◆アルマナの奇跡◆
インディー=ジョーンズ風アクション



発売日:1987年8月11日   発売元:コナミ  ジャンル:ACT
値段:2980円   Disk:両面
オススメ度:4(相変わらず高質の山下サウンド)


山あいにある静かな村に、一人の青年が立っていた。名前はカイト、この村の出身で背が高くがっしりとした体つきをしているが、 顔のせいかまだどこか少年の雰囲気を残している、そんな青年であった。
カイトは長い旅から、今やっと故郷の村に帰ってきたばかりだったが、そんな彼を優しくむかえてくれるはずの村は、見るも無残に変わっていた。 茫然としながら、廃墟と化した村に足を踏み入れたカイトは、遠くから村人の姿を見つけ駆けよっていった。 そこで彼が目にしたものは、なつかしい村人たちがすべてその姿を石の像に変えられてしまっているという事実であった…。

カイトは、次に小さい頃から色々な話をしてくれた村長の屋敷跡に行ってみることにした。 だが、そこには他の村人たちと同様恐怖に引きつった顔の村長の石像が、一体しかないという状況だった。 カイトは、村長が最後に書き残したであろう一通の手紙をひろいあげた。それにはこう書かれていた…。

「村の社に供えてある神秘の石『アルマナ』が、山向こうの邪悪なダダ教徒に奪われてしまった。 アルマナは奇跡を起こす力を持っていて、この力のおかげで今までこの村の平和は長く守られてきた。 しかし、ダダ教徒がその力を悪のために使ったら、この世は滅んでしまうだろう。どうかダダ教徒の手から神秘の石アルマナを取りもどしてほしい。」

村長の手紙を読み終えたカイトは、心の底から怒りが沸きあがってくるのを感じた。 平和を愛し、素朴で明るかった村人たちを、このような石に変えてしまったダダ教徒を倒してやる。 そして、悪のためにアルマナを使おうとたくらんでいる野望を全部打ち砕くのだ、と…。

アルマナを、ダダ教徒の手から取りもどし村の社に供えれば、もしかしたら村人たちを元の姿にもどすことができるかもしれない、 そう思ったカイトは村人たちにひどいことをしたダダ教徒への怒りを新たにするのだった。

だが、ダダ教の本拠地である神殿までの道はとてつもなく厳しく、峡谷を登り洞窟をぬけ、道らしい道もなくたった一本のロープに自らの命を託さなければならない場所もあるのだから。

しかも、いたるところにワナがしかけられていて、神殿を守っている手下たちが待ちかまえている一方、カイトの武器はナイフとロープだけ。 あとはアルマナが起こす奇跡だけを信じ、カイトは悪党が住み着くダダ教の神殿へとただ一人向かっていった…。


コナミのディスクゲーム発のアクションゲームひとつで、インディー=ジョーンズの影響を強く受けた作品のひとつでもある。 インディ=ジョーンズシリーズ(というより主人公のインディアナ=ジョーンズ)のイメージとして、遺跡を舞台に特徴的なスタイルに身を包み、 鞭や銃を使いこなして突っ走っていくという、考古学者という職業なのに冒険家のような活躍をやってのける。

このゲームでも、主人公のカイトはインディに似たスタイルに、敵の本拠地である神殿に向かい秘石アルマナを奪回するという目的を掲げており、 まさにインディ=ジョーンズのゲームをプレイしている感じになっている。

ただ、外見こそインディのゲームみたいになっているが、このゲームの最大のシステムは開発元の作品の影響を色濃く出している。 それが『ロックンロープ』で、内容はプレイヤーがロープを使ってがけに引っ掛け、それを伝いながら自分が引っ掛けたロープに伝っていく敵を 懐中電灯で蹴落として、最終的に最上段にいるジュジャクに出会うのが目的である。

そのロープが、ジャンプができず階段といった最初から登る手段がない状況の中で、プレイヤーが自力で高い場所にたどり着く手段であり、 『トップシークレット(『ヒットラーの復活』や『バイオニックコマンドー』も同種)』のワイヤーや『海腹川背』のルアーなどのように、 ジャンプのもうひとつの可能性とそれを応用したテクニックに、大きな影響を与えたと思われる。


さてこのゲームでのロープは、ロックンロープ同様がけに引っ掛けてそれを伝っていって、引っ掛けた場所に行くついでに途中でぶら下がりながら敵を攻撃するためのものだが、 引っ掛けたロープに敵は伝っていくことはないし、そもそも敵は人間だけでなくロープを伝ってこない(伝わることができない)動物や化け物もいるし、アクションゲームにありがちなボスもいる。

加えて、主人公はジャンプしたりしゃがんだりと一般のアクションゲーム同様の動きを見せてくれているが、 そのジャンプはやたら低く敵をよけることはとても難しく、移動する床に飛び乗る時に飛び乗れないことも多く発生する。

