◆ボンバーマンU◆
正統派シリーズ第2弾



発売日:1991年6月28日   発売元:ハドソン   ジャンル:ACT
値段:5800円   おすすめ度:4(みんなで遊べるボンバーマン)


ある晴れた昼下がりの平和な街、姿が奇妙な人物が歩道を歩いていた。 彼の名は白ボンバーマンこと通称『白ボン』、その昔ロードランナーの主人公ランナー君が人間となる前のボンバーマンとは 姿は似ていても共通点はその程度だけで、むしろ赤の他人でしかなかった。 そんな彼が、道路の向かい側の銀行の前を通り過ぎようとした時、色こそ違えど白ボンにそっくりのボンバーマンが銀行に入っていくのを目撃した。

彼の名は黒ボンバーマンこと通称『黒ボン』、白ボンの永遠のライバルの存在であった。 黒ボンは、銀行から多額の金を持ち出すや、それを遠くで見ていた白ボンの前に金を置いて立ち去った。 白ボンが、いったい何があったのか戸惑っているところに、背後からパトカーがやってきた。 そして、銀行の金と白ボンをパトカーに乗せて向かった先は、なんと刑務所だった。

いまだ一部始終が飲み込めなかった白ボンだったが、刑務所が見えたのを知るや事ここにおいて、自分が黒ボンにはかられたことを感じた。 そう、黒ボンは銀行強盗を行いパトカーが現場に到着する前に、金を白ボンの前に置くことで彼に銀行強盗の濡れ衣を着させ、 自分はそ知らぬ顔で銀行から奪った金を自由にありつけるという一石二鳥をやっていたのだ。

昔から、白ボンの存在が疎ましかった黒ボンは、銀行強盗が重罪であることを知っていたので、 白ボンを刑務所にぶち込めば長い間そこに出ることができず、黒ボンは自由に悪事をやれることができたのである。

元々2人はとある博士によって造られたサイボーグでもあり、白ボンは最初に造られ黒ボンは白ボンを元にして造られたという。 ただし、白ボンが正義の心を持つのに対して黒ボンは悪の心を持ち、それにより数々の悪事をやってのけた。 いずれも白ボン憎しの行為で、今回も白ボンは黒ボンに痛い目に遭わされた格好になった。

とにかく白ボンは、自分の無実を世間に証明するため、不本意ながらも脱獄を決意する。 見事脱獄に成功した彼は、自分に銀行強盗の濡れ衣を着せた黒ボンを追い詰めるため、 ジャングルを抜け山を越え黒ボンが逃げ込んでいそうな場所に向かい、人生をつぶそうとした黒ボンを追い詰めようとする。 しかし、洞窟を抜けた先はなんと自分がいた刑務所だったが、内部はなぜか荒廃していた…。


FCにおけるボンバーマンシリーズの3作目で(全機種を含めると5,6作目か)、正統派を限定すれば間違いない続編である。 第2弾のボンバーキングは、シリーズ全体に位置しているものの、全体的にリアルなデザインでBGMもミニマルとテクノ風味を排除し、 爆弾のシステムやステージ構成なども大幅に異なっているため、正統派のシリーズをプレイしていれば間違いなく異端に見える。

正統派、すなわちFC版初代のシステムを多く取り入れたのが続編と呼ぶべきものである。 そういった意味では、今作は実に5年半ぶりの続編登場となった。

当然人気も高かったが、その人気はPCエンジン版に影響されたのが大きい。 FC版のリメイクだが、ストーリーモードと対戦モードの導入により、FC版とはまるっきり違う内容に仕上がっている。 特に対戦は、2人対戦はもちろん最大5人まで対戦が可能で、PCエンジンの寿命を一段と増やしたばかりか、シリーズの固定に一役買った。

また、FC版初代のキャラをそのままかつかわいらしさメインに押し立てて、これもごく一部の作品を除いて固定されている。 対戦がある以上、キャラの色分けにより初代のデザインをリファインするしかなかったのだろうが、結果ボンバーマンのキャラクターの幅が大いに広がることができた。 まさに、ブロードバンド社(シリーズ制作に関わった『ロードランナー』の開発元)から版権を買い取ったハドソンだからこそできたといえる。

その一方で、システム等の都合上(もしくはFC版のストーリーを忘れたか)ロードランナーのつながりはなくなっているのはご愛嬌か。 版権を買い取った以上、ロードランナーの設定をどうしようがハドソンの勝手だったのだろうか。

しかし、今度はボンバーマンの版権をアイレムが買い取りAC版をいくつか世に送り出していることを考えると、 ブロードバンド社の態度はかなりおおらかで、同じくロードランナーの版権を買い取ったアイレムとの関係は、これ以降何か微妙なものになっていたのかもしれない。

