◆スーパーマリオブラザーズ2◆
スーパーマリオシリーズ第2弾



発売日:1986年6月3日   発売元:任天堂   ジャンル:ACT
Disk:片面   値段:2500円
オススメ度:4(この難易度、まさにエキスパート級)


1985年に登場し、日本はもとより世界中で爆発的なヒットとなった、あの『スーパーマリオブラザーズ』の続編。
それも、この年の2月に登場し同時発売の『ゼルダの伝説』とともに、FCに新たな道を切り開いたディスクシステムにするという、 まさに任天堂の顔と呼ぶべきゲームがディスクシステムで活躍することになった。

任天堂は、1986年の作品を全てROMカセットではなくディスクシステムで登場させることを決めていた。 事実、初期の任天堂作品の中の一部がディスクシステム発売と同時に移植され、初代スーパーマリオもその中に含まれていた。

とはいえ、ディスクシステムの値段が15000円とFC本体とほぼ同じ値段(14800円)は、家庭に予想外の大出費を強いられることになり、 当時ROMカセットより高性能と(書き換えを含む)ソフトの安さを宣伝しても大ヒットになるかは微妙なところだっただろう。

結局、成功に値する成果を出したことで人気もある程度高まったこの機器、数年後に終焉を迎えたもののFCひいては家庭用ゲーム機の歴史に新たな一ページが加えられることになり、 結果として1993年のディスク作品のROMカセットの移植が行われるようになった。

スーパーマリオの続編を、ディスクソフトしか供給しないという任天堂の方針ながらもあえてディスクゲームとして登場させ、 第3弾が発売当時ディスクゲームの安定期にありながら再びROMカセットに登場したあたり、異端児という価値があっても仕方がないといえる。

このゲーム、続編と銘打っていてもストーリーが前作と全く変わらず、グラフィックも色々変更はあれどマリオ兄弟やクッパ一味などのキャラクターのデザインは 全く変わっていないため(変更されたのはピーチ姫だけ)、続編というよりリニューアルという扱いだろう。 そのリニューアルにしても、後述する多くの要素の追加によりリニューアルというよりエキスパートになっている。

早い話、初代スーパーマリオをクリアしたプレイヤーに対する挑戦であり、売り上げがディスクゲームながらも約265万本を記録するなど、 初代の人気を引き継ぎながらも新たなマリオファンの獲得に成功している。

ちなみに、このゲームは片面でゼルダの伝説といった両面使用のゲームと違って、他の片面使用ゲームの書き換えが可能になっている。 つまり、同じ片面使用の初代スーパーマリオを何も入っていない片面に書き換えれば、 ディスクカード一枚で初代と続編が遊べるというものだ(それは『ドンキーコング』と『ドンキーコングjr.』にしても同じこと)。

それだけ、書き換えの手軽さがディスクシステムの魅力ゆえに、ディスクシステムの寿命を早めたのは皮肉だ(利益が低いため)。


前作のリニューアルだが、リニューアルとは名ばかりの難易度が高いもので、序盤から苦しい展開がプレイヤーを待ち構えているものの、 同時に前作になかった要素を多く取り入れたあたりは、まさにディスクカードならではといえる。

もっとも、容量的にディスクカードのほうが当時のROMカセットの容量を上回っていたのだから、その分新しい要素を次々入れるのは当然ではあるのだが。 グラフィックこそ、地面が細かく描かれていたり雲やつくしなどの背景に目や口が描かれていたりと、初代と比べて若干強化されている程度だが、それでも初代よりきれいに感じる。

なお、多く背景に目や口が描かれているのは、スーパーマリオのストーリーにキノコ王国の人々はクッパの魔法によりつくしや岩などに姿を変えられていることを表現しているためで、 初代のように口なのか目なのかわからなかった分非常にわかりやすくなっているが、改めて背景がキノコ王国の人々の成れの果てだと思うとどこかしら寒気を感じるものだ。

仕掛けも、初代と比べて種類がいくつか増えているが、どちらも今作を象徴するものになっていてこれらの仕掛けの名前を耳にするだけで、苦い思い出が浮かんでくるのではないだろうか。

一つ目が毒キノコで、スーパーキノコやフラワーとは別のマイナスアイテムとして登場。 スーパーマリオ、またはファイヤマリオの時に取ってしまうとマリオに逆戻りし、マリオの状態で取ると1ミスとなるというパワーアップアイテムにトラップを加えたものというべきか。

マイナスアイテムの概念は、『いっき』で前方しか攻撃できない竹やりがあるが、いつもより得点が増えるというメリットがあるため、 純粋なマイナスアイテムという点ではスーパーマリオ2の毒キノコが、色違いだけで形が同じという罠を加えていやらしいものになっている。


