爆笑 人生劇場3
人生劇場シリーズ第3弾



発売日:1991年12月20日   発売元:タイトー   ジャンル:ボードゲーム
値段:6400円   オススメ度:3.5(苦労が見え隠れする第3弾)


タイトーのボードゲームの人生劇場シリーズの第3弾で、同時にFCでのシリーズ最後の作品でもあり、翌年からタイトルを『大』と加えてハードをSFCに移行してシリーズを継続していくことになる。
FC最後期に近い時期でのシリーズ最新作は、容量も増えて前2作とはまた違った趣のスタイルを出していて、 1991年に登場したボードゲームの中でさいころ(またはルーレット)を使うものは最後の作品となった今作、まさに人生劇場に始まり人生劇場に終わるといったところだろうか。

翌年には、趣向を変えた人生追体験らしきゲームが2本別メーカーから登場するが、これはそのゲームのレビューで述べたい。 一応、SFCの新シリーズの穴を埋める形となった別の人生追体験に近いゲーム2本、趣向こそ違えど評価はあまり比べ物にならない。

容量が4Mと、前2作より1M増えただけとはいえその分イベントや職業などバリエーションが増えて、システムも容量が増えただけ前2作の差別化を図ることができ、攻略が前2作で使えるかどうか微妙になってきた。 これは、前2作をめいいっぱいプレイしてきた人や初めてシリーズをプレイする人などを含めて、前2作で使えた攻略が使えなくなったとか初めてシリーズをプレイするのだから 別にどうでもいいという声が聞かれたかわからないが、こちらの考えとしてはいい方向ではないだろうか。


このシリーズのみならず、人気不人気関係なくシリーズが長期化すれば、同じジャンルにしなければならない関係上前作までの違いを明確にするために色々とシステムを構築しなければならないのだが、 それこそがスタッフにおける大きな苦労のひとつといえる。いわゆるマンネリで、アニメや特撮はもちろんドラマなどでもそれに苦しむ作品は多く、 マンネリが逆にファンに安らぎを与える『偉大なマンネリ』でシリーズに安定感をもたらすものもあるが、ほとんどの作品はそのマンネリで苦しむものばかりで、 『ドラゴンクエスト』や『スーパーマリオブラザーズ』など著名な作品は、マンネリの殻をいくつも破ったことで日本はもとより世界に通じる作品となったのだ。

人生劇場シリーズの場合は、人生追体験をテーマに掲げている関係で、イベント自体がマンネリであるといっていい。 前2作までは、同じイベントがいくつもあったもののまだ第2弾までだったことと、それらと連携するシステムを改築または新規(および廃棄)した ことでそれほど問題にはならなかったが、さすがに第3弾となればマンネリの危険が伴う。

当然、スタッフ側としてもマンネリがくることは予測済みだったようで、後述する第3弾ならではのシステムなどを設定しFC最後のシリーズを盛り上げていたことがよくわかり、 その苦労が一年かけてSFCの新シリーズにつなげられたことは評価したい。


最終目標も同じ(一番金持ちになること)だが、前2作と比べてギャンブル性は大幅に減少した。 大金が手に入るギャンブルは競馬とクイズだけで、ばくちは一回だけで100万かける手勝てば2倍になるぐらいであり、 ギャンブル主体である老後マップのマスの数も大幅に減少している一方で、更年期でのマップにはいくつか登場している。

また、株取引もギャンブル性が低くなり単に小金を手に入れるだけにしかなく、ゴール後にはかなりの金額で株が現金に加算されるが、取引を考えれば普通の遺産程度に過ぎない。 もっとも、株を買う値段は20万とかなり安いのでその見返りが少ないのは仕方ないが(複数購入しても、多いときで100万円程度しかならない)。

今作は、前2作よりも数千万円単位で争われることが多くなり、給料も前作より少なくイベントなどで金をもらう額も少ないことを考えると、デットヒートになることは必死。 それだけに、その手を好むプレイヤーにとってはやりがいがあるのだろうが、前2作をプレイした人にとってはギャンブルが少なく勝敗が地味という印象を受けたと思われる。

トップとの差が離れていても、最後のほうで一発逆転も可能であったことはなくなったわけで、逆に前2作にあったギャンブル性によって散々な目にあった人には好印象を与えたと思われ、 これについては見解が分かれるがそれでもギャンブル性が大幅に減少し派手さがないのは大きな欠点で、そのあたりは最後の最後で一発逆転のチャンスの可否を設けるべきではなかったか。 一応、更年期に差し掛かった時点での海外マップでの挑戦や、特定のマスに止まってギャンブルや資産増加イベントが多いルートは存在しているが、それでもギャンブル性は低い。

それはイベントにも影響しているようで、ある意味はちゃめちゃが多かったものは極端に減少し現実的なものは大幅に増加したことで、なかなかリアルに人生追体験が行える。 もちろん、職業イベントや結婚イベントの中には前2作同様のハチャメチャさは存在し、結婚についてはなんとニューハーフ(女性ではおなべ)と結婚可能でさらには子を産んだりする。


