◆クルクルランド◆
パズル要素が強いゲーム



(ROM版)発売日:1984年11月22日   発売元:任天堂   ジャンル:ACT
値段:4500円   おすすめ度:2.5(操作が特殊ゆえの挫折覚悟)

(Disk版)発売日:1992年4月28日   発売元:任天堂   Disk:片面
値段:500円(書き換え専用)


任天堂のアクションゲームのひとつで、ACでの任天堂活躍末期に登場したVS.システムシリーズのひとつでもある。
VS.システムシリーズは、FCの性能に近いものゆえにFC作品がVS.システムにそのまま移植されたり、 VS.システムの作品がFCに高い移植度(場合によってはほぼ完全な移植)で登場することがある。

一応、VS.システム専用のゲームについては任天堂の作品でないもののひとつ存在しているが、 ACに登場することはなくFCにも移植されなかったものの、結果的にVS.システム発のゲームは全てFCに移植されている。

これから紹介する『クルクルランド』は、VS.システムの作品をFCに移植したもののひとつである。 この時期、VS.システムの作品はいくつかあったがまだFCに移植されているものはなく、クルクルランドがVS.システム初の移植作品となっているものの、 その2ヵ月後に同じVS.システム発の『バルーンファイト』が移植されたことを考えると、単に様子見ということも考えられる。 加えて、AC版登場はFC版登場の数ヶ月前なので、VS.システム初のFC移植という特別な状況ではないようだ。

他の任天堂作品と比べて知名度は高くないものの、多くのFCソフトと比べればある程度高いほうといえる。 悪く言えば中途半端な知名度でしかなく、往年の初期の任天堂作品がディスクソフトに移植されていったのに対してこのゲームはなかなか移植されず、 1992年になってようやく移植されることになった。

しかも、ROM版からの移植作品の中では最後の作品であり、この年の12月に最後のディスク作品『じゃんけんディスク城』が登場し、 1986年から続いたディスクシステムの歴史に終止符を打っている。

しかしながら、ディスク版移植から12年後2004年にはファミコンミニシリーズの第2弾のひとつとしてGBAに移植され、 さらに5年後2009年3月にはWiiにバーチャルコンソールとして配信されている。

このうち、ファミコンミニ版はROM版をバーチャルコンソールはディスク版をそれぞれ移植しているが、ディスク版については後日改めて紹介したい(ROM版と違う点が多すぎるため)。 現在、ディスク版の値段は書き換え専用ゆえに通信販売ではなんと40万近くとい、あまりにも法外な値段がつけられている。 あまりの高い値段とディスク版ならではの要素が、かつてプレイした人を中心にディスク版を手軽にプレイしたいという要望を生んだのだろう。


このゲームは、主人公グルッピーをプレイヤーが操作して、ステージ中にある金塊を制限時間内に全て見つけ出すのが目的となっている。 その際、左右に曲がる時にステージにある棒(以下ターンポスト)をつかんで回ることが、このゲームのタイトルの由来になっている(パッケージイラストにそれを示したことが描かれている)。 ちなみに、このゲームの舞台の名前はクルクルランドで、やはり操作感覚が舞台の名前とパッケージデザインがよくリンクしているといえる。

なお、こちらは自由に動くことができず操作は左右の移動と衝撃波を出すことだけ。 つまり、十字キーを押せばすぐ自動的に向いている方向に動き出し、壁にぶつかれば跳ね返ってくるという半分自動的な操作を行う。

衝撃波は、ステージ内にいるウニラという敵の動きを止める役割を持ち、それを食らったウニラを壁際まで押してつぶすことが可能で、その時の得点が500点。 このゲームではまあまあの得点で、時間の許す限り得点獲得が望めるのはうれしいところだが(ウニラはやられたらブラックホールから出てくるため)、 本来の目的はステージ中に隠れている金塊を見つけ出すことで、その方法は移動していればターンポスト間に出てくる。

割と単純な目的とプレイだが、これこそがプレイヤーを選ぶ要素だといっても過言ではなく、下手をすれば序盤で投げ出した人がいるのではないだろうか。 操作こそあまり苦労はしなさそうに見えるが、ターンポストからの曲がり方とグルッピーの移動速度により、かなりクセが強いものになってしまっているのだ。

特にターンポストからの曲がりについては、十字キーの左右を押しても曲がれるのは次のターンポストからで、 曲がりたいターンポストで曲がりたければその手前のターンポストで左右を押すしかなく、ここでようやく思った通りに曲がることができる。


しかし、グルッピーの移動速度が予定通りに左右に曲がれるかどうかにかかっていることも事実で、これがプレイヤーを選ぶ要素の2つめになっている。 最初のステージは、手慣らしということで速度は遅いが次のステージからいきなり早くなってくるので、あまり手慣らしのステージの意味がないような気がする。