もっともハドソンも、アイレムの人気STG『R−TYPE』の版権を買い取ってPCエンジンの寿命を延ばしているから、 アイレムのボンバーマンもそのお返しとばかりとしたのだろう(知名度はアイレム版のほうがかなり低いが)。


脱線してしまったが、FC版の続編は初代よりもPCエンジン版に人気はもちろん、システムも大いに継承されている (というよりPCエンジン版が、ボンバーキングの設定をいくらか取り入れているだけなのだが、それだけボンバーキングを無視するわけにはいかなかったのだろう)。

ストーリーモードと、最大3人までの対戦モードが追加された。 最大が3人までなのは、PCエンジンのように5人まで遊べるパッドがなかったため。 さすがに、ストーリーモードでボス戦はおろか最後の黒ボンとの決闘はないが。

ストーリーモードは、6面に各8つのエリアを加えた総数64エリア。 その半数ほど、1画面しかないステージが存在し、爆発に巻き込まれたり敵に接触する緊張感が一段と増している。 対戦モードは必ず1画面なので、殺るか殺られるかのせめぎあいもすさまじい。


登場する敵も、前作登場のバロム、パース、ポンタン以外は全て新規となっている。 アイテムは、手に入れるまで効果がわからないミステリーと、爆炎に耐える耐火スーツが加わっているが、 耐火スーツは時間制限という共通はあるものの、種類によって遠くに吹っ飛ばされたりされなかったりするのでなかなか芸が細かい。

それ以外は、FC版初代とさほど変わりはなく、ボーナスステージはボンバーマンのパネルを取ることで行けることに変更されたに過ぎない。 BGMも、多少アレンジされていたり新規に追加したものが多いが、アイテムをとるとBGMが変わったり奇数と偶数のステージでBGMが違うあたりは、容量の多さを見せ付けた格好だろう。

ストーリーモードに、「これは!」と注目するような要素はほとんどないものの、それゆえ初代から変わらぬ安定さを維持している。 むしろ、対戦モードをメインに押し出しているといえる(パッケージも、対戦をメインにしているような絵が描かれている)。

欲を言わせてもらうと、得点が全体的に低く初代にあったボーナスキャラもいないために、得点で残り人数をほとんど増やすことができず、コンボによる楽しみも半減してしまっている。 ボーナスステージも、全て一番得点が低いバロムだけなので、敵や爆炎などもろともせずひたすら敵を倒して得点を稼ぐ勇姿も半減してしまっている。 画面に現れるボンバーマンを取ると、1UPする設定もそのためなのだろう。これも、対戦をメインとしたための弊害なのかもしれない。


このゲームも、発売当時友達とかなりプレイしたことがあり、時に妹も巻き込みながらプレイしていた。 つまり、2人プレイはいつものことで3人プレイはたまにという程度だった。 それでも、前作よりも面白いことがよくわかり、PCエンジン版をプレイできなかったもののその面白さが直に伝わった。

一方で、ストーリーモードとなると友達から借りてプレイするに過ぎなかったため、あまりステージを進んだためしがなかった。 ただ、ステージ間にある一枚デモにでる白ボンがかわいらしく、表情も初代より豊かだったのはよく覚えていた。

それから17年後の現在、ゲームショップでこのゲームを初めて購入したが、数年前に発売されているハドソンコレクションは昔見送っていた。 その理由は、かつて私が大好きだったボンバーキングがはずされていたのが許せなかったため。 今となっては、そのボンバーキングが理不尽な難易度だということがわかったので、別にそれが入っていようといなくともどうでもよくなっている。

このゲーム、対戦においてはかなり面白いのだがあくまで対人戦であって、CPUとの対戦は用意されていない。 かなり面白かったことは覚えていたのだが、それが対人戦のみかCPU戦も用意されているのか忘れてしまっていた。

ストーリーモードをある程度プレイして、2人と3人の対戦を選んでみたが残念ながら全て対人専用だった。 対戦こそボンバーマンの醍醐味なのはよくわかるが、もしものためにCPU戦も用意してもらいたかった。

ストーリーモードは、初代をプレイしたばかりでかなりさくさく進めたが、インフレの元になってる隠れキャラがいなくなったり、 敵を倒したときの得点自体初代よりも大幅に低くなっているので、コンボの楽しみがごっそり削られたのは痛かった。

また、最後まで進んでいないのでボス戦も期待していたが、最終ステージをクリアしても黒ボンと戦うことができず、 結局ボス戦はなかった上に黒ボンも白ボンにつかまって土下座させられた程度しかなかった。 もう、このゲームをプレイすることがないだろうが、遊んでくれる人がいればぜひ対戦したいと思っている。 もっとも、私には友達がいないので(ネットを除く)再びプレイするのはかなり後、もしくは2度とプレイする機会はないのかもしれない。



本日のまとめ



BAKOOOM!!

(08/5/28レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年6月2日
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