◆オペレーションウルフ◆
エレメカの救世主



発売日:1989年3月31日   発売元:タイトー   ジャンル:STG
値段:5900円   おすすめ度:3(光線銃再び大活躍)


ここは南アメリカに位置する国チェリコ、南米における親アメリカ国家の1つである。 親アメリカ国家といっても、決してアメリカ合衆国になびいていたわけではなく、一定の自主性を保ちながら緊密な関係をとっていた。 国そのものについても、常に安定した国づくりが堅実に行われ、治安も安定した平和な国家であった。

ところが、そんな平和な国づくりが思わぬ形で、遂に打ち破られる事態が起こってしまった。 チェリコ政府に反感を抱く、国内の反政府組織がクーデターを決行、その数はかなりのものになっていった。

チェリコ政府は、この事態にうまく対応できず一気に国家の危機に瀕する事態となってしまった。 しかも、政府要人が捕らわれる事態も発生し、クーデターの成功とそれに続く国家の崩壊はもはや時間の問題だった。

チェリコで発生したクーデターの知らせを受けたアメリカ政府は、直ちに対策会議を開いた。 その結論は、アメリカ軍を中心とした優秀な傭兵を派遣、反政府勢力によるクーデターの鎮圧を命じた。 同時に、反政府勢力に捕らわれているチェリコの政府要人の救出も命じられた、その数5人。

これは、『狼作戦』通称『オペレーションウルフ』と呼ばれた作戦で、兵士達が狼のように迅速かつ的確に行えるためにつけられたものだった。 この作戦の構想は、アメリカ大統領とCIAアメリカ中央情報局によって作られたものである。

これを元に、反政府勢力に対して攻勢を仕掛けつつ、不利な状況を一気に打開しようというのだ。 この作戦に君が選ばれ、君は反政府勢力が占拠している6つの地点を奪回しなければならないが、果たして救出の成否はいかに…?

タイトーが出すACの3Dシューティング作品で、その人気は国内はもとより海外でも高く、続編も3作ほど発売されている。 当然ながら、AC版登場から2年後にFCにも移植され、さらに翌年にはPCエンジン版が登場、最近ではPS2で『タイトーメモリーズ』にも収録されているが、 AC版の多くを収録したソフトゆえにこちらはAC版に忠実の出来となっている。

今でも、当時のプレイヤーを中心に人気があり、かつてはエレメカのガンシューティングを確立したとまで言わしめた。 それほどまでに、このゲームの人気は当時かなり高かったわけだが、一方でエレメカの事情もあったものと思われる。


この時期のエレメカの現状というと、決していい状態になっているわけではなかった。 むしろ、ビデオゲームの登場とその攻勢により現況は悪化していた。

もちろん、親子連れなどには相変わらず好評だったものの、全体的に見れば低調な勢いだったことは否めなく、 多くがメダルゲームやもぐらたたきといった主に小さな子供が喜ばれるものが多かったために、年齢層が幅広いビデオゲームに対応しにくかったのだろう。 現在のエレメカは、多少なりとも勢力を回復させているが、当時のエレメカは「これはっ!」と思わせるものがなかったため、次第に追い詰められていったと思われる。

そういった状況において、『オペレーションウルフ』はまさにエレメカの救世主でもあった。 というのは、ビデオゲームとエレメカの特徴を融合した作品だからだ。 無論ベースはエレメカだが、ターゲットは画像に映っている敵であり、それを撃っていくというエレメカの射撃ゲームを踏襲させている。

つまり、銃口が光り赤外線センサーがその光が目標に当たって倒れる(もしくはそれに近い動作をする)と同じく、画像のキャラに当てると様々な行動を起こすのだ。 既に、こういった形のゲームはタイトーを中心に登場しており、FCでも任天堂の光線銃シリーズがよく知られていて、かなり前からエレメカの射撃ゲームは知れ渡っている。