このゲームでは、ステージ背景色のピンク→緑→青→紫→黄色の順で進んでいき、ボーナスステージを挟んでから緑→青…と繰り返しになっていて、 この展開の関係上ピンクのステージがチュートリアル的なものになっているのは仕方がないが、特殊な操作ゆえにしばらくはグルッピーやウニラの動きを遅くして、時間経過も遅くすべきだったと思う。

その時間経過は、最初のステージからもう早くなっていて後述する金塊のありかのパターンがわからなければ、適当に動き回ってウニラを倒すしかなく時間切れになり1ミスになってしまうので、 そのまま再開できるとはいえ無駄に難易度を上げている要素ではないか。

さらに、各ステージに隠されているラバートラップも厄介で、ターンポストの間に隠されていて触れるとグルッピーが跳ね返るものだけだが、 ターンポストがラバートラップをつなげている場合はそれを利用して左右に曲がることができない。

たとえば、左右に曲がりたい時に右のターンポストがラパートラップをつなげている場合は必然的に左に曲がるしかなく、そこで別のターンポストを使って本来行きたかった場所に行くしかない。 このラバートラップ、ステージによっては複数仕掛けられている上に設置場所も合わせて考えれば、間違いなく詰み(左右に曲がれず身動きが取れないに等しい)になる危険が大きい。 ゲーム序盤ならまだしも、中盤以降で詰んでしまった場合のプレイヤーのショックは大きく、ラバートラップを全部出してもクリアできるという処置をとらなかった任天堂の明らかなミスといえる。


クリアの条件こそ、何度も書くようにステージ内に隠された全ての金塊の発見だが、ただ闇雲に動き回ってもなかなか金塊が見つからないどころか時間切れになることが多い。 ではどうやって探すのかというと、確かに闇雲に動き回ることもひとつの手だがそれは序盤で、 ある程度動き回ったステージ中盤から今まで探し当てた金塊の位置からどこに金塊が隠されているか、自分で考えて見つけなければならない。

この手法は、ノーヒントながらも時間が経過してある程度正解がぼやけてきて、そこで答えて正解するというまさにクイズ番組にあるものに近い。 同時に、最低限の要素ながらも非常にわかりやすいヒントを出すという、初期の任天堂作品におけるなかなかにくい演出であるといえよう。

このゲーム、金塊の出現位置に必ず法則があり、それらをあわすことで全部ステージに浮かび出る絵になっているのが特徴だ。 多くが左右対称でわかりやすいものが多い(例:ハートなど)一方で、ウニラを出しこちらが通過すればミスになる (通過途中で曲がってしまえばミスにはならない)ブラックホールやラバートラップも、金塊出現位置のヒントになっている場合(例:ねずみ)もある。

一応、このゲームのジャンルこそ普通のアクションだが、パズルの要素も多く含まれていることも事実で、 指を動かしつつ頭が鍛えられるというさながら面白い内容ではあるものの、先に書いた特殊な操作により万人向けとはいえないのが残念。 ある意味、『マリオのピクロス』や『おーちゃんのお絵かきロジック』とつながりがあるように見える(どちらも指定した場所を見つけて絵を完成させていく)。


ちなみに、フルーツや1UPなどのアイテムの登場も忘れていないが、金塊の位置で絵を完成させて全ての金塊を獲得する印象が強く、どうも地味な印象を受けてしまっている。 それでも、タイムストップや1UPはゲーム攻略のために欠かせないものなのは事実で、絵を完成させつつあってもついそちらに目がいってしまうプレイヤーは多くいただろう。

フルーツも、得点に加算するということでこれも取りにいってしまうプレイヤーがいたのだろうが、 その途中ラバートラップを複数食らってしまい身動きが取れなくなってしまっても、こればかりは任天堂の責任ではなくプレイヤーの責任になるのは必然。

後半から、見つけた金塊を通るとそれが裏返しになりひとつでも裏返しになっていればクリアできないことも合わせて、アイテムはプレイヤーに罠に引っかからせてもらうという、 任天堂の放つもうひとつの罠なのかもしれない(これは想像の域を出ないが)。

幸い、このゲームでは2人同時プレイそれも協力ができるものの(協力しかできない)、先にも書いた操作性により『デビルワールド』のような 片方が敵をやっつけてもう片方が目的を達成するやり方はできず、共同で敵を倒したり金塊を見つけたりするしかない。

ステージクリア後、金塊を一番多く見つけたほうがボーナス得点を獲得できるが、アイテムを取ったりウニラを何匹か倒せばボーナス得点に近い点数は獲得できるので、 どれだけ金塊を多く見つけるというより力を合わせて金塊を見つけたほうが手っ取り早い。

そもそも、相方を妨害する要素はないので純粋に協力プレイが楽しめるわけで、『マリオブラザーズ』や後に登場する『アイスクライマー』など 対戦要素こそあるもののプレイスタイルしだいで協力できるのだから、友情のひび割れを起こすことはない。

