◆まじかるキッズどろぴー◆
魔女ロックマン



発売日:1990年12月14日   発売元:ビック東海   ジャンル:ACT
値段:6000円   おすすめ度:3.5(高難易度のギャルロックマン)


西暦1999年、突如として現れたロボットの大群により、世界は壊滅の危機に陥っていった。 そのロボット軍団の名称は『悪玉帝国』、首領は女性の姿をした巨大ロボット極楽鬼神帝である。

悪玉帝国は、強大な軍事力を背景に世界各国に全面降伏を迫り、拒否すれば一斉攻撃をも辞さないと脅しをかける。 それに対する世界各国の答えは『断固拒否』、名も知らぬ組織に降伏するわけにはいかないというプライドと、その組織の戦闘力が脆弱ではないかという安易な考えによるものだった。

この知らせを聞いた極楽鬼神帝は激怒、直ちに悪玉帝国の軍事力を総動員し世界のあらゆる場所に総攻撃を開始した。 悪玉帝国は、まず地球上の各地に前線基地を建設し、それらを拠点にして戦闘ロボットを大量生産した。

手始めに、その大軍勢を東京、ニューヨーク、ベルリン、ロンドン、モスクワ、パリ、ローマ、北京、デリー、カイロ等の大都市に狙いを定めた。 その強さは圧倒的で、各国の最新鋭の軍備でさえ帝国のロボット軍団の前には全くといっていいほど歯が立たず、世界の全てが悪玉帝国に支配されるのはもはや時間の問題だった。

しかし、そんな絶望にあえいでいる地球にも、まだ悪玉帝国に立ち向かえる最後の希望が残されていた。 それを握っているのは一人の少年カゲマルで、魔界出身で悪玉帝国の秘密を握っている彼はロボット軍団に追われていた。

そして遂に追い詰められたとき、彼の持っている杖が光りだし追っ手を全滅させるや、その杖から何かが飛び出した。 その正体は、赤い服を着たかわいらしい女の子の魔法使いで、『どろぴー』と名乗った。

「あたしを呼んだのは君?」「ああ…。」魔法使いの存在をある程度知っているカゲマルだったが、実物を見てただ驚かずにはいられなかった。 「君は、あたしみたいな魔女に一体何の用があるの?」「世界が…、世界が悪玉帝国によって危機に陥ろうとしている。あんたのその力が必要なんだ、どろぴー!!」 いまだ驚きから完全に抜け切れていなかったが、既にどろぴーの実力を垣間見たカゲマルは、彼女に世界の危機を任せることを決めた。

実はどろぴーには、悪玉帝国の首領極楽鬼神帝と少なからず因縁があった。 それは、因縁程度では表せないほど恐ろしくより深くなっていたが、そのことは偶然彼女を呼んだカゲマルでさえ知らない事実だった…。


ビック東海が送るアクションゲームで、知名度が低いながらも一部熱狂的なファンがいる。 ビッグ東海といえば、かつて『ゴルゴ13』シリーズや『カケフ君のジャンプ天国&スピード地獄』などのクソゲーを連発、 この会社をよく知るレトロゲーマーにとっては代表的なクソゲーメーカーの1つとして認識されているほどだ。 もちろん、良作もいくつか作ってはいるがクソゲーの知名度があまりに大きいために、現在もそれらの知名度がかすんで見えている。

『まじかるキッズどろぴー』その中のひとつで、知名度が高いといってもその大半は別の形で有名になっているだけで、ゲームの面白さで有名になっている事実は少ない。 これについては後述するとして、タイトル名も『まじかるどろぴー』のほうが有名で『キッズ』とついたほうの正式名称を知っている人もあまりいないだろう。

もっとも、2008年現在ウィキペディアにこのゲームの記事が登録されておりタイトル名も正式名称になっているので、それが知られるのはそう遠くはないだろう。 最近ではiモードにも移植されているので、ゲームそのものの知名度も上がってきている。


全5ステージ制で、ステージ5以外は3エリアまでありそれらをクリアすればボス戦となる。ステージ5は、2体のボスとそれに控えるラスボスとの戦いとなる。 1エリア自体意外と広いので、1ステージをクリアするのに結構時間がかかる。 コンテニューはあれどパスワードがないので、1ステージをクリアするごとにパスワードを出すようにしたほうがよかっただろう。