にもかかわらず、このゲームの評判が国内はもちろん海外でも高いのは、ストーリーやシステムが斬新かつとっつきやすかったため。 前者は、敵が国家転覆をたくらむ反政府勢力という設定であるため、こういう組織を徹底的に敵視しているアメリカでは、わかりやすかったと同時にすんなりと受け入れられた。 後者は、初の直付け式マシンガンゲームで、トリガーを引けば現実のマシンガンよろしく自動的に連射する仕組みになっているのだ。

このゲームを開発したタイトーは、かつてケーブル連結式(FCの光線銃と同じ)のAC作品を2作出していたのだが、人気が低かったもあって知名度もかなり少ない。 2作の苣体が、オペレーションウルフに流用された背景には、そのゲームの人気が高かったことに加えてコスト削減という形で流用されたと思われる。 ゆえに、ケーブル連結式も存在しており、当時としては連結式のマシンガンは珍しかったが、今ではそういうタイプのものを使用するゲームが登場している。


ゲームは、最初に4つあるステージを選んでそこに出る敵を全滅させればクリアとなる。 そのうちの1つジャングルステージをクリアすると、5ステージ目が選べてそれもクリアして最終面にたどり着ける仕組みとなっている。 別に、ジャングル以外を攻略する必要がなく、最短で3ステージだけクリアすればいいというのは当時のプレイヤーを驚かせた設定だ。

もちろん、その他のステージにも倒すべき敵の数のノルマが減ったり、弾薬が最大まで補給されたりライフが最大値まで回復できたりするので、 スピードクリアはともかく普通にプレイする人は全てのステージをこなしてみるべきだろう。

ステージ中には、多くの一般兵や戦闘ヘリ、それに装甲車などが所狭しと襲ってくるので、そいつらにマシンガンをぶっ放すわけだが、 弾数制限があることと非戦闘員を撃つとライフが減ってしまい、0になると自動的にゲームオーバーになるため、やたら撃つことが出来ないのはつらい。 それでも、弾をストックできる機会は腐るほどあるので、非戦闘員さえいなければマシンガンのようにぶっ放せるのはうれしい。

なお、ステージ決定直後に敵(一般兵のみ)に襲われるアクシデントシーンもあり、反政府組織の勢力内に潜入という設定なのだろうが、 体力がステージクリア後も回復できないあたりでのシステムは、初心者にとって少々厳しいのではないか。

そういった苦境を楽にするために、弾薬や回復などのアイテムが次々と投下または落ちていたりするが、 その中でロケット弾は周囲の敵に大ダメージを与える一方で非戦闘員も巻き込む諸刃の剣であるものの、多人数の敵が登場した時に何かと役に立った武器といえる。

アイテムの出現、ステージ選択制と後のガンシューティングにつながる要素を、このゲームはそれらを初めて取り入れたことにより、ガンシューティングの元祖と言わしめた。 しかも、捕虜救出の際に救出した数によってエンディングが変わる要素もあり、エレメカのマシンガンシューティングの殻を破った形となった。 機会は少ないものの、先に書いたフルオート連射機能によるマシンガンの連射は、快感に似た感じをプレイヤーに与えてくれた。


AC版登場から2年後に発売されたFC版は、OPの演出や音声機能はついておらず、ステータスの配置もAC版と違うなどあるが、プレイスタイルはほぼAC版に準じている。 ただし、AC版と決定的に違うところは、マシンガン風のコントローラーで操作するのではなく、十字キーのついた普通のコントローラーでプレイしなければならないことだ。

FCに移植する以上、こればかりは避けられぬ要素であったために、AC版と比べてかなりプレイしづらいものになってしまった。 十字キーでカーソルを動かさなければならず、結果的にAC版における快感が得られにくいため、クソゲーではないのだが操作性の悪化によって、面白さが下がったのは否めない。

しかし、タイトーはこういうことをわかっていたのか、移植の際に手を打っていた。 それは、十字コントローラー以外に2つのコントローラーによる操作も可能にしたことであり、その2つとは光線銃とトラックボールを指している。

