◆マッピーランド◆
マッピー物語第2幕



発売日:1986年11月26日   発売元:ナムコ   ジャンル:ACT
値段:3900円   おすすめ度:4.5(値段の割りにボリューム多し)


1983年に登場して、キャラクターのかわいらしさに加えて裏づけされたゲーム性で人気を呼んだ、マッピーシリーズの第2弾。 前作は、トランポリンやドアを利用しながらニャームコの手下であるミューキーズをかわしていって、 舞台となるニャームコの屋敷に運び込まれている美術品の盗品を回収することが目的となっていた。

パワードアやベルで、敵をまとめて叩き落して大量得点を得る快感と、テンポいいBGMとそれに拍車をかけるタイムリミットによるテンポのスピードアップなど、 今までのゲームに新たな要素をふんだんに詰め込んだものに仕上がった。

BGMにおいては、ボーナスステージの時間を表現しているものがその代表としてあげられ、 先にも書いたキャラクターのかわいらしさも含めて男性が多かったゲーセンに女性も多くくるきっかけにもなったようだ。

そんな人気ゲームなので、続編も近いうちに作られるだろうと思ったファンは多いはずだ。 もっとも、続編の登場は3年後の1986年と長かったが、その1つの理由が『ディグダグU』のレビューに書いてある理由の1つに挙げられている、 前作とは全く違うゲームシステムを取り入れたものを作っていたこと。 もう1つは、その続編を同年それも2作同時に出していたことで、それにより登場がいっそう遅れてしまったというものだろう。

次に挙げた理由についてだが、これが非常に曲者で続編を2つ出しつつゲームシステムも全く異なっているのだ。 1つはACでもう1つはFCで登場したが、ACのほうは『ホッピングマッピー』というタイトルだった。

内容は、ストーリーや一部のシステムをベースにしつつも、キャラの多くがホッピングを使ってゲームを進めていくのだ。 屋外を舞台にホッピングで移動するためか、初代にあったトランポリンは省かれてしまった。

人気はそれなりに出たのだろうが、それはもちろん知名度においても完全に前作より水をあけられていた。 さらに、『源平討魔伝』や『イシターの復活』といった同社作品の人気がホッピングマッピーより上だったため、 2008年現在ホッピングマッピーが家庭用ハードに移植されることはなく、唯一iモードに移植されているにすぎない。

ナムコにとっては、このゲームは失敗だったと思ったのか、これ以降ACにマッピーシリーズの新作は登場せず、 初代のリメイクを1995年に出した程度にとどめることになった。


FCに登場したもう1つのマッピーの続編、それが『マッピーランド』だ。 今作は、初代のイメージを当てはめており、さながら続編という感じがする。

ニャームコ一味をかわしながら、トランポリンを利用しつつステージにあるターゲットを全て取ってクリアするという、初代同様のスタンスは変わっていない。 クリアのほうは、ターゲットを全て取った後に一番右端に脱出しなければならない。

ただし、今作ではそれに多くの要素が加えられているのが大きなポイント。 その1つにジャンプできることだが、その性能はジャンプできるゲームの中で一番低く、せいぜいターゲットを取るために使われる。 だが、敵を飛び越えることも可能(ぎりぎりまでひきつける)なので、上級者はこれをメインにかわし続ける人が多かっただろう。

もちろん、そんなことは初心者には到底できぬことなので、アイテムを使って敵の動きを止めたり、トラップで一網打尽にすることになるが。 前者は、このゲームの代表的な要素の1つで、敵によって効果の有無があったり所持数制限があるものの、お世話になった人が多かったのではないだろうか。

後者は、前作のパワードアやベルの存在であり、今作はステージごとにそのバリエーションが大幅に増えているので、それにおけるマッピーのアクションも多い。 その中でも、ステージ3の花火はニャームコ一味を打ち上げて爆発させるというあまりにも残酷なもので、ステージにはいくつもあるのがおかしくとも恐ろしい(ステージ2の大砲も同様)。


そのステージは、前作では舞台がニャームコの屋敷のみだったのに対して、タイトル通りマッピーランドの各地区を回るため、ステージのバリエーションはかなり豊富だ。 しかも、裏面も存在する上に裏面のグラフィックも表面(おもてめん)の雰囲気をあわせている。

