◆迷宮寺院ダババ◆
往年AC作品の大幅アレンジ



発売日:1987年5月29日   発売元:コナミ   ジャンル:ACT
値段:2980円   Disk:両面   おすすめ度:3.5(濃い設定と楽しめるゲーム性)


はるか昔、インドのパータリプトラという小さな村に、破壊をつかさどる邪神ダババが祀られているダババ寺院が建てられていた。 村に住む一人の高僧は、ダババの野望を打ち砕かんと立ち上がりダババを撃破、ダババ寺院を迷宮にしたうえでダババを経典に封印、 代わりに村人の新たなよりどころとして村にスーリヤ寺院を建設し、その寺の奥に経典を隠した。

村人が、うかつに寺院に入らないようにするための配慮や、仮にダババが復活した場合に備えるためであったのだ。 それ以来、村にはそのような事件は起こらず、邪神ダババと高僧の戦いが村人達によって受け継がれてきた。

時は流れ、スーリヤ寺院には伝承にあるの高僧から数えて28代目の老僧ヴィラマがシヴァ、ライドンという2人の若者と毎日修行に励んでいた。 シヴァは、赤ん坊の頃両親によってスーリヤ寺院の前に捨てられていたところを、ヴィマラに拾われたまじめな僧侶。 一方のライドン、裕福な家庭に生まれたために仕方なく不真面目ながらも修行をしている僧侶だった。

ある日、修行を怠けて寺の奥に隠れていたライドンが偶然、厳重に封印された1本の経典を見つけ出した。 彼は、経典の魅力にとりつかれたのかそれとも封印されているダババにそそのかされたか不明だが、それ以降ライドンの姿を見たものは誰もおらず、彼の行方不明から3年目の夏を迎えた。 この頃、村では何者かによって若い娘が次々と姿を消してしまうという事件が起こっていて、ヴィラマの一人娘であるターニャも今度は自分ではないかと毎日おびえながら暮らしていた。

ある夜、ターニャが一人で眠っているところを突然怪物に襲われてしまい、異変に気づきターニャを助けようとしたシヴァは勇敢に立ち向かうも、逆に怪物の魔法によって動けなくなってしまう。 結局彼女は連れ去られてしまい、ターニャを助けるべく動けなくなったシヴァの代わりにヴィラマが駆けつけることにした。 シヴァも、金縛りが解けた直後に怪物を追いかけその居場所を突き止め、先に向かった師の安否を気遣うためにも急いだ。

怪物とターニャ、それに師匠を追いかけてたどり着いた先は寺院ダババ、かつて邪神ダババが根城としていた寺院だった。 その入り口に、瀕死になっているヴィラマを発見、「ライドンがダババの化身となってしまった。シヴァよ、ターニャを助け出してくれ。」

そう言い残して、息を引き取ったヴィラマ。シヴァは、師匠を亡き者にしライドンを悪の道に引きずり込んだダババに激しい怒りを燃やした。 そして、再び復活したダババを倒すべく、迷宮になった寺院にたった1人で突入していったのである…。


1987年に発売された、コナミお得意のディスクゲームのアクションゲーム。 この年は、ディスクゲームが一層の発展を遂げており、任天堂以外でディスクゲームを多く輩出しているメーカーといえば、なんと言ってもコナミだった。 他のメーカーも、ディスクゲームを何本か出していて素晴らしいできのゲームもあったが、総合的にコナミのゲームが勝っていた。

ある意味、ディスクゲームはコナミによって成り立っていたといっても過言でなく、この頃のコナミはFCを初めとして、MSXシリーズやACと活動範囲が多岐に渡っていた。 それは、ライバル業者のナムコとて同じなのだが、なぜかディスクゲームの新作は出していなかったので、ディスクゲームはほぼコナミの天下であった。 ナムコがディスクゲームに進出していなかったといっても、『ギャラクシアン』や『ディグダグ』などのROMカセットゲームのディスク移植は何本かやっていた。

コナミのディスクゲームが、ユーザーの人気を集めた要因としてBGMとゲーム性があげられるが、コナミはその2つが一般の水準以上を保っていたのである。 特にBGMは、ディスクの音源を最大限に生かして多くのファンを生み出している。

