◆ポパイ◆
FC初のキャラゲー



発売日:1983年7月15日   発売元:任天堂   ジャンル:ACT
値段:4500円   おすすめ度:3(新たな永久パターン防止登場)


1930年代、アメリカでアニメ映画として放映され人気を呼び、1960年代前後にはテレビアニメシリーズとしても人気を得ることになり、日本でも同じ年代に放映されてアメリカ同様人気を呼んだ作品のゲーム版。
原作についてはご存知だと思うが、水兵姿でパイプをくわえたポパイと彼の恋人オリーブ、それにポパイの同僚でライバルの大男ブルートによる3人のどたばたコメディで、 ポパイとオリーブの関係を壊してオリーブを自分の恋人にしようと色んな悪さをして、逆にポパイによってコテンパンにやられるという毎度ながらのオチと、 ほうれん草を食べれば必ずパワーアップするという大逆転劇という痛快さが人気を得たのだ。

元は、アメリカの漫画のアニメ化であってその漫画の主役はポパイではなく赤の他人であったのだが、ポパイのキャラクター性の人気によっていつのまにか主役になってしまったのである。

かつてアメリカでは、主に実写作品を大人も含めた一般の視聴者向けにアニメを子供向けに制作されていたが、実写ではローンレンジャーや怪傑ゾロなどがアニメはミッキーマウスやルーニーテューンズなどが挙げられる。 特にアニメ作品においては、子供が安心して見られなごみもあるアニメが作られたが、その主たるものが常にどたばたでやられても何事もなかったかのようにすぐ元気になって話が進むという展開だ。

実写作品であれアニメであれ、初期から子供や大人に耐えうる作品を多く作られてきた日本と違うため、アメリカのアニメは子供が安定して見られるものを制作し人気を得、 結果的にアメリカのみならず世界の子供達に通じるアニメになっていった。

その代表的な作品の1つであるポパイは、日米共に人気を得たことは先述の通りだが、特に日本では戦前から紹介されたことでアメリカ以上に人気があったようで、1982年には任天堂がアーケードゲームとして登場させた。 この頃、日本のアーケード業界は規模が大きいとはいえなかったが、ゲームの数は人気があるなしにかかわらず多く作られていた。

ただ、ドラマやアニメといった版権のゲームはというと数えるしかないほど少なく、ポパイが登場する前までの版権作品の有名どころはというと タイトーの『ルパン三世(1980年登場)』しかないのだが、それほどまでに版権のゲーム化には著作権という壁が気高くそびえ立っていたのだろう。

だが、開発元の任天堂はアニメ制作会社それも海外のアニメを作った会社に、許可を得ながらゲームを制作したことは相当な決断だったと思われるが、 任天堂のACでの活躍期間が少なかったためか同社の版権作品はこの一作だけである。


ゲームの内容は、3つあるステージにおいて画面最上段にいるオリーブが左右に移動しながらアイテムをばら撒いて、 それらをポパイがブルートや魔女といった邪魔者達をかわしながら全て回収していってクリアを目指すものだ。

それゆえ、アイテムを取り損ねて下に沈んだ挙句一定時間経つとミスになるし、お邪魔キャラに触れてしまってもミスになるのだが、 アイテムの取り損ねとそれの一定時間後のミスは、永久パターン防止と考えても差し支えあるまい。

永久パターンとは、得点を稼ぐにおいて主に制限時間や無敵の敵キャラといった障害が無いことを指していて、高得点を効率稼ぐためにはこのシステムの存在が不可欠であった一方で、 ACでは次のプレイを待っている人にとって邪魔なものでもあった。

当然、店の人にとっても永久パターンを利用して長時間得点稼ぎをする人は、客の回転ともいうべきインカム率を低下させる存在でもあったので、 永久パターンをいかにしてなくして高得点を目指すこともできるアクションゲーム(得点のインフレとは違う)がでるのを、店の人は心待ちにしていたと思う(今と比べて昔のゲームの数はそれほど多くない)。

この頃、アクションゲームにおいても永久パターン防止を採用したものはあるものの、多くは敵の動きを早くしたり敵の数を増やすといったもので、 あくまでもプレイヤーとCPUが繰り出す敵の軍団との対決に終始している。

ポパイにしても、パンチでハゲタカのバーナードや魔女シーハッグが投げつけるしゃれこうべやブルートが投げるビンを叩き落せば得点が得られ、 ステージ3のバーナードを叩き落すほうが得点が高いし、1面でのパンチングと樽におけるブルートへの邪魔、 2面でのジャンプ台を使用しての赤ん坊へのタッチのボーナスも、敵を倒すものと比べてもなかなかに魅力的だ。

ただ、アイテムの存在が永久パターン防止の役割を果たしていて、たとえバーナードを何羽叩き落してもアイテムが落ちて一定時間後に沈んでしまっては意味が無く、 敵の動きに加えてアイテムの動きにも気を配りながら高得点を目指すというテクニックが求められる。

さらに、アイテムも段層があるこのゲームにおいてそれが低くなるごとに取った時の得点も低くなり、 アイテムを高得点のまま取りつつ敵を倒してボーナスを稼いで高得点を稼ぐのは難しく、 何よりもアイテムを全て回収することとアイテムが一番下に落ちて沈む時間を合わせると、確実に制限時間があることを示していて、制限時間をアイテムに置き換えたのは珍しい。


