◆モンティのドキドキ大脱走◆
エンディング直前の大トラップ



発売日:1987年7月31日   発売元:ジャレコ   ジャンル:ACT
値段:3200円   Disk:両面
おすすめ度:2(理不尽なゲームオーバーがずらり)


ここは陸の孤島と呼ばれたインクリードにある刑務所、そこにある一人の青年が多くの囚人達と共に服役していた。 青年の名はモンティ、元新聞記者でもある彼は恋人マリリンと婚約し、いずれは結婚するというまさに幸せの絶頂にあった。

それが、何の因縁か警察に突然逮捕された挙句、『大統領暗殺容疑』という理由で裁判沙汰になるという騒ぎになってしまった。 裁判の判決は懲役刑、モンティはせっかくの婚姻はもとよりその恋人と離れ離れになり、彼は刑務所に収監されたというわけだ。

このモンティに突きつけた罪状、本当はある人物すなわち事件の真犯人によるでっち上げのものであり、モンティはその人物によって無実の罪を着せられたことになったことが、マリリンの手紙で判明した。 それを知らなかった彼は、当時裁判で必死に自分の無実を証明したが、証拠が不十分である現状では判決を覆すことは困難で、真犯人の思惑通りモンティは刑務所に服役させられる羽目になってしまった。 なぜ、真犯人の男がモンティを貶めようとしたのかその真意は不明だが、いずれにせよ刑務所に服役させられたことは事実で、このままではせっかく築いてきた恋人との幸せが危うくなってしまう。

服役してから数ヵ月後、モンティは刑務所の監視が緩まったことを見計らって脱獄を結構、見事に刑務所からの脱出成功した。 もっとも、服役初期の頃でないにしろ警備は相変わらず厳しく、囚人服のままだったのは着替える余裕もなかったこともそうだが、 服役中に伸びてきたヒゲもそらずに脱走することになったが、前にいた囚人が死ぬ間際に抜け道を掘ったトンネルがあったのが幸いした。 脱獄後のモンティが真っ先に向かった場所、刑務所のすぐ近くの廃墟がそこであり、事件の真実が隠されている場所でもあった。

実はこの場所、真犯人の顔写真がその廃墟にあり、モンティはその情報を事前に入手していたのだ。 判決前、モンティは真犯人の顔写真を入手していたが、その直前になってその真犯人に奪われてしまった。 それが元で、結果的に真犯人に濡れ衣を着せられることになり、脱獄までの時間が無駄につぶされた形になってしまった。

早速インクリードに向かい、そこで犯人の顔写真を手に入れ、裁判所で再び無実の罪を証明することにした。 しかし、真犯人はこのことを予測していたのか、1枚の写真をばらばらに分割した上にそれらに似た偽の写真をばらまいた。

つまり、偽の写真を拾って証言しても逆に信用されないばかりか、刑務所脱走の罪を糾弾される危険が大きい。 果たしてモンティは、本物の写真の破片12枚を全て回収し、裁判で無実の罪を証明した上で恋人と結ばれることができるのだろうか?


ジャレコが発売したディスク用のアクションゲームで、開発中のタイトルは『モンティー・オン・ザ・ラン』という名前だったが、 『モンティのドキドキ大脱走』というタイトルに変更になったのは、開発中のタイトルではストーリーのあらましが理解できなかったことを考えてのことだったのだろう。

このゲームのチラシの裏側には、新聞記者時代から刑務所に服役、 その後に誰かが掘ったトンネルを利用して脱走というストーリーが漫画として描かれており、発売後のタイトルが漫画でのわかりやすさを後押ししているのだ。

また、発売後のタイトルにあるように映画の『大脱走』を、ストーリーにある程度モチーフにしたことも関係しているといえるのだが、 トンネルを利用して脱走しつつそこから己の目的を達成するための大冒険を実行しているためで、その困難もまた過酷なものになっている。

ゲームでの過酷さは後述するとして、目的は全4ステージ中にある写真と鍵を回収しながらクリアしていくというもので、写真の数は1ステージ中必ず3枚ちょうどある。 これを回収するために、刑務所近くの廃墟に挑むわけだが、廃墟といってもたった4ステージしかないためかその分かなり広く、 水中エリアもあれば天井のとげが突然連続して落ちてきたりと、常にプレイヤーを悩ませる要素が多い。 加えて、特定の色を通らなければスターと地点に戻される場所や、体力が0になったり一定以上の高さで落ちたり、柱に押しつぶされるとゲームオーバーになるので気が抜けない。