おなべはともかく、ニューハーフが子供を生むというのは今作で唯一のめちゃくちゃさだが、今を考えれば代理出産という形での同性結婚もやや当たり前になりつつある。 完全にギャグにしたのだろうが、これが世界で現実になっているのはなんと皮肉なことか(後述する、新たに登場する職業の一部も今では珍しくない)。

職業イベントは、3枚のカードの中からイベント内容を選ぶもので、いいイベントもあれば悪いイベントもあるというどっちつかずなものが多く、 前作のようにいいイベント悪いイベントがマスで分けられることはないため(避けることはできないため)、 これも前2作の攻略が使えない要因のひとつであると同時に、どのイベントが出るのか楽しみであるといえるだろう。

それゆえ、職業ポイントの増減も仕事でうまくいったときとへまをやらかしたときだけで、前作と違ってよしあしのイベントが一くくりになっている分、昇格か降格か緊張する。 そして、人生追体験シリーズには欠かせない職業は、地味なものが増えた一方で差し替えられた職業も多く、 前作にあったアイドルが演歌歌手に野球選手がプロレスラーなどに差し替えられているが、これはマンネリ打破の考えが大きいが職業の代替には疑問があり、 プロレスラーならともかく演歌歌手は子供たちの憧れの職業なのだろうか。

なお、ダーク系の職業の登場も人生劇場シリーズの楽しみであり、初代がやくざで前作が泥棒と続き今作ではギャングと、この点では爆笑のツボは抑えてあるが、 これも前2作では比較的現実にありそうな職種(?)であっただけ、ギャングというのは突込みがあるが単なるネタ切れの感じもあり、ギャグになりそうな職業でもマンネリの波が迫ってきたことを物語っている。


とはいえ、先ほど述べたように今作のイベントの多くが地味であることは否めなく、私立幼稚園に通ったり先生にえこひいきされたりと運ばかりではなく、 己が体験したり特定のマスに止まることで発生することも多く、これも運ではあるがそれを体験すればいいイベントが起こりやすくなるあたりは、さすが人生劇場というべきだろうか。

それでも、多くのイベントが特定のマスでしか発生しないというところは前2作通りだが、前作からアイテムや性別でイベントのよしあしが変わっていて、 今作では同じイベントでも能力があがるか下がるかわからなくなり、そのあたりは容量の使い分けがしっかりしている。

加えて、前作にあったルート変更も健在だが、今作では特定のマスに止まればルート変更されるようなところがあり、 条件次第でもルート変更を余儀なくされる場合もありさらにその場所は前作よりも多いので、相変わらず何度プレイしても楽しめる仕組みになっている。 マップ自体、初代同様見下ろし型に代わったが立体感覚は前作以上で、ルート変更が段差という形で表されているために立体に見えるのだろう。

だが、ゴールまでの時間はある要素の追加により、意外とスピーディーになっている。 それは、一番最初のゴールすれば能力がアップされることためで、今作では幼稚園・小学校時代、中学・高校時代、大学時代(または就職時代)、 最後のマップに細かく分かれている今作だからこそできたと思われ、前2作では老後に一番でゴールすれば金だけもらえたのに対してだから、 これは少ない目を多く出して緩やかにゴールするわけにはいかなくなっている。

ただ、すべて一位でゴールしてもそのためにマイナスイベントを多く食らえば、せっかくのご褒美が打ち消される危険があり、そのあたりはまだ不完全といえる。 職業の昇格が、前作同様いい仕事をしたときだけにもらえる職業ポイントになっているのも、能力の減少が続くことを考慮してのことなのだろう。

そして、前2作のギャンブルに近い存在を受けている海外マップだが、前作の老後マップ同様金儲け重視か安全に進むか分かれている。 しかし、金儲けルートのほうは進めるマスが少なく、運が悪ければ金儲けどころか損して帰国することもあり、仕事重視のルートのほうが長く滞在できる分、 一発逆転という形では前2作の要素を受け継いでいるが、ギャンブルの度合いでは大幅に低下している。 勝敗を分ける金額が少ないことも、それに拍車をかけているといえるだろう。

なお、駒を進める手段がさいころではなくルーレットに変わり、『ドキドキ青春編』までルーレットでマップを進むことになっている。 さいころでなくルーレットで進むのだから、運の要素が強かったさいころと比べてルーレットは目押しの要素が強いので、思いのまま体験したいイベントにたどり着けることはできる。 もっとも、ルーレットの回転がかなり速く目押しで進もうにもこれだけ速いと、さいころ同様の運によって進まなければならないので、そのあたりは運任せをある程度維持したといえる。

かなり地味な印象がある第3弾だが、その分周りを固める要素は『爆笑』というだけあって、プレイヤーに笑い(突っ込みにあらず)を提供している。 プレイヤーの状態がそれで、前作からの髪型の強制変更に加えて今作では言葉使いの変更も笑いの対象となり、髪型(今作では顔も)はそのイベントを体験したマップをクリアすれば解除されるが、 言葉使いについてはそれを変更するイベントを体験しなければ変更されない。

