◆スーパーマリオUSA◆
ドキドキパニックの差し替え



発売日:1992年9月14日   発売元:任天堂   ジャンル:ACT
値段:4900円   オススメ度:3.5(ドキドキパニックとは違うもの)


ある日の真夜中のこと…、深い眠りについたマリオはとても不思議な夢を見ることになりました。 上の方にある扉へと続く、長い長い階段の夢で扉を開けてみると、今まで見たこともない世界が見渡すかぎり広がっていました。 そんな夢の中に浮かぶ出てくる不思議な世界で、マリオはどこかか細い声がわずかに聞こえてきました…。

「夢の国サブコン(Subcon)へようこそ。あなたが、ここに来てくださるということをお待ちしていました。 私たちが住んでいるこの国は、現在マムーという魔物とその一味によって支配され、国中にひどい魔法をかけられているのです。 私たちこの国の人々は、マムー一味によって捕らえられています。私たちを助けてください。

そしてマムーを退治して、サブコンを平和な国にしてください。現実の世界でマムーがあなたにかけた呪いは、夢の世界では効果がありません。 いいですか、マムーは野菜が苦手だということを覚えておいてください。どうか、どうか私たちを助けてください…!!」

この声と同時に、マリオの目の前に稲妻が走りびっくりして足をすべらせ、思わずひっくり返ってしまいます。 はっとおどろいて目が覚めると、ベッドから起きあがっていたことに気づきましたが、まだマリオの頭は寝ぼけたままです。

何とか頭をすっきりさせようと思い、マリオはこの不思議な夢のことをルイージとキノピオとピーチ姫に話しました。 すると、マリオ以外の3人もマリオと同じ夢を見ていたため、これは不思議ともつかぬ奇妙な夢であることがわかりました。

その後マリオたちが、近くの山にピクニックに出かけたときのこと、目的地に着いてあたりをながめると、近くに小さなほら穴がありました。 ほら穴に入ると上へ上へと続く階段がありましたが、これはマリオが夢で見たものとまったく同じです。

みんなで階段をいちばん上まで登ると、そこにもマリオたちが夢で見たものと同じ扉がありました。 そしてマリオたちが、おそるおそる扉を開けてみると…、驚いたことにマリオが夢で見た世界が目の前に広がっていたのです。 そう、マリオたちが今見ている世界はサブコン、かつては平和な国でしたが今はマムー一味が支配しています。

ここにおいて、夢で見たのが現実であったことに気づいたマリオ一行は、 夢の中で聞いたサブコンの人々の願いもまた事実だったこともあり、力を合わせてマムー一味を退治することにしました。 果たして、マリオ一行はサブコンの平和を取り戻すことができるのか、そしてその国を支配するマムー一味とは…?


初代スーパーマリオから続いているシリーズの外伝的作品で、シリーズでおなじみのクッパ一味が登場しない異色のものになっている。 正確に言うのならば、このゲームは1987年登場の『夢工場ドキドキパニック』の主役をマリオファミリーに置き換えただけで、 敵役が変更されていない以上クッパのクの字はおろか、ノコノコやクリボーといった敵も出てこないのは当然。

サブタイトルに『USA』と題しているあたり、元々はアメリカの作品でタイトルも『スーパーマリオブラザーズ2』とあり、 同名の作品が既に日本にある以上USAと題するのは当然だが、日本のマリオ2が海外に出なかったのはワールドAからDまでの16ステージが大きい。

大まかな理由として、日本版2は初代のリニューアルに加えて難易度が高すぎたということになっているが、 高難易度に受け応えのある海外でそれは理由にならず、いうなればディスクシステムがないアメリカの悲劇がドキドキパニックの差し替えであったといえる。

ところで、このゲームが日本で発売されることになったのは、ドキドキパニックがディスクゲームゆえにディスクシステムを持っていないユーザーのためということが大きい。 その翌年には、FC誕生10周年ということでSFCと同じ構造(コントローラーの取り外しができる)に近いニューファミコンが登場、 続いてディスクシステムで人気のあったソフト数本がROMカートリッジに移植されているのだから。

短命に終わったディスクシステムだが、それだけユーザーに魅力があったといえる。 これらは、人気もそうだが社内の独断で選んだ可能性があるようで、このゲームが日本で遊べるあたりも独断の可能性もあるかもしれないが、 翌年発売の『スーパーマリオコレクション』にスーパーマリオ3作品とともに収録され、リメイクされていることは幸いである。

