エクセリオン
ジャレコFC初参入作品



発売日:1985年2月11日   発売元:ジャレコ   ジャンル:STG
値段:4500円   オススメ度:3(2つのビームと擬似3D)


地球よりはるかかなたに位置するという青銀河CP17ゼニス、そこに第6惑星『エクセリオン』はある。 時は宇宙世紀2991年、その星は隣の第7惑星『ゾルニ』と友好関係を築いていたが、その惑星から突然奇襲攻撃を受けた。

エクセリオン軍は、ゾルニ軍撃滅のためこの危機に対処すべく、軍の最新鋭戦闘機『ファイターEX』は次々と発進していった。 君はファイターEXのパイロットとなり、次々に襲い掛かるゾルニ軍の兵器を破壊すべく立ち向かっていくのだ。


ジャレコのアーケード作品のひとつで、記念すべきジャレコのファミコン初参入作品でもある。 同時に、ファミコンでのサードパーティー参入の3番目という位置に入り、1985年でのサードパーティー参入の中で最初に滑り込んでいる。 前年に、ナムコとハドソンの2大サードパーティーが参入しソフトを供給していたが、たった2社のソフト供給ではとてもユーザーの満足を満たせるわけがなく多くのサードパーティー、何より第3の参入メーカーを心待ちにしていた。

宝島社の『僕たちの好きなTVゲーム 80年代懐かしゲーム編』において、第3のサードパーティーはタイトーがくるという予想が当時にあったと書いてあり、 確かにタイトーはアーケードの雄と呼ばれるほど最初期にアーケードを引っ張る存在であった。

ところが、現実での第3のサードパーティーはジャレコであり、タイトーに比べれば勢力が小さい上にAC参入時期が81年とかなり遅く、 会社設立についてもタイトーAC参入の72年より一年早い程度の71年で、先の雑誌においてジャレコを当時ほとんど無名だったと述べていることから、 初参入時はゲームの内容も含めてユーザーからあまり期待されなかったようだ。 それでも、ゲーム開発の経験があるメーカーの参入であるので、任天堂からすればありがたい存在だったことは事実。

ジャレコ最初の参入ソフトはこれから紹介する『エクセリオン』、83年にACで登場したものを一年半ほどFCに移植させたものである。 一方、第3のサードパーティーと目されていたタイトーは、ジャレコ参入から2ヵ月後の4月に4番目としてFCに参入。

初参入ソフトは、当時日本列島を熱狂の渦に巻き込んだ『スペースインベーダー』のFC移植だが、ACの登場が78年とかなりの間がある上に数年後のゲーム技術では、明らかに他のゲームと競合できるわけがなかった。 そのあたりは、ジャレコがAC参入時期が遅かったことが結果として、FC初参入ソフトの利点となったのかもしれない。


プレイヤーは、ファイターEXを操り次々に襲い掛かるゾルニ軍を撃破すること。 見た目的に、スペースインベーダーや『ギャラクシアン』など昔のインベーダー風味のゲームだが、敵味方とも上下左右に動くことができるが、 こちらは特殊な慣性が働くので普通のSTGと思っていると痛い目にあうばかりか、慣れるまでに少々時間がかかる。

何しろ、上下左右に動ける分いつも以上に敵の動きに注意しなければならず、画面下の背景が擬似3D風に仕上がっているので、自機の慣性と合わせてどうも酔いそうな気分だ。 同じ擬似3Dの作品には任天堂の『スペースフィーバー』があるが、これはスペースインベーダーを見る角度を変更させてあたかも擬似3D風にしたもので、 グラフィックで擬似3Dを表現にさせたゲームというのは当時としてはかなり珍しいものだ。 もっとも、地面に太いラインと細いラインをバランスよく入れてあるので、それについても擬似3Dを表現している要因でもあるのだが。

ステージ構成は、山岳地帯、草原、未来都市、遺跡の順で進みボーナスステージを経て再び山岳地帯に戻りループするのだが、 このゲームではクリア方式などなく一定数の敵の撃破及び画面下に通過すれば次のステージに進むようになっているので、クリア方式が一般的(主に敵の全滅のみ)な他のゲームと比べるとかなり特殊だ。