アクションについては、普通の横スクロールアクションでどろぴーはステージを踏破するため、ノーマル、フリーズ、Lボール、シールド、ブルーム、ファイアの計6種類の魔法を使いこなす。 溜め撃ちができるのは、ノーマル、フリーズ、シールドの3種類で、ノーマルは通常弾より威力が高くフリーズは敵を凍らせ、シールドはどろぴーの前方にバリアを張る。

溜め撃ちができないものの中で、Lボールは壁に当てて反射させブルームは魔法のホウキを出して、下以外の3方向(上左右)をショットを撃つことで移動できる。 ファイアは、ライフを消費させる代わりに画面上の敵を全滅させるもので、うっかり間違えて使ってしまう危険が大きく、 しかも消費する量が4とかなり大きいので、ゲームの都合上1もしくは2程度にとどめてもらいたかった。

ゲームの都合上というのはどういうことかというと、このゲームにはどろぴーの体力を回復させるアイテムが存在しているものの、その出現率が極端に低すぎる。 主にザコを倒した後に大小の2種類出るが、その確率の低さは雑魚を10体倒して小が1つ手に入るか入らないかという程度で、 大にいたってはザコから入手するよりも道中に落ちていることが多く、敵の攻撃の激しさも相まってこのゲームの難易度の高さを裏付けている。 ちなみに回復アイテムはかぼちゃなのは、どろぴーが魔法使いという理由といえる。


事実、このゲームは高い難易度でも有名で、攻略手順も高難易度の1つである。 6つの魔法の中で、ノーマル以外で使用頻度が高いのはLボールとブルームだろうが、一番使用が多いのは後者である。

実は、このステージにははしごがない上に上に登るシーンが多いので、必然的にブルームを使用することになるのだが、 こういう場合に限って他の足場が少ないことが多く針山も仕掛けられている場合もあるので、かなりストレスを溜め込んだ人は多いだろう。 また、足場の不安定さでもブルームを使うことが多いので、ブルームを極めてこそこのゲームを制するといっていい。

3ステージのみに存在するO2ゲージも厄介で、それが0になると自動的にミスとなる。 いうなれば窒息死で、水の中にいるとそのゲージが減ってしまうのであって、空中までジャンプしてゲージを回復つまり酸素を補給する。 酸素の設定を取り入れているのは、どろぴーが数々の魔法を使える魔女といっても、それ以外はただの人間という意味合いなのだろう。

しかし、『スーパーマリオブラザーズ』といったアクションゲームでは、水中もしくは水に入っても平気なステージでも窒息死ミスになることはない。 しかも、ゲージがぎりぎりまで保てるかというときに敵の大群や上下に針山がずらりと並べられ、さらにそこをブルームで進むあたり速度がのんびりしていることから、 プレイヤーにはいつ窒息死するか普通にやられるか、はたまた針山にぶつかっていつ一撃死になるかひやひやものだ(ダメージを食らうと2秒ほど無敵になれるので、無理やり突破できるがリスクが高い)。 ビック東海としては、このゲームにリアリティを持ち込もうとしたのか不明だが、はっきりいって無用のものでしかなくこの要素も難易度を高くしているといえる。


それ以上に、このゲームがプレイヤーの一部で有名になっている要素がある。 それは、著名アクションゲーム『ロックマン』とほとんど同じになっていることだ。

動きはもちろん、魔法と特殊武装ややられたときのグラフィック、キャラクターのデザインなどもロックマンをプレイしていれば間違いなく似ていると思うだろう。 どろぴーが戦う相手も、悪玉帝国という名のロボット軍団で、わざわざ敵をロボットにする必要があるか不明な上に、どうもDr.ワイリーのロボット軍団のオマージュとか思えない。

ただ、魔法を使うときのエネルギー使用はなく、魔法自体最初から全て所持している。 ボスも、普通の名前のロボットで大きさも大小さまざまで(4ステージとラスボスは巨大)、これはワイリーステージのボスを思い起こさせている。

前述のように、はしごがなかったりO2ゲージがあったりと、じっくりプレイすればまるっきり違う部分がいくつも見受けられる。 そもそも開発者は、このゲームを作る際ロックマンを参考にしていなかったのだ(攻略サイトによるインタビューより)。


