◆超時空要塞マクロス◆
バンダイナムコの原石?



発売日:1985年12月10日   発売元:バンダイ   ジャンル:STG
値段:4500円   オススメ度:2.5(原作再現の三段変形がいいが…)


統合軍と、男性だけで結成されたゼントラーディ軍及び女性だけで結成されたメルトランディ軍の戦いは続いていた。
現在、一進一退の三つ巴の攻防が繰り広げられているが、このままではマクロスの存続が危うい。敵艦隊を壊滅するため、君はスカルリーダーことバルキリーVF−1S型で出撃した。

戦闘機型のファイター、人型のバトロイド、ファイターとバトロイドの中間形態で鳥型でもあるガウォーク、3つの形態を併せ持つ兵器を操り自由自在に形態を変え、敵メカ群の攻撃に立ち向かえ!! 両軍を敵に回しての壮絶な宇宙戦を制したのちは、ブリタイ艦に侵入し中枢部を撃破、敵艦もろとも撃沈せよ。 マクロスの平和と、そこに住むミンメイやマクロスシティの住人たちを守るのは君の任務なのだから…。

『機動戦士ガンダム』に並ぶリアルロボットアニメの双璧で、放送から四半世紀以上経っても根強い人気を誇っている。 この後多くの続編を生み出したマクロスシリーズ、2009年現在では『マクロスF』がシリーズの最新作となっている。

いくつかあるシリーズの共通点で、何よりもストーリーの根幹を支えているのは『歌』であり、初代ではリン=ミンメイの歌が劇中にいくつも登場し、 当時アイドルでミンメイの声を演じ現在ではシンガーソングライターの飯島真理さんの活躍があってこそシリーズの根幹のひとつを盛り上げていったわけで、 ミンメイとオペレーターの早瀬未沙との三角関係もストーリーの質を上げていた。

ロボットアニメにおけるシーンにおいても、現代兵器に似せた戦力が当時空前の三段変形を行い、さらにアニメーターの板野一郎氏によるミサイルをばら撒くスピード感とその手法は、 『板野サーカス』と呼ばれるほど後のロボットアニメに影響を与えている。

この後の要素はファンサイトを見てもらうとして、これほど人気があった作品ゆえに放送開始翌年にPCや、FCに先駆けた家庭用据え置き機のひとつ『アルカディア』からゲームがいくつか登場している。 劇場版公開の年にも、PC版のひとつが登場し一定の人気を保っていたが、その翌年の1985年にようやくFCでもマクロスのゲームが登場した。

なんと、TV版ではなく劇場版をベースにした作品で、劇場版をベースにした作品がわずかだったことを考えれば、いきなりFCで劇場版の作品を出すというのは発売月が12月とはいえかなり思い切った戦略といえるだろう。


ただ、発売元こそ版権作品に定評のあるバンダイだが、カセットはバンダイ独自のものではなくナムコ、説明書にもバンダイとナムコのロゴがある。 各メーカーには、大体一般スタイルのカセットとメーカー独自のカセットに大きいサイズのカセットの3つで、独自のカセットについては他者のデザインのカセットを使うことはない。

にもかかわらず、バンダイ発売なのにナムコデザインのカセットなのは、開発元がナムコであることもそうだが発売を除いてすべての権限を、 ナムコに任せたのではないかという考えがあり、現在そういった考えが一般化している。

今も昔も、作品において開発元と販売元が別々なことが多々あり、家庭用ゲーム初期においてもACでは開発元と販売元が同じメーカーなのに、 家庭用では開発元こそAC版と同じだが販売元が別のメーカー、すなわち開発元が販売したいメーカーにその権利を譲渡もしくは買い取らせることがあり、FCでもそういった作品が多く見受けられる。

しかし、そういった経緯と似ていてもFC版マクロスがあまりにも異端なのは、カセットやタイトル画面がナムコ一色でバンダイのバのことなど何もないということだ。 他の機種、いわばカセットの規格が一つに統一されていればそういう異端はなかったのだろうが、カセットのスタイルが数種類あるFCだからこそ発生したわけだ。

事実、どうして発売元がバンダイなのにナムコのカセットなのかわからなかった人は数多くいて、中古においてカセットのみで販売されていた場合では なおさら混乱したことは想像できる(当時のことを知らなかったり忘れていた人ならば)。


実のところ、マクロスの玩具版権はバンダイにあり(かつてはタカトクトイズだったが、1984年に倒産したため玩具版権がバンダイに引き継がれた) バンダイのゲーム機アルカディアにマクロスのゲームが出ていたことが関係している。

とはいうものの、マクロスのゲームおよび玩具の版権はバンダイにあるが、マクロスそのものの版権はビッグウェストにありさらにタツノコプロも かかわっていたこともあわせて、ひとつの作品でこれほど版権会社が入り混じっているという複雑な状況になっていた。

