◆ゴルフ◆
FC初のゴルフゲーム



発売日:1984年5月1日   発売元:任天堂   ジャンル:ゴルフ
値段:3800円   オススメ度:3.5(ゴルフゲームの基本の確立)


『ベースボール』、『テニス』、に続く任天堂スポーツゲームの第3弾であり、FC初のゴルフゲームでもある。 任天堂の出すスポーツゲームは、他のメーカーより早く出したものが多いゆえに、現在のスポーツゲームの原点であるシステムに共通点も多い。

もっとも、早く登場したからこそシステムも粗かったが、わかりやすいものだからこそ今でも長く愛され売り上げも伸びるわけで、ベースボールやテニスは軽々と100万本の売り上げを記録している。 ただし、それは爆発的に売れたのではなく年度ごとの売り上げを足し合わせたもので(発売年の売り上げが最も高かっただろう)、地味な売れ行きである一方で適度な人気を保っている証といえるだろう。

これから紹介する『ゴルフ』もまた、今もその手のファンや当時のプレイヤーを中心に愛され続けている。 やはりこれも、基本的なシステムが導入されているからこそプレイしやすいわけなのだが、それ以上に後のゴルフゲームに大きな影響を与えていることでも、このゲームの人気の長さがあるわけだ。

これについては後ほど説明するが、ゴルフの総売り上げが約246万本とベースボールの総売り上げの約235万本を約11万本上回っているわけなのだから、 それだけでもゴルフに導入されているシステムが画期的だったからだろう。

加えて、それらのシステムが大きな影響を与えたために、以後登場するゴルフゲームのシステムがほぼ確定してしまい、 ゴルフゲームの基礎としては十分すぎる功績を挙げた反面、他社のゴルフゲームは独特の要素を出すのに苦労している。

そのシステムは、現実のゴルフを出来るだけ再現したもので、バンカーやラフなどといった地形とその効果、 打つたびに変わる風向きと風力などグラフィックこそ簡略化されているがコースの基本は手堅く押さえてある。 また、クラブの種類はもちろんパターも性能がある程度決められている分、どのクラブがボールを飛ばしやすいかわかるわけだ。

もちろん、ただ打つだけではなくどの角度で打つのかや、どのパターンで打っていってよいスコアでホールアウトするかという戦略も重要で、 それを考えずに打てばバンカーに落ちることは当然のこと、最悪池ポチャやOBで打数を無駄にすることもあるのだから。

それだけ単純ながらも奥が深く、例えば真ん中に池やバンカーがある場合、打数の無駄を防ぐため地道に遠回りをするか、 一発勝負でそれを跳び越してグリーン近くまで到達させるか、現実のゴルフと若干違う分慣れが必要だろう。


そして、ゴルフゲーム最大のシステムはプレイヤー画面の下のメーター、通称『横軸メーター』の存在がとても大きい。 これは、クラブの種類や風向きを合わせつつメーターの結果によって、総合的な飛距離と方向が示されるわけで、 横軸メーターが真ん中から左端に移動して右端に移動し終えるまでボールを打つようになっていて、それをしないと空振り扱いで一打加算されてしまう。

つまるところ、振りかぶってからトップの位置(バックスイングの頂上)を決めてインパクト(クラブがボールをとらえるの意)の位置を決めるという、 計3回ボタンを押すシステムもここで確立していて、ショットを打つためにわざわざ3回もボタンを押さなければならないが、 ショットの性質を細かく決められるという点では横軸メーターの存在は大きい。 慣れない間は、OBや空振りなどして一打無駄にすることが多いが、そこは練習あるのみ。

原則的に、左端からゲージの白い部分を決定させればほぼまっすぐの飛距離が長いショットになるが、1Wの白い部分はかなり狭い上にPTはグリーン上で使うためにない。 わざわざそれを狙うより、地道にグリーンを狙うのが普通だが現実のゴルフ同様スコアが少ないほうが有利なので、 最大ショットを出すために空振りしたりあらぬ方向に打ってしまった挙句OB(または池ポチャやバンカー)になってしまった人は多いだろう。

中でも、広い水面にいくつかの小島のフェアウェイしか出ていないホールでは、一発勝負に出るか堅実に行くか好みが大きく分かれるところだ。 グリーン上のショットにしても、方向指定してショットを打ってもカップに嫌われるという演出があり、ゲージの白い部分がないためにショットを打つタイミングがいっそう重要になる。

事実、初期のゴルフゲームとしては前述の通り十分すぎる内容であり、横軸メーターや天候の概要といったゴルフゲームの基本を確立しただけのことはあり、 他のゴルフゲームがそれらを採用したあたりはこのゲームの完成度の高さが裏付けている。

とはいえ、最初期のゴルフゲームゆえに他のゴルフゲームと比べると、ゴルフゲームいや現在のゲーム全般にとって欠かせない要素が1つ欠けている。 それはBGMで、ベースボールやテニスでもタイトルBGMは(同じ内容ながらも)あったが、ゴルフに至っては同じBGMすら存在しない。 もっとも、初期の任天堂のスポーツゲームはプレイ中には全くBGMを流れていないが、ゴルフだけタイトル画面も含めてBGMが流れていないので、やたら地味であるのが残念。


