◆じゃじゃ丸の大冒険◆
じゃじゃ丸くんシリーズ第2弾



発売日:1986年8月22日   発売元:ジャレコ   ジャンル:ACT
値段:4900円   オススメ度:3(スーパーマリオの影響強し)


前回の戦いで、一族の裏切り者なまず太夫を倒しさくら姫を救出し、意気揚々に里に戻るじゃじゃ丸くん。 だが、助け出したさくら姫は偽者で、倒したはずのなまず太夫も生きていたという事実を知る。 なまず太夫にまんまとしてやられたじゃじゃ丸くんに対し、殿様は再びじゃじゃ丸くんにさくら姫の救出となまず太夫の打倒を命じる。

じゃじゃ丸くんも、これを了承しさくら姫を助けに向かうが、その旅は以前よりも厳しくそして険しい。 というのは、柳街道、鎮守の森、ザビエル城、田舎道、妖怪墓地などといった数々の難所、虚無僧、カミナリパンツ、ザビエル、らしゃ面の四天王をはじめとする強化されたなまず太夫配下の妖怪軍団。

そして、じゃじゃ丸くんの最強忍法ガマパックンにも勝るとも劣らなという、なまず太夫の恐るべき正体。 はたしてじゃじゃ丸くんの忍法は、なまず太夫以下史上最強の妖怪軍団に通用するのだろうか…?


『忍者くん』のスピンオフ作品である『忍者じゃじゃ丸くん』シリーズの第2弾で、前作登場から9ヶ月の速さで登場した。 この頃、本作品の忍者くんシリーズはいまだ続編が出ておらず、じゃじゃ丸くんシリーズに続編が出たことで、忍者くんとじゃじゃ丸くんはこの時点でそれぞれの道を歩むことになるのである。

もっとも、忍者くんの開発元はUPLでじゃじゃ丸くんの開発元はジャレコなので、開発元が違う以上別々の道を歩んで当然ではある。 権利を買い取った当時のジャレコだからこそ、権利元を離れてのびのびとスピンオフシリーズを作ることができたといえる。

とはいえ、前作発売からわずか9ヶ月しか経っていないものの、この時期のFC界は大きく様変わりしている。 今作発売の年の2月、当時のFCの性能を凌駕するディスクシステムが発売、ROMカセットについても容量が1M場合によっては2Mのソフトも登場し、ジャンルも増えてきたばかりかソフトの量も前年より大幅に増加していた。

となれば、じゃじゃ丸くんシリーズもまた色々と試行錯誤しなければならなかったし、ゲームが飽和状態に近くなるこの時期が忍者くんとじゃじゃ丸くんが、それぞれの道を歩むきっかけだったといえる。 それから2年半は、じゃじゃ丸くんシリーズの新作は出ておらず、ようやく出たとしてもそれは今までのものとは全く違っていたのだから。


忍者くんシリーズと別々の道を歩んだ以上、じゃじゃ丸くんシリーズも前作とは趣向を変えて製作しているが、その趣向が明らかに違っているために当時の、それも前作や忍者くんをプレイした人は戸惑いを受けたのかもしれない。 ジャンルこそアクションで、グラフィックもほとんど変わっておらずせいぜいアイテムや敵が増えた程度だが、ルールが今までの8体の敵を全滅させるものからステージの奥にある扉に入ればクリアという、普通の横スクロールアクションになっている。

前作も、今作には及ばないものの横スクロールだったが、ルールの関係や後述する要素もなかったため、特に気にする人はいなかっただろう。 何しろ、もっと後のステージ以降でしかなかった数種類の敵の大挙登場も、今作ではそれを最初からやっているためにこれも新鮮に受ける要素でもある。

今作では、落とし穴の追加や前作の天井がブロックに置き換えられ、敵についても種類の増加は言うまでもなく手裏剣に当てても倒せなかったり、多くが突然現れるものなのに対して既に出現している、またはその場にいて弾をばら撒いたりと攻撃パターンも多いため、前作と同じ感覚でプレイしていると即座にやられる危険が大きい。 新規登場は言うに及ばず、おゆきやカラカッサなど前作から登場したり忍者くんからだるまや、獅子舞の攻撃パターンを持った敵もいたりしている。

さらに、中ボスである四天王も追加され専用のステージで戦うことになるのだが、前作のボーナスステージのように基本的にじゃじゃ丸くんが下で中ボスが上という位置にあるが、それぞれ爆弾を投げたり雷を落としたりと四天王ということで4つの攻撃パターンがある。 11ステージ以降、四天王は2人に増え攻撃も激しくなるが、じゃじゃ丸くんも手裏剣を2連射できたりジャンプもできるので、ボスによっては楽に倒せるのがうれしいところではあるものの、強いというより単に倒し方が面倒である。

