◆スーパーマリオブラザーズ◆
スーパーマリオシリーズ第一弾



(ROM版)発売日:1985年9月13日   発売元:任天堂   ジャンル:ACT
値段:4900円   オススメ度:5(売り上げ681万本は伊達ではない)

(Disk版)発売日:1986年2月21日   発売元:任天堂   ディスク:片面
値段:2500円


平和な国キノコ王国に、ある日強力な魔法を操る大ガメ一族のクッパと、その軍団が侵略して来ました。 おとなしいキノコ王国の住人たちは、その大軍勢になすすべがなく瞬く間に王国を荒らされてしまいます。

人々は皆、その魔力によって岩やレンガ、あるいはつくしなどに姿を変えられてしまい、キノコ王国は滅んでしまったのです。 人々にかけられた魔法を解き、王国をよみがえらす事ができるのはキノコ王国のお姫様ピーチ姫だけ。

しかし現在の彼女は、王国侵略のさなかに部下である7人のピノキオたちとともにとらわれてしまい、大魔王クッパの手中にあります。 配管工のマリオとルイージは、大カメ一族を倒してピーチ姫を救出し、再び平和なキノコ王国を築くために立ち上がりました。 テレビの中のマリオとルイージはあなた方二人、このアドベンチャークエスト(遠征)を完結できるのは、あなた方二人だけなのです…。


もはや説明不要といえるほど、FCひいては家庭用ゲームの中で相当な知名度を誇り、売り上げも日本で約681万本といまだ破られることがない金字塔を打ち立てた伝説のアクションゲームである。 どれくらいすばらしいのかというのは後述するが、その斬新な内容が多すぎるほどすばらしいものというしかない。

ナムコの『ゼビウス』も、グラフィックが(当時としては)きれいで耳に残るテクノミュージックなど、 ACで大ヒットした作品の移植ゆえに第一次FCブームを巻き起こしていたが、スーパーマリオと比べると若干かすんで見えてしまう。

確かに、今までのFCゲームにはない要素を次々と持ち込んでいったことはわかるが、同時に任天堂アクション作品の集大成といえるだろう。 『ドンキーコング』シリーズや『アイスクライマー』など、かつて培ってきたゲーム製作の経験と自信がスーパーマリオを生んだともいえるだろう。

同時に、『マリオブラザーズ』の世界観とシステムの一部を引き継がせ、さらに斬新な要素を次々取り入れて『スーパー』となったマリオといえるのだろうが、 スーパーになったマリオにこれほどの人気が集まるのは任天堂としても予想外だっただろう。

開発スタッフの一人である宮本茂氏も、たとえ人気があったとしてもそこまで売れるとは思っておらず他のゲーム同様の扱いでしかなかったが、 予想を超える人気を得たのはスタッフが取り入れた要素がプレイヤーに強い印象を与えたためで、約681万本売れたことは決して偶然ではなくむしろ必然であったことを考えなければならず、 翌年の流行語大賞に『ファミコン』が選ばれるきっかけを生んだことは間違いない。


では、どこが他のゲームにとって斬新な要素なのかというと、大きく操作性と多くのプレイヤーができるテクニック、やりこみの豊富があげられる。 操作性については、マリオブラザーズをメインとしつつ特にジャンプの精度に磨きがかかっている。

それをよく現しているのが、ジャンプすれば途中で左右を向いたりジャンプの高さと長さを調節するというジャンプの制御ができることであり、 普通のアクションにはそれがなかった分ジャンプの制御ひとつで、難易度がこれほど変わるのかという面白い例である。 マリオブラザーズやアイスクライマーなど、ジャンプするゲームはいくつかあれど制御ができていなかったために、やや難しく感じられたがスーパーマリオでそれは改善された。

さらに、Bダッシュなるものも追加されたことで、一層快適にゲームを楽しむことができた。 これは、Bボタンを押して移動すればマリオがダッシュできるというもので、このゲームは全8ワールドに一ワールド4ステージの全32ステージで占められ、 各ステージともに制限時間以内にゴールを目指すものだが、今までのゲームの動きでは時間切れになるケースが高い。

何しろ、スクロールするアクションゲームはいくつか登場しているものの、スーパーマリオのように長丁場のゲームというのはダッシュしなければ時間切れになることが大きく、 そういったあたりからもBダッシュは以降のゲームに必須だったといえる。

