◆ツインビー◆
ツインビーシリーズ第1弾



発売日:1986年1月4日   発売元:コナミ   ジャンル:STG
値段:4900円   おすすめ度:3(2人同時プレイがアツい)


宇宙暦2801年、これから起きる出来事は現在よりはるか未来におけるものである…。 地球のどこかにある離れ島ドンブリ島、この島の住民は平和な暮らしを毎日送っていた。 その平和は、島の外で何が起こっているかをよそに安定していて、その平和は永遠に続くかに思われた。

ところがある日、この島に伝わる宝を狙って、とある軍隊の大部隊が続々と島に攻め込んでいった。 その宝とは5つの玉のことで、1つの玉につき島の一部を支配することができることで、5つの玉をあわせることははドンブリ島の平和を維持させる役割を果たしていたことと同じであった。 そして、5つの宝を狙ったのはスパイス大王、彼の持つ強大な軍事力の前に島の貧弱な防衛力ではまるで歯が立たなかった。

結局ドンブリ島は占拠され、大王は手に入れた5つの玉のうち1つを自分が、残りの4つを大王直属の部下4人に1つずつ分け与えられた。 大王直属の部下、オニオンヘッド将軍、パラレルディッシュ将軍、タイガーシャーク将軍、クローデバイス将軍のことで、彼らの頭上に君臨するのが今度の事件の仕掛け人であるスパイス大王だ。 大王達が5つの玉を手に入れ、それを各1人ずつ所持したことにより、ドンブリ島は彼らに分割統治されてしまったのである。

スパイス大王軍団に島を占拠され、今までの平和が無残にも崩された上につらい毎日を送っている島の住人達…。 しかし、そんな彼らにもたった1つだけスパイス大王の軍団を倒すための切り札が残されていた。 それは、島のはずれに住むシナモン博士であり、島の住民達からは一風変わった科学者とも呼ばれていた。

シナモン博士は、以前からいずれこの島に不吉な出来事が起きるのではないかと予言していた。 現在、この予言が現実となったことで前々から考えていた計画を決断、ひそかに2機のユニークな戦闘機で青の『ツインビー』とピンクの『ウインビー』を開発、急ピッチで完成にこぎつけた。 さらに、その2機の戦闘機のパイロットに、息子であり助手でもあるアンナモンとドンナモンを選んだ。

博士は、住民達の気持ちを2人の息子に託し、それを受けた兄弟は深い信頼を胸に大王に立ち向かっていった。 戦いの舞台となるドンブリ島、かろうじてその面影は残っていたが、その大部分は大王の軍団の要塞と化していた。 果たして2人は、シナモン博士と島の住民達の願いに応えることができるのだろうか…?


コミカルSTGの代表の1つとして名高い、『ツインビー』シリーズの第1弾。 2007年に、シリーズの多くをカップリングした『ツインビーポータブル』や、キャラクターが他のゲームに多く登場していることもあり、今でも根強いファンを持つ。

今でこそ、戦闘機のパイロットの萌えキャラを題材にした作品(商業同人問わず)が多く登場しているが、 昔はかわいらしいキャラを前面に押し出しただけで、パイロットの存在は続編以降で登場していることに注目したい。

そんな初代は、既に登場したグラディウスと違って縦STGだった。 それも、爆弾とショットを使い分けるものだったので、完全にナムコの『ゼビウス』のパクリではないかと思った人は、当時かなりいただろう。 ボムを投下するレーダーも表示されているのだから、ゼビウスを知っていてこのゲームを知らない画面を見れば間違いなくパクリだと思うだろう。

見た目的に違う部分といえば、ゼビウスがグレーを基本色とした機械的なものに対して、ツインビーはそれらしきキャラはほとんど見当たらず、色合いはかなりカラフルでコミカルだ。 BGMも、グラフィックに合わせるようにポップのきいたものになっている。しかし、違う部分はそのキャラクターと色合いという見た目だけではなかった。

その1つとして挙げられるのが2人同時プレイで、当時1人で黙々とプレイするのが当たり前だったSTGに新風を巻き起こした。 2人同時プレイだと、1人でプレイするより(金はかかるが)楽に進めるし、何よりも2つの機体を合わせることで今までよりも強力な攻撃を出すことができる。

そのため、キャラのコミカルさもあいまってゲーセンにあまり行かない女性や親子連れの人気を集め、ツインビーは同時プレイに限ることを証明している。 もちろん、1人プレイがつまらないことを言っているわけではないので、1人プレイも2人プレイとは別の意味での面白さがある。


もう1つ、このゲーム世界観をあらわしているものにベルのパワーアップがある。 雲を撃つと現れ、それを取ることで色々な恩恵が出るが、これを『グラディウス』のようなパワーアップカプセルのようなものとはかなり異なっている。

それを撃つことで、パワーアップできるものが変わるので、ベルがカプセルとパワーメーターの特徴の多くを生かしているといえる。 黄色は得点で赤はバリア、青がスピードアップで緑が分身というように、それを撃って自分の思い通りのパワーアップのスピードが早くなることではグラディウスより上だ。

分身は、グラディウスのオプションと違って自機が動くとそれと重なるように自動的に動き、一気に最大2つの分身を手に入れられるので、 同じオプションという法則には変わりないが明らかに一線を画している。 得点は、ベルを取るごとにどんどん増えていって最終的に1つ取ったら1万点、それを1つも漏らさずに連続取ればキャラバンSTG顔負けの高得点を稼ぐこともできる。