また、高い障害物の概念もないために、正面に木があってそこから打っても別に跳ね返ることはなくそのまま通過して先のエリアに到達する。 他のゴルフゲームで、いつも木に当たって一打失う人にとってはうれしいものだが、やはりリアリティあふれるゴルフゲームとしてはちょっと物足りない。 これはおそらく、容量の都合でBGM共々採用されなかったのだろう。

最後に、このゲームのプレイヤーだがマリオに似ているようで、実は赤の他人。 当時、リアルなマリオがゴルフに出ているという話題が出たが、ファミマガにおいてマリオではないという結論が出されたものの、 ファミマガといえどもまだファミコン雑誌としての実力が出ておらず、今でも『ゴルフのプレイヤー=マリオ』という意識はある模様。

この後、任天堂は本当にマリオをプレイヤーに仕立てた『ゴルフJAPANオープン』と『USオープン』を発売させるが、これらについてはレビューの時に述べたい。 ちなみに、ゴルフのプレイヤーはWiiの『キャプテン★レインボー(マイナーな任天堂作品のキャラが総登場するゲーム)』に登場しているが、 その時の名前が『おっさん』と200万本以上売り上げを出したゲームの主人公を馬鹿にしていることと、その人物はなかなかに笑えるものがある。


このゲームは、友達の家やいとこの家でプレイしておらず、地元の床屋でプレイしたことがあった。 無論20数年ほど前のことで、現在は本体やソフトはもちろん本体をつなげる専用のテレビはなく、その事実は初めて床屋のFCに触れてから数年後で、 理由こそ明かさなかったものの床屋の子供達が成長してFCをプレイすることがなくなったことと、 理容器具を置く場所に困ったためやむなく撤去したものと思う(ゲームボーイといった携帯ゲームの普及も理由の1つかも)。 最初は、本体ごと撤去されたことに衝撃を受けたが、一年近く後には何らかの事情があったんだろうと納得していた。

さてこのゲームだが、主にプレイしていたのは床屋の待ち時間が多く、ついで散髪が終わった後だが周囲に漫画本が多くあったにもかかわらず、 それを夢中でプレイしていたあたりは改めて昔からゲーム好きだということがよくわかった。

もちろん、『マイティボンジャック』や『アトランチスの謎』など床屋にあるゲームは一通りプレイしていた。 しかし、ゴルフほど他のゲームより長くプレイしたものはなく、今も現実のゴルフの練習場やカントリークラブでゴルフをやらないあたりも、 任天堂以外のゴルフゲームを今でも時々プレイしている。

もっとも、最初にプレイしたゴルフゲームは任天堂のゴルフであって、BGMがないものの先にも書いたように夢中でプレイしていた。 何せ、プレイしていた当時はまだ子供だったからOBを連発して大はしゃぎしていたが、 池ポチャの時やバンカーに落ちた時のSEがOBと同じなので、おそらくそのSEで大はしゃぎしていたのだと思う。

ただ、ゴルフのルールは『プロゴルファー猿』や『あした天気になあれ』といったゴルフ漫画やアニメをいつも見ていたおかげで、 スコアがマイナスになればなるほどいい成績であることを知っていたし、横軸メーターも何度かプレイしていたことでどういうものがよくわかった。

それから現在、レビューという形で再びプレイしたのだが、これより前に『マリオゴルフ』や『ナグザットオープン』などの他のゴルフゲームをプレイしていて、 なかなかに面白くレビューのしがいがあるものばかりだった。

それゆえ、ジャンルの最初の作品のほうから主にレビューをしないことを現在決めているので、このままではいつまで経っても他のゴルフゲームをレビューできないという危機感と、 そろそろ年代が古いゲームを一気にレビューしてみようという気持ちもあり、このゲームをレビューしたのだ。

横軸メーターには慣れているとはいえ、元々ゲームの腕がそれほどうまくない私はやはり天候の変化とあいまって、 バーディはもちろん最低でもパー程度に抑えることが難しく、いつも打数を無駄にすることが多かった。 それだけ、数回イーグルを決めたことは一人でプレイしていることもあって、リアルでガッツポーズを挙げるほどうれしかった。

最後に、このゲームのプレイヤーがマリオと関係ない人物だったことで、私は最近までマリオと関係があるのではと思っていた。 大手サイトの研究コーナーで、マリオにそっくりいやマリオそのものではないかという展開があり、このサイトのファンだった私はそれを信じて疑わず、 後の任天堂のゴルフゲームでマリオが登場したことと関係があるとも思っていた。

それが、このゲームをネットで調べていた時にマリオとは全く関係ない人物だとわかり、それが20年以上前に判明していたことも書かれていたが、 にもかかわらず多くの人が『ゴルフのプレイヤー=マリオ』と思っているのは、その当時その事実が知られていなかったのだと思う。 だとしても、『キャプテン★レインボー』に登場するのはともかく名前が『おっさん』というのは、単にネーミングが思いつかなかったのだろうか。



本日のまとめ



EAGLE

(09/3/1レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年7月20日
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