販売元のバンダイが、販売以外のすべてをナムコに任せたのはこういった経緯があったものと思われるが、わざわざ開発をナムコに指定したのはFC発展に大きく貢献し、 ACでも大きな影響力を持つメーカーだからこそ、安定した作品が作れるのではないかと考えたのだろう。

だが、今までオリジナルの作品を手がけていたナムコに、版権作品を作るというのはいくらゲーム業界に多大な影響力を持つナムコでも難しかったようで、 これ以降しばらく長い間は版権作品を手がけていないのは、マクロスという作品ひとつに多くの版権がかかわっていたことによる事実に うんざりしたためだと思われる(『女神転生』シリーズも版権だが、ほぼオリジナルの作品)。

しかしながら、マクロスのFC化を通じてバンダイとナムコが出会ったというのは、偶然ではなくむしろ必然という感じが大きい。 翌年の『機動戦士Zガンダム ホットスクランブル』には、数多くのナムコ作品を手がけてきた遠藤雅伸氏がある程度(3Dステージのみ)かかわっていて、 この後不定期ながらも版権作品のバンダイとオリジナル作品のナムコは、相違の作風ながらも近い関係を持っていた。

そして2005年には、バンダイとナムコが業務を提携し『バンダイナムコブース』という形で経営統合、FC版マクロス発売からちょうど20年後であった。 当時は驚きもあったし、先のセガバンダイのようにすぐ解消するのではないかという意見もあったが(このあたりはセガサミーと末路が関係あるだろう)、 バンダイとナムコがともにかかわってきた長い歴史を見てみれば、業務を提携するのは自然であったと考えなければならない。


さて、このゲームの内容に入るがジャンルがSTGそれも当時の考えのものならば、パワーアップアイテムもあれば特殊武器もあるし、ステージ最後にはボスも控えている。 主役となるバルキリーも、原作同様に三段階の変形が可能になっている。 原作といえば、あの板野サーカスでおなじみのミサイルをばら撒く攻撃もできるのだが、後述する変形がありボタンも少ない関係上、セレクトで出せるようになっている。

当時のゲームでは、セレクトボタンはほとんど使わないものだったために、セレクトをこういう形で使うというのはきわめて異例で、 ボタンが少なかったからという事情もあるだろうが、説明書を読まなければその攻撃方法はわからなかっただろう。

バルキリーは、Aを押しながら十字キーで変形するようになっていて、A+右でファイターに、A+上でガウォーク、A+左でバトロイドに変形する。 開始直後のファイターは、スクロールが早く移動する代わりに上下左右の動きが鈍くスクロールに合わせて敵も早く移動するため、敵がほとんどいない状況では使いづらい。

ガウォークは、スクロールがファイターほど早くないものの上下左右の動きが軽く、その分機体が大きいために敵の攻撃を受けやすいが、ファイターより楽に戦える。 バトロイドは、ガウォークよりもさらにスクロールが遅く機体も大きいが、2つの形態より上下左右が楽になり左方向に攻撃できるという特徴がある。

少ない容量ながらも、三段変形とそれぞれの形態の性能の差別化に成功したわけだが、STGの性能を考えるとガウォークのほうが使いやすく、 他の形態ではどうしてもデメリットが高く使いどころが少ないのがつらい(すぐ変形できるということを考えても)。

もちろん、機雷地帯もステージ途中にあってガウォークでは通れない所でもファイターならすり抜けることが可能で、 バトロイドでも撃ち漏らした敵を撃滅できることを考えれば、優先形態こそガウォークだが他の形態を優先して使うこともプレイヤーの自由という考えに到達できる。


一応、説明書においてファイターでは高速機関銃、ガウォークとバトロイドではカンポッドと攻撃名が違っているが、ゲームでは性能は一緒でどの形態に変形しようが攻撃力は変わらない。 ただ、ボタンを押すだけで連射ができて速度もなかなかのものなので、これが連射パッドを使うと弾幕が厚くなるし見栄え的にも笑えるものがある。

バルキリーの性能ゆえか、このゲームはライフ制で敵の攻撃を受ければ体力が減る設定になっているのは正解で、敵が多く弾幕も多い展開では当然だろう。 高得点をたたき出すことが宿命のSTGゆえに、特にブリタイ艦突入でのタイムリミット導入は、ブリタイ艦中枢破壊時点での残り時間がボーナスで、 時間を過ぎてもミスにはならないものの一秒ごとの得点が高いあたりは、高得点ブームになりつつあったSTGの肝を押さえてある。

敵がごろごろ登場し、ザコのリガードでも500点獲得できるので、ゲームを進めばかなりの得点を稼ぐことができるわけだ。 だが、ハイスコアの表示では100万点を超えることができず、短時間でハイスコアをたたき出すことは可能だがACのように100万単位を表示させる喜びに乏しく、 家庭用オリジナル作品ゆえなのだろうがSTGでは明らかに致命的な欠点である。

