◆シャッフルファイト◆
スパロボ風テーブルトークRPG



発売日:1992年10月9日   発売元:バンプレスト   ジャンル:ボードゲーム
値段:7600円   おすすめ度:3(アルベガスやゴッドシグマがいるのはすごい)


ここは、多くのスーパーロボット達が住む別次元の世界、その名も『ガーディアンワールド』。 この世界は、彼らの力の源である多くのカードメタルによって支えられ、平和が維持されていた。

すなわち、多くのカードメダルさえあればこの世界の平和は、永遠に保たれることを意味していたのだ。 しかしその平和は、邪悪なるザクバラン帝国によって破られてしまった。帝王ダルガスが、カードメタルの略奪を始めたからだ。

「ふははは……、残り7枚のカードメタルがそろえば、究極の魔獣機『ガルシアス』様を復活させることが出来る。 そうなれば、ガーディアンワールドにおける我々ザクバラン帝国の支配は完全なものになる。 行け、ザクバランクロイツよ!残りのカードメタルを全て奪い取り、ガルシアス様の復活とガーディアンワールドの支配を成し遂げるのだ!!」

ザクバランクロイツとは、帝国の軍事力の中核となる戦士で構成された組織で、いずれもガーディアンワールドの各地域の支配を任せられるほどの実力を兼ねそろえていた。 メンバーはキュベレイ、ビッグガルーダ、メカ雷獣機、暗黒大将軍、αアジールの5人で、彼らにはガーディアンワールドの完全支配と魔獣機ガルシアスの復活を帝王ダルガスに命じられていたのだ。 彼らの実力は圧倒的で、このままではガーディアンワールドの完全制圧とガルシアスの復活は時間の問題だった。

一方その頃、ガーディアンワールドの辺境にある小さな国アイザックで、ザクバラン帝国の侵略に耐えかねた者達が立ち上がろうとしていた。 ゲッター1、ダイターン3、エルガイム、百式の4名で、彼らはザクバラン帝国に立ち向かう最後の希望であった。

「ザクバラン帝国め…、もう我慢できねぇ!」、「やつらに、これ以上カードメタルを渡すものか!!」 ゲッター1とダイターン3が、共にザクバラン帝国に激しい怒りを燃やしていたのに対して百式は、 「だが、やつらはカードメダルを集めて何をする気だろう?」と、冷静ながらも一人帝国の真意をわかりかねていた。

「敵の要塞グールにとらわれている仲間の中に、誰か知っているものがいるかもしれないな…。」と、これはエルガイム。 「もう、じっとしていられねぇ!早いとこ、そのグールとやらをぶっ潰そうぜ!!」、「よし、グールを叩いて仲間を助け出すんだ!」

こうして彼らは、仲間を救い出すと同時に帝国に支配されている地域を開放していくが、 帝王ダルガスによる魔獣機ガルシアスの復活は刻一刻と迫っていたことはまだ誰も知らない…。(キャンペーンモード・ストーリーより)


バンプレストが送る1992年最初のFCソフトだが、前年発売の『第2次スーパーロボット大戦』から10ヶ月の歳月が過ぎての登場で、 それも10月でこの時期のFCソフトの少なさを考えると、バンプレとしてもFCでの影響を残しつつ徐々にSFCにシフトしていたようだ。

このゲームは、バンプレお得意の版権作品のクロスオーバーで、先の第2次スパロボのように版権ロボット作品を集めたボードゲームである。 ただし、パイロットはおらずロボットは人格を有しているので、このあたりはスパロボというより昔のコンパチヒーローシリーズの流れを汲んでいる。

参戦作品は、スパロボファンの間で呼ばれている御三家(ガンダム、マジンガー、ゲッター)の他に、リアルロボット系では戦闘メカ ザブングル、 重戦機エルガイム、機甲戦記ドラグナー、スーパーロボット系では無敵超人ザンボット3と無敵鋼人ダイターン3、長浜ロマンロボシリーズ三作品 (コンバトラーV、ボルテスX、ダイモス)に未来ロボ ダルタニアス、無敵ロボトライダーG7、最強ロボダイオージャ、宇宙大帝ゴッドシグマ、 光速電神アルベガス、そして魔装機神サイバスターの計23作品となっている(御三家の参戦作品シリーズをあわせて)。


FCに、これだけ参戦作品が集まるのは異例で、特にダイオージャやゴッドシグマ、 アルベガスや長浜ロマンロボシリーズそれも全ての作品が一同に参戦しているあたり、スタッフの異常なまでの作品の愛が感んじられる。

