◆サッカー◆
FC初のサッカーソフト



発売日:1985年4月9日   発売元:任天堂   ジャンル:サッカー
値段:4900円   オススメ度:3(シンプル+ほぼフットサル)


任天堂から登場するスポーツゲームのひとつで、内容は野球同様日本の国民的スポーツであるサッカーだ。 同時に、『ウイニングイレブン』シリーズを筆頭とする現在に続くサッカーゲームの元祖である。

宝島社刊『僕たちのTVゲーム 80年代懐かしゲーム編』において、今作を任天堂スポーツゲームの第4弾としているのは、 『F1レース』と『エキサイトバイク』がジャンルがレースそれも現実ではスポーツのジャンルの1つに位置しているのに、 ゲームではスポーツと認めていない証(20数年近く前から他の出版社の雑誌の場合でも、レースをアクションにしているものもある)なのだろうか。

この頃のサッカーの人気は、『キャプテン翼』の漫画連載およびアニメ放映による大ヒットを皮切りに、日本にサッカーブームを引き起こしたことによるもので、 Jリーグの前身である日本サッカーリーグ(1965年設立)の人気や実力も少しずつ出てきていた。

この背景に、FC初のサッカーソフトが登場したわけで、売り上げが約153万本(これも『僕たちのTVゲーム  80年代懐かしゲーム編』より)を記録したあたりはさすが任天堂と言わざるを得ない。

後述するが、ゲーム的にまさにサッカーをユーザーにプレイさせているので、 それ以外はあまり入れず初期の任天堂スポーツゲームにおけるシンプルを前面に押し出した格好といえ、それが売り上げによい影響をもたらしている。

ただ、売り上げこそ150万本以上達成しているとはいえ、85年までに発売された他の任天堂スポーツゲームと比べると低い位置になっている。 これは、野球と人気の差がまだ大きすぎる上に日本のサッカーの実力も高いとは言えなかったためのようで、野球同様の地位と人気を獲得するまでにはもう少し時間がかかっている。

事実、次のサッカーゲーム(『エキサイティングサッカーコナミカップ』)が登場するまでには実に3年近くの歳月がかかり、 ここからようやくFCにおいてサッカーゲームが次々と登場するわけなのだが、『プロ野球ファミリースタジアム(以下初代ファミスタ)』登場以降 毎年のようにゲームが登場し年によってはラッシュのごとく単発や続編が登場している野球とはえらい違いだが、 ベースボールにしてもサッカーにしても長い年月があったからこそ爆発的な人気はなくともロングヒットという扱いで安定した売り上げを得たわけだ(それゴルフやテニスも同様)。

野球にしても、『ベースボール』から初代ファミスタ登場まで3年の歳月を要しているが、これは野球ゲームの登場がFC初期に加えてそれがゆえに参入するメーカーも少なければ、 ベースボールとは一味違う野球ゲームを作る技術が足りなかったようだ。


ベースボールから1年半近く経ったことなのか、容量が若干増えただけでなくBGMやゴールやハーフタイムにおけるキャラの動きなどが増え、 前者については今までの任天堂スポーツゲームと違ってプレイ中にBGMが出るので、無音で黙々とゲームをするよりも楽しめやすい。

後者においては、単にスポーツをするだけだった今までのスポーツゲームよりもプレイヤーに飽きないつくりをしていて、それも専用のBGMを加えることで雰囲気を味わせてくれている。 特にハーフタイムは、チアガールたちがフォーメーションを組んで応援してくれていて、後に登場する『バレーボール』のセット間の選手たちのしぐさに影響を与えているかもしれない。 ある意味、サッカーリーグやアメリカのスポーツリーグの雰囲気がごちゃ混ぜになった感じであり、そもそもサッカーにサポーターこそあれどチアガールなどいるわけがない。

スポーツをする周りの要素は増えたといっても、FC初期に登場それもFC初のサッカーゲームのため、結局は単にサッカーをしているだけのものになっている。 しかし、ゲーム前に難易度を設定したり対戦国を選ぶことができるあたり、ベースボールと『テニス』を併せ持ったものを感じさせる。

その対戦国は、日本(JPN)、アメリカ(USA)、フランス(FRA)、ブラジル(BRA)、スペイン(ESP)、ドイツ(FRG)、 イギリスの7カ国で、日米以外は有名どころのサッカーリーグがある上に当時のFIFAランキングにおいて、常に上位を保っていた古豪+強豪ぞろい。

アメリカも、サッカーリーグを持っていてレベルも高いのだが、いかんせんメジャーリーグやアメフトなどといったスポーツに比べるとマイナー感は否めない。 日本は、当時まだW杯本戦に出場していない上に南米や欧州のように、本格的なプロサッカーリーグが設立されていなかったためレベルが低い。 にもかかわらず、日米がこのゲームに登場できるのはおそらく発売国という事情によるもので、以降のサッカーゲームそれも世界を舞台としているものは必ず日本が登場している。