こういった経緯がある以上、かつてドキドキパニックをプレイした人ならこの次にどういう展開があるのか、大体わかるはずだ。 後述する、変更された要素もいくつかあるので「おやっ?」と思う箇所もあるし、そもそも容量的にUSAのほうがドキドキパニックよりも容量が多い(USAは2Mでドキドキパニックは1M)ので、 変更されたり追加できたりするところがあるのだが。

そもそも、ドキドキパニックはマリオの開発スタッフによって作られたのだから、何らかの形でマリオ作品に仕立て上げることがすぐにできたわけだ。


プレイについても、前述のようにドキドキパニックの差し替えに近いものなので、ドキドキパニックを何度もプレイしていれば楽にクリアできる。 ただ、プレイするスタイルがドキドキパニックと違うため、ドキドキパニックと同じ感覚でプレイすると苦労はしないものの、ちょっと拍子抜けする。 一言でまとめるなら、ドキドキパニックよりも気軽にプレイできるゲームに仕上がっている。

というのは、ドキドキパニックではキャラを交代させるには、ディスクセーブ後にリセットまたはワールドのボスを撃破しなければならないためであり、 4人のキャラとも攻略ルートが一緒である一方で、一回クリアしただけではこのゲームは終わらず別のキャラでプレイしなければならない。

たとえば、イマジン君が2−1までクリアしても他の3人は1−1から始めなければならないため、 真のエンディングを見るためには4人ともゲームをクリアしなければならないのだ(それ以外のエンディングはミニエンディング風)。

これは、当時ROMカセットにバッテリーバックアップがなくディスクセーブができるディスクシステムだからこそできたシステムであり、 一周につき全20ステージをクリアしなければならないこのゲーム、真のエンディングを見るためには80ステージをクリアしなければならないという長丁場に付き合うことになる(ワープすれば話は別だが)。

USAでは、一ステージクリアごとにキャラを交代することができるので、キャラによっては難しいステージでも別のキャラで簡単に攻略することが可能だし、 あえて苦手なステージをプレイしてみることも可能で、前のステージでプレイしたのと同じキャラでプレイするのも可能だ。

つまり、ドキドキパニックと違って臨機応変に攻略することが可能であり、加えてこのステージをクリアしたという目印もなくなっているので、 気軽にワープを利用できるのがうれしいところ(一応、別のキャラでプレイする際に前のキャラが攻略したステージをマーカーで示しているのだが)。

このゲームがアメリカで登場した当時(1988年)は、アクションゲームのROMカートリッジにまだバッテリーバックアップを導入しているものはなかったため、 パスワードもなくコンテニューだけしかなかったこのゲームにはドキドキパニックのシステムそのまま当てはめるには無謀でしかなく、クリアごとにキャラを変更できるシステムに変更したのは必然といえる。

リメイク版では、途中セーブ機能がついているのでFC版より気軽にプレイできるのだが、それゆえFC版になかった要素を次々と導入している(後述)。


いずれにせよ、ディスク作品をカートリッジに合わせた移植をしっかりやっていることがよくわかり、ドキドキパニックをプレイしたことがある人でもそうでない人でも楽しめる。 さらに、このゲームの肝であるキャラやアイテム差し替えを、ドキドキパニックのような全体がアラビア風味からマリオ風味の割合を大きくしている。

イマジン君からマリオへと、能力的に順当な差し替えが行われていて、特にママからルイージに差し替えられたのは両者ともジャンプ力が高いという共通点があったためで、 まさにマリオ2での性能が影響しているといえるがさすがにダッシュ後でのブレーキがきく時間は含まれていない。

パパとリーナの差し替えは、それぞれキノピオとピーチ姫になっているあたり、単に当時のマリオファミリーの少なさとそれにおける余りが関係しているらしいが、 面白いことに以降のマリオシリーズにUSA時での2人の能力がそのまま影響している。

アイテムの差し替えは、ビッグフェイスから甲羅やマスクからキノコブロックなどで、BGMは無敵状態と裏世界ぐらいだが、 裏世界は初代と2のスーパーマリオのBGMという昔からのマリオファンにとって思わずにやりとさせられる。


ある程度の差し替えで、スーパーマリオのゲームであることをプレイヤーに証明させているが、ドキドキパニックを知っている人にはまだ差し替え前の雰囲気が抜けず、 ドキドキパニックを知らなくてもマリオシリーズの中では移植であることはわかりきっている。

