◆ワープマン◆
往年の作品のリメイク



発売日:1985年7月23日   発売元:ナムコ   ジャンル:ACT
値段:4500円   おすすめ度:3(2つの世界と2つの遊び方)


1985年7月23日、ナムコは早くもFCに供給する7作目のソフトを世に送り込んだ。 それが『ワープマン』で、サードパーティーとして一番多い7本のゲームを供給し、この時期次々と参入するACメーカーやPCメーカーを引っ張る役目として 目覚めつつあったようだ(任天堂も作品を供給しているが、サードパーティーの力なくして他のメーカーを引っ張れなかっただろう)。

ワープマン発売当時、ハドソンが5本でコナミとジャレコが4本という数と、前年にハドソンとともにFC業界に参入したことをあわせて、 FCにおいて先輩格を見せ付けている感じがある(ハドソンもPCメーカーだけで考えれば多いほう)。

そして、今回紹介するワープマンはナムコにとってとても大きな意義を持っているといっても過言ではないだろう。 それは、今までのACからの移植ではなくAC作品のリメイクとして、このゲームが登場していることだ。

これは、ハドソンが前に『ナッツ&ミルク』のPC版をFC版に移植する際に大幅なリメイクをやっているが(ナッツ&ミルクのレビューを参照)、 AC作品の大幅なリメイクというのは当時のACとFCの機体のスペックの差から考えても異例であった。

リメイクの元になった作品は『ワープ&ワープ』で、『ギャラガ』や『ニューラリーX』などとともに1981年に登場した。 どういうものかについては後ほど説明するが、AC版でのタイトルではなくFC版だけのタイトルに変更されたことも異例だ。

それは、この年の9月に登場する『バトルシティー』もAC版のタイトル『タンクバタリアン』ではないが、 こちらはFCに移植する際にFCならではの要素を多く追加(MSX版の要素も追加)して、まさにリメイク版に相応しいものに仕上がっている。 一方のワープマン、これも後述するいくつかの新しい要素を加えているが、バトルシティーのようなリメイクにはそれほど及ばない。

実のところ、バトルシティーもワープマンも追加要素こそ違えどグラフィックを新しくしたことについては一緒。 それゆえなのか、グラフィック的に見てFCにリメイクする際にAC版でのタイトルよりFC版でのタイトルのほうが、 リメイクしたということをプレイヤーにアピールできるとリメイク担当のスタッフは考えたものと思われる。

ただ、バトルシティーがMSXに移植されてFCにリメイクされたのに対して、ワープマンは他機種に移植されずそのままFCにリメイクを出している。 このため、AC版をプレイした人でなければワープ&ワープのリメイクとわかる人は少なかったが、 バトルシティーでもAC版がMSXに移植された可能性は低いと思われるので、(タイトル画面に『1981』と出ていても)ナムコの別の作品の移植だと思った人はいたのではないだろうか。


ワープマンの元となったワープ&ワープだが、スペースワールドとメイズワールドの2つの世界を行き来、すなわちタイトルの由来となっているワープを行ってエイリアンを退治する。 プレイヤーは、スペースワールドではリニアガンでメイズワールドでは時限爆弾とワールドによって使う武器が違うが、これらを使用してエイリアンを倒すことに変わりはない。

ワープしても、残りのエイリアンを倒す数に変化はなく、目的は規定数のエイリアンを倒すことで、次のステージに進んでも倒すエイリアンの数に変化はない。 ジャンルこそアクションだが、スペースワールドでリニアガンを撃つことと画面が平面サイズであるあたり、STGとしての要素も秘めている。

このゲーム、他のナムコ作品同様得点を稼ぐことにおいてなかなかに奥が深いが、同時にクリアすることにおいても奥が深い仕組みを持っている。

得点については、同じ色のエイリアン(デザイン的に一種類しか出ない)を3匹連続して倒すと違う種類のベムが登場し、 3色のザコエイリアンに3種のベムながらも得点はかなり多いという(最高で2000点)、 高得点を目指すプレイヤーにとってはどの色のエイリアンから先に連続して3匹倒すかが、得点を稼ぐ上重要な戦略となるわけだ。

ただ、条件で登場したベムは一定時間で消えてしまい、エイリアンは動くだけでなく攻撃もする上に途中で色を変えるので、 ようやく条件をそろえて高得点のベムを出したのにそれをみすみす逃す、または条件をそろえることができず 高得点のチャンスをつぶしいらいらした人はいただろう(適当に倒していれば、ベムが多く登場する機会はある)。

