◆ディグダグ◆
岩のコンボボーナス炸裂!



発売日:1985年6月4日   発売元:ナムコ   ジャンル:ACT
値段:4500円   おすすめ度:3.5(BGMの鳴らし方がうまい)


ナムコ黎明期に登場したゲームの1つで、AC版登場から4半世紀後となる現在の間に、数多くのPCや家庭用ゲーム機などに移植されている。 2004年にはファミコンミニ版が、その翌年には第3弾が続編登場から実に20年という長さで登場していることから、続編はほとんどでなくともいかにこのゲームの人気の長さが伺える。

また1999年に、人気シリーズの1つである『ミスタードリラー』の世界観を(多少無理やりながらも)あわせていることも、 続編が出なくとも人気を維持し続けている秘訣となっている。

このゲームが登場したのは1982年だが、記憶に残るゲームは数多くあれど『スペースインベーダー』や『パックマン』といった大ヒットしたゲームはほとんどなく、 それの条件も含めてディグダグのように様々なハードに移植されたり続編が多く出ているゲームは、『倉庫番』や『ペンゴ』、『Mr.Do!!』や『タイムパイロット』ぐらいだろうか。 ナムコでは、ディグダグに加えて他に『ポールポジション』がシリーズと移植版がある程度登場し、著名漫画家とスタッフ数人がこのゲームで勝負を挑むエピソードが存在するなど強烈に印象を残している。

ディグダグの話に戻すが、確かにゲームの内容と世界観は微妙なところで一致しているが、こじ付けをあわせたことで逆に続編を作らなくても人気を維持できるという、いささかせこいという考えがしなくもない。 他に、初代の人気が多くの機種に移植された形となった一方で、続編が初代の人気に及ばなかったことも関係があるのかもしれない。

何しろ、初代のシステムが形を変えて別の人気ゲームに登場、ディグダグよりも数多くのシリーズを作っているのだから。 もちろん続編も、初代とはまた違った面白さがあるのだが、システムが大幅に違っているために初代に慣れた人はかなり違和感を覚えるだろう。

ちなみに主人公の名前はタイトル名同様ディグダグで、ミスタードリラーとの世界観をあわせた際に、 『ホリ=タイゾウ(『掘りたいぞう』と『堀泰三』という2つの名前を掛け合わせたのだろうか)』という名前を新たに設定し同時に一家とかかわりのあるキャラクターも付け加えて、 ディグダグが活躍した作品を過去の事件として扱っている。

ただ、事件といっても初代・続編ともストーリーや関連があまりなく、あるといってもそれはキャラクターだけに過ぎないのだが。 キャラクターにしても、ディグダグの頃とミスタードリラーの頃と比べて服のデザインがかろうじてそれを維持できる程度で(キャラデザイナーの違いもあるのだが)、 一家を持つまでの長い年月がやや無常に感じられる。


さてゲームの内容だが、地中にいるディグダグを操作して同じ地中にいる2種類の敵を全滅させるか、時間切れで敵が画面外に出ていなくなればクリアとなる。 無論、ディグダグは地中を掘っていってそこに出くわす敵を倒すわけだが、その倒し方は銛を発射して敵に刺してからボタンを連打して膨らませ、 最終的に破裂させて倒すという今の現況を考えればかなり残酷な倒し方だ。

もちろん、破裂された敵のグラフィックはかわいらしいものだが、後にミッドウェイゲームスの『モータルコンバット2』でキタナの絶膨接吻(究極神拳)が、 手段こそ違えど相手を膨らませて破裂させる描写を残酷にしているところを見ると、このゲームの存在を知っていたであろうしていたナムコ社員の多くはどう思ったのだろうか。

なお、膨らまして倒している間に他の敵がプレイヤーのいる場所に向かってくるが、目だけに変化して掘らなければ遭遇しないところをわざわざ出向いてくる。 目に触れてもミスとなるあたり、あと少しで倒せるというときにこんな姿で迫ってくるのは、かわいらしさをメインとしているのにかなり不気味だ。

当然、そういった彼らにも対処しなければ挟撃されてミスすることもあるし、大勢を相手にしなければならないこともある。 そんな時は、地中にいくつもある岩を利用するわけだが、岩の下を掘ることでそれを落下させて下にいる敵を一気に押しつぶすことになる。

うまくいけば、押しつぶしたコンボボーナスをまとめて頂け、2つ以上岩を落とせばベジタブルボーナスもついて、この時期のゲームとしてはかなりの高得点をたたき出すことも夢ではない。 もっとも、プレイヤーも岩に押しつぶされるので、この手のボーナスは熟練者でなければ難しく、初心者は膨らまし上級者は押しつぶしで倒すため、 押しつぶしのほうが得点が高いゆえに膨らましのコンボボーナスが少なくなっているのは、押しつぶしが上級者向けであるためなのか膨らましが倒すための手段として使われにくくなっているのは残念だ。

ただし、膨らまし自体敵の足止めにも使えるために、『膨らまし→敵集合→岩落とし』というコンボが炸裂することで、このゲームといえば岩落としのコンボではなく、 膨らましこそがこのゲームを象徴しているといっても過言ではなく、初心者も上級者もそれのみで倒そうが次の手段の前フリにしようが、敵に出会ったら必ず膨らましが基本ということが暗黙になっているようだ。