今作のステージ構成は、奇数が通常ステージで偶数がボスステージとなるが偶数のほうはボーナスステージでもあるため、たとえやられても次のステージに進むことができるものの、ラスボス扱いのなまず太夫(ステージ10と20に登場)を倒しさくら姫を救出するのだから、ボーナス点も含めてぜひ倒したほうがゲーム的にも面白さが増すというものだ。 なお、今作では最大20ステージをこなさなければならず、それ以降は2周目となるものの前作よりも長丁場になることは、それだけそこまで持っていけるほどの容量を獲得したといえる(というよりそこまで容量を増やさなければ他のゲームについてこれないことも事実)。

前作でも、FC版忍者くんより容量が若干増えているが、今作はもっと容量が増えていることも、ステージを長くしたり敵を多く増やしたり、新要素を出したりと自由なことができるわけだ。 とはいえ、グラフィックこそ前作以前から変わらないものの、システム追加や変更の多さによりまるっきり違うゲームになっているのも珍しく、そのあたりは当時のソフトで考えれば『ディグダグ』シリーズによく似ていて、それらといい勝負ができるほどだろう。

この通常ステージと、そこに用意されている落とし穴やブロックに数種類の敵の登場というあたり、『スーパーマリオブラザーズ』の影響が強いようだ。 そもそも、ステージの構成が前作や忍者くんと違っていて、それらの前後にスーパーマリオシリーズが登場したことは、明らかにその影響は強いだろう。

もっとも、スーパーマリオシリーズは当初から世界中に愛されてきたゲームだけに、この後に登場する多くのアクションゲームに影響を与えたのが事実なのは間違いないのだが、雰囲気を前作そのままに残しているのはジャレコらしいというべきだろうか。


アイテムについては、一定時間妖怪たちを動けなくするフラッシュ以外はほぼ前作と同じだが、今作は4つある能力上昇のアイテムを3つ集めれば無敵のガマパックンを呼び出すことができた前作とは、ちょっと趣向が違っている。 というのも、ガマパックンは無敵アイテムとして登場しているためで、代わりに木の葉隠れの術として能力上昇アイテムを4つのうち3つ集めれば発動できるようになっている。

だが、この忍術は一般的に多くの木の葉を舞って敵の目を欺きながら隠れるというものだが、このゲームでは一定時間全体攻撃になっているため、本来防御用の忍術が攻撃用の忍術になっているという、一般的な忍術を知っている人にはかなり戸惑いがある。 こういう形にしたのは、ガマパックンがアイテムに加えてなまず太夫との決戦にも使うので、いわば最終決戦用の意味合いが強くなったものに使用頻度を多くするのはふさわしくないと考えたのだろうか(アイテムとしての登場頻度もかなり低い)。

この他、得点アイテムという点では前作の金銀小判の代わりに大小の小判、加えて大小のダイヤも登場しているがどちらも大小に得点の差があれど(大:500点、小:200点)種類に得点の差がないのは、単に見栄えを良くしただけという可能性が強いようで、四天王にザビエルという明らかに外人の名前の中ボスがいることも関係があるのかもしれない。

その四天王のザビエルの由来はデザインを見れば納得するかと思うが、あの日本にキリスト教を広めに来日したイエズス会のフランシスコ=ザビエルその人である。 というより、ザビエルといえば宣教師のほうのイメージが強いのだが、あえてゲームに登場させただけでなく敵それも中ボス扱いとして登場させたあたりは、別の意味でジャレコらしいといえる。


ところで、忍者くんとじゃじゃ丸くんがこの時点で別々の道を歩んだことは、このゲームの新要素の数々でわかるかと思うが、同時に前作および忍者くんのテクニックおよび登場敵の数々などによる、今までの忍者くんとじゃじゃ丸くんの集大成も関係があろう。 敵については前に述べているが、忍者くんにあった敵の死体を手裏剣に当ててボーナスを獲得するテクニックが今作に再び登場していることが大きい。

忍者くんでは、死体の落下速度が速かったためそれを狙うのは高等ではあったが、今作ではそのスピードはかなり減退している上にスーパー手裏剣で楽にできるので、忍者くんでそのテクニックができなかった人はこのゲームでやってみるのも面白い。 高得点が稼ぎやすいこのゲームは、そのテクニックをしなくても小判を回収したり敵を倒して魂を回収するだけでもそれなりの得点を稼ぐことができ、じゃじゃ丸くんまで一回ミスするとクリアタイムボーナスがもらえなかったが、今作では途中で始めた時にゴールまでの距離に見合ったタイムが出るので、これもこのゲームが得点稼ぎしやすい要因でもある。

ただ、死体を撃つことは同時に入手可能な魂が入手不可能になることであり、死体を撃ったほうが魂入手よりも得点になりやすいが、今作では魂を50個集めることでじゃじゃ丸くんの残り人数が一人増え、得点でも増やすことができるので人数を増やしやすいというより、ゲームの難易度に合わせた形になっているといった感じが強くい。 スタート数秒でミスしてしまう可能性があるあたりは、得点と魂を共用させたのは仕方がないのかもしれないが、ある意味理不尽な難易度だからこそなのだろう。