『〜じゃん』や『〜ですたい(方言)』はともかく、『〜でちゅ』というのは笑いは来るだろうがその言葉遣いを選ばれたプレイヤーの辱めという感じがしなくもない。 幸い、ドキドキ青春編にも半自由的に言葉使いを選べるあたり、プレイヤーにもそこそこ評価されたものと思われ、マンネリをプレイヤーの周りで変えることで乗り切ったといえるのかもしれない。


初代のレビューで書いているが、FC版でのシリーズを初めてプレイしたのがこの第3弾で、大学時代それも大学の親友がいないのでたった一人でプレイしたのだが、それでも十分楽しむことができた。 その頃プレイしたときは特に感じなかったが、前2作をプレイして久々に第3弾をプレイしてみると、かなり地味さが否めなくなっている。

数億稼ぐことができない上に一発逆転すら望めず、イベントもいつも以上に地味なものばかりで、これが人生劇場第3弾なのかと驚かずにはいられなくなったが、 数多く控えるルートの分岐や運で左右される固定イベントなど、面白さはこちらのほうが上だと思う。

ちなみに、レビューでのプレイにおいて自分の本名ではなくHNを使っているのは、うっかり自分の名前を使うと私の本名を悟られたくないためで(他のゲームサイトでもそう)、 『マイライフマイラブ』においては姓と名前があるため栃木の戦国武将の名前を使わざるを得なかったりする。

それと、いくつかあるミニゲームの中で前2作にあった、タイトーの作品がミニゲーム化されていないことも地味の要因だと思っている。 一応、クイズ感覚のミニゲームについては『ゆうゆのクイズでGOGO(1990年登場)』の雰囲気があるのだろうが、 往年のタイトーファンなら『バブルボブル』か『スカイデストロイヤー』とか、一画面で(擬似的に)できそうなミニゲームを追加してもらいたかったところだが(もちろんFC化という前提で、 前2作のミニゲームもFC版に移植したものなので)。

もちろん、大爆笑シリーズではタイトー作品を収めたミニゲームがないものもあるが、前2作を続けてプレイした人にとっては第3弾にタイトー作品がないというのは少々さびしい気がするのではないだろうか。

脇を固める笑いの要素については、個人的にまあまあではないかと思うのだろうが、それは修正方法がわかったこそだと思う。 言葉使いのほうは、なぜか必ず『〜ですたい』となっているがドキドキ青春編で何度も体験したから気にしていなかったものの、 これが『〜でちゅ』を何度も選ばされていたことを考えると、危うくスタッフはプレイヤーを笑わせてくれているのかと疑うところだった。


幸い、特定のイベントで言葉使いが変えられることを体験し『〜でござる』になり、『〜ですたい』よりはまだましだったものの『〜じゃん』のほうが個人的には好きで、 それが大学および就職マップに行く際に所持金に応じて飛行機を使うか汽車を使うか分かれるが、『〜じゃん』に変わるイベントは汽車のマップでしか体験することができず、 金の減少が少ない私は必ず飛行機で次のマップにすぐ行けた。

また、知力が低い場合に行く三流高校ルートでも『〜じゃん』が使えるイベントはあるが、残念なことに(?)私は知力を上げることが多いのでそのイベントを体験したことは一度もなく、 汽車でのイベントもあわせてすべてCPUが体験している。

さて、私は前2作同様相変わらずスローペースでゲームを進んでいったが、久々にプレイしたのが最近で大学時代でプレイしてからもう10年ほどたっているために、 相手が先にゴールして能力をアップしてもらえたことにとても驚いた。 カセットは、大学時代からそのまま持っているもののそのときはカセットのみで購入したため、どういうシステムだったのか忘れてしまっていた。

当然、複数用意されているルートやミニゲームの数々など、久々にプレイしてようやく思い出しただけでなく、 当時はレビューのためにプレイしていなかったから大学時代には見られなかった要素が多く見ることができた。
もっとも、2009年現在このゲームを徹底的に攻略しているサイトはなく、攻略ページ自体少ないうえに内容もそれほどでもなかったから結局は自分でどうにかするしかなく、 なにより職業やミニゲームの攻略には苦労を強いられた。

そういえば、人生劇場シリーズはSFCでのシリーズを含めた場合、徹底的に攻略しているサイトというのはあまり見かけない。 ちょっとだけ攻略しているサイトを含めれば、初代大爆笑を除いて攻略サイトがありボードゲームそれも人生追体験のゲームなのに、これほど多く攻略ページがあるのは意外な気分だった。 だからなのだろう、イベントや職業などをこと細かく調べるというのは何十回もプレイしなければならず、それもマンネリが見え隠れする第3弾では徹底的に攻略ページを作ろうと考えた人はどのくらいいるのだろうか。



本日のまとめ


げんきな げんきな へるさたくん

せきゆを はっけん だいせいこう
(09/7/5レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2020年7月22日

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