要は、敵をやり過ごすだけでも先に進みやすくなっているのだが、先述したように自機の慣性の存在がやり過ごしにくくなっているし、 昔のゲームゆえにエンディングもなくただひたすら得点を稼ぐだけなので、やり過ごしているだけでは得点を稼ぐことなど不可能。 つまり、自機の特性を生かしつつ得点を稼ぐのがこのゲームの攻略のひとつで、それゆえ他のSTGより難しいものの差別化という点では評価できる。

しかしながら、最初こそ2万点で一機増えるもののこれ以降5万点で自機が一機増えるこのゲームでは、この数字は初心者にとって結構高い壁で獲得する得点も低く、 特殊なテクニックおよび自機の特徴(ともに後述)以外で得点を増やすのは難しい。

慣性に慣れていれば何とかなるだろうがそうでない人は、一機も増えずにそのままゲームオーバーになってしまう可能性がかなり大きい。 そのあたりは、もう少し2万点以降のエクステンドをせいぜい3万点程度に減らしてもらいたかった(インカムが主のAC版なら仕方がないとはいえ)。


『フィールドコンバット』の敵戦力の吸収および利用、『フォーメーションZ』の変形する自機とその特性など、 ジャレコならではの独特なセンスが一般的なゲームを特殊化していることがよくわかり、そのセンスこそ熱狂的なジャレコのファンが存在している。

それが良作につながるならいいが、中には『燃えろ!!プロ野球』のバントホームランや4番が三振もしくはホームランという要素が、 結果としてクソゲーとなっていて知名度もあるわけでそれもジャレコらしいし、そのセンスに好意を持つファンもいるのは事実。 独特なセンスは、翌年後半にあらぬ方向に行ってしまったが、これを挑戦と見るべきか無謀と見るかはゲームによるものの、全体的に見れば挑戦といえなくもない。

さてもうひとつ、自機のもうひとつの特殊なシステムとして2つのビームがある。 デュアルビームとシングルビームだが、前者は2発同時発射できるが画面内では一発しか発射できず、後者は一発しか発射できないものの連射ができる。 シングルビームは、さらに弾数制限がありデュアルビームで撃墜することで補充可能なので(デュアルビームは弾数制限なし)、 シングルビームをある程度まで使ったらデュアルビームで弾数を補給するというパターンが可能というわけだ。

 この2つのビームを有効に活用することこそ、このゲームの攻略をスムーズにさせつつ高得点を稼ぐことができるので、これもジャレコならではのセンスの勝利といえる。 というのは、攻撃を一度もはずすことなく敵を倒せばボーナス得点が手に入るわけで、得点こそ最低400点に最高600点とどちらもボーナスにしては結構低いのだが、 これ以降も攻撃をはずすことなく撃墜を続ければまたボーナスが手に入ることが可能。

つまり、600点ボーナス中にはずさずに撃墜していけばそれ応のボーナスを獲得できるわけで、たとえば10機撃墜すれば合計6000点ボーナスが手に入るのだ。 もちろん、そこまでにはかなりの訓練を要するがそこまでたどり着けた時の感動は相当あると思われ、撃墜して1000点獲得できる敵もいるが突然現れる上に倒せるかどうか微妙なので、 ある程度ゲームに慣れてきたら連続撃墜のボーナスを狙ってみたほうがいいだろう。

実はこのゲーム、一撃必殺こそ高得点の鍵であり無駄弾を撃たないことも高得点の鍵だ。 これは、スペースインベーダーなどの初期のSTGに近い攻略のようで、こちらの撃った弾が画面外に消えるか敵に当たるまでは攻撃できない(連射できない)ため、 うまく敵の行動を呼んで攻撃する必要があり、それが成功すればまさに儲けものであった。

数年後には、圧倒的な弾幕を持って敵を倒すことができるのだが、エクセリオンはその流れに逆行しているかに見えて、 実は一気に高得点を稼ぐという当時のSTGの要素を加えている。いうなれば、一昔前のSTGの攻略に高得点の要素を絡ませたといえる。

ただし、敵の動きがある程度パターン化されている状況では、簡単に得点が稼ぐことができるのでこのままだと面白みがないため、 自機に慣性をつけることでパターンをある程度読んでいても、慣性のために思うように行動ができず高得点を狙えないし、こちらがやられる可能性もある。

明らかに、高得点を目指すプレイヤーに対するトラップである一方で、単調になりがちなゲームに大きな喝を叩き込んだものといえる。 これは、場合によってはプレイの幅を狭める結果になることもあり、当然大ヒットにはならない上に下手すればクソゲーにつながる危険はある。