FCそれもSTG初期ゆえかエンディングはなく、毎ステージ同じ展開が起きるだけ。 BGMも、原作劇中に登場したミンメイのソング『小白竜(シャオロンパイ)』が流れ、ミンメイ自身もゲーム開始直後にチャイナドレスで登場、銅鑼を鳴らして大きな音に驚くしぐさもかわいらしい。

キャラゲーとしては及第点だが、自機の三段変形を殺しかねない性能とSTGの楽しみを損ねているハイスコアの制限、 ミサイルのばら撒きこと反応弾の使いづらさ(思うようにあたってくれない)など多く、キャラゲー製作はナムコでも当時では難しいことが実証されてしまったのは仕方がない。


このゲームの存在を知ったのは、数年前に大手ファミコンサイトに載っていたのを見ただけで、マクロスシリーズは初代と7ぐらいがてれびくんに掲載されていたのに、 当時のファミコン特集でこのゲームのことを知ることができなかったのは、単に昔の記憶がなくなっただけなのか。

ネットで、このゲームの発売元がバンダイでその時に出ていたレトロゲーム関連のムックでも、 発売元がバンダイと表記されていることからまさかバンダイがこのゲームを作っているとは知らなかったと驚いた。

それだけに、中古ゲームショップで他のゲームを買いに立ち寄った際に、このゲームがカセットだけあったのを見たのだがバンダイが作っているはずなのに、 カセットがナムコでその両面に張っているラベルにもナムコだけで、バンダイのバの字などまったくなかった。

ある意味、完全に混乱した私はこのゲームを知った大手サイトに、バンダイではなくナムコではないかと掲示板に書いたが違うみたいな返事があり、 他のファミコンサイトでもバンダイと発売元が表記されていたので、何でバンダイなのにカセットがナムコなのかわからなかった。

この疑問は現在まで続いたが、箱と説明書を一緒に買ったことである程度解消されたものの、肝心のバンダイとナムコの関係は結局わからず、 レビューを書く際にいろいろなファミコンサイトや『ファミコン マクロス ナムコ』で検索して疑問解決に乗り出した。

その結果、発売元のバンダイがナムコに発売以外の権利を与えて製作させたことがわかり、FC版Zガンダムについても遠藤氏がかかわった理由もなんとなくわかり、 それだけバンダイとナムコが近い関係を持っていたのかと納得した。

現在では、ネット通販でこのゲームの発売元がナムコである記述が多く見受けられ、カセットだけを取り扱うこともできる中古ゲームショップだからこそ、 こういう記述も仕方がないのではと思っている(本気で混乱した私が言う台詞ではないが)。

もちろん、2005年のバンダイとナムコの業務提携は私を驚かせたが、それ以前に何回か信頼を築きつつあったことがわかった今では、むしろ2社が業務提携するのは当然と考えている。 それでも、マクロスという作品が複数の版権元を抱えている以上、このゲームを作り原作再現をある程度やってはいるものの、ナムコらしからぬSTGの出来具合というのは初の版権作品だからというものなのだろうか。


すでにビデオなどで原作を見ていて、板野サーカスのすばらしさがゲームでもできるようになっているのはうれしかったが、 ほとんど当たらない上にすべて外れることが何度もあり、敵も使ってきて意外にもきっちり当ててくるのは、敵のほうが使い勝手がいいのか私の腕が悪いだけなのかわからないが (もしくは使いどころを間違っているのかもしれないし、複数の要素が絡み合ってることもある)、セレクトでミサイルをばら撒くというのは今プレイしても斬新であり、ナムコとしての苦肉の策かもしれない。

画面を見ただけでは、バトロイドのかっこよさ(特にスカルリーダーを見る機会がアニメよりも雑誌で多かった私には、 主人公が初期に乗っていたバルキリーより定番に感じた)しかわからずゲームでプレイしてゲームの中身がわかったわけで、 ガウォーク以外の形態が使う機会こそあれどアクが強く、とてもガウォークを差し置いてゲームを進めることはできなかった。

私が使える形態をランキングで示せば、『1位ガウォーク・2位バトロイド・3位ファイター』でありそれゆえに劇中では あまりのかっこ悪さにいい印象はなかったが、癖がなくあたりやすさも適度だったのでこのゲームでガウォークを見直した。 単に食わず嫌いでしかなく、改めてDVDで見ればガウォークが劇中でどれほど輝いていたのかわかるかもしれない。

スパロボシリーズに参戦しているから、ガウォークは使いやすいかどうか意見があるのだろうが、残念ながら私はマクロスシリーズが参戦しているシリーズはプレイしておらず、 忍者戦士飛影が参戦していなければプレイしないと14年前から決めている。

ネットでは、スパロボでの性能のことが結構載っているだろうから、後でお邪魔してその評価を見たいと考えている。 なお、SRC(スパロボ風シミュレーションRPG)でマクロスが参戦している作品をいくつかプレイしていているが、 ここではガウォークはもちろん他の形態も癖のない強さになっているので、多分スパロボでも同じ性能なのかもしれないが。



本日のまとめ



ATTACK!
(09/6/3レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年12月28日

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