◆バーガータイム◆
デコからナムコ委託第1弾



(ROM版)発売日:1985年11月27日   発売元:ナムコ   ジャンル:ACT
値段:4500円   おすすめ度:3(デコゲーの素地ほぼ完成)

(Disk版)発売日:1988年9月23日   発売元:データイースト
値段:500円(書き換え専用)   ディスク:片面


今はなきデータイースト(以下デコ)が制作したゲームで、これがデコのゲームにおける初めてのFC参入ということになる。 ただし、FC版移植において開発元はAC版同様データイーストだが、なぜか発売元はナムコである。 このゲーム以降、デコのFCに移植されたゲームのほとんどが、しばらくの間ナムコからの発売となる。

といっても、デコがナムコにFC移植を委託したゲームは『サイドポケット』と『カルノフ』など少ないが、 どちらもそれなりに知名度と人気はあったので、多少なりともナムコの影響は大きかったのではないだろうか。

なぜデータイーストのAC作品が、移植される際にわざわざナムコに発売を委託しなければならなかったのか、今もって不明である。 デコ名義でのFC初参入ソフトの発売日は1986年6月ということも(『B−WING』)、 開発元と発売元共に同社で行われた作品がいくつか存在していることもあわせて、明確な答えは出ていない。

ただ、同じACからFCに参入を果たした会社ゆえに、ACでもFCでも先輩格のナムコに委託したほうが安全だろうと思ったのかもしれない。 しかし、ナムコと同じ力を持つACの名作を生み出し続けたメーカは、ナムコ以外にも多く存在している。

このゲーム登場時に、FCに参入していたメーカーの中でACから先に出していたメーカーは、 ナムコをはじめとして任天堂、ジャレコ、タイトー、コナミ、アイレム、サン電子と意外に多い。

これらの中で、多くの名作を生み出しかつ歴史が長いメーカーといえばナムコ、コナミ、任天堂、タイトーの4社。 これは推測だが、あえてナムコを選んだのはこの時期のゲーム会社の名作と呼ばれるACゲームの数の多さに目をつけ、 FCについてもその影響はしばらく続くだろうと考えられる。

FC版は、AC版ほど人気は出なかったが、これはスーパーマリオブラザーズの大ヒットの影響がいまだに健在だったことが大きいだろう。 なお、『バーガータイム』というタイトルは海外版の名称で、AC版では『ハンバーガー』となっている。 にもかかわらず、タイトルを海外版に変更したのはAC版と違って、あまりインパクトが沸かないと思ったのだろうか。

これ以降、他の機種に移植されてもタイトルは『バーガータイム』で、もはや『ハンバーガー』の名称は忘れ去られてしまった。 AC版の名称を知っている人といえば、当時それをかなりプレイした人ぐらいだろうか。 ちなみにディスク版では、発売元がデータイーストに戻されているが、デコが展開するFCソフトの安定が見られたのだろう。


ゲームは、『パックマン』や『ヘッドオン』に見られるドットイート方式だが、ドットを思わせるものはどこにも見当たらない。 実は、ハンバーガーの具がドットの存在であり、ルールはその具を全て落としてハンバーガーにする(複数あり)こと。

具を落とすことがドットを食うことと同じなのだが、違っているところは上の具が落ちるとその真下にある具も落ちるということ。 こうして、ドミノ風に倒していってハンバーガーが作られるわけで、最上段(パン)ほどやりやすくかつ短時間でクリアしやすい。

ここで注目したいのが、ドットの存在である具が武器としても使われているということだ。 つまり、具を落とした際にその真下にいる敵もまとめて叩き落してつぶすので、パックマンのようにアイテムを取って敵を続けざまに倒すものとは違って、『ディグダグ』の岩落としのような連続コンボと非常によく似ている。 ドットイートに、多重コンボを加えたこのゲームは、ACで大ヒットを記録している。

とはいえ、はしごや足場がプレイヤーの移動を邪魔しやすいように配置しているために、うっかり操作を誤れば敵に挟み撃ちにされたり行き止まりに追い詰めたりしてしまう。 こんな時こそ胡椒の出番で、胡椒をかけると敵の動きが一定時間止まる上に(範囲は狭いが)周囲の敵にも効果があり、 止まっている間は触れても通過してもミスにはならないので、ピンチを回避する他に具で押しつぶす前準備にも活用できる。