追い風と向かい風もまたプレイヤーに不利益が高いもので、どちらもジャンプの距離が変わり立ってるだけでも風によって移動してしまい、 向かい風の場合ジャンプして穴を飛び越えられるものが向かい風により押し戻され、着地できずに穴に落ちてしまうケースがある。 追い風でも、着地地点を飛び越してしまって次に控える穴に落ちてしまうこともあり、風ひとつでこれほどまで難易度が変わってしまうのかといういやな例だ。

プレイヤーが、操作しているのがマリオかルイージでも難易度が変わり、マリオが平均的な能力を持っているとすればルイージはジャンプ力が高い代わりに、 ブレーキをした際に止まる間での時間と距離が長く、これが追い風の場合まさに悲惨極まりない結果になることがあるため、 今作にブレーキ音が追加されたことを加えてちゃんと止まってくれるかどうかかなりどきどきしたことだろう。

今作は、2人プレイはできず一人プレイになっているがその理由は、ルイージにももう少し光を当てたいとする任天堂の意向に加え、 元々このゲームは一人専用という意味合いが強くさらに後述する要素により、2人プレイでは無理がある以上そうなれば出番がないルイージに、あえてマリオと違う能力で登場させたのは当然といえる。

ワープもまた、プレイヤーに有益なものと同時に不利益なものになり、今作では有益よりもむしろ不利益になってしまった感じが強い。 前作では、ワープを多用して数分で最終ステージにたどり着くことができたが、今作はその手段が使えにくくなったことに加えて前のワールドに逆戻りしてしまうものも登場した。

これは、ワープがあるステージで地下世界に行く土管を利用して早くゴールを目指す時、ゴールかと思われた先に逆戻りせざるを得ない ワープ土管(以下逆ワープ)が登場したことを考えれば、まさにプレイヤーの期待をものの見事に打ち砕くのに十分だ。 しかも、特殊な要素によりワープそのものがそれを狙うプレイヤーにとって不利益になってしまったが、この要素については後述したい。


そして、初代の多数のバグや裏技を具象化した形が、このゲームのおまけという扱いで多く登場しているというファンサービスをやってくれている。 バグについては、ポール越えと幻のワールド9が該当していて、ポール越えのほうはそれが楽にできるステージを複数用意し、 さらにジャンプ力が高いルイージとあわせて、初代の都市伝説のひとつの真実をプレイヤーに示している。

その代わり、ポールを越えてもこの先には行けないようにしたり、あえて行かせて逆ワープに引っかからせたりと、理想の現実をいやというほどプレイヤーに思い知らさせている。

現に、数年前まで都市伝説の異名があったポール越えだが、続編発売前に既に多くからポール越えができたことが公に公表されていたらしく、 それが結果としてそのバグ技を楽にできるようにしつつトラップを仕掛けたわけだが、同時にボーナスステージの出口がポールを越えた先になるステージもあり、 プレイヤーにとってボーナスステージもトラップのひとつなのかと多くのボーナスステージに対して、疑心暗鬼に陥ったことは想像に難くない。

ワールド9も、初代でポール越えとある程度かかわりがあったためか、続編でも先のポール越えの先に見える逆ワープである程度防いでいる。 これは、ワールド9は存在しないのではなく存在しつつも、玄人向けのワールドだということをプレイヤーに示した格好である。

そう、このゲームのワールド9は一度もワープ土管を使用せずに8−4までクリアするという、今作からコンテニューを正式導入しても高難易度の要素で、 仮にそれを満たしてもワールド9自体難しい上に残り人数がたったの一人しかないため、コインや得点は引き継がれるも一度ミスすればそれでゲームオーバーになるという、まさに上級者のご褒美というわけだ。

なお、9−1は土管に入ればいきなり水中ステージで、ゴールも水中に城があるという初代バグワールド9を具象化していることが興味深い。


ちなみに、ワープ土管の使用可否にかかわらずワールド8までクリアすればタイトル画面に星印がつき、それが8つ集まればワールド9とは別のワールドAからDまでプレイできる。

これは、ワールド9を実現するよりきつそうに見えるが、実は星印を出させれば自動的にセーブができるので、根気よくやればこの4つのワールドはプレイできるという、 こちらは玄人向けというより努力者向けのご褒美といったところだろうか。

実質、初代の32ステージより20ステージ多い全52ステージという、ディスクカードの容量を最大限利用した結果であり、片面だけでもこれほどのステージを追加できるあたりは、 任天堂が改めてディスクシステムに力を注いだことを証明させたといえるだろう。

この他にも、序盤から無限1UPを実行できる場所を作ったりと、初代をやりこんだ人にもにやりとする要素お盛り込んだことは、改めて初代をプレイした人向けというつくりが強く、 先の難易度の高さの要素も含めてそれを証明している(もちろん、初めてマリオをプレイする人には適さないという意味ではないが、初代の知識をある程度入れてからプレイしないと苦労する程度)。