なお、一定数の魂で1UPされるシステムはスーパーマリオのコインと非常に似ていて、改めてスーパーマリオの影響が強いのは当然といわざるを得ない。 楽しめる作品ではあるが、敵の大挙登場やそれにおける弾幕に落とし穴というプレイヤーを貶める罠がある以上、集大成とはいえ攻略パターンのランダムによる高難易度になってしまっていて、それが序盤から展開しているのはいかがなものかと思う。


このゲーム、プレイこそ最近であるものの存在は発売当時からてれびくんで知ることができた。 この頃、ディスクゲームが誕生数ヶ月で大ブレイクしていて、『ゼルダの伝説』や『スーパーマリオブラザーズ2』などがてれびくんで特集を組んでいたので、まだFC本体とソフト数本を買ったばかりの私だったが、早くもディスクシステムがほしいとだだをこねていた。

そんな中でのじゃじゃ丸の大冒険特集、既に前作をいとこの家でプレイしていてどういうゲームかわかっていた私だったが、続編の特集を見ていて明らかに前作と違うという感じを受けたため、もしかしたらディスクゲームのひとつではと思い込んでいた。 レビューでも述べているが、このゲームはスーパーマリオの影響が強くブロックがそれを現しているものの、その事実に気づいたのがレビューを書いている現在なので、当時スーパーマリオ2が連日攻略記事を出していることも関係があると思う。

悲しいかな、このゲームがディスクゲームではなく普通のカートリッジである事実を知ったのはレビューを書く数年前で、大手ファミコンサイトでこのゲームがカートリッジである期日がされてあったのを見たのだ。 しばらく後にファミコンのムックで、定価が4900円と3000円未満のディスクゲームよりかなり高く、ディスクゲームである記述もされていない記述も見て、ようやくこのゲームが普通のファミコンソフトである事実を知らされた。

しかし、特集記事を見て17年経過していたため、どういうゲームなのかさっぱりわからずむしろ前作の記憶が当時かなりプレイしていたことで、前作と同じなんだろうという思い込みも手伝ったためプレイすることがなかった。 ようやくプレイするきっかけをつかんだのも、『忍者くん』と前作をレビューしていたことで同じアクションのこのゲームをレビューしてみようという気になったためで、3本とも同時に購入してはいたもののこのゲームだけは抵抗があったためかプレイする気にはなれなかった。


しかし、プレイしてみて魂50個獲得および一定の得点で1UPする要素と、『アト○○』という細かいゴールまでの残り距離に、その数字の地点でミスしてもその場から再開しタイムもそれにあわせるやり方は、初心者に優しい配慮だと思った。
一方で、場所によっては大量の敵に身動きが取りにくかったり、その敵が吐き出す弾の数に対処できなかったり、さらには大小にかかわらず落とし穴がいくつも仕掛けられていたりと、高難易度の要素もいくつかあった。 それをあわせれば、初心者にも上級者にも配慮がきくバランスのいい難易度のはずだったが、難しい要素が最初に露見してしまい簡単な要素が何度もプレイしていくうちに見つかっていくものだったため、私からすれば難しいゲームに入ると思う。 それゆえ、ニコニコ動画で見たこのゲームのプレイ動画はなかなかによく、さすがだなと本気で思っていた。

ちなみにボス戦は、ボーナスステージだからか簡単である程度パターンさえつかめばミスすることなく倒せるが、なまず太夫を除いた中ボスの四天王についても簡単なものと難しいものがいるので、何度もプレイしていれば総合的にバランスよいゲームであるとはいえ、私からの目で見ると簡単な要素と難しい要素が適当に存在しているため、果たしてこれがバランスの取れたゲームなのか疑問に感じるところだ。

ただ、わざわざ敵を倒して進むゲームではないので、安全な場所で倒したり時間切れで炎に追いかけられつつ、死体撃ちで高得点を目指してみたりと慣れればある程度クリアしやすく、アイテムでトロッコを出して快適に進んだりスーパー手裏剣で敵をまとめて倒したりと楽しんだ。 それらを出すブロックはランダムでしかアイテムを出さないので、小丸くんが出たブロック付近でミスしてそこから再開して再びブロックを壊したら爆弾が出たこともあるため、このあたりはスーパーマリオと差別を出したのだろうが、周囲のブロック全てが爆弾になった時はもう笑うしかなかった。

何とかクリアしたとはいえ、手裏剣を当てても倒せず触れたら即ミスとなりプレイヤーを追い回す敵には、もうこりごりでありトラウマに近いものを感じたので、それがある程度忘れかけたときにでも改めてプレイしてみようと思う。



本日のまとめ



忍法木の葉隠れの術!!
(09/5/30レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年11月14日

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