もっとも、胡椒の数はスタート時にはたった5つしかないので、使い方を誤ればよほどの腕がない限り序盤で詰んでしまう可能性が大きい。 何しろ、時間が経過すると同時に敵の動きが早くなるし、1回ミスしてもその速さは全く変わっていないので、やはり詰んでしまう可能性が高くなっている。

そもそも、操作自体があまりよくないので、足場に乗れると思っていたらプレイヤーと足場の差がわずかしか離れていないためにそこに行くことができず、もたもたしているうちに敵に触れてミスになってしまうことが多い。 幸い、ドットイートにありがちなミスしても全て食べたドットはそのままというシステムは維持しているので、これがなかったらまず間違いなくクソゲーに入っていただろう。


ところで、デコゲーといえばその会社を知るユーザーにとって、『変なゲームを作っている会社』という認識がある。 AC進出の1978年から、『スペースインベーダー』といった他社のコピーゲームを作っていたりと、進出直後からえもしれぬメーカーだという感じはあったようだ。

しかし、年が下るごとにデコの出すゲームはオリジナリティあふれるものに仕上がっていた一方で、ゲームの独特の世界観が表現されるようになっていった。 バーガータイムは、そんなデコゲーの先駆的作品ではないだろうか。

人のサイズはあろうかという具に、具を落とす手段はなんと足で踏むというもので、そもそもハンバーガーを作るのに具を落とす必要があるのかという疑問がわいてくる。 敵にしても、ウインナーや卵、ピクルスといったハンバーガーにゆかりのあるものばかりだが、そのサイズがプレイヤーと同じということも、デコゲーにおける変なセンスが光っている。

それゆえ、ゲームの独自性や面白さが光っていたからこそ、『変なゲームだけど面白い』というデコゲーの素地を固めることができたといえる。 それが、皮肉にも他社にコピーゲームが作られることになってしまったのだが。


私は、このゲームの存在は発売当時から知ってはいたが、プレイについてはいつプレイしたのかそもそもプレイしたのかどうか忘れた。 ただ、存在を知ったのがてれびくんと徳間書店の児童用ムックの2つで、前者についてはファミコンの特集を大体的に組んでいて、 兄弟誌のコロコロコミックがその口火を切っていたのでその特集が大きくなっていったのだと、今はそう思っている。

そこで知ったこのゲームだが、まだ小学生になっていなかった私は、このゲーム画像を見ただけで思わずよだれがたれそうになった。 理由は簡単、ゲームに登場するハンバーガーがとてもおいしそうで、だんだんと具が積み重なっていく様は、絵や色的にも見ていつかこんなハンバーガーが食べたいと思っていたほどだ。

記憶に残るほどプレイしたのはレビューを書く2年ほど前で、ゲームレビューのネタ探しということで近くのゲームショップで多くの中古ゲームを購入したが、バーガータイムもネタ探しの1つとして購入した。 いざプレイしてみると、ゲームに出てくるハンバーガーが特においしそうに見えなくなっていた(まずいとも思っていない)。 おそらく、長い年月の間に色々なおいしいものを食べていたので、色合いがよく具がたくさんはさんであるハンバーガーを見ても、そんなによだれがたれるほど思わなかった。

プレイについては、具を下に落として多くの敵をつぶすことは、このゲームを紹介しているサイトをいくつか見たおかげで把握できた。 だが、敵の動きが時間が経つごとに速くなっていき、挟み撃ちになったり逃げ場がなくなったりして、ミスすることが多くなっていった。 落とした具の位置が、そのまま維持できるということがなかったらまず間違いなくクソゲーだったと思う。

それから現在、レビューということで久々にこのゲームをプレイしたが、相変わらず敵の速さに苦労させられた。 胡椒で、敵の動きを止めることは前々から知っていたものの、周囲に有効範囲があることは全く知らなかった。 これを知ったおかげで、多少なりとも有利にゲームを進めるかと思っていたら、気づかぬうちに胡椒を全て使い切ってしまった。

これ以後、多重コンボを無視してクリアを優先することにしたが、結局10面までいけたところで力尽きた。 個人的な考えだが、せめて胡椒の数をステージが進むごとに1つ増やしたり、1回ミスになったら一定数未満の胡椒の数を初期値に戻すといった処置をしておけば、多少なりともプレイしやすくなったのではないのだろうか。 それにしても、あれほどの具が多く重なっているハンバーガーは、うわさのメガマックをはるかに超えるボリュームだと思っている。



本日のまとめ



メリョ…

(08/6/17レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年6月12日
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