初代をプレイするしないにかかわらず、多くのプレイヤーを喚起の渦と阿鼻叫喚の地獄を見せ付けたスーパーマリオシリーズの続編。 売り上げこそ約265万本と高いが、ディスクシステムという関係上多くの人にプレイできたとは言えず、FC誕生10周年となった1993年にこのゲームのROM版が登場する計画が出た。

残念ながら未発売に終わり、このゲームが手軽に遊べるようになるまでは、2004年すなわちディスクゲームの書き換えが終了した翌年に、 ファミコンミニのディスクシステムコレクションにこのゲームがラインナップされるまで待たなければならなかった。 もし正式販売されていれば、このゲームにありつける人がもっと増えたはずなのに残念だ。


スーパーマリオの続編も、初代同様発売当時からてれびくんで知ることになり、相変わらずフラッシュマンや飛影とともにFCも私にとって大事な要素のひとつだったが、この時期の特集はそれ以外のゲームに向けられていた。

それでも、私にとってスーパーマリオの続編もまた私の興味をそそるもので、しばらく後FC本体とともに『スターソルジャー』と『ボコスカウォーズ』を(それぞれ別の店で)購入したが、 購入以後もスーパーマリオの続編に興味を持っていた。

プレイも発売から間もない頃で、いとこの家でプレイしていたもののしばらくはいとこがプレイしているのを見物する程度で、 いまだ前作をプレイしていない私にとってこの続編は私を興奮させるのに十分すぎるものだった。

もっとも、ディスクゲームゆえに発売から20年近く経ってようやく本体とともに、いとこが所持していた多くのディスクゲームを体験できたものの、 2003年にディスクゲームの書き換えが終了しディスクシステム本体もその4年後に修理が終了してしまったため、 2009年現在ディスクゲームはいまだ私にとって憧れの存在であり、まだ多くの人に触れられていないゲームがバーチャルコンソールなどでプレイできることを願ってやまない。

このゲーム、一人でじっくりプレイできたのは先に書いたようにいとこから大量のディスクゲームをもらった頃で、久々のスーパーマリオ2にとても胸がわくわくする思いでプレイしていた。 いとこから大量のディスクゲームをもらったのが2005年、その前年にファミコンミニのディスクシステムコレクションが登場した。

スーパーマリオ2もラインナップに含まれていたので、一部のゲーム以外私の購入対象も含めて即座に購入しようとしたものの、 いくつかGBAソフトを売っている店を回っても売り切れの張り紙だけがあり、やはりディスクゲームにスーパーマリオの続編という往年のプレイヤーがまさに購入したがる要素ゆえに、 購入できなかった悔しさを他のディスクシステムコレクションソフトをプレイして気を紛らわすしかなかった。

なお、FC誕生10周年の節目の年にスーパーマリオ1〜3と『スーパーマリオUSA』を含めた『スーパーマリオコレクション』が発売され、 私は友達が持っていたものを借りてプレイしたことがあり、やはりマリオ2はかなりやりこんでいた。


さて、プレイした感想としてマリオの続編は最初からクライマックスよろしく、序盤から苦難の連続だった。

ワールド1の時点、それも3ステージからいきなり難しくなっていて、2作とも3ステージはアスレチック要素が強いものだったが、 それをさらに深めたのがマリオ2の3ステージだといえ、終盤ではアスレチック要素は3ステージ以外からも出てくるあたりは、 よほどのマリオ好き以外根気がない人は手を出さないほうが身のためだということを思い知らされた。

また、4ステージでいつも出ているファイヤーバーが終盤では4ステージ以外でも登場し、パタパタをふんずけて高いところにジャンプする場所がかなり増えたことも このゲームの難易度の高さを思い知らされ、このゲームをノーミスでクリアした人がいれば尊敬したいと思うほどだった。

逆ワープやポール越えも、その2つを掛け合わせることで初代ではあまりできなかったことをやらせて後で地獄を見させるという、任天堂の仕掛けたトラップには脱帽と苦笑しか思いつかなかった。

しかし、コンテニューを駆使してワープを使わず全32ステージを制覇し、ワールド9を体験できたことにとても感激した。 この内容は、当時のファミマガを読んで強烈な印象を頭の中に残しているが、水中でゴールというのはかなり衝撃的だった。

それだけ、おまけとはいえまだ体験していないワールドを体験できることはとてもうれしく、ワールド1から8まで8周するワールドA〜Dも、 8周することにかなり疲労こそたまったがワープを駆使することで何とか乗り切った。

どちらとも、今までより難しいことはわかっていたがそれだけ達成するのは何かとうれしく、 片面だけなのにこれほどまでステージの数や内容がボリュームたっぷりなのには驚くばかりだった(一部似たようなステージがあるのはご愛嬌)。



本日のまとめ



THANK YOU MARIO!
(09/5/15レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年9月27日

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