とにかく、Bダッシュはゲームを快適にしたばかりでなく、後述するテクニックのバリエーションを幅広くさせ、先のジャンプの精密さをさらに強くさせ長いジャンプで敵を飛び越せたり、 そのジャンプでなければステージの仕掛けをクリアできなかったりと、Bダッシュでこれほどゲームの内容が大きく変わるというのは珍しいというより出るべくして出たというべきか。


テクニックは、初心者でもわかるものから上級者でなければわからないものまで幅広く存在し、これらもスーパーマリオを大ヒットとする要因になっている。 あまりにも多すぎるため重要なもの以外は割愛するが、その有名なものに簡単なものではキンタマリオやマリオスキップ(豆の木の最上部を登る)など、 難しいものでは無限1UPやポール越えなどあり、それを発見できればまさにこのゲームの面白さが増すというものだ。

中でも無限1UPは、階段を使用しつつ敵ノコノコの甲羅をふんずけてマリオの残り人数を稼ぐというもので、難しくも後半難易度が高くなる(後述) このゲームにとって欠かせないテクニックであったことは言うまでもなく、面白いことに3以降に受け継がれている。

ふんずけていけば、100→400→800…と得点が高くなり最終的に1UPになるもので、甲羅を蹴飛ばして敵を倒しても同じような形で1UPができるが、 このゲームでの正式な1UPは1UPキノコをとったりコインを100枚集めて可能になるため、それ以外の1UPはイレギュラーと認識されていたのはいたし方がなかった一方で、それがスタッフの心を動かしたのは事実。

ポール越えも、このゲームのハイテクニックかつ後述する壮大なネタとなったもののひとつで、このゲームではゴールにあるポール(城の左側にあるもの)につかまればクリアで、 捕まった場所で100点から5000点まで加算されるが、このポールは飛び越えることが可能。

もっとも、ポールから左の階段の最上段まで上りそこからBダッシュでハイジャンプをしても、よほどのことがない限りポールのてっぺんに邪魔されて飛び越えられない。 主に、3−3の天秤上のリフト(片側に乗ると傾いて限界を超えると壊れる)を利用するのが一番だが、それがない場合でも可能で場合によっては1−1でも可能である。

ちなみに、ポール越えをした先は特に何もなくただただタイムアップまで走らされるだけで、ポールの先に何かあると大きな期待感を感じていたプレイヤーにとって、 まさに期待をものの見事に打ち砕くのに十分すぎる現実を与えたといえよう。


やりこみは、ステージの走破方法やマリオの状態およびテクニックを使用するか否かの、あらゆる要素を総合したものであるといえる。 つまり、それらが複雑に絡み合ってこそこのゲームのやりこみはパターンが大幅に増えていくもので、当時としてこれほどのやりこみを示したものは例がない。

当時のゲームゆえに、バッテリーバックアップはもちろんパスワードもなく、裏技でコンテニューができるぐらいの手軽なものなのに、 初心者でも複数のやりこみがあるというのはそれだけ任天堂の太っ腹が垣間見えるというものだ。

 ステージの走破方法、すなわち全32ステージの走破の仕方なのだが、普通はこれらをひとつずつクリアしなければならないものを、 土管を使ってのワープゾーンのおかげで各ワールドの最初に行けるステージが各ステージの2を中心にいくつか存在している。

これを利用して、1−2でワールド4を選び4−2でワールド8を選んで最短クリアするのが常識ではあるが、好きなワールドに行ってみたりとプレイヤーの自由が利いている。 もちろん、ワープゾーンなど使わず32ステージそのまま走破するというのも面白いし、ワープを使っても自分なりにステージを走破するのも面白い。


そもそも、各ステージともとてもバラエティに富んでいて、最短距離でクリアを目指すのがもったいないくらい、個性的かつやりこみが何度も試せるというものだ。 加えて、任天堂にありがちな難易度設定もあるわけで、最初は初心者でも進めるものの後半に進むと上級者でもクリアが難しいというものだからこそ、 各ワールドの1から4が任天堂の難易度設定を十分に表しているといえるだろう。

もっとも、ワールド8のほうがステージ1から既に難しくなっているので、じっくり32ステージのクリアを目指すかエンディングを見るため8ステージを先にプレイするか、 一応プレイヤーの判断が分かれるところである(先述の通りセーブ機能がないため)。