どちらも、普通のコントローラーで操作するよりもかなり快適で、特に光線銃は任天堂でしか発売されなかった3本のソフト(『ワイルドガンマン』、 『ダックハント』、『ホーガンズアレイ』)以外にも適用されており、光線銃を買って痛い目にあった人にはかなりうれしいものだろう。

とはいえ、既に光線銃を持っている人は少なく、このゲームのためにわざわざ光線銃を買う人はいなかったと思われ、多くの人は普通のコントローラーでプレイしたことだろう。 ここに、光線銃の不の部分が影響されているのはなんとも悲しい。


私が初めてプレイしたのはAC版だったが、夢中でマシンガンを乱射したことしか覚えていない。 小さい頃、射撃のエレメカは好きだったのでマシンガンを乱射しながらターゲットを撃っていくのは快感だったが、今を考えるとなんて子供だと思う。 いずれにせよ、FC版は全くプレイしていない上に存在自体も知らなかったので、いつの間にか10数年の時流れた。

2003年、大手レトロゲームサイトにこのゲームを紹介しているのを見て、 思わず「これゲーセンでプレイした」と感激したと同時に「よくマシンガンをぶっ放したっけ、小さい頃のオレは」とちょっと恥ずかしくなってしまった。

それでも、なぜかプレイする機会に恵まれなかったので、初めてFC版をプレイしたのはさらに3年後だった。 その頃には、光線銃セットを持っていたのでついでにオペレーションウルフを購入することにしたのだ。

光線銃をセットしてプレイするあたりは、 まさにコナミの『リーサルエンフォーサーズ』にそっくりでこれもSFC版をプレイしたこともあって楽にプレイできると思ったが、その前にコントローラーでプレイすることにした。
結果は散々で、2ステージは何とかクリアしたもののこの時点で体力がごっそり減ってしまったので、3ステージ目の中盤で力尽きた。 コントローラーでここまでいけるのは上出来だろうが、光線銃ならもっと進めるのではないかと思った。 こちらの結果は私の予想以上で、ラストの序盤でゲームオーバーになったので、改めて光線銃の威力に驚いた。


しかしながら、光線銃を使うソフトが出てくるということを任天堂は予想していたのかと疑問に思ってしまい、長い目で見ていれば光線銃を使う機会が増えたのではないかとも思ってしまう。 そういった意味では、PSのガンコンなどは不定期ながらもそれ対応のゲームが登場しているので、ある意味任天堂の失敗を参考にしたと思う。 もっとも、そういったゲームは全くプレイしていないので、光線銃(SFCのも含む)以外のコントローラーをあまり評価できないが。

とにかく、光線銃を主にプレイし続けた結果、ラスボスを倒した上で捕虜5人全員を救出できたというおまけつきをやってのけた。 もちろんステージは全てクリアしたのだが、全クリを証明するエンディング画面に出てきた大統領は、どう見ても故レーガン大統領と思うのだが。 AC版で成し遂げられなかったエンディングを見れた私は、ようやくほっとした気分に浸ることが出来たが、何を血迷ったか光線銃をその後(ソフト全て)売ってしまうということをやってしまった。

さらに年は下ってレビューを書く現在、久々にこのゲームをプレイしようと思ったが、光線銃を売ったツケが出てしまった。 トラックボールも持っていなかったため、通常のコントローラーでプレイする羽目に陥り、昔同様かなり苦労を強いられた。

とはいえ、レビューの合間に何度かプレイしたおかげでコントローラーでもエンディングを見ることが出来た。 全ステージクリアでのエンディングだったものの、2周目が始まったときにはもうコントローラーでプレイしたくないという思いがかなりあったが。



本日のまとめ



作戦開始!人質を救出せよ!

(08/7/17レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年6月28日
◆目次に戻る◆


inserted by FC2 system