このゲームは、さすがにクソゲーにはならなかったものの大ヒットするまでにはいたらず、知る人にとってというマイナーなゲームに甘んじてしまっている。 しかし、他のSTGと差別を図ったという点では評価はでき、同時にアーケードに参入してそれほどでもないジャレコだからこそ、他社の作品に学びつつ自社なりの作品を作り出せたといえるだろう。


このゲームがジャレコ初参入作品であることは、数年前に発売された宝島社の雑誌(レビュー冒頭で記述)といつも利用している大手ファミコンサイトのデータベースを見てようやく知ることができた。 どういうゲームかは、大手ファミコンサイトでのコメントでわずかながら知ることができ、シングルビームとデュアルビームがよかったというコメントを見て、このゲームがそれなりによかったのかなと思っていた。

だったら、中古を買ってプレイすればいいではという声もあるが、画面を見て何か面白くないという気持ちがあり、 スペースインベーダーやギャラクシアンなどの一昔前のSTGに似ていると思ったため、完全に拒否反応を示して最近までプレイしていなかった。 いわゆる食わず嫌いであり、レビューでのプレイをじっくりやった今では数年前にプレイしておけばよかったと後悔していた。

そして現在、何か思い立ったようにカセットだけ購入してプレイすることになった私だったが、数年前の評価を見て以来他のサイトでの情報をまったく見ていない中だったため、このゲームの特殊な操作にかなり戸惑った。 一昔前のSTGだと思い込んでいたから、まさか上に自機が移動できるとは思っていなかったし自機の動きが特殊で、一度動いたら今動いている方向と逆の方向に 十字キーを押さなければ止まれないという慣性に悩まされ、ボーナスステージを待たずにゲームオーバーになったことが何回かあり、 自機を増やそうにも得点が低い状況ではどうにもならず、正直これはクソゲーではないかと思うようになった。

実際、ネットでこのゲームを調べた際に万人向けではないという評価があった一方で、他のSTGとの差別化に成功したという評価もあり、 よくて独特悪くてめちゃくちゃなアイデアで定評があるジャレコだからこそ、他社では思いつかないアイデアを出すのだと思う。

サイトで、このゲームの情報を調べた時にはずさず確実に落としていけば高得点を得られると知り、意外にもバーチャルコンソールで配信されていたことも知って このゲームのページを見てもそのことが書いてあったので、何とかこのゲームに慣れつつ高得点を目指した。


その後、2つのビームをある程度使い分けることができて得点も稼げたが、シングルビームの弾数制限があるため主にデュアルビームを使用することが多かったし、 デュアルビームで2機同時撃墜しつつ状況によって高得点も稼げる場合もあったので、慣性を生かして敵編隊を誘い横に伸びきったところを見計らって デュアルビームを発射して、まとめて倒すことが何度かありそれが快感になっていった。

したがって、シングルビームは編隊が縦になることが多いボーナスステージや、敵の数があと少しでかなり接近している場合でしか使うことはなく、 はずせば高得点のチャンスが無駄になるため弾数制限なのにあまり使うことはなく、高得点のシステムとシングルビームのシステムがよかっただけにその2つの要素が、 効果を打ち消しあうように融合できなかったのが非常に残念。

もちろん、高得点を狙っても敵の動きなどでできないこともあるし、最初はゲームに慣れるのに必死で高得点を狙える状況ではなかったから、 今となっては贅沢といえばそうなのだろうがこれもゲームに慣れたからこそ言えることなのかもしれない。

また、突然出てきては撃墜することで1000点のボーナスを出す敵についても、最初は積極的に狙っていたが今では余裕がある時でしか追いかけず、最初の頃についても追いかけて他の敵に気がつかず撃墜されたことも結構あった。 その時は、高得点の手法がわからず撃墜してもそれほどしか得点を稼げないためにいらいらして、積極的にボーナスを出す敵を狙っていたのだが、このゲームのコツがつかんだ今では1000点のボーナスにあまりうまみを感じなくなった。

それでも、つい追いかけてきた挙句逆にやられたり無駄弾で高得点を無にすることもたまにあるので、 これについては調子に乗ったらこうなってしまうということを身をもって思い知らせていることもあるのだろうが、まだ私に欲があることも大きいと思う。


本日のまとめ


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CHARGE 19
(09/6/20レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2020年3月25日

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