一般アクションながらも、土管を使っての地下世界があったり水中ステージがあったり、各ワールドの3ステージにはアスレチック風味だったり、 各ワールドの4ステージは必ず城内それもボスが待ち構えていたりと、イメージこそ共通なものの仕掛けや敵の配置により新鮮に見える。

ステージの走破方法という点で少々外れるが、各ステージの隠し要素もやりこみを象徴するひとつであり、隠し要素を利用するか否かでもやりこみ具合は大きく変わってくる。 1UPキノコやコインはもちろん、土管をくぐって地下世界に行ったり豆の木を登って天上に行ったりと、ひとつのステージなのにこれほどまで楽しめるのは例がない。

その多くがボーナスステージで、敵がいないエリアでコインを多く取れるというのはまさに至福の一言で、 同じ用途があるとすれば各ワールドの多くの2ステージにあるレンガの天上を破って、そこから敵を尻目に駆け抜けるあたりも至福といえる。

マリオの状態もやりこみのひとつであり、スーパーキノコを取ってスーパーマリオになりフラワーを取れば火の玉を出すファイヤマリオになり、 最初のチビマリオ状態から実に3種類のパターンが用意され、チビマリオ以外で敵の攻撃を食らっても元に戻るだけで、キノコやフラワーが出るブロックはいくつもあるため、初心者でもプレイしやすくなっている。

基本的にファイヤマリオが有利だが、チビマリオでもこのまま十分クリアすることが可能で、 各ワールドの4ステージでクッパと戦う場合はクッパの後ろにある斧をとってクッパを溶岩に叩き落すやり方ができ、一撃死という緊張感はあれど決して不可能ではないはず。

なお、ピーチ姫を救出できた際はチビマリオだと見栄えがよくないので、スーパーマリオもしくはファイヤマリオでクリアするのが望ましい。


これほど、やりこみによって数多くのパターンが楽しめるのは先にあげた通りだが、敵や仕掛けの配置や種類もバリエーションを豊富にさせている要因だ。 一番のザコゆえ印象深いクリボー、無限1UPの立役者であるノコノコとパタパタ(羽をふんずければノコノコになる)、踏めないトゲゾーを空からばら撒くジュゲム、 ハンマーを雨あられのように投げ場合によってはクッパより手ごわいハンマーブロスなど、プレイヤーを苦しめてくる。

海中では、ゲッソーや2種類のプクプクしかいないが、ゲッソーはトリッキーな動きでマリオの行動を妨害し、プクプクは特定のステージでトビウオよろしく大量に飛び出すので、 たった2種類しかいない海中ステージでも操作性も含めて苦い思いをした人は多かっただろう。

仕掛けでは、ジャンプ台やリフトなど妨害とはいえないものが目に付くゆえに、ファイヤーバーがまさにマリオを妨害する一番の役目になっている。 長いものもあれば、複数配置されライオンの火の輪くぐりよろしくそれをプレイヤーに強いらせるなど、潜り抜けた時の快感は大きい一方極度の緊張をもたらすのは事実。

ジャンプ台やリフトでも、使うのはプレイヤーなのでジャンプのタイミングを誤って転落したり、天秤型リフトでポール越えを狙おうとして欲張った挙句リフトが壊れて落下したりと、 仕掛けを突破できるのは自分しだいということがよくわかるというものだ。

仕掛けという点ではちょっと違うが、得点によってゴールした時に出る打ち上げ花火とその数もそのひとつで、普通にゴールするより少しうれしい気分にさせてくれるが、 このゲームでは1UPは100枚のコインと1UPキノコで、得点をいくら獲得しても意味がなく別のやり方で1UPができるという点で、新たな1UPの可能性と得点の無意味さを垣間見ることができる。

最後に、ポール越えから端を発したバグステージについて書いて終わりにしたい。 ポール越えは、できるもののできそうでできない裏技であり、真実が証明されるまではボーナスステージがあるとか高難易度のステージがあるとかうわさが絶えず、 『テニス』のカセットを使って無理やり引き抜いて遊ぶという無茶な形で現実化させている。

宮本茂氏の、FC本体やソフトが壊れるという警告で沈静化するが、他のソフトを使ってバグステージを楽しむというのはやりこみが強いマリオだからこそできたわけだ。 この頃は、サードパーティーが続々と参入しソフトもそれなりに増えてはいえたが、今と比べて数が極端に少なくやりこんでこそ次に発売されるソフトを待つことができたといえ、 発売から20年以上たった今でもそのやりこみの多さゆえに色あせることはない。