ベルとは別に、地上物を破壊するとたまにフルーツ以外のものが登場し、 その中のキャンディーは3WAYを出せるものの分身がない場合のみ有効なので(分身中に取ると初期装備に戻される)、 分身を取るかキャンディーを取るかどちらも一長一短な武装は、グラディウス以上の選択の悩みをプレイヤーに与えたと思われる(グラディウスはレーザーさえ取れば何とかなる)。 だが、このシステムに加えて2人プレイもが、プレイヤーの間で悲喜こもごもを生んだエピソードが次々と出てくるが、これについては移植版に回したい。


他に、STGにありがちな一撃死ではなく弾に当たっても、腕がもげるだけで別に死ぬことはなく(代わりにボムが撃てなくなる)、 救急車で腕を回復させることですぐやられる緊張感をほぐしたことは、当時のSTGにとって衝撃はある。

もっとも、敵にぶつかれば問答無用で死ぬが、死に安さを大幅に減らしたことで他のSTGよりも楽にプレイでき、 かわいらしいキャラクターに加えて結果的に女性や親子にもプレイしやすい環境を与えたことは評価に値する(さすがにステージが進むとあまり意味がないが)。

これとは別に、ボス戦前のアナウンスを出してその雰囲気を盛り上げてくれるものもあり、 このゲームのヒットによりコナミにおいて横のグラディウス・縦のツインビーという、一社で実力のあるゲームを縦横2つ作ったことになる。

FCへの移植は、AC版登場(85年3月)の翌年1月という早さで行われている。 グラディウスより知名度はやや低いものの、AC版から目立った変更は少なく、これが移植への間が少なかった要因の1つなのかもしれない。

敵弾を食らうと一気に両腕がもげたり、救急車を逃すとかなり時間が経たなければ出てこなかったり、パワーアップのベルの色が一部違ったり、 ベルそのものを撃ちすぎると壊れてしまうという違いはあるが、AC版をプレイした人に違和感を持たせるような変更はない。

これにより、約100万本の売り上げを記録した一方で、この売り上げのためかAC版よりFC版の知名度が高くなったことで、 しばらくの間シリーズはFCから発売されるようになった。

このゲームが100万本売れた理由は、やはりAC版同様女性も親子も楽しめるつくりになっていることなのだが、 ゲーセンよりみんなとわいわい遊べるFCに移植したことで2人プレイの悲喜が多分に出ることになった。

その決定的な理由はベルにあり、自分がやっとの思いで欲しい色にできたと思いきやそれを奪われたり、 逆に相手が欲しい色になると自分が別の色に変えたりと、見た目は協力でプレイしていて実際は泥沼の戦いを繰り広げている。

そのエピソードも半端でなく、たった1つのベルで兄弟げんかした挙句流血沙汰になった話もあり(『思い出のファミコン』に載っているエピソードの1つ)、 いかにベルの魅力がFC版にとってAC版よりも高くそして恐ろしいものであることを示している。 もちろん、協力プレイのみに出る合体攻撃も再現かつ相変わらず強力で、自由に2人同時プレイができるからこそその時のエピソードが余計目立った結果といえる。


このゲームを初めてプレイしたのは、発売から約半年経ったいとこの家において。 発売してからそんなに日が経ってないのに、ツインビーをはじめとしていろんな新作ソフトがずらりとあったのは(ディスクシステムもあった)、その当時いとこの親がある程度お金を持っていたのかもしれない。 結果的にそれが仇となって、現在色々切り詰めて生活している上に、昔のゲームもディスクゲーム以外全て売り払ったそうだが(ディスクカードは全て私が譲り受けました)。

昔プレイした思い出というと、レビューにも書いたような惨劇は全く起こっていなかった(私の記憶が確かならば)。 昔から、いとこのゲームの腕前はかなりすばらしく、元々ゲームの腕が悪い私にとっていとこのプレイは憧れの的だった。

それゆえ、協力プレイをやっても合体攻撃をしたかどうかもわからず、主にいとこ主導でゲームを進めていった。 ベルを多く取ったのもいとこで、一切年下のいとこが私よりゲームがうまいのは仕方ないとして、現在もその腕は衰えていないらしい。


それから現在、20数年ぶりにFC版ツインビーをプレイしたが、それより前に発売されたファミコンミニ版は買わなかった。 それが発売されていることは既に知っていたが、FC版の内容はほとんど忘れていた上に、特に魅力など感じなかったからだ。

しばらくは、STGといった短い時間で楽しめるゲームをレビューしてみるということで、久々にこのゲームをプレイしたわけだが、 悲しいかな2人プレイしてくれる相手がいなかったのでやむなく1人で2人プレイしてみた。

ある程度プレイしたわけだが、かなり私の思っていることが違っていたので、納得より衝撃のほうが大きかった。 このゲームの情報をネットで知ることができて、ボス戦があることはわかっていたがまさかエンディングがないのは知らなかった。 ようやくスパイス大王を倒したのに、唐突に2周目になるのは予想できず、3周してようやくこのゲームにエンディングがないことを知った。

合体攻撃も、2人同時プレイの特典なのだから威力も見た目も派手ではないかと思っていたが、 これもFC初期のソフトということもあってかかなり貧弱で、合体攻撃を昔ほとんどやってなかった私の記憶が変に美化されてしまったようだ。

無論、1人で2人同時プレイをやったためにかなり難しかった上に、合体攻撃の貧弱さに思わず幻滅した私は、やっぱり合体攻撃なしのほうがクリアしやすいと考えてしまった。 3WAYも、分身がない場合に効力を発揮するので、分身+ツインでそれも2人同時プレイが最も強力だと個人的に思っている。



本日のまとめ



必殺ファイヤー攻撃!!

(08/6/10レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年6月7日
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