話を変えるが、このゲームにおいて欠かせぬアイテムが別に存在するが、それはなんといってもポパイの大好物かつパワーアップアイテムであるほうれん草だ。 これを取ることで、ポパイのメインBGMがかかり無敵になるので、パンチでは倒せないブルートを体当たりで倒せたりするので、 倒せない相手を倒し高得点(3000点)も得られることも含めて、ブルートが吹っ飛ぶ様は実に爽快である。

しかし、制限時間が短い上に一度ブルートを倒してしまうとその効果が切れてしまうため、無敵という点では魅力が薄いもののブルートと彼の攻撃は、 アイテムが落下して画面下に落ちて沈むまでの時間を考えればいやらしい敵というわけではないのだが、むしろそれ以外のお邪魔キャラの行動がやっかいなので、微妙に敵の攻撃パターンが複雑になっている。

さてゲームの出来についてだが、任天堂初の版権ゲームとしては上々だろう。 ゲームの面白さはともかく、アニメにあった展開はゲームでも十分再現が可能で、昔そういった展開を見てきたプレイヤーはさぞその展開を再現できて感激していたことかと思う。

しかしながら、同時期に登場した『ポールポジション』や『ペンゴ』などの他社の作品の人気に押され、 加えて前年に登場し大ヒットとなった同社の『ドンキーコング』の続編『ドンキーコングJr.』の人気によって、任天堂初の版権ゲームにしては地味な印象を受けてしまっている。

だがAC登場の翌年の7月、ファミリーコンピューターが誕生しそれにあわせて任天堂によるACからの3本のゲームを移植して発売させているが、 その中にポパイが含まれていたことは意外である一方で(残りの2本はドンキーコングの初代とJr.)、元々任天堂が世に出したAC作品の少なさということも関係があるのかもしれない。

それでも、同年12月に今作のバージョン変えである『ポパイの英語遊び』が登場したことは、このゲームに何か特別な感情があったのだろうが、 同社の教育ソフトにしても『ドンキーコングJr.の算数遊び』を含めてたった2本しか出していない。 加えて、任天堂がFCで出した版権作品もポパイと『スパルタンX』の2作品のみで、他機種で版権作品を発売したのはそれから10年以上待たなければならなかった。

その間は、自社のオリジナル作品でしのいでいったが、逆に言えばマリオやドンキーコングといったオリジナルのキャラが任天堂を盛り上げていったわけで、 版権作品を作らずとも会社の勢力に歯止めがかかることが無かったことは、FCでの版権作品を2作しか作らなかった(移植しなかった)ことに対する証明といえよう。


ポパイという作品そのものは、小さい頃から本を読んで知っていたのだが、ゲームとなるとレビューを書く6年前まで知らなかった。 しかもAC版の移植となれば、最近まで知らなかったことだったしFC版とAC版の存在は、どちらもネットで知ることになった。 だからこそ、初めて知るゲームそれもかなり昔のゲームとなれば、レトロゲーム好きの私の期待は高まっていった。

しかしながら、そのほかにプレイしたいゲームがかなりあったし、存在を知る頃はレトロゲームの他に最新のゲームにも興味を持っていた。 結局、初めてプレイしたのはレビューを書く現在で、それもなんとなくプレイしてレビューしたくなったという気持ちだった。

ただ、このゲームをレビューすれば英語遊びも『その他ゲーム紹介』で紹介できるようになり、結果的に83年に登場したゲーム全てレビューまたは紹介したことになり、 レビューの充実化にまた一歩近づくのではないかという考えが生まれた。

ちなみに、箱と説明書つきで1800円と購入したが、あまり生産されてなかったことと他の機種にコレクションという形で移植されなかった、 知名度がそれほど高くなかったのか他のゲームと比べて少々割高な感じがした。


そんなことでプレイしたこのゲームは、AC版をプレイしていないためFC版と比べるのが出来なかったが、初期のゲームそれもFC初の版権作品ということにもかかわらず、出来そのものはなかなかよかったと思う。 何より、永久パターンの防止法が他のゲームと比べてかなり特殊で、同時に制限時間の設定も深くかかわっていることも、AC版において唯一の版権作品にするには惜しいと思っていた。

だからこそ、得点の獲得もバリエーションが豊富で、早くクリアするためにはお邪魔キャラの動きに気をつけながらハートを急いで取らなければならず、 得点を多く取るには他のお邪魔キャラを蹴散らしながらアイテムの動きをよく見る、両方達成するにはその2つを加えた高度なテクニックが必要と、それほどプレイしていないにもかかわらずそういったことを理解できた。 もっとも、かなり昔のゲームそれも3面で一周する仕組みなので、2周目のクリアが終わった時点でもう飽きてしまったが(それ以前に一周目でやられたことが何度もあった)。

ちなみに、ほうれん草を取ってのパワーアップはあまり説明書を読んでいなかったので、取ったらしばらくしないと出てこないと思い込んでしまい(『ドンキーコング3』)、 せっかくの高得点のチャンスをみすみす逃した挙句、そのことを知った時には結構悔しがった。

また、英語遊びについてはゲーム本編をプレイする前からプレイしていたが、これについてはその他ゲーム紹介の時に詳しく紹介していきたい。 はっきりいって、本編よりプレイしたいという思いが強く結果高い金を払って購入したが、その感想が早く出るとは予想つかなかったが。



本日のまとめ



BACOOOOM!!

(09/1/7レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年7月12日
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