これを楽にするため、各ステージ開始前にメイン武装とサブ武装の2つが支給される。 支給されるといっても、各6種類のうち1つしか選べず装備をやり直したければゲームオーバーになるしかないので、 コンテニューとディスクセーブができるといっても、ステージに見合った装備をしなければプレイするたびにストレスがたまるのはなんともつらい。

しかも、剣やブーメランといったメイン武装はともかくサブ武装は使えるものがほとんどなく、全ステージで大いに役立てるものといえば酸素ボンベしかないのだ。 水中でダメージを食らうことを回避できるこの装備は、まさにクリアに必須と呼べるべきものに対して他のものといえば、車やゴーグルといった役に立ちそうで全く役に立たないものばかり。

メイン武装についても、銃と弓矢は強力な一方で弾数制限があるため、どうしてもそれら以外の武器を使うことが多くなり、どの武器でクリアできるという楽しみが減ってしまっている。 武装を選べるのがこのゲームの特徴の1つなのに、それが固定されるのはいかがなものか。


しかしそれ以上につらいのは、真犯人の写真を全て回収することで、どこに隠されているのかそれらしいヒントは全然ないため、勘を頼りに探さなければならない。 主に、ブロックを壊して手に入れるわけだが、序盤から怪しいブロックはたくさんあるし怪しくない場所でも写真が隠されているので、制限時間はないもののその捜索には手を焼かされる。 ただ場所は固定されているために、プレイするたびに写真の破片の位置が変わるわけではなく、何度もプレイしていけば写真の位置がおのずから覚えられるのは幸いか。

一方、偽の写真の破片も真犯人の写真の数に及ばないものの結構紛れ込んでいるが、これは真犯人の写真と全く違う人物のもので、 よくじっくり見れば間違うはずもないのだが、色が真犯人の写真とそっくりで破片ということもあって見分けにくい。

ステージのボスを倒した時、本物の破片を全て集めていると出口の左側にそのステージにおいて集めた本物の破片が、 ばらばらにではなく写真通りに合わさっているところが本物の写真のヒントというわけなので、ある意味今まで集めた写真の最終診断といえる。

もっとも、本物だけ集めていればわざわざ偽者を集める必要はないのだが、そんなことができるのはある程度やりこんだプレイヤーだけなので、 ゲーム開始前に犯人の写真を初めてプレイする人に見せておいたほうがよかっただろう。

実のところ、このゲームの本当の難しさはアクションのほうではない。 もちろん、ゲームオーバーになる箇所はいくらでもあるし、ライフの上限があがっても次のステージには元に戻ってしまっているなど、アクションにおいても難しい要素はそれなりにある。

とはいえ、回復アイテムはいくつもある上に高い体力を維持できることが多いので、ボス戦ではごり押しで倒せる場合が多く特に4面のボスは小さいダメージであっさり倒せるため、 ボス戦用のBGMもなければ各ステージのBGMもないので(4ステージ共に同じBGMが使われている)、アクションゲームにありながらその盛り上がりがどうも欠けてしまっている。

音がきれいなディスクカードを使っているのに、BGMの数が極端に少ないのはBGMよりも容量を使い込んでる要素があるのだろうが、 同じBGMが延々とやる気が萎える可能性が大きく、お世辞にもそのBGMが印象に残るほどすばらしいものではない。


ゲーム本編に戻るが、写真を全て回収して4ステージクリアしてもまだ終わらない。 この後、裁判所に行って自分の潔白を証明するわけなのだが、これこそがこのゲームの最後にして最大の難関なのだ。

というのは、集めてきた写真の破片を使って真犯人の顔写真を完成させるのだが、先に書いたように偽の破片が混じっている上に、かけらのサイズと色ゆえに本物と偽物が見分けにくい。 しかも、時間制限があるしほぼ500ある時間がかなりの勢いで減ってしまうために、実質的な制限時間は約2分と思われるが、 写真を完成させるあたりの操作が少々骨が折れるので、初めてここにきたプレイヤーは2分間などあっという間に過ぎてしまうだろう。