それを示す証拠として、溜め撃ちができるということでまず通常弾を一発発射しなければならないが、 これこそロックマンの違いを明確にしている(ロックマンシリーズで溜め撃ちができるのは1991年発売の4からで、その頃はどろぴーより性能が高い)。 また、OPやステージ間の美しいデモが見られるというところも違っており、このあたりはFC版の『忍者龍剣伝』シリーズのオマージュのように感じる。

デモと本編のグラフィックのギャップが大きいが、デモのほうは美しいだけでなく口パクさせたり目を動かしたりなどアニメーションもしているので、かなり容量を食ってしまった感じがある。 まさに、ロックマンばりのアクションと忍者龍剣伝のデモシーンといういいとこどりのゲームは、ゲームの完成度より突っ込みどころとして認識されてしまったのは残念だ。

一方、このゲームは海外にも輸出されており、タイトルも大幅に変更されている。 大幅に変更されているといえば主人公もそうで、なんと女ではなく男で名前も変わっている。

デモも、OP以外は全て削除されてしまっているが、これはデモよりもゲームのほうを楽しみたいというユーザーの思いがあったと思われる。 これは、高難易度が好まれる海外では好評である証なのだろうが、このゲームが海外で高く評価され大いに売れたという話はない。


このゲームを知ったのは5年前で、やはり大手レトロゲームサイトの紹介を見たことによる。 画像つきなので、どういうゲームなのかはすぐ理解できたが、画像を見てすぐ「これってロックマンのパクリでは…?」と思ってしまった。 ゲームの紹介文も、ロックマンのパクリという認識の発言が相次ぎ、プレイするかどうか結構迷った。

結局、初めてのプレイはレビューを書く3年近く前で、その時も偶然このゲームのことを思っていて、色々このゲームについてネットで調べてみたが、ロックマンとの関係のほうが興味深かった。 既に、ロックマンシリーズの何作かをプレイしていた私なので、ロックマンに似ているゲームだからある程度進めるだろうと思っていた。 また、かっこいいOPや中間デモがある点でロックマンより勝っているのではないかとも思い、普通にプレイすることにしたというより完全に甘く見ていたのかもしれない。

しかし、そのかわいらしさとは裏腹に完全に硬派向けのアクションと難易度は、思わずショックを受けるのに十分すぎるほどだった。 なんといっても、回復アイテムの出現頻度が恐ろしく低く、連続して出たことは十数回プレイして2度あったかないかぐらいだった。

ブルームは、このゲームの重要な鍵を握っている魔法だったので、狭い通路を進む上で欠かせないことはわかっていたが、 何分少しでも障害物に触れると消えてしまうので、針山だらけの通路を通るときは落ちないでくれと祈っていた。

もちろんステージ1はクリアできたが、次のステージ以降針山のいやらしい仕掛け具合やザコの大挙登場に、さすがの私も回復アイテムの出現率の低さも相まって何度もやられてばかりいた。 結局、エンディングは見れなかったばかりか3ステージのボスまでが、ロックマンで腕をならした私の限界だった。

そのステージ3のO2ゲージも、トラップや敵の出現によりいつ窒息死するかひやひやもので、これをクリアした人がいるのか不思議だった。 その動画、クリア動画も見つかったし何といってもブルームを使っての壁抜けがあったので、それを見た私は驚きを隠せなかった。

レビュー前、今度はニコニコ動画でのプレイ動画を見ながら、久々にいまだクリアできていないどろぴーを今度こそクリアするぞと心に決めた。 実はこの前、壁抜けができるかどうか何度も試してみたのだが、私の腕が劣っているためか一度もできなかった。

それでも、こんな技を使わなくてもクリアは可能なことはわかっていたので、動画を参考にしながらプレイした。 幸い、このゲームの腕は少し鈍った程度で済んだので、何度かプレイしていくうちに(苦労しながらだが)次々とクリアしていき、 ラスボスを倒したときは3年前の苦労が実を結んだと、エンディングの感動もあわせて感無量だった。



本日のまとめ



あたしどろぴー!

(08/7/1レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年6月17日
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