メイズワールドは、柱を平均的に並べてさながらマス目のようになっており、プレイヤーは通路に時限爆弾をセットして敵を倒すもの。 敵は攻撃こそしないが、爆風を食らえば1ミスでその爆弾を連続してセットできるというあたり、さながらブロックがないボンバーマンといったところか。

もちろん、爆弾は爆風に触れても誘爆は起こさないし、そもそもボンバーマンはワープ&ワープの後に登場していて関連性もない。 スペースワールドとメイズワールド、2つの空間ゆえに2通りの違う遊び、まさに一粒で二度おいしいゲームをAC初期に生み出したことは、 ギャラクシアンの計算された高得点テクニック、『パックマン』のハーフタイムショーなどナムコの見せるしたたかさを見せ付けている。


その4年後、FCでワープ&ワープのリメイク版のワープマンが登場した。 リメイクゆえに、新たな要素こそいくつか追加されたが、スペースワールドとメイズワールドともに遊び方は全く変わっておらず、クリア方法も規定数の敵を全滅させればクリアである。

したがって、ワープ&ワープ時代にプレイした人ならそこそこクリアできるはずだろう。 一定条件で出るワープゾーンを利用する戦略も、AC版から全く変わっていないのだから。

そんなリメイク作品の追加要素は、グラフィックが大幅に強化されたことは言うまでもなく、スペースワールドはまさに宇宙にふさわしい景色になっている。 敵については、AC版登場のベロベロこそ登場しているものの、名前がベロそれもエイリアンではなくソルジャーベムに変更された。

加えて、ドッペやガラモというFC版ならではの敵も登場していて、この2種類も色が3種類変化しAC版でのベム登場法則同様に、 変化した色によって3種類のベムが登場することに変わりはないが、FC版ではベムことミステリーベムを登場させるには同じ種類のそれも同じ色のソルジャーベムを3連続倒さなければならず、 AC版と比べるとそのややこしさゆえに得点の回収率が悪い。


しかも、ガラモについては数歩進むたびに動きが止まるが、その時は色が変わらないもののこちらの攻撃を全く受け付けず、ミステリーベム登場における厄介な特徴といえる。 もちろん、ゲームが進むにつれて敵の動きが早くなったり積極的に攻撃してくるため、それらが緩やかな序盤以外あまり関係ないのだが。

そのミステリーベムは、AC版同様3種類なれどAC版のものと入れ替わりで新規に登場するものもあれば、 グラフィックこそAC版に引き続いて登場しているものの名前がついているものもある(ミステリーベムは全員名前がついている)。

さらに、一定条件で『EXTRA』の5つの英文字のうちの一つを持って現れることがあり(これはエクストラベムと呼ばれる)、 それを5つそろえれば1UPと得点が低いミステリーベムを出しても、プレイヤーの配慮を忘れていないナムコはすばらしく、 AC版と比べて長くプレイしやすいといえる(あくまでAC版をプレイした人にとっては)。

もうひとつ、FC版オリジナルの要素として2人同時プレイができるということ。 対戦はなく2人協力してベムを全滅させるわけだが、スペースワールドの場合プレイヤーの弾に当たると一定時間動けなくなるという特徴がある。

これは、『デビルワールド』のプレイヤーが出す炎と同じ仕組みだが、デビルワールドは敵を倒すのが目的ではない一方でワープマンは敵を倒すのが目的なので、 このあたり『マリオブラザーズ』のような対戦もできるゲームといえるだろう。

たとえば、別のプレイヤーが敵の近くにいる時弾を放って動けなくさせ、敵と接触させて相打ちを狙う(体当たりを食らうと敵も死ぬ)というやり口もできるわけで、 得点を稼ぐことが目的でないのなら友達を貶(おとし)めるやり方もあるにはある。

もっとも、敵が大量に動き回り弾をばら撒く状況では、相手を貶める前にこちらが敵の攻撃を食らうこともあるので、やはり得点稼ぎ同様これも序盤でしかできないことだろうか。 また、メイズワールドでは爆風に巻き込まれればどちらのプレイヤーもミスしてしまうので、射程範囲が狭いリニアガンと比べると対戦になりづらい。