このゲーム、やはり私の中で思い出深いゲームのひとつであり、存在を知ったのもプレイしたのも相当古かった。 存在はてれびくんの10月号か11月号で、当時私が好きなチェンジマンや飛影(この頃から特集が始まった)の記事を見たさにページをめくっていたら、偶然にもこのゲームの記事が目に焼きついた。

数ヶ月前に、てれびくんはFC関連の特集を毎月やっていたが、スーパーマリオのように強烈な印象を与えてくれるゲームは少なく(せいぜい『スターソルジャー』か藤子系アニメ作品ぐらいか)、 記事を見た時かなり面白そうだなという印象を感じた。

しかし、このときはFCは持っておらず翌年の夏頃にスターソルジャーと一緒に購入し、スーパーマリオはその数ヶ月で親に買ってもらった。 この時のてれびくんは、相変わらずFC特集をやっていたとはいえマリオについては続編の特集を主にやっていたが、スーパーマリオをイメージした付録は初代のものだったので、 まだこのゲームを買ったばかりの私でも当時を考えれば、一応タイムリーだったと思う。

なお、これより少し後に東京に住むいとこから多くのゲームをもらうことになったが、その中にスーパーマリオが入っていたので正直いらなかった (一応2つとも保存しているとはいえ、売ろうにも数十円程度しか売れなさそうなのがつらい)。

このゲームをプレイする前、今まで地元に住むいとこ(東京のほうは無関係)の家で他のソフトをかなりやっていたので、初めてマリオをプレイしても別に驚くことはなくすぐさまワープ土管を使ったり、 地下世界で敵を尻目に駆け抜けたりといきなり変則プレイをやった。

しかも、ポールの先には何かあるのかなと初めてプレイしたときからそう思っていたので、購入翌年にめがねをかける事態に陥ったことを考えると、 ゲーム雑誌を買わずともこのゲームにやりこみがかなりあることを見抜いた時点で、現在まで続くゲーム好きが始まったのかと思う。

それでも、元々ゲームの腕が悪かった私なので高度なテクニックを使うことができず、特に無限1UPは現在でもできないし、 ポール越えは今でこそ1−1でも確率は低いもののできるが、昔は3−3でしかできなかった。


普通のプレイについては、ワープ土管で最短距離を目指したために他のステージがおろそかになってしまい、久々にワープ土管をあまり使わずプレイしていたらステージの攻略にしくじることがあった。 もっとも、最短距離を目指してもワールド8では8−1から既に難しくなっていて(制限時間も短い)、8−2はBダッシュジャンプを使っても地形のためかなり難しく、 8−3はハンマーブロスが段差のない状態で待ち構えていたり、8−4はまさにラストステージにふさわしい難易度だったりと、他のステージよりはるかに難しくクリアした時の感激はかなりよかった。

バッテリーバックアップはもちろんパスワードもなく、自由にできる時間が今と比べて少なかったため、プレイのほとんどはワープで最短距離を目指していて、 8−2ぐらいで敵の猛攻および地形によってゲームオーバーすることが多かった。

2004年に、ファミコンミニシリーズとしてこのゲームがラインナップされていたが、このゲームを2つ持っていて昔散々プレイしたことも含めて、 アイスクライマーや『エキサイトバイク』、『ゼルダの伝説1』しか買わなかった。

その3つをプレイして、説明書にセーブができるという事実を知った私は、すぐさまスーパーマリオを購入しようとしたが時既に遅く売り切れで、 他のゲームショップを回っても売り切れ状態になっていて、当時のファミ通でかなりの売り上げが出ていることを知った時、まだ売っていた時期に買っておけばよかったと後悔するしかなく、 ようやくファミコンミニ版が購入できたのは翌年、それもスーパーマリオ20周年という節目に再販されたものを買ったわけで、ここでようやくファミコンミニのマリオに会うことができた。

セーブ自体、リメイクの『スーパーマリオコレクション』で友達とプレイしていたが、FCスタイルでのセーブというのは新鮮で ここから全てのワールドを制覇してやろうと躍起になり、コンテニューとセーブを繰り返しながらもラスボスのクッパを倒しガッツポーズをあげた。



本日のまとめ



THANK YOU MARIO!
YOUR QUEST IS OVER.
WE PRESENT YOU A NEW QUEST.
(09/5/14レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年9月23日

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