翌年の第3次スパロボでは、コンバトラーがロマンロボシリーズでスパロボ作品に初参戦しているものの、 ロマンロボシリーズ全作品が一堂に会するのは2001年のスパロボAなので、そういったことを考えればかなり思い切っているといえる。

もっとも、人格を持たせてパイロットを廃して主力や印象のあるユニットだけ登場させているので、23作品という数が決して多くない数字ではある。 何しろ、主役しか出ていない作品は結構あるし、選べるモードによっては1体も登場していない場合もあり、知名度による扱いの差が激しいことを物語っている。

なお、参戦作品に関わっているアニメ制作会社は、ダイナミック企画(東映動画含む)、東映本社、創通エージェンシー、サンライズの御三家に関わった会社のみで、 参戦作品が多くなっているといっても先のユニット数の少なさとあわせると、まだまだコンパチヒーローもしくは第2次スパロボの影響が色濃く残っているといえよう。

内容は、前述のようにボードゲームとなっていて、自分の駒を1駒ずつ進ませて敵の駒に接触、これを倒して敵本陣に居座るボスキャラをも倒して占領する。 駒同士の戦いは、まず自分が所持しているユニットとアイテムを1つ選んで(アイテムは選ばなくてもいい)、 その後にさいころを振ってユニットによって決められている早さを足して、どちらかが先攻かを決めることになる。

一部のユニットは、地形によって素早さが上がることによりさいころ以前で先攻が決まるので、素早さが高いユニットが多いリアル系が先攻の恩恵を受けやすい。 つまり、殴り合いでは先攻のほうが有利かと思われるが、攻撃の際に振るさいころの数ではスーパー系が圧倒的に有利だし(リアル系にもわずかにいる)防御力も体力も高いので、 どちらかが有利というよりその時の状況で選んでみたほうが面白いだろう。


先攻が決まってから戦いが始まり、さいころを2つ振ってその数の合計でユニットの攻撃力と相手の防御力により敵に与えるダメージが変化して、どちらかの体力が0になると終了する。 2つのさいころが同じ数字の場合は、怒涛の攻撃ことクリティカルヒットが発動、出る確率は高くないが追い詰められた時の逆転という感じ的にはすばらしい。 たまに外されることもあるが、単なる殴り合いだけでは面白くないと考えたのだろう。

なお、カードを引いたり駒を生産したり、イベント属性のカードを使ったり移動したりするには自分の勢力の国力を使わねばならず、それが一定未満ではそれができることもままならない。 カードを引くにしても、それが自分にとっていいカードなのかわからないので、どんなカードが出るのかプレイヤーにしても相手にしてもかなり緊張感がある。

本陣が攻め落とされれば負けなので、国力こそが全てを制するといっても過言ではないものの、その国力の回復が少なすぎるため相手を圧倒的な戦力で押しつぶすか、 その戦力を相手に与えてこちらはその戦力をいかに倒すかといった、戦略のバリエーションが薄い。 国力の数値や駒数の設定といった、ハンデをつけたほうがよかっただろう。

ところで、ユニットカードにアイテムカードを組み合わせて戦う手法は、後に『スーパーロボット大戦 スクランブルギャザー』に受け継がれている。 そのカードゲーム、2001年登場の第9弾を最後に新作が登場しておらず、当時未参戦であるゴッドシグマ、アルベガス、ダイオージャ、ダルタニアス、ドラグナーはない。


さてもう1つ、書いておかなければならないものがあるが、それがキャンペーンモードだ。 ルールこそ、駒を生産して相手の駒をつぶし本陣に居座るボスも倒して占領するわけだが、キャンペーンということでプレイ中のマップをクリアすれば次に向かうというマップクリア制となっている。

マップ間には中間デモがあり、そこでユニットやアイテムを入手しそれらを選択して次のマップに向かうわけなのだが、ストーリーモードを意味するこのモードでは、 駒の生産はあれどカードを引くことが出来ないので、対戦における兵器のロボットから心の友の存在になっている証といえる。 まさに、コンパチヒーローの特徴が出ている格好で、ユニットが途中参加するあたりもスパロボシリーズの影響を多分に受けている。

ただ、シミュレーションRPGの影響を受けているものの実質的にボードゲームなので、終盤にくると強いカードを出さざるを得ない状況になってしまう。 しかも、対戦と違って戦闘時にカードがランダムに2枚しか出ないものの、ユニットカードを使用しても全然なくならないため、たまに弱いカードを出してもそれに当たる確立は不透明。

