのにふさわしい難易度となっている。

 運動するとはいえ、トンネル砦の件やイカダ川でのしゃがみの連続など、ゲームをしながら運動するという両立は間違ってはいないが、好成績を残すために必死になっているといえる。 ゴール後に出てくる得点は、すっころんだ回数によって決められていて一回も転ばなければ100点満点だが、一回転ぶごとに得点がどんどん下がっていく。


このため、つい本気でやらざるを得なくなってしまうのだがそこまで本気になる必要があるのかといえばその通りであり、その理由としてはゲーム終了後の診断結果と認定証が出てくるため。 どちらも、今までの成績に応じて出てくるものでこのゲームをプレイしている人ならば、何が何でも優秀な成績をとりたいし 友達とわいわいやっているのならば、誰よりも優秀な成績をとってみたいと思うことだろうが、この2つはビギナーモードでしか出てこない。

 この手のゲームとしては、確かにわいわい遊べるのにふさわしいものになっているものの、それゆえ一人で遊ぶと妙に物寂しい感じがしてしまう。 おまけに、マットの面積が少々広く部屋が広い家ならともかく狭い家だと人が座るスペースや別の目的に使うのに苦慮するため、使いどころが難しい。

加えて、2階で使えばドスンドスンという音で下にいる人にも迷惑がかかるので、家の中でゲームと運動ができるという目的こそ立派だが、 家庭内の事情を考慮していなかったために思わぬ欠点をさらけ出してしまったのはなんとも皮肉なことか。

 ただ、このゲームはある程度運動とゲームの両立には成功しているので、後にシリーズ化されてくることを考えれば成功といえるのかもしれない。 もっとも、シリーズが進むごとに本来の目的が外れてしまったのはいただけないが、数年にもわたってシリーズを続けたのは見事というほかない。

アメリカでは『パワーパッド』という名で発売し、ファミトレ誕生から22年後にはWiiでリメイク版が登場し、それより9年前には ファミトレの再来と呼ばれたダンスダンスレボリューション(以下DDR)の登場もあり、リメイク前でも存在がある程度あったことも ファミトレにとってよかったようだが、DDRをファミトレの再来と呼ばれるあたりもDDRも健康に気を使っていたことの証かもしれない。

 このゲームに触れたのは、発売から間もないころに友達の家で他の友達数人と一緒に遊んだことだ。 ここの家は、当時県議会議員で今は国会議員(要職などは言えません)といういわばお偉いさんの家で、家自体が広いのはもちろんだが ゲームをする部屋もかなり広かったので、遠慮なくみんなとわいわいファミトレをしながら楽しんだ。

もちろん1階でやったし、これだけ広いことは他の人が座るスペースも有り余っているし何より庭もかなり広いので、 ご近所迷惑ということを考えずコースによってジャンプしたり足踏みしたりといい運動になることもできた。

ちなみにその友達、大きな家を所持している父親の息子さんは現在県議会議員で、無職それも失職中の私とではえらい違いで、 やはり偉い父親を持っている人は子供も偉くなるのかなと少しコンプレックスを今更ながらに抱いてしまった。


 このレビューを書く3年前、あるネット仲間2人とオフ会をするため宇都宮にドライブに行った際、大きい中古ショップで ファミトレのマットとこのゲームの同梱を見かけたが、その時はあまり興味がなかったので2800円とかなりやすかったがそのまま無視した。

その数日後、やっぱりファミトレを買うことに決めた私はそれが売られている中古ショップに急いで行ってきて無事購入し、 いつの間にか他のファミトレ専用ソフトもすべて売っていたのでこれらもまとめて購入した(5千円ほどの出費だったが仕方がなかった)。

一人でプレイするのは初めてだったので、まず自分の部屋にマットを敷いてゲームができる体制を作ったが、同時に私の部屋は 寝る部屋でもあり布団も敷いてあったのでそれをどかさなければならず、わざわざ布団を押入れにしまうのが面倒だった。

加えて、私の部屋自体かつて遊んだ友達の家の部屋より数倍も狭いので、何とかマットを敷く体制を整うことができたものの狭いということに変わりはなく、 しかも私の部屋は2階にあるのでドスンドスンという音が親に迷惑をかけることになることも覚悟していた。

 実際、一生懸命遊ぶことはそれだけ下の人に騒音を出すことになり、親からたびたび注意を受ける羽目になった上に運動神経があまりよくないので、数回程度ですぐばててしまうことが多かった。 さらに、太り気味ということも2階でファミトレをやることは床にも衝撃を与えることになり、私の実家は建てられてから 25年以上経っているので今のところ2階の床が突き抜けることはないが、それだけにいつ壊れるか心配だった。

幸い、突き抜けることもなくいつの間にかそのことを忘れていたので、トンネル砦での一生懸命足踏みをすることを 除けば部屋に思いっきりジャンプすることをしなことも含めて、このゲームで運動をした。 ただ、一人でプレイしたので一生懸命やっているうちはそのことすら忘れているものの、ようやく一息つく時にそのことを ふっと思い出しネット友達以外に付き合っている現実の友達がいないことにため息をつくことはあったが。

 そして現在、ふっと思い立ったように押入れからファミトレのマットと専用ソフトを取り出し、久々に運動がてらプレイしてみた。 これより少し前、ファミトレがWiiでリメイクされていることを知って驚いたが、Wiiスポーツがかなり売り上げを伸ばしていることを考えると、 ファミトレもいずれ復活するのではないかという空気とゲームで何かを両立するという、脳トレのように売り上げも上がり脳も鍛えられるという 一石二鳥の風潮が出ていたのではないかと思うが、昔と今の技術ではその差はかなり大きいので両立するのは不可能ではないかと思う。

最初は、Wiiスポーツなど興味になかったがCMで和やかに楽しんでいるところを見るとついほしくなってしまうものの、 肝心の買う金がなかったのでやむなくファミトレを代用してゲームで汗をかくことにしている。

ある程度慣れていると思ったので、いきなりエキスパートをやることにしたがビギナーよりトラップの数が増えていることを すっかり忘れてしまっていたために、何度も転んでゲームオーバーになることが多くイライラが募ったが、結局は相変わらず 運動不足それも太り気味が解消されていないことの裏返しで、定期的にやろうと思っていても飽きっぽい私の性格的にどうしようかとちょっと悩んでしまっている。




本日のまとめ


あなたは、バンダイアスレチックワール
ドにおいてジョウキのセイセキをおさめ
たことをみとめます。
(09/10/4レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2024年01月13日

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