◆バルーンファイト◆
空中で対戦&協力



発売日:1985年1月22日   発売元:任天堂   ジャンル;ACT
値段:4500円   おすすめ度:3(独特の慣性に慣れるまでは…)


1985年に登場したゲームの中で、一番最初に登場した任天堂のアクションゲーム。 元々は、海外ゲームの『ジャウスト』を故横井軍平氏ら任天堂の社員4人で、大幅にアレンジさせて登場したことによる。

ジャウストは、敵の頭上を踏んずけて進めていくものだが、プレイヤーが乗るダチョウが4人に大きな影響をもたらしている。 というのは、ダチョウの動作というよりステージの行動が特殊で、動作に慣れるまでが大変なものの慣れてしまえば楽しめるというものだ。

そんなゲームを、任天堂はアレンジという形で登場させたのだが、悪い形で言い換えればパクリと考えても致し方ない。 もちろん、『スペースフィーバ』といった有名ゲームの模倣を続けていた時期はあったが、それは当時不振にあえいでいた任天堂が生き残るために取った苦肉の策ということが大きい。

日本のゲームが、メーカーやジャンルごとに独自色を打ち出していたこの時期に、 他社の作品の模倣をやった挙句その事実をひた隠した(タイトル画面にアレンジの元になったゲームのメーカーがないのがその証拠)ことは、 一部のユーザーから白い目で見られたことは想像できる(軌道に乗っているゲーム会社ならなおさら)。

もっとも、任天堂がジャウストの開発元から許可を取った事実は不明で、大部分を変更したことにより新作という扱いも受けているし、 元のゲームの知名度が低かったことも多くのユーザーから事情を知らなかったということも考えられる。

ちなみに、最初はFCではなくACで登場しその年も1984年だったが、その時は『任天堂VS.システム』を搭載してでの登場だった。 そのシステムとは、FCソフトの内容をACにそのまま逆移植するためのものといってよく、当時のFCの内容(容量とも言う)程度でACに移植できるのは当然だっただろう。

システム搭載として登場したソフトは、本家の任天堂をはじめとしてナムコ、ジャレコ、テクモの3社のサードパーティが提供した。 FCからACへの逆移植という前提なので、FC発のソフトがほぼ全てACで楽しめるようになっている。

では、なぜFCゲームをACで遊べるように逆移植したのか、詳しいことはわかっていない。 1984年に、『ゼビウス』のFC版の大ヒットにより第一次FCブームが発生したものの、いまだFCは高峰の華という認識が残っていたのだろう。

だからこそ、FCが高くて自宅でプレイできない人のために、わざわざACに逆移植させて楽しめるようにしたのかもしれない。 また、『VS』ということで他人と対戦したい人のために、逆移植したということも考えられる。


VS.システムの1つであるバルーンファイトは、AC版登場の翌年にFCに移植されたがAC版登場からFC移植までの間が短いのは、 基本はAC版の登場で完成しているためFC版オリジナルの要素を加えれば完成できるためである(タイトル画面に『1984』とあるのがその証で、FC版発売も1月の下旬という早さも大きい)。

ルールは、敵が背負っている風船を上から踏んで叩き割った上で、パラシュートで降下している敵を全て叩き落とせばクリアとなる。 プレイヤーは、2つの風船を背負いながらAブタンで1回羽ばたき、Bボタンの押しっぱなしで羽ばたきの連続をしながら浮遊を続ける。

浮遊中に、風船を割って敵を叩き落しつつ敵を海に沈めた後に出てくるシャボン玉も取ることで、一度も着地しなければ連続して高得点が稼げ、 パラシュートで着地した敵が風船を作って飛び立った後にそれも割れば、永久に近い形で高得点をマークできる。

プレイヤーが背負っている風船が1つ割れると浮遊力が低下し、もう1つ割れると1ミス。 一定時間が経過して出てくる雷に触れたり、水面近くで飛んでいると時々出てくる魚に食われると、風船が2つあっても即座に1ミスとなる。

高得点を狙ったプレイヤーは、夢中になって雷が出たことに気づかず、うっかり触れてミスになったことは多かったことだろう。 地面に跳ね返るものの、画面外に消えると再び雲から発生するので(光ってるのがポイント)、それを見抜いていれば序盤で高得点を稼ぐことも可能だ。

ただし、前にも書いたがプレイヤーの操作に癖があるため、慣れていないはじめのうちは壁に跳ね返ってスピードが出てしまうか、 プレイヤーが思っている方向とは別の方向に行ってしまい、敵にぶつかって風船を割られるケースが多い。

ミスすると、今まで倒した敵は登場しないというその場からの復活はうれしいが、その場からの復活ということで雷が出る前の時間に戻ることはできない。 そのあたりは、同じその場からの復活となっている『マリオブラザーズ』でもいえる。

初心者用ということで、独特の慣性をなくすかそれを軽減しつつ、得点は今までの半分程度に抑えているモードも出したほうが、 自然と独特の操作になれやすくなっただろうし、それ以前に一定の得点に達すると増える残機の設定も加えておくべきではなかっただろうか。