その場合、壁にロープを引っ掛けて壁のところでジャンプして飛び乗るのが常套手段であるものの、移動する床に飛び乗ることについてはカイトのジャンプ力の強化か、 その床の移動をもう少し考えてもらいたかった(特に後者はちょっとひどい)。

ロックンロープの影響が強い作品といっても、決してロックンロープの大幅なアレンジでもなく普通のアクションにロックンロープの要素を加えたに過ぎず、 それが結果としてアクションゲームとしてはかなり特殊なものになったことは事実。

それゆえ、ロープアクションに慣れるまでには相当時間がかかる一方、慣れてしまえば引っかかりにくい場所にロープを引っ掛けていつもより早くゲームを進めることができる。 場合によっては、ロープを利用して壁をすり抜けてショートカットできることもあるのだから。

実は、このショートカットこそがこのゲームの最大の醍醐味であり、同時にロープアクションを極めたプレイヤーのお遊び的要素でもあるのだ。 普通、壁にロープを引っ掛けてロープを伝ってもその後はジャンプするか降りるだけだが、足場の少し下の壁にロープを引っ掛けて壁の方向に十字キーを押してジャンプすると、 なんとカイトが壁に埋まり空間があるまで壁の中を進んでいくのだ。

このテクニックは、ステージ2などにある1UPをとるのに必須だが、コンテニューがありゲームオーバーになってアイテムを規定数まで減らされても基本さえ覚えれば何とかなるこのゲーム、 普通のプレイヤーにとってはお遊びに近い要素といえるのかもしれない。


おまけに、壁を進んでショートカットができるといっても、壁に埋まったらどんどんカイトの体が沈んでいって画面下まで落ちるとそのまま1ミスになる。

足場がない状態で、片方だけの壁をロープで登るテクニックもアクションを極めたプレイヤーだからこそできるもので(左右の壁を登る場合は特に問題はない)、 そこまでのテクニックを極めたプレイヤーが一部ながらも続出したことは、さすがのコナミですら予想がつかなかったばかりかロックンロープのシステムが 奇妙な方向に向かってしまったあたり、ロックンロープをプレイした人がこのゲームのテクニックを知ったらどう感じるのだろうか。

もっとも、ロープでの壁抜けは明らかにバグではなく仕様で、そうでもなければ先述した1UPがバグで取れるわけがなく、壁抜けショートカットも 単なるテクニックのひとつでしかなく、このゲームが基本と応用の2種類の進め方が可能であるのを見るに、まさに幅広い攻略が可能といえる。

壁に埋まったり、壁の間の空間にあるアイテムもそのテクニックで取れるのだが一部を除いて、あるアイテムを使わなければ画面下まで埋まって死んでしまうことが多い。 そのアイテムがロックで、攻撃力が高く主にボス戦で使うことが多いこの武器は、一部邪魔な壁を壊せる能力もありあるステージで袋小路になった場合でも必須の武器でもある。

このゲームで使用する武器には数の制限があり、それを使い切ったら手詰まりを起こす危険が高そうだが、このゲームでは時々赤色の兵士と大男が登場し彼らを倒すとどれかひとつ武器が手に入るし、 各ステージとも武器がおいてある場所がいくつもある。


そればかりか、彼らを倒し続けてアイテムをごっそり蓄えておいてボス戦で一気に使うこともできるので、時間制限がないことをあわせてじっくりと装備を整えられるのがうれしい。 一応、1ミスしても特定場所にあるアイテムが復活しているので、手詰まりを起こすことはほとんどないと言い切れる(コンテニュー後の救済措置もある)。

とはいえ、運よく赤色の兵士と大男が出てくれればの話で、大抵は一般のザコが大量に登場しそれを倒しつつ、武器の消費を抑えながら進むことが多いので、 ある程度ゲームに慣れなければ潤沢な状態で各ステージ最後に控えるボスに会うのは難しい。

逆に言えば、アイテムがかなりそろっていて体力も満タンならステージをごり押しで進むことが可能で、ボスについてもこの状態を保てば撃破はできる。 かなり乱暴な言い方だが、あるアイテムを使えばノーダメージでボスを倒すことができるし、その事実はラスボスについても言えることなのだ。 それは聖なる玉を使うことで、メガクラッシュ扱いとなるこのアイテムは一撃で倒せるザコに効果があるが、ボスについてもある程度効果が期待できる。

といっても威力はそれほどでもないが、ちりも積もれば何とやら大量に使用すればボスも倒すことが可能で、ロープアクションでせっかくここまでたどり着いたプレイヤーにとっては 少々物足りないが、これもボス攻略のひとつであるならば仕方がない。