冒頭にも書いたが、ROM版はもとよりディスクシステム最後期に登場した書き換え版は、ファミコンミニやバーチャルコンソールで気軽に遊ぶことができるので、 特殊な操作性ゆえにパズル感覚で楽しむことは難しいものの、途中で見つけた金塊を見てどういう絵ができるのかということがすぐわかるという面白さは何か快感に近いものがあるだろう。


このゲームは、『ポパイ』や『アーバンチャンピオン』などと同様数年前までは存在を知らなかった。 やはり、大手FCサイトのデータベースから知ったのだが、そのコメントに「操作に挫折した」とか「このゲームがうまい人がいたら天才」とあったので、 最初は画像だけ見て簡単そうだなと思っていたもののやはり難しそうだなということで手を引いた。

無論、FC本体生産終了の時期に小山市のトイザラスでニューファミコンを、中古ゲームショップでカセット数本購入したがその中にクルクルランドは含まれておらず、 ファミコンミニシリーズの第2弾にこのゲームがラインナップされていても買わなかった。 先に書いたように、難しそうだという認識もあったと同時に、単に面白くなさそうだという思いもあった。

結局、初めてのプレイはレビューを書く数ヶ月前で、満遍なくレトロゲームをプレイしてレビューをしようという思いから購入することにしたのだ。 値段は、ファミコンミニシリーズに登場しているにもかかわらず1080円と少し高かったが、これはややマイナーということなのだろうか。

ちなみにディスク版は、いとこからもらったディスクゲームの中に含まれていたが、念のためROMカセットやディスクカードなど問わず 通信販売をやっているサイトで調べてみたら、なんと40万近くといういくらなんでも法外すぎる値段がつけられていたことに驚いた。

確かに、バーチャルコンソールで遊べるのは最近になってからで、ディスクの書き換えが終了して以降多くのディスクゲームの値段が上がっていった上に(980円と下がったものもある)、 書き換え専用は普通のディスクゲームよりもかなり値が上がっていたし、7000円近く場合によっては一万円以上と書き換え版の貴重さというものが、 クルクルランドの書き換え版で法外な値段を見たことで思い知らされた。

さて、私がプレイした感想として大手FCサイトのコメント同様、特殊な操作性ゆえにかなり苦しめられた。 移動が左右を押さない限り直進で進み、左右に曲がるにも曲がりたい場所に曲がろうとすると必ず先の場所から曲がってしまう。

この性質ゆえに、自由がきかないプレイとなかなか金塊が全部集まらないストレスがたまり、ウニラに当たってしまったりブラックホールに入ってしまったり、 さらには時間切れでミスになってしまうことが多かった。


そこで、ネットを通じてこのゲームの攻略およびテクニックを、このゲームを主に扱うまたはレトロゲーム専門のサイトを中心に調べた。 私が、ネットでレトロゲームの情報を調べるのはレビューを書く時か、プレイしているゲームの攻略に行き詰まった時であり、 後者については主にRPGやAVGなど謎解き関連が多かったが、アクションでも謎解きを求める場合でもレビューを書く際の情報収集より優先している。

クルクルランドは、まさに後者それも操作の仕方や金塊発掘手法など、このゲームの肝というべき要素を調べることになった。 これは明らかに、カセットのみ購入して箱と説明書を買わなかった私のミスであったが、仮に説明書も購入しても特殊な操作で 楽にプレイできたのかという疑問はあった(元来私のゲームの腕はあまりよろしくない)。

それでも、何十回かプレイしていくうちにどのあたりで曲がるか見極めたり、ウニラをつぶしてどれくらい得点を稼げるかできるようになった。 さらにプレイしていくと、いくつか金塊を見つけていくうちに次はどの場所に金塊があるのかすぐわかり、結果的にクリアしやすくなった。

このゲームのルールは、ステージ内に隠されている金塊を全て見つけることにあるが、同時に金塊を使って描かれている絵を見つけることも、このゲームのもうひとつの目的であるといえるだろう。

趣向こそ違うが、ステージに描かれている絵を今まで見つけた少量の金塊だけでわかったというあたり、多くのクイズ番組でやっている多くのパネルに隠されているものを当てるコーナーなどを思い起こさせた。 クルクルランドは、それに加えて自分で操作して同意上が隠されているのかなので、このあたりはクイズよりピクロスやロジックが思い当たる。

いうなればパズル感覚のゲームで、このゲームの主要といえる操作が特殊なのは仕方がないが、それゆえに万人向けには近くなく私も このゲームに慣れるのにかなり時間がかかったのだから、バーチャルコンソールでプレイする人も苦労するかもしれない。



本日のまとめ



PERFECT 3000!
(09/5/10レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年9月13日

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