しかし、裏面に行くための条件が表示されておらず、ステージにおいてどのラウンドで裏面に行けるのかも示されていないので、 画面上部に裏面に行くことができるという印をつけたほうがよかったのではないか(そうすれば時間切れという確立も減少する)。

実はこのゲーム、8ステージ用意されていて全てクリアすると1つのラウンドとして換算され、合計4ランド計32ステージをクリアしなければならない。 このため、1ラウンドにある8ステージ全て4回プレイしなければならず、ラウンドによっては裏面に行かなければならないステージもあり、 その裏面は一般のターゲットとは違ったものを取らなければならないので、前作以上のステージのボリュームにあわせた設定だろうが時間制限があるこのゲームでの設定はちょっとつらい。

全てクリアする時間も、多くの人は難易度と合わさって余計時間がかかってしまう上に、ゲームオーバーになったら最初からやり直しになってしまうので、 1ラウンド終了ごとにパスワードもしくはコンテニューの設定を導入してもらいたかった。

裏面といっても、表面が屋外だったのに対して裏面は屋内が舞台になっているので、別に難しいというわけではなくあくまでステージの裏側という位置づけにもなっている。 それゆえ、ステージ4と6の表面はもはやマッピーのステージの定番を完全に壊している。

ちなみに、ステージ6の裏面は2つあって、そのうちの1つであるラウンド2と3でしか行けない裏面はあの初代をモチーフにしており、 BGMも初代そのままに再現されているので、初代をプレイした人はまさに感涙ものだろう。

館や通常ステージの階層がFC版(5階)より低い4階なのは、容量の都合というよりキャラが前作より大きくなったことと、 ジャンプによってわざわざ階層のスペースを大きくしたものと思われる。


ところで、このゲームを色鮮やかに添えてくれるのはステージだけではなく、登場キャラクターもそれに一役買っている。 新たに、ピラニアや『キューティーQ』のゲストとしてキューティー本人(?)が登場するなど、今までのキャラを含めてさらに盛り上げている。

しかしなんといっても、それを代表してくれているのがニャームコ本人だ。 もっとも、舞台が屋敷ではないのでドアを開けて気絶したり、追跡はミューキーズにまかせっきりで本人は盗品の陰に隠れていたりと、 行動のバリエーションが多かった前作と比べてプレイヤーを和ませる行動はアイテムで気を取られている程度で(それでも前作に負けずかわいらしい)、むしろミューキーズ同様マッピーを追いかける展開が多い。

その代わり、ニャームコの衣装がステージごとに変わり、9種類の衣装を見ることができる。 どれもこれも、ニャームコにぴったりなものばかりで、プレイヤーの目を楽しませてくれることに大いに貢献できたといえる。 一方で、主人公のマッピーはというと前述したようにジャンプや滑車を使ってのアクションなど、こちらは前作のニャームコばりに活躍している。

だが、帽子がなかったり警棒がなかったりと、前作と比べてグラフィックの簡略化が目立つ。 これは、キャラの容量をニャームコメインに使ったか、ストーリーゆえにわざわざ簡略しなければならなかったのどちらかだろう。

そのうち後者について、確かにマッピーが警官として活躍するのではなく一個人として活躍しているものとして解釈できる。 にもかかわらず、ニャームコ一味が邪魔するのは単にマッピーとのライバル関係であり、これを示す片鱗として第3弾に現れる。 それはその時に後述するとして、マッピーが一個人で活躍する証拠として、ステージ内のターゲットが盗品ではなくマッピーがある人物に渡す物であり、それもラウンドごとに違っている。


実はこのターゲット、このゲームのバックストーリーに大きく関わっており、ラウンド1のターゲットのチーズは彼の恋人であるマピ子にプレゼントする。 このマピ子、マッピーの職場の同僚でもあるので、ある意味職場恋愛というわけだ。 この事実は、マッピーアレンジメントである程度判明される(マピ子は2Pで扱われる)。

2ラウンドは、ターゲットがエンゲージリングになっており、ここで2人の結婚という形となる。 3ラウンドは、ターゲットはクリスマスツリーに変わり、マッピーとマピ子の新婚生活の一部として、2人のクリスマスパーティのストーリーとなる。