おまけに、偽の破片を貼り付けてしまったり時間が過ぎて写真が完成していないと、悲しいかなゲームオーバーになってしまう。 この時のゲームオーバーは、セーブもできなければコンテニューもできずリセットしてセーブしたところからやり直さなければならず、 一度もゲームオーバーにならずに写真でゲームオーバーなってしまうと最初からプレイする羽目になり、まさにプレイヤーに絶望を叩き込むのに十分すぎる。

ゲームの都合上、裁判所での証言からやり直しを防ぐ狙いがあったのだろうが、せっかくここまで進んだのに容赦ないゲームオーバーははっきりいって無慈悲だ。 モンティの性能がなかなかいい分、アクションの細かい要素がいまいちに加えて写真完成というマイナス要素が目立ってしまい、結果的に面白いゲームとはいえないのは残念だ。


『ドラゴンスレイヤーW』といい『妖怪屋敷』といい、私はゲーム雑誌にマップが掲載されているゲームが好きだった。 このゲームもまた、ファミマガにマップが掲載されていたので、いつかこのゲームをプレイしてみたいという気になっていた。 もちろん、その時に掲載されたのはステージ1だけで、今を考えるとそれほどまで広いステージだったことを物語っている。

当時の私は、そのマップを見てどういうコースで進んだらいいのか、先に挙げたゲーム同様いろいろ考えた。 しかし、私の家でディスクゲームをプレイできる環境にはなくいとこの家にもそのゲームはなかったので、初めてプレイするのがレビューを書く2年ほど前になってしまった。

今所持しているディスクゲームの多くはいとこから譲り受けたものだが、一部についてはそれに該当していないものもありこのゲームも入っていなかったため、自分で購入するしかなかった。 有名なディスクゲームについては普通の中古ゲームショップでも購入できたのだが、マイナーなゲームとなると近場でも購入が困難になるので、このときばかりは通販で購入するしかなかったのだが。


さて、初めてプレイした最初の感想はモンティの動きがなかなかによかったことで、そのまま落ちたときのクセはあったもののジャンプの慣性と性能がよく、 回転ジャンプ後に足場に乗ったらすぐ間髪いれずにそのジャンプで続いていくのはちょっとした快感になった。

それゆえに、その他の要素があまりにも悪く主にある程度の高さで落ちたり、上下に動く柱に押しつぶされると突然上から檻が降りてきてゲームオーバーになるのは、 押しつぶされるのはともかく高さでゲームオーバーになるのは当時のアクションゲームに逆行している感じがした。 BGMも全ステージ同じなのもつらく、たった4ステージなのだから各ステージごとに専用のBGMをつけたほうがよかったのではと思った。

そして一番つらかったのは、写真の破片を各ステージ3枚ずつ計12枚全て回収することで、破片のありかなど全くわからなかった上に偽の破片も存在していたので、なりふり構わず適当に集めることにした。 それが仇となってか、最後の裁判所での証言でいくつか破片を取り逃したことが発覚、リセットのゲームオーバーを食らってしまった。 以後、攻略サイトもなければゲームの動画もないという八方塞りの状態だったため、有力な情報が手に入るまでこのゲームを封印することにした。

それから現在、ニコニコ動画で偶然このゲームの動画を発見、本物と偽者の破片をほとんど回収しつつ(本物は全て回収)裁判の証言で、 うまい具合に真犯人の顔写真を完成させてエンディングを導いた投稿主に感動した。

早速そのゲームを取り出してプレイし、動画を参考にしながら攻略していった結果、本物と偽者の破片をほとんど回収し裁判の証言まで進めた。 そこにおける写真の完成手法、動画ではあっさりできたが私にはそれが難しく、ようやく完成したときにはあと数秒でタイムアップだった。

その後のエンディングも、必死に顔写真を完成させた割にはあまり感無量という出来ではなく、このゲームを購入した値段が1500円程度だったことを考えると、 この程度のものかとちょっと納得したのはなんとも悲しかった。



本日のまとめ



ガシャーン!!

(08/7/13レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年6月23日
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