もちろん、面白さはドキドキパニックをプレイした人やたとえプレイしていなくても、マリオゲームは安定して楽しめることを既にわかっていたため、 売り上げも約70万本とマリオシリーズにしてはかなり控えめではあるものの、FC末期であることを考えれば十分な売り上げだ。

マリオシリーズ開発スタッフの作品は、たとえ雰囲気が違っても面白さは変わらず、時代が変わっても常にユーザーのことを考えてゲーム作りをしているのは見事である。 ただ、旧作のリメイクもかかわっている以上面白さが昔より上回っていることもあり、USAも昔を求める人以外は素直にリメイク版それも『スーパーマリオアドバンス』を買ったほうがいいだろう。

声もついていて、グラフィックやBGMもきれいで巨大キャラなども登場し、リメイク版の『マリオブラザーズ』も遊ぶことができるのだから。 最後に、エンディングにおいて敵キャラを紹介する場面があるが、ドキドキパニックでの名前ではなくアメリカでの名前のままになっているのは、 単に差し替えるのを忘れた可能性が高く、このあたり日本版開発スタッフの平凡なミスかもしれない。


ドキドキパニックでのレビューにも書いたが、系列作品を初めてプレイしたのは『スーパーマリオコレクション』である。 当時のファミマガの記事にこのゲームのことが載っていたが、この時期『信長の野望 武将風雲録』に大いに夢中になっていた上に、友達の家でSFCソフトをプレイしていたためにこのゲームに特に興味を持たなかった。 SFC本体を購入したその年の12月以降、FCには特定のゲーム以外全く興味を持たず、SFCに夢中になっていった。

そんな中で、USAのリメイクが収録されていたマリオコレクションをプレイした時、まだドキドキパニックをプレイしていなかったがテンポよく進めることと、 雰囲気が今までのマリオシリーズと違うのにある程度プレイしているとすっかり慣れてしまっていることに気づいた。 もっとも、マリオコレクションの中ではあまりプレイしていない作品だったので、かなりはまり込んだのはマリオアドバンスのほうだった。

グラフィックやBGM的にマリオコレクションに近かったが、やりこみ具合ではドキドキパニックの4周で真のエンディングをみる要素を、 一周しつつ全てのステージを制覇してステージにある特定のアイテムを取るというものになっていたので、声付きも含めて思った以上にやりこんでいたことに、中古版を購入し数ヶ月でクリアしてから数年後の現在になって気づいた。

 それだけ、FC版の購入には手控えていたのだが、マリオコレクションのレビューや他のマリオシリーズのレビューを考えると、 さすがにプレイしないわけにはいかなくなったのでできるだけ早くプレイしてレビューを書き上げることにした。


これは、ドキドキパニックをレビューした直後に考えていたことで、プレイするまでの私の考えはどうせドキドキパニックの差し替えだから、 適当にプレイしてそこでわかったことをレビューするかその他ゲーム紹介に書けばいいだろうと思っていた。

ドキドキパニックとUSAとの違いはいくつかあるものの、そこまで神経質になるほどでもないと考えていたので、 大きい違いを書いてそこで自分なりの意見でも書くだけと決めていたので、普通にUSAをプレイした時はその甘い考えを即座に改めることになった。 さらに、リメイク版をやりこんでいる以上古めかさが好きな人以外は、リメイク版をプレイしたほうがいいとも書く予定でいた。

というのは、なぜこのゲームが日本にやってきたのかとかそもそもアメリカでこのゲームを出す理由はとか、細かい違いもさることながらこのゲームの情報をネットで探してみたり、 ドキドキパニックをプレイした記憶がまだ残っている以上、USAが単にドキドキパニックの差し替えであるという考えはやめたほうがいいと思い、これ以降真剣にレビューやプレイをした。

しかも、マリオアドバンスのほうをやりこんでいたこともあり、FC版はやりこみが薄く気軽に遊べることがわかると、 最初のプレイこそ得意不得意のステージにかかわらず適当にキャラを選んでいたが、次プレイ以降はマリオ一辺倒に収まった。

一応、攻略はわかってはいるものの元々私のゲームの腕がよくないので、ゲーム後半特にワールド6以降はかなり苦戦を強いられた。 それでも、コンテニュー以上にボーナスステージで残り人数をかなり稼いだこともあり、ステージの難易度こそ高かったが残り人数の多さを盾にして無理やり突破、ついにマムーを撃破しエンディングを見ることができた。



本日のまとめ



CONTRIBUTOR
MARIO
(09/5/22レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年10月21日

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