特殊なロープアクション、アイテムの数でゲームの難易度がある程度決まる仕組みなど、特殊かつやや粗いものになっているがゲームのできは決して低くなく、 慣れた後のロープテクニックは一種類しかなかった攻略口をさらに増やした格好で、ボス戦を除いて飽きにくい面白さがある。

最後に、このゲームのBGMはまさにこのゲームのプレイをかき立てるほどすばらしい出来で、特にステージ5のBGMはこのステージしか使わないのはもったいないと思うものだ。

BGMの担当は、『悪魔城ドラキュラ』や『火の鳥』など質の高いコナミサウンドを手がけた山下絹代氏で、ディスクの音源活用もそうだが コナミのディスクゲームのBGMの質が高いのは、まさに山下氏らスタッフのBGMを大切にする心構えであり、メジャーなゲームだろうとマイナーなゲームだろうと BGMは一切妥協しないあたりは、コナミの職人気質をプレイヤーに感じさせているといえよう。


このゲームは、数年前に大手サイトで初めて知ったもので、それくらいこのゲームのことなどまったく知らなかった。 加えて、特に面白そうと思うわけでもなくそもそもディスクゲームであったので、このゲームの存在を知った2003年はディスクゲームの書き換えが 終了した年だったことも加えて、このゲームの存在はまもなく消えかかっていった。

それから2年後に、いとこから大量のディスクゲームをもらいその中にこのゲームがあったが、既に存在が消えかかっていたことと 面白いディスクゲームがかなりあった状況では、このゲームに触れることなく時が流れていった。

しかし、このゲームのレビューを書く一年前それも『迷宮寺院ダババ』のプレイ動画を見ていた時、同じディスクゲームそれもマイナーなコナミ作品が あるかどうか思ってそれがアルマナだと思い込んだ私は、早速ダババのレビューを書く途中にこのゲームの動画があるか検索してみた。

なんと、思ったより早い時期にプレイ動画がひとつだけだが見つかったので、どういうものがあまり期待しないで見ることにした。 その動画を見た私は、このゲームの価値観を大きく変えることになったが、その要因がなんといってもコナミならではのBGMだった。

OPで、アルマナが失われた時の音や村人が石になっていくBGMもそうだが、ゲーム本編のBGMもとてもすばらしかった。 あまりのすばらしさに、最初は投稿者のテクニックよりBGMの内容に思わず夢中になってしまっていた。

(私にとって)その陰に隠れていた投稿者のテクニックはというと、ロープを使っての壁のすり抜けやそれを利用してのショートカットが目立ち、 そのテクニックが何度か動画を見たことでようやくそのすばらしさがよくわかった。

それだけに、私もそのテクニックができるのではないかと思い、最初のステージで投稿主がやったことを早速実践してみた。 確かに壁に埋まることはできたものの、それまでにショートカットすることができず画面下に埋もれて死んでしまっていた。

その後、ほかのステージでも似たようなテクニックをやったが結局投稿主のようなテクニックには程遠く、加えて大量のザコが登場し トラップも激しくとてもテクニックを練習できる状態ではなかった。


そんな芸当ができるのは、このゲームを何度もプレイしつつロープテクニックを極めた人だとようやく気づいた私は、 とりあえずクリアを先に済ましてから動画にあった数々のテクニックを練習することにした。

攻略のほうは、動画で参考にできたし何より聖なる玉を大量に使うことでラスボスを楽に倒せたが、それゆえにラスボスの強さがあまりわからず ラスボスのみならず他のボスでも通用することを考えると(まだ試していないがいつか試す)、アイテムを多くストックすればするほど 有利になるのはいいがそれゆえにボスをいかにして倒すかという楽しみが奪われかねず、楽に倒すに越したことはないしそもそもそんなアイテムを使う必要はないのだが、 時間制限がなく赤色の兵士と大男を倒し続けてアイテムを持ちきれないほど持ってボスに挑むのは複雑な気持ちがある。

実際、聖なる玉だけでラスボスをノーダメージで倒した時は、ようやくクリアというよりこんな楽な勝ち方でよかったのかと考え込んでいた。

とはいえ、ロープアクションと大量に登場するザコを考えれば、決して楽なものではなくむしろステージとボス戦との難易度が合わさって、 程よくバランスが取れた難易度が出てくると思う。

ロープテクニックさえできれば何とかなるわけだが、クリアした私は何度か練習してショートカットをやってのけたが、 さすがに壁に埋まったアイテムを取るのは難しいというより無理で、ロックで壁を壊してアイテムをとるしかなかった。

この事実は攻略サイトを見てわかったことだが、説明書を読まずにプレイ動画を見てやってみるという気持ちになって早速始めた私は、 単なる無謀だったのかそれとも勇気のある行動だったのか。



本日のまとめ



・・・・・・・・・・

(09/4/23レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年8月4日
◆目次に戻る◆


inserted by FC2 system