操作に慣れるまでがややつらいこのゲームだが、2人同時プレイとなるとよりつらい。 自由に、対戦または協力を選べるのはいいのだが、その設定ゆえに協力プレイで楽しんでいると操作ミスにより、 うっかり相手の風船を割ってしまったり逆に割られてしまったりと、こちらによる不利が多少ながらも大きい。

同じ2人同時プレイもできるマリオブラザーズでは、対戦も協力もバランスよくできるようになっているが、 バルーンファイトの場合対戦の意味合いが強く、協力プレイにしても相手と距離を置いてプレイするのが基本のように感じる。

ボーナスステージは、土管から出てくる風船を割っていくもので、操作と土管の位置の関係上パーフェクトがやりにくくなっているのはなんともつらい。 風船の出現位置もランダムになっているので、パーフェクトができるのは培った自分の腕やその時の運しだいといえるだろう。 それでも、敵に割れた自分の風船が元通りになるのはうれしいもので、得点で残機が増えないことを考えると、ゆったりと遊べてしまうものだ。

そういった意味では、FCだけに導入したバルーントリップはゲーム本編より面白い。 なんといっても、敵をすばやく叩き落したり途中から出てきて跳ね返る雷に気をつけたり、自分の風船が割れる危険などないわけで、ある意味のんびりできるモードではないだろうか。

ルールは、左に強制スクロールしながら最初からやや迷路状に設置されている雷(途中から動くものも追加される)を避け、 同じく最初から設置してある風船を割りつつどこまで行けるかということを競う(無論得点も)。 足場があるのはスタート地点だけに加えて、ミスしたらその場でゲームオーバーになるため(残機0)、のんびりできるものの本編である程度腕を覚えた人向けといえる。

本編において、2人同時プレイができる一方でバルーントリップだけが1人プレイ専用なのは、2人同時プレイできる環境ではないのだろう。 やられたらゲームオーバー、いやらしい雷の仕掛けや長時間の腕の疲れ具合というシビアはあるものの、敵がいない空間で悠々と飛べるあたり、 他のアクションゲームと比べてのんびりしやすい(ゴールはなくエンドレスで飛び続けるが)。 このモードにかなり定評があったのか、このゲームの派生版が任天堂やそれ以外のメーカーから登場し、かわいいキャラと相まって現在に至るまで人気を維持している。


このゲームについて、存在を明確に知ったのは片道リンクしている大手ファミコンサイトにおいてだが、 このゲーム発売から8日後に『アイスクライマー』が発売されていて、アイスクライマーは当時のてれびくんのファミコン特集で知った。

その中にバルーンファイトがあったかどうか忘れてしまい、ゲームの存在が明確に示されるまで実に18年もかかった。 したがって、プレイについてもレビューを書く2年前で、その時に購入したきっかけもなんとなくだった。

早速プレイしたときの感想は、予想もつかない慣性にきりきり舞いさせられる上に、地面の横にぶつかっては不意に敵に風船を割られ、 何とか必死になって風船を割られないようにしても、気づかぬううちに発生した雷に触れたり水面を飛行中に魚に食われたりと、あまりいいことがなかった。

それでも、何とか努力してプレイした結果、風船から敵へと連続して得点を重ね、だんだん慣れてくると今度はゲーム開始直後に敵が風船を膨らましているので、 それを完成しないうちにできるだけ多く敵を倒すなど、ある意味調子に乗っていたことがある。 調子に乗りすぎると、敵の風船が完成した直後に敵と自分の位置がこちらの風船が割れてしまう場所にいたこともあって、序盤から風船を割られる展開も相次いだのだが。

ただ、操作についてはどうしても苦労を強いられ、レビューを書くときに久しぶりにプレイしたが、 ここで気づいたことはBかAを連打したために自分が思っている方向とは全く違う方向に行きやすくなっていることだ。

Bを押しっぱなしにすれば自動的に飛べるのだから、どうして連打して苦労しなければならなかったのか恥ずかしくなった。 ソフトの購入自体、箱と説明書なしだったから仕方がなかったものの、レビューまで連打で進めていた私は驚いた。


飛ぶときの安定も押しっぱなしのほうが上なのだが、元々の操作が特殊なので慣れるまでの苦労が多かったことに変わりはない。 そういうあたり、バルーントリップは敵がいないためにのんびりいけるものの、いやらしく雷が配置されているので、 連打で進んだときは理不尽に思い込んだ難しさにすぐやめてしまった記憶がある。

本来の操作を覚えた現在では、風船を逃さず回収することを除けば、かなり進めたのではないかと思っている。 必死にプレイしたため、どのくらいテク店を重ねたかよく覚えてないがランクは23までいけたので、そこそこといったところだろうか。

ちなみに、ファミコンミニや関連作品である『ハローキティワールド』などは(任天堂公認移植)、いまだにプレイしていない。 でも、ハローキティのほうはいずれプレイしてみたいと思うし、ファミコンミニのほうもちょっとだけプレイしたいと思っている。 どうでもいいが、敵がパラシュートでゆっくり海に降りる際、突然魚が現れて敵を飲み込むのはびっくりした。



本日のまとめ



ガバァッ!!

(08/6/27レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年6月16日
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