なお、対戦をやらず協力してベムの全滅していけば、いずれ高い数のステージにたどり着くことが可能になるのはマリオブラザーズと同じだ。 AC版以上にナムコらしさを見せ、85年に数本登場するAC作品のリメイク版第一号に名乗りを上げたのはいいが、 AC版についてはiモードしか移植されておらず、家庭用機種ではいまだに移植されていないために多くの人に知られていないのが残念だ。


私がこのゲームを知ったのはレビューを書く6年前で、元となったAC版についてはさらに2年後になって知ることになった。 FC版については大手FCサイトで、AC版についてはナムコ作品を主に扱っているレトロゲームサイトで、 どちらも私がレトロゲームに目覚めたりレトロゲーム好きを加速させてくれたありがたいサイトさんだった。

FC初期のナムコ作品の多くを知っていた私だったが、ワープマンについてはサイトで初めて知ることになった。 いとこや友達の家にもそのゲームはなかったし、かつてFC特集を全面的に押し出したてれびくんには載っていたのかもしれないが、 数年前に存在を初めて知ったということは単に小さい扱いだったかそれとも私の記憶がなくなってしまったのかのどちらかだろう。

当然、どういうものかプレイするまでわからず別にどうでもいい存在で、FC版がAC版のリメイクだったことがわかってもバトルシティーのように昔遊んでおらず、 思い出すらないのでリメイクだからといっても素通りはしたが、AC版とFC版とのグラフィックの違いには驚いた。

購入についてはレビューを書く前の年だったが、他のFCソフトとともに安かったから購入しただけで、ワープマンは数百円程度で購入できた。 プレイも購入直後で、この時はレビューする予定などなかったから純粋にゲームを楽しんだ。 2人同時プレイこそあったものの、ネット上以外の友達などいる現在わけがないので、一人だけ遊ぶことになったが。


もっとも、AC版をプレイしておらず2009年現在AC版をプレイできる環境が厳しい状況では、FC版との違いを明確に調べることができない。 このため、AC版の情報はネットで調べるしかなかったがその情報は近くのサイトにあったし、移植版のレビューについても元となったバージョンの情報は、 当時の雑誌で調べるかネットで調べることにしている(ネットのほうが比率が高い)。

ことさらAC版については、よく知っているサイト以外あまり情報がなくiモードの移植版においては、 AC版のタイトルで移植されているのはいいもののアレンジ版となるFC版にはFC版のことが載っておらず、どうもAC版FC版ともに微妙な扱いになっているのには苦笑するしかなかった。

さて、レビューする最中にももう一度じっくりプレイしたが、ひとつのゲームで2つのジャンルを楽しめるという要素がつぼにはまった。 ひとつで2つのゲームを楽しめるものについては、任天堂の光線銃シリーズが既にやっているがジャンルではこのゲームが初で、 そもそもAC版でもおそらく初だろうから初期に光ったナムコこのセンスというものが、このゲームでもしっかりあるんだなと感じた。

しかし、メイズワールドについては爆風に触れるとミスになることと、スペースワールドのようにすばやく敵を倒せなかったため最初は好きになれず、 主にスペースワールドでしのぐしかなかった(別に2つの世界を行き来しなくてもいい)。

しかし、レビューする以上苦手のワールドをプレイしないわけにはいかず、克服は無理でも何とか慣れるようプレイした結果、 時限爆弾が連続で設置できることがわかったことで(カセットのみ購入)運の要素も絡んでだが、ベム2〜3体巻き込んで倒しコンボボーナスを獲得できた。

個人的にスペースワールドのほうが好きで、敵の弾をリニアガンで撃ち消したりSTGという関係上ミステリーベムを出しやすくなり、 結果的に高得点になりやすくこちらがやられる可能性が低いことがあって、メイズワールドに慣れるまではここで得点を稼いでいた。

もちろん、ステージが進み敵の動きが早くなったり敵弾の量が多くなると、スペースワールドが簡単だとかメイズワールドが難しいとかそうはいっていられず、メイズワールドも多くプレイすることになったが。

こちらは、攻撃をせずプレイヤーを追い詰めることはあまりないので、適当に爆弾を置いておけば勝手にやられてくれるケースがあるので、 得点の回収率こそ低いものの敵にやられる可能性が若干低いのはメイズワールドだろうと思っている。



本日のまとめ



WARP!
(09/5/8レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年9月9日

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