おまけに最終ステージは、アイテムを利用しても弱小ユニットを出撃させるのは(戦力的に)無駄になるため、実質エースクラスのユニットでぶつかることになる。 カードを利用したボードゲームの都合上仕方がないが、せめて弱小ユニットでも強敵と互角に渡り合えるぐらいの要素を出してもらいたかった (必殺カードという手もあるが、必殺技の威力はさいころの目の数で決まるため実用性がいまいち)。


ボードゲームにしては、スパロボや一般のSLGの要素を取り込んでいることもそうだが、さいころとこちらの攻撃力と相手の防御力を計算してのダメージ数は、間違いなくテーブルトークRPGだ。 しかしボードゲームなので、敵を倒しても経験値が入らずレベルアップもしないので、もう少しテーブルトークRPGに踏み込めば多少なりとも評価は上がったのかもしれない。 さすがに2Mの容量では、そういった要素を大胆に盛り込むのは無理だろうが。

最後に登場するユニットだが、多くの作品と主役ロボットが登場しているのはいいが、前にも書いたように知名度の有無によって扱いが違い、 例えばアルベガスがゲッター1と同等の実力しかないあたり、ファンの心境はかなり複雑だっただろう。

なお、バンプレ作品ということで第2次スパロボからサイバスターが登場している。 能力は、スパロボ同様の高い能力を誇り、早さが飛びぬけて高く攻撃力もなかなかなので、まさにバンプレならではの優遇がきいているのは当然だろう。


私が、このゲームの情報を知ったのは愛読書の1つであるファミマガだったが、攻略記事ではなく雑誌内の広告で知った。 既に、コンパチヒーロー作品の数作程度は知っていたし、ロボットアニメの作品がかなり出ていることに驚いた私は、前にプレイした初代スパロボ(GBのほう)を思い起こしていた。

マジンガーZやゲッターロボといった有名ロボットアニメを知ったのもこのゲームで、そんなロボット達が所狭しと大暴れするゲームをプレイしていた私は、スパロボのようなノリになってくれるのかなと期待を寄せていた。 何より、ダルタニアスやアルベガスといった私になじみがあるロボットアニメが参戦していることは、一体どういうゲームに仕上がっているのかわくわくしたもので、その発売日がいつなのか楽しみになっていた。

しかし、発売日になった頃にはこのゲームに興味は失っていて、主に友達から借りたゲームに夢中になっていた。 また、この時期にはまだ持っていないSFCにも興味を示すようになっていて、次第にFCから興味を持たなくなっていた。

したがって、再びこのゲームの存在を知ったのは発売から11,2年後で、その時は画像付きのレビューをパソコンで見るようになった。 レビューの内容は、このゲームに対してあまりいい感じで評価していなかった上に、ゲームの内容も私が思っているスパロボ風とも違っていたので、多くのロボットアニメが参戦していて喜んでいた昔を懐かしむにはいられなかった。

初めてのプレイも、おおまかな内容を知ってからさらに2年の歳月が過ぎた頃で、それもFCレビューのリクエストを募集したところそのゲームをリクエストしてほしいという理由でプレイしていた。 早速プレイした私だったが、ボードゲームという事実は既に知っていたものの、駒を使って移動させカードを使ってさいころを振りながら敵にダメージを与える様は、「これってボードゲームなのか」と駒の存在にもかかわらずつい思ってしまった。

レビュー時に再びプレイして、ボードゲームにテーブルトークRPGのエッセンスを導入したと感じているが、あくまでボードゲームである以上経験値やレベルの設定がないため、もう少し一ひねりが必要ではと思っている。

初プレイの話に戻るが、適当ではないにしろ自分なりに最初からキャンペーンをプレイしていた私は、1マップクリア後に力強いロボットが参戦してくるのを見て、昔のスパロボを思い出してわくわくした。 キャンペーンモードは、ストーリーはしっかり出来ているしゲームの内容も終盤のマップでは強力ユニットしか出せないことがほとんどあるものの、ボードゲームとしてはそこそこ楽しめるものにある。

だが、ユニットの能力の設定ついてはどうも首をかしげるものばかりで、対戦でしか使えないアルベガスがゲッター1程度の能力しかないことに思わず憤りを感じ、せめて能力を大幅に上げてもらいたかったのは私だけではないと思う。



本日のまとめ



これにて いっけんらくちゃく!

(08/7/23レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年7月1日
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