その経験を生かして、ROMカートリッジでも音源チップを搭載し、大容量にグラフィックとゲーム性に加えてディスクゲーム以上の音質を出すことに成功、 コナミはディスクゲーム初期からBGMにかなり力を注いでいたことがよくわかる。


今回レビューする『迷宮寺院ダババ』も、BGMとゲーム性が両立したゲームの1つだった。 プレイヤーは主人公のシヴァを操り、全4ステージを制覇していき封印から解かれたラスボスのダババを倒して、さらわれたターニャを救い出すのが目的。 1ステージの特徴として、エリア0が各寺院の外で1から4までが室内、そして5がボス戦となってボスを倒して次のステージに進むわけで、合計6エリアを踏破しなければならない。

最終ステージのみ、0がない代わりに9エリアまで踏破しなければならない(9エリアは無論前座のライドンとラスボスのダババとの決戦)。 これは、最終ステージがダババ寺院を舞台としているためで、他の3つは邪神ダババとゆかりのあるらしい寺院を舞台としている。 さすが、迷宮寺院とタイトルに銘打っているだけあって、たどり着くまでの道のりが長く険しい。


0エリアとボス戦とそれ以外のステージの3つは、全て独自色に包まれている。0エリアは寺院に向かう道中ということで、広さが1ステージの全エリア中一番広い。 敵を倒しつつ、特定の建造物を攻撃してアイテムを出すというのは、アクションゲームにありがちな隠し要素をクリアに必須に近い形で表現させている。 何しろ、回復アイテムや武器などが固定された場所に出てくるので、多少建造物が多くても時間制限がないこともあり、自由気ままに探索できるのがうれしい(湧き出る敵を除けば)。

1から4エリアまでは(4ステージは8エリアまで)、1マスのブロックが敷き詰められているような場所で、そこではジャンプをしてブロックを踏んで壊してアイテムを取るようになっている。 同時に曼荼羅が出るので、それをエリア内に全て出すと出る経典を取って、その時に開く扉に入ってクリアとなる、ただそれだけだ。

ボスエリアは、今までの見下ろし型から1画面の横型になり、このときだけ高くジャンプできる。 攻撃は上下左右の4方向にもできるので、さながら見た目的にSTGの感覚になる(攻撃手段全て遠距離攻撃のため)。


3つとも異なっている部分があるが、共通しているところといえば移動するときは必ずジャンプでやらなければならず、 大ジャンプは移動したい方向に十字キーとAを押すことで、1ブロックを飛び越えることが可能となっている。

この行為が、このゲームの奇妙さの1つであると当時プレイした人なら考えるだろう。 任天堂の『ブロックセット』にも同じような構成があり、博士がブロックを踏むとそのブロックの色が変化するあたりも、ダババの寺院エリアのブロック破壊と似ている。

実はこのゲーム、同じコナミが1982年に登場(開発はアメリカのゴッドリーブ社、後にMSXに移植)したACゲーム『Qバート』の大幅リメイクで、 タイルの色を変えていくあたりをブロックの破壊に置き換え、移動も1マスしかできないことの共通点はある。

この事実は、コナミの出した小冊子に載っている間違いないもので、プレイヤーの半数ほどはそれを知っているだろうがこれが仇となったか、 同じディスクゲームで発売予定だったQバートは、いつの間にか発売中止に追い込まれている。 おそらく、ダババの人気と関係があったと思われるが、アレンジしたのだからわざわざ本家を発売する必要はなかったという考えがあったのだろうか。


ダババにしても、人気や評判こそそこそこあれど(ファミコン通信で31点という好成績をマーク)かなり売れたという話はない。 それは、他のコナミのディスク作品にしても同じで、人気や評判があるゲームは売れるという定番を、悪い形で裏切ってしまっている。

ダババについてはそれが顕著に出てしまっているが、その大きな理由としてタイトルのインパクトとゲームの世界観にある。 前者はそれをよく示していて、タイトル名に違和感が生じて買い控えた人が多くいるほどだ。

後者は、ゲーム性と非常にマッチしているものの、仏教が盛んだったインドを舞台としているゲームはこれが初だったこともあってか、 一般のゲームの世界観に慣れてしまっていたプレイヤーを中心に、何かと違和感が生じたことは想像できよう。 BGMは、音質もさることながら世界観が非常にマッチしているのに、タイトル名で変なゲームのイメージが定着されつつあったのは残念だ。