ただ、今作は能力設定などなくベースボールでのチーム同様に強くなるのはCPUとプレイヤーの腕次第であり、やり方によっては弱小国が強豪国を倒すこともできる。 これは、テニスでのレベル設定を加えていることもひとつあるが、やはり出場国という存在があればこそスポーツにおける愛国心が燃え上がるというものだ。 それだけ、他にも強豪国が多くいるわけだが、容量の都合上7カ国しかないのは仕方がないか。


もちろんプレイはいたってシンプルで、サッカーのルールはある程度詰め込んであるものの、相手からボールを奪ってパスをつなげてゴールを決める、ただそれだけだ。 だからこそ、前に書いたようにプレイヤーの腕で何とかなるもので、パターンが読めない対人戦では他のスポーツゲーム同様熱くなれるはずだ。 しかも、CPUのレベルによってはこのゲームにあまり慣れていない人でも、相手側のシュートを受け止めたりこちらの一方的なゴールラッシュを引き起こすことも可能。

とはいえ、本格的なサッカーゲームに程遠いのは事実で、その主要因は現実より5人少ない6人でサッカーをやることになっているため。 言わば、5人制のフットサルに一人増えた状況でしかなく、サッカーファンからすれば物足りないことはいうまでもないが、これも容量(+スプライト)の都合と考えれば当然といえる。

現実より数が少ないといっても、サッカーゲームの基礎はしっかり抑えてあるので、初代サッカーゲームといえども馬鹿にすることはできない。 だが、ゴルフやテニスと違って任天堂でその後継作品の数が極端に少ないのは、おそらく団体で試合を行う関係上キャラ設定に苦慮したと思われる(それはベースボールも同じ)。


私がこのゲームに初めて触れたのは、ゴルフのレビューでも書いたが20数年前に床屋でプレイしたときによる。 ただ、一人を操作するゴルフと違って複数人を操作するサッカーはあまりなじめず、そもそも説明書がない状況でプレイしたとはいえ、ゴルフではどういう形でプレイするのかある程度把握することができた。

サッカーではそうはいかず、何よりどういう操作でパスをするのかさっぱりわからず、一人だけ操作して相手チームのドリブルやパスをカットしたり、奪ったボールをそのまま相手ゴール近くまで持っていってシュートすることが何度もあった。 当然、相手にはゴールを決められることが何度もあり、大味な試合もあればこちらがぼろ負けする試合もあった。

それだけ、サッカーゲームをプレイすることはほとんどなく、『Jリーグプロサッカークラブをつくろう2002』をプレイしたぐらいでそのゲームも、 サッカーそのものをプレイするのではなくクラブ運営をするため、結果的に本格的なサッカーゲームをプレイしたのは任天堂のもので、このゲームをレビューしている現在も任天堂のサッカー以外まったくプレイしたことがない。

もちろん、存在こそ知っているものはかなり多いもののプレイは一度もなく、このゲームの操作による一種のトラウマを生んだと思う。 それでも、SFCはもちろんFCでも数年後にはサッカーゲームが多く登場することを考えると、そろそろ任天堂のものをプレイ&レビューしなければならないと思い、ハードオフのジャンクコーナーでカセットのみ200円で購入した。
操作がわからなかったと言っておきながらカセットだけ買ったのは、ネットでバーチャルコンソールで配信されているこのゲームの操作が書かれていたためで、 操作こそWiiのコントローラーを使うのだがある程度FCのコントローラーでの操作の仕方がわかった。

とはいえ、かつて散々な目にあった経験から最初はCPUのレベルを1にしてプレイしたが、結果はこちらの圧倒的な勝利だった。 まさか、こちらが二桁得点で圧勝するとは予想できず、レベル2にしてプレイしたときもレベル1ほどならなかったがこれまたCPUを寄せ付けず圧勝したときは、正直複雑な気持ちになったと同時にこのゲームが少し好きになった。

だからこそ、他の人と対戦すればさらに面白いものになったのだろうが、悲しいかな私には現在現実での友達がおらず結局はCPUでしか対戦していない(それは他の対戦できるゲームも同じ)。 だったら、CPUのレベルをもっと上げるべきではという人もいるだろうが、是が非でも勝ちたいという私の情けない考えがあったため、3まではどうにか勝てるだろうがそれ以上のレベルだと厳しいものがある。

ちなみに、私がプレイしていた国は当然日本で対戦相手は、別にこれといった感情は持っていなかったので適当に選んだ。 確かに、プレイしたときは特別な感情は持っていなかったが、このゲームのレビューを書くと日本が世界の強豪に圧勝している感覚になった。 だからこそ思うのだが、一度だけでいいから現実で格上の国に大差で勝てたらなと思うのは私だけなのだろうか。



本日のまとめ



GOAL IN

(09/4/9レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年7月28日
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