4ラウンドは、子供のためということで球のボールがターゲットになり、親子でキャッチボールを楽しむというストーリーになっている。 つまり、『恋愛→結婚→新婚生活→家族の団らん』という四部構成になっているのだ。

ただし、ラウンドごとのエンディングを見るためには、各最終ステージの最後の場面にあるターゲット全て制限時間以内の取らなければならず、 間に合わなかったり1つでもターゲットを取り損ねて対象者の元にいくとバットエンドになるので、最後の最後まで気が抜けない。 ここまでやり遂げて、ようやくラウンド4のエンディングを迎えたマッピーをまっているのは、警官の引退という道だろう。

ようやく結婚して子供を授かり、誰もが夢見ていた模範的な家族が作られてのんびりした生活を送るあたり、ニャームコ一味との死闘は既に過去のものとなったのはむなしいものがある。 それでも、ゲーム内容的には満足するものが多く、ホッピングマッピーがあまりいい結果にならず終わってしまったことを考えれば、シリーズをつなぐ役割は十分果たしたといえる。


私にとって、マッピーシリーズの最高傑作といえば、初代よりも続編のランドのほうだと思っている。 もちろん、初代も面白いし3作目もシリーズの原形はとどめていないものの、アクションゲームの内容からすればこれも面白い。 しかし、プレイした時間や思い入れを含めれば、やはり続編のほうが一番面白いかなと思う。

そんな続編は、発売から翌年ぐらいに別の友達に私が持ってるソフト(『スターソルジャー』だったと思う)と交換してプレイにありつけた。 その時は、別のいとこから諸事情により多くのソフトを譲り受けたわけだが(カセットのみ)、 その中に初代マッピーもあったので続編を借りたときには、既に初代をある程度遊び通していた(10ステージ以上クリアできていた)。 したがって、プレイする前は続編を初代と同じシステムを持っていると考えていたのだ。

だが、初プレイにおいてそういった安易な気持ちは、今まで味わったことがない初めてという心境によってすぐ打ち砕かれた。 FC版初代から2年の間が空いているとはいえ、こんなにカラフルな色合いのステージが見られるとは思っていなかった。

また、偶然Bボタンを押してそれがジャンプ、Aを押して敵の動きを止めるアイテムということを知った。 何せ、カセットだけで借りることになったので、偶然続編のみの操作がわかるまでは初代同様の操作だと思っていたからだ。

そんな私だったが、ステージ4と6に見られる初代の原形をとどめていないステージや、 前作のパワードアやベルに負けないニャームコ一味の一網打尽の方法がステージによって個性的になっているなど、 子供心に「次はどんなステージが出るのかな」とわくわくしながらプレイしていた。

ところが、裏面とそこで入手するアイテムの存在はほとんどわからなかったので、ラウンド1のステージ6の裏面はともかくラウンド2以降のステージの裏面がわからず、 うろうろしているうちに偶然そこにたどり着けたか、ニャームコ一味やご先祖様に触れてミスになったことが多かった。 それでも、ラウンド1のエンディング(恋愛)を見たときは、初代にエンディングなどなかったこともあわせて幾分ほっとさせてくれた。


それから20年近く後、なんとなくマッピーランドをプレイしてみたいということで、今回は箱と説明書も購入。 それでいてたった300円で購入できたのは、ゲーム内容がつまらないのではなく定価が安かったためだと思う。

今を考れば、当時のカセットの値段は最低でも4500円ほどかかったが、このゲームはそれをはるか安値で売られていた。 なんと3900円で売られていたのだが、ゲームの内容はそれを払っても十分おつりがくるほど思っていた。

それは、久々のプレイでわかったことなのだが、あえて3900円で発売したナムコはすごいと思った。 もっとも、完全にやり通さなければわからなかったので、攻略サイトを参考に4ラウンド32ステージ全てクリアした。

改めて、バックストーリーの壮大さにため息が漏れた私で、今度もう一度プレイしようかなと思っていたら、いつの間にか時が過ぎてなんとレビューを書く現在にまでなってしまった。 でも、腕のほうは幸い鈍っていなかったので、恋愛から子供の団らんと一気にラウンドのエンディングを見ることができた。



本日のまとめ



MERRY X’MAS!!

(08/6/21レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年6月13日
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