ゲームそのものについても、アクション自体はそれほど難しくはないのだが、プレイヤーを悩ませるトラップの類が非常にいやらしい。 ダメージを食らうものもあれば、床が回転してプレイヤーをまっさかさまに叩き落すというのもあり(落ちると問答無用で1ミス)、敵の動きに加えてトラップにも気をつけなければならない。

ステージ2に手に入る布があれば、受けるダメージが半減となり、多少なりとも攻略が楽になるがなにぶん1つしかないのがつらい。 他にも、特定の建造物を攻撃すると突然床がなくなってしまうというトラップもあるが、全て回避可能な方法が存在するのでそれほど痛い目を見ることは少ないだろう。

しかしなんといっても、プレイヤーを散々悩ませたのがステージの2と3の0エリアだろう。 それは、次のエリアに行くための道がないため、どうすればいいか散々迷った人もいるはずだ。 入口を何度も攻撃すれば道が開けるのだが、それについてのヒントは全くないので、1つだけでもいいからヒントをやるべきだっただろう(扉に当てると音が出るとか)。

とはいえ、ゲーム全体で見れば難易度的に難しいとは言えず、救済措置であるディスクセーブやコンテニューもあるので、何度もプレイすればクリアは可能だ。 ディスクカードを取り扱う通販では、6000円近くで売っていることが多く多少割高なものの、普通のROMカセットを買う感覚程度なので、タイトルで遠慮した人ならばプレイしてはいかがだろうか。


このゲームは、数年前にいとこから数多くのディスクゲームをもらった中の1つで、昔はあまりのタイトル名に思わず引いてしまっていた。 もらった時は、いろんなゲームをプレイしていたのでこのゲームそのものについても別に違和感がなかった。 むしろ、今までプレイしていなかったディスクゲームを遊び倒したいという気持ちでいっぱいだった。

そんな私は、このゲームをプレイする前に色々とこのゲームについての知識を、ネットのレビューなどで集めることにした。 そのあとにプレイしたが、普通に歩くのではなくジャンプして移動することに衝撃を受け、 ディスクカードだけもらったこととこのゲームの元ネタを知らなかった私は、なぜジャンプしながら移動するのかという疑問に沸いた。

それ以外はアクション等に難しさはなく、パズル的な難解さはあったもののおおむね順調に進んだ。 ディスクカードをもらって、2年近く後という遅さでプレイしたのだが(2007年11月)、それだけ多くプレイしたいディスクゲームがあったといえる。

しかし、順調に進む私の前に大きな壁が立ちはだかった。ステージ2のエリア0の最後の場面である。 入り口に2マス分の落とし穴があるため、普通に飛び越えれば間違いなくミスになるし、入り口に橋を架ける手段などわからなかった。 攻略サイトやニコニコ動画で、この解決方法がないか調べたものの結局見つからず、攻略が見つかるまでプレイをやめることにした。

それから今年の6月中旬、ニコニコ動画で偶然ながらも再びこのゲームの動画の検索をしてみたら、なんと全クリの動画が投稿されていたので、私はそれをまじまじと見ながら攻略の参考にした。 何より、ステージ2の0エリアの最後の部分は長く私にとっての壁の1つだったのでどうするのか見ていたら、 なんと入口に武器を当てて道を作っていたので、すぐさまそれを実行すべくステージ2のエリア0まで進んだ。

そして、動画にあった方法でやってみたらあっさりと道が開けてきたので、ようやく先に進むことができるというほっとした気持ちより、 こんなクソ意地悪な仕掛けを作るなという怒りがこみ上げてきた。

もちろん、その先にもいろんなトラップがあると思ったので、動画を最後まで見たら滝の裏に本当の出口があったことと、 体力の最大値を上げる薬など色々なとラップや隠しアイテムなど出てきたので、それを平然とこなしていく動画に驚きを隠せなかった。

エンディングまで見届けた私は、動画の投稿主ほどの腕はないものの何とか先に進んだ。 最終的に、ラスボスのダババを倒しターニャを救い出してエンディングをはじめてみた感想は、やっとクリアできたんだと感動した。 スタッフロールがないのが残念だが、今まで散々苦しめられてきた仕掛けを突破できたことで、さっきの怒りは消えて代わりにほっとした。



本日のまとめ




(08/6/29レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年6月16日
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