もう1つ、このゲームの特徴としてBGMの存在がある。 BGM自体、テンポよく明るいものなのはプレイしてみればお分かりかと思うが、面白いのはステージが始まった瞬間になるのではなく、プレイヤーの動きでなるということだ。

つまり、プレイヤーが動けば(銛攻撃や膨らましはならない)BGMがなり動きが止まるとBGMも止まるという、 まるでどこかのコントやバラエティ番組を髣髴させるようななりぐあいで、プレイしている人も気分よく楽しめたのではないだろうか。

既にこの時期、BGMが常時出るACゲームはあったが、プレイヤー自身でBGMの出すか出さないかというゲームながらの設定風味を入れたのは面白い。 こちらが動かなければ、BGMがならないどころかクリアもできないものの、膨らましにおける中断とその後の移動で出るという小刻みなBGMの出具合と、 敵の撤収時にBGMが早くなるスリリングも当時としては画期的だったと思う。 パックマンのように、エサを食べる時に出るSEがうまい具合に小刻みに出ているあたりも、ナムコは昔からBGMやSEといった音でもプレイヤーを楽しませていたのかもしれない。

FC版が登場したのはAC版登場から3年後で、この頃のFCに移植されたナムコゲームは、『ゼビウス』や『マッピー』などディグダグ登場後のものばかりで人気も高かったが、 ファミコンミニ版が登場したことを考えると人気や知名度はあったと思われる。 移植度はかなり高く、3年前だからといえば当然なのだろうが、色設定や画面サイズを除けばほぼ完璧な移植といえる。

またFC版の新たな設定として、目の状態になった敵に触れてもミスにはならなくなっている。 これは、FC版に移植するときにあえてFCユーザーに易しい設定を導入したものと思われる(FCは家族向けの移植が多い)。 AC版では敵をかわす唯一の手段として、膨らました相手をすばやく横切らなければならないが、FC版ではもう1つ敵をかわす手段が登場したことで、クリアそのものやコンボボーナス獲得の難易度が下がっている。

とはいえ、目状態は空間に入って数秒ほどで解除されるため、目に触れても安心だと思って横切ろうとしたら、その瞬間に姿を現してミスになってしまうこともある。 だからこそ、AC版では目状態でも触れればミスとなっている。それでも、必死にクリアしたい人には(逃げ回る意味で)十分すぎる恩恵ではないだろうか。


このゲームも、いとこの家でプレイしたことは覚えているのだが、あまり覚えてないのはプレイ時間そのものが少なかったことと、 色々なゲームをプレイしてその中で面白いものを重点的にプレイしていたのかもしれない。 ただ、カセットのラベルにディグダグがプーカァーを膨らましている絵を見て、このゲームが敵を膨らまして破裂させるものだということがわかった。

FC版が登場して、大体翌年に初めて知ったのだが、これも私の中にあるゲーム好きという感覚がそうさせたのかもしれない。 なお、敵を膨らまして破裂させる行為を『プクプクポン』と呼ぶのを知ったのは、レビューを書いている今知った。

説明書がないときからプレイしたのだから、私の攻略は敵を膨らませて破裂させることだけで、ゆえにかなり敵に追い回される上にプクプクポンを邪魔されることも何度かあった。 さらに、ステージが進むごとに敵の動きが早くなり、必死に逃げ回っていても追いつかれることが何度もあったが、何とかプレイしたことで時間切れで敵が帰っていくあたりが私の心を安堵させていた。

そのさなか、ステージにある岩を落として敵をまとめて押しつぶすことを初めて知って、敵を誘導させて岩を落としてコンボを狙うことを何度もやったが、 不慣れなために逆に自分が押しつぶされた挙句敵に触れてミスということもあった。 それでも、まとめて押しつぶしたときの感激はいまだに覚えていて、岩を全て落とした後に全ての地面を掘ってみようとしたこともあった。


子供ながらにこのゲームを楽しんだが、現在20年以上経って久々にこのゲームをプレイすることにしたが、数年前に登場したファミコンミニ版を買わなかったのは、 『ツインビー』のレビューに書いてあるようにそのときは全く興味がわかなかったため。

今になっていきなりこのゲームをプレイしたくなったのは、ニコニコ動画にこのゲームのプレイ動画があったためで、 敵を膨らまして動きを止めつつ岩に誘導し一気に押しつぶすやり方は、思わず拍手せずに入られなかった。

早速、初代と続編を購入して初代を先にプレイしたが、やっぱり動画のようにうまくはできなかった。 もちろん、動画を参考にしたことで最大3体まとめて押しつぶすことができ、最悪1体は必ず押しつぶすようにしていた。

ステージが進むごとに、私の腕もだんだん上がっていって敵が時間切れで逃げるのを逃さずプクプクポンしたりと、思えば結構調子に乗っていた。 だが、敵が変則的な動きをしたりこちらが操作を誤ることもたまにあったので、BGMを楽しむことができなかったのはちょっと残念。 関係ないが、ファイガの目状態が今になって怖いと思うようになり、せっせと敵を誘導している間に不意に接近してくるのは戦慄を覚えるが。



本日のまとめ



